PUNPEE『ジョーカー』を語る

PUNPEE『ジョーカー』を語る SOFA KING FRIDAY

PUNPEEさんがJ-WAVE『SOFA KING FRIDAY』の中でバットマンのヴィラン、ジョーカーの誕生を描いた映画『ジョーカー』について話していました。

(PUNPEE)お送りしたのはPSGで『PSG現る 1972』でございました。

PSG『PSG現る 1972』

10年前に出したこの曲をなんでかけたかっていうと、先日10月9日がその自分のいたグループなのか、いるグループなのか。ちょっとわかんないですけども。そのPSGの『DAVID』っていうアルバムが出てからちょうど10年目という感じだったのでかけさせていただきました。

David
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昔、先輩方が2004年ぐらいにナズ『Illmatic』が出てから当時10周年だったらしくて。「もうナズの『Illmatic』から10年か。考えられねえ!」なんつって、先輩の人たちが言ってたんすけど。自分たちはリアルタイムでナズの『Illmatic』を聞いてなかったんで。「10年が早いってどんな感じなんだろうな?」なんてその時に思っていたんですけど。「ああ、こんぐらいの感じだ」みたいな風にいま、自分で身にしみている感じです。

10年、結構あっという間に経ってしまって。そこから5lackは何枚もアルバムを出したり、自分はいろんな、RAU DEFをロデュースしたりとか。お互いFUJI ROCKに出たりとか。いろいろ状況も変わりましたが今後ともよろしくお願いしますという感じでやっていきたいと思います『SOFA KING FRIDAY』。はい。ではメッセージを読ませていただきます。

静岡の方。「PUNPEEさん、こんばんは。いつも楽しく聞いてます。10月4日に公開された映画『ジョーカー』を見てきました。思っていたよりもダークでしたが面白かったです。PUNPEEさんは『タイムマシーンにのって』のミュージックビデオでバットシグナルをちょろっとオマージュしていたり、DC関連の『ロボ』を翻訳したりとバットマンもお好きかと思うんですが、あまりPUNPEEさんがバットマン関連の話をしてるのを聞いたことないので、バットマンの映画やコミックの話をお聞きしたいです」。はい。

あともう一通。滋賀県の方。「PUNPEEさん、こんばんは。いつも金曜の寝る前に聞かせていただいております。10月4日、『ジョーカー』が公開されます。かなり前評判がよさそうで、ベネチア国際映画祭で金獅子賞も取っちゃうし期待値が上がっています。私は公開日に見に行こうと思っているのですが、PUNPEEさんもよかったら感想を聞かせてほしいです。よろしくお願いいたします」。はい。ステッカー、CD-Rを送っておきます。ありがとうございます。

『ジョーカー』、いま結構話題になってると思うんですが。特にそのヒーロー映画、ヴィラン映画としては「珍しく」っていう言い方も変なんですけども。でっかいアクションだったりCGっていう感じもなく、でもすごい世界的にいまヒットしている感じです。ジョーカーはアメコミの中でもおなじみの敵、有名な悪役のキャラなんですけども。なんとなく説明をするとバットマンの好敵手というかいちばんの敵で。白いピエロみたいな顔をしていて、緑色の髪の毛をしております。

そんで、結構無差別にユーモアのきいた方法で殺害したりだとか。そういう感じのキャラクター。もう1940年ぐらいからずっとバットマンの敵としている有名なキャラクターでございます。いままでだとティム・バートン版の『バットマン』ではジャック・ニコルソンが演じていたり。結構いろんな人が演じていて。この前の『スーサイド・スクワッド』ではジャレッド・レトっていう人がタトゥーいっぱい入っているちょっと現代っぽいジョーカーを演じていたりするんですけども。

やっぱり有名なのがヒース・レジャーっていう人が演じたジョーカー。2008年の『ダークナイト』っていう映画の中で演じたジョーカーっすね。これの影響かはわからないんですけども、ヒース・レジャーはその撮影が終わった後に亡くなってしまって。で、アカデミー賞を取ったりとかも、亡くなった後にしたりするという。そんな事件もありました。その後、その続編の『ダークナイト ライジング』っていうバットマン映画をやる時に自分のことを「ジョーカーだ」って名乗った人が映画館のプレミアで銃を乱射して。結構な数の人が亡くなっちゃったっていう事件があったんで。

今回もそのジョーカーが公開されるということで。一部の映画館だと公開されなかったりとか、警備員がいっぱいいたりとか。そういう社会的な動きまで起こしてしまうような、そういうキャラクターだったりもします。なんかヒース・レジャーは演じる前にジャック・ニコルソンに「どうやって演じたんですか?」みたいな話を聞いたりとかもして。ジャック・ニコルソンが「うーん、そんなに甘く見ない方がいいぜ」なんて言ったエピソードなんかも聞いたことがありました。

で、今回の『ジョーカー』なんですけどもRotten Tomatoesっていう結構自分が見てる評価サイトだと割と批評家たちの評価はそんなに高くなくて。「あれ?」みたいな。

今回ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスっていう人はすごいいろんな役を器用に……まあ、言ったらストレンジな役を演じることが多い人なんですけども。演じることができる器用な人だからすごい期待してたんだけど、あまりよくないのかな?って勘ぐっていたんですけども。自分的にこの前見てきたんですが、かなりヴィラン映画としては過去最高っていう感じがしました。

ヴィラン映画としては過去最高

ヒーローがいて悪役のヴィランがいて。人間ドラマっすね。もう映画っていう感じ。ヒーロー映画ではあるんですけども、普通に映画として、ヒューマンドラマとしても余裕で見れちゃうっていう感じの映画でした。もうホアキン・フェニックスがすげえ!っていう感じだったっすね。ホアキン・フェニックスでジョーカーって最初は全然想像がつかなかったんですけども、全然ばっちりで。途中からもう完全にジョーカーだっす。という感じでした。

で、今回ロバート・デ・ニーロが割と偉そうなテレビのコメディ番組というかトークショーのホスト役。コメディアンから上がったテレビ番組のホストみたいな感じで出ているんですけども。昔、ロバート・デ・ニーロが出ていた『タクシードライバー』っていう映画が割とこれに通じてて。世間的に追いやられた人がその後に世間に間違ったやり方というか。まあ、間違っているのかはわからないですけども、そんなやり方で一発やらかす、食らわすっていう感じの。当時は、そのやらかす役をロバート・デ・ニーロがやっていたんですけども、今回はやらかされるというか。ムカつかれている体制側にそのロバート・デ・ニーロがいるっていうのも結構興味深い感じの配役だったと思いました。

で、これは増田さんも言っていたんですけども。「これは悪役の映画だけど、いまの時代の人が見たらヒーロー映画として見えるんじゃない?」って言っていて。本当にうまくいかないことが多い世の中だったり。日本は特に最近税金が上がったりだとか、結構暮らしている人からしたら住みにくかったり、「なにそれ?」ってなっちゃうことも多いと思うんですけども。そういうところに現れた救世主じゃないけど。やり方がまあ、人を殺しちゃったりとかしてヒーローになるっていうのはもちろん良くないことなんすけど。

人によっては「うわあー!」ってそのに希望を見出してしまうような映画な気もしていて。こう、入り込みすぎないように注意という感じでもあったんですけどでも、そのホアキン・フェニックスが完璧に役をやりすぎていて。「うわっ、かっけー!」ってなってしまうのもわかるという感じの映画で。「見た後にすごい暗い気持ちになる」ってみんな言ったんすけど、自分はそういう暗い気持ちになったっていうか、すげえ整理整頓されていて見やすくて。で、しかも演技とか、バランスも完璧、見事な感じだなって。「うわー!」ってなって思いました。はい。

あの執事以外は……執事、あの執事(アルフレッド)なんすかね? 名前、言っていたような言ってなかったような。ちょっと忘れちゃったんですけども。あの執事……まあ、若い時はあんな感じだったのかなっていう。そういう風に後で考えたっすけど、そんな感じでございました。で、なんだろう? 今年、『アベンジャーズ/エンドゲーム』があって。ドラマで『ザ・ボーイズ』があって『ジョーカー』があるっていうのはすごいヒーロー、コミックス映画的にすごいなって思ったかもしれないっすね。この『ジョーカー』が出てそれをさらに思いました。

なんか初めてマーベルの一連のサノスの関連の話の原作になってる『インフィニティ・ガントレット』っていうのが91年に原作であるんですけど。自分は1996年に読んだんですけども。それを読んだ後に「うわっ、すげえ! こんなにジャンプのヒーローが全員集結したみたいにアメコミはできるんだ!」って感動した2年後ぐらいに読んだのが、その邦訳された『ダークナイト・リターンズ』っていうバットマンのやつとか。『マーベルス』っていう、引退したバットマンの話とか。一般人の目線で見たマーベルの話っていう割とこう、ヒューマンドラマ的な側面を持つコミックス、グラフィティノベルがあるといことをその2年後ぐらいに知った時、すごいぶっ飛ばされたんですよね。

「うおっ!」って。ヴァーティゴっていう大人向けコミックスを出しているDCのラインがあったりするんですけども。こんなにかっこよくヒーローたちをえぐるシリーズもあるんだって。「うおおっ!」って食らった感覚を今年、コミックスの映画でもそれを思い出したっていう感じがしてて。一区切りっていうか、本当にこれからそういうコミックスの映画でも工夫だったりとかが求められたりするのかな、なんてのを結構『ジョーカー』を見て思ったりしました。

コミックス映画の一区切り

で、その見る前に最近、代々木にできたカフェの『nope』っていうお店。そこに行って「いや、まだ言わないで。言わないでくれ! 見てないから、ネタバレしないでくれ……」なんて言っていたんですけども。なんかネタバレをするというよりは、大きなネタバレというよりはどうやってアーサーがジョーカーになったか。ホアキン・フェニックスのその演技とストーリーをラインを見に行くっていう感じの映画だったんで、特にでっかいネタバレみたいなものもなく、単純に古典作品みたいな。ホアキンが演じるジョーカーっていう感じですごい楽しめました。

で、終わった後にもそのnopeっていうカフェに行って。場所は代々木の駅の近くにある新しい……オーナーさんのコレクションを家に置いておけないからカフェを始めたっていう。オーナーさんのコレクションがめちゃくちゃ、コミックス、SFだったり映画関連のものが見れるカフェがオープンしたんで。そこは今後、SF映画とか見た人の溜まり場になりそうなので、よかったら行ってみてください。たぶんそこでもしかしたら自分も、なんかそういう映画が終わった後に話してるかもしんないんでっていう感じです。

いまはバットマン生誕80周年っていうことなんで。バットマン関連のオリジナルのものがいっぱい飾ってあって。コレクションが。よかったら、『ジョーカー』を見た後に行ってみたりしてもいいのではと思いました。はい。ありがとうございました。で、ここから1ヶ所、少しネタバレなんで。もし聞きたくない人は聞かない方がいいです。ここで切った方がいいですね。『ジョーカー』なんですけど、劇中でチャップリンの映画『モダン・タイムス』をいろんな人が鑑賞しているというシーンがあるんですけども。

自分のアルバムのタイトルにもなっている『MODERN TIMES』っていうチャップリンが作った映画なんですけど。原作の『モダン・タイムス』もめちゃくちゃ労働させられてる人たちの日常の話で。本当に辛くて。でも生活もできない。けど、素敵な女性に出会って、辛いけどなんか自分でそういう道を見出してやっていこうっていう映画だったんですけども。この『ジョーカー』は現代版の「モダン・タイムス』っていう感じも結構して。

チャップリンは喜劇なんですけども。言ったら、ジョーカーは悲劇のキャラクターというか。チャップリンが演じた『モダン・タイムス』ではすごいハッピーな感じだと思っていたけど、実際に現実ではこうなってしまうんだよっていうので。結構この映画に影響を与えた作品なのかなって思ったので。もし、時間がある方はチャップリンのそれを見てから行っても面白い、楽しめるかもしれないですね。というエセ批評家PUNPEEでございました。じゃあ、CMに行く前にスヌープ・ドッグの曲でDJプレミアがプロデュースの『Batman & Robin』という曲があるんで。それをお聞きください。どうぞ。

Snoop Dogg『Batman And Robin』

<書き起こしおわり>

町山智浩『ジョーカー』を語る
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