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渡辺志保とYOSHI インターネット・ミーム発の口コミヒット曲の法則を語る

渡辺志保とYOSHI インターネット・ミーム発の口コミヒットの法則を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101
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ヒップホップライターのYOSHIさんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』に出演。渡辺志保さんとインターネット・ミーム発の口コミヒット楽曲が生まれる仕組みや法則について話していました。

(渡辺志保)私、音楽ライターの渡辺志保が金曜深夜にお届けしているヒップホップ専門プログラム『MUSIC GARAGE:ROOM 101』。今夜はゲストがもう一方、お見えになっています。ヒップホップライダーのヨシさんです。

(YOSHI)よろしくお願いします!

(渡辺志保)よろしくお願いします。私、実はヨシさんのことをTwitterでフォローしながらですね、非常に興味津々で。めちゃめちゃディグってる若い子がいるな! みたいな。で、noteを私は拝見して。まあ、ブログみたいなものですけれども。すごく丁寧にそのいまのUSのラッパーの流行りとかトレンドの分析なんかをしてらっしゃって。「これは……!」と思って。いつかこの番組にお招きして、いろいろとお話を聞いてみたいなと思いましたので。今日はヨシさんをお招きして、今年非常に高インターネットのミームをスタートにした、そこに端を発したスターラッパーたち……たとえばブルーフェイスとかリル・ナズ・Xとかいますけれども。そういったラッパーについてお伺いしたいなという風に思っております。

(YOSHI)はい。お願いします。

(渡辺志保)元々は……いま、学生さん?

(YOSHI)いま、大学4年生で。単位もいま、ほとんど取り終わって。

(渡辺志保)ええーっ、余裕(笑)。めちゃめちゃ楽しい時じゃないですか!

(YOSHI)もう遊ぶだけです(笑)。

(渡辺志保)羨ましい(笑)。私、4年の時にいちばん単位を取って。4年の時に初めて1限の授業とか取るぐらい単位、切羽詰まってたんですよ。なので、いいですね。そういう余裕のフローがね。羨ましいですけども。トロントに滞在してらっしゃったこともあるんですよね?

(YOSHI)はい。去年の3月から今年の1月までトロントに留学……まあ語学留学っていう形なんですけども。その傍ら、記事を書いたりライブに行ったりっていうことをしていました。

(渡辺志保)ちょっとトロントのシーンについてもお伺いしたいなって思うんですけど。やっぱりトロントというと、ドレイクが……。

(YOSHI)ドレイク人気、すごいですね!

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トロントとドレイク

(渡辺志保)どうなんですか? トロントでのドレイクって……私も去年、ちょうどトロントの観光局というところにお招きいただいて、「ドレイクを見てくれ」っていうか。そのレポートを書いて、ドレイクとトロントの親和性みたいなところをレポートしてほしいというような趣旨もひとつあってうかがったんですけども。まあ、まさかドレイクのツアーがその日だけキャンセルっていう。でも、やっぱり愛されぷりっていうか、アイコンですよね。本当にね。

(YOSHI)そうですよね。本当に……トロントのダンダス・スクエアっていういちばんデカい広場があるんですけど。そこのでっかいビルボードなんかも、アルバム発売日になったらもうドレイクがダーン! みたいな感じで。で、周りも「ドレイク、行くっしょ!」みたいな感じで。クラブに行ってもドレイクが流れているし。関係ないアーティストのライブとかでも、その前座のDJだとドレイク、ドレイク……みたいな。

(渡辺志保)おおー、すごいっすね! でも観光局の方が言っていたのは、ドレイクがすごいのはカナダ出身でアメリカで成功するアーティストって本当にたくさんいるけれども。たとえばジャスティン・ビーバーとかもそうだけど。ドレイクって珍しいのは、やっぱりそのアルバムを出すことに絶対にトロントのことをラップしている。めちゃめちゃ愛情たっぷりにトロントのことをラップしてて。いつまでもトロントを背負ってくれてるし、そのアメリカで稼いだインダストリーマネーをカナダに還元してくれているんだっていう。で、「観光的にもすごいドレイクのおかげで助かってるわ」みたいなことをおっしゃってて。

(YOSHI)経済効果とかもたしかものすごかったですよね。何千億みたいな。

(渡辺志保)マジで! でもそれで私もまんまとトロントに行かせてもらったということがありますので。あると思います。その他の……「ドレイク以外」って言ったら変だけども。そういうトロントのメインストリームのラップっていうのは色とかがあるんですかね?

(YOSHI)結構、その色が強いなと思っていて。ザ・ウィークエンドだったりNavだったり88Glamだったりっていうのはケンジントンマーケットっていう中華系のマーケットがあるんですけども。そこのクラブ中心にそういう音楽が流行っていたりして。自分もそこでバイトとかしてたんですけど。夜になると88Glamがかかったりだとか。あとはカムダウンっていうラッパーがかかったりとか。あとウィーケンドとかが発掘されたのもしこなのかな? たしか。そういうクラブカルチャーみたいなのもあったりして面白いですね。

(渡辺志保)でも本当にここ10年ぐらいでドレイクとかウィーケンドが作り出した潮流っていうのかね、しっかりシーンとして根ざしているって面白いなと思いました。

(YOSHI)本当、次の世代へ次の世代へとどんどんと引っ張っていけるみたいな環境ではありますね。

(渡辺志保)しかもトロント、本当にいいところですしね。

(YOSHI)めちゃめちゃいいところですね。本当に寒いだけです(笑)。

(渡辺志保)でも行こうと思えば本当にアメリカとか……ニューヨークもすぐ下じゃないですか。

(YOSHI)自分もバスで行ったりしていました。

(渡辺志保)まあ、ちょっとそんなお話も伺いつつなんですけども。やっぱり私もね、昭和生まれなんですよ。隠さずに言いますけど、30半ばで。私みたいなリスナーと、たとえば本当にアメリカのティーンのリスナー。10代、もしくは20代前半ぐらいの子たちが聞くヒップホップってやっぱり絶対に目線が違うんだろうなという風に思っていて。やっぱりそのブルーフェイスのヒットの仕方とか、リル・ナズ・Xのヒットの人の仕方とか。

あとは最近だとリル・テッカがいきなりあんな風にブレイクしたりっていうのを見るにつけ、彼らは一体どういう風に音楽を、ヒップホップを楽しんでいるのかな?っていう風に思っていて。で、ヨシさん的に、やっぱりそのミームとかソーシャルメディアがいまのヒップホップシーンにもたらす影響っていうのは……こう言うとちょっと仰々しい感じがしますけど。どういう風に捉えてらっしゃいますか?

(YOSHI)すごい大きいというのはもちろんなんですけども。リル・ナズ・Xとかリル・テッカとかはもともとはそのSNSのユーザーだった人たちがこうやってどんどん上がっていくんですけども。ユーザーだからこそその自分たちのコミュニティーみたいなものがわかってたり。どういう発言をしたら盛り上がるのか、どういう発言をしたら炎上するかっていうのはもう彼ら自身、すごいわかっているなっていうのは思いますね。

(渡辺志保)だから炎上も恐れないっていうことですよね。これはそれこそね、去年のいちばんイケイケだった時のテカシ6ix9ineとかトリッピー・レッドとかもそうですけども。みんな意図的に炎上をしてるってことですよね。きっと。

(YOSHI)そうですね。まあ、難しい話だと思うんですけども。ちょっと微妙なラインの発言とかをして。「えっ、どっち?」みたいなことをさせて、炎上させたり。あと、自分の中ではそのテカシとかリル・パンプとかから、2019年はまた違ったSNSのヒットの仕方をしていると思っていて。リル・ナズ・Xだったりリル・テッカだったりっていうのは楽しむエナジーっていうのがものすごくて。それがたとえばTikTokだったりの楽しむエナジーとマッチして相乗効果でどんどんと広がってるのかなっていうのもありますね。

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2019年、SNSヒットの変化

(渡辺志保)そうかそうか。たしかにそのリル・パンプとかテカシは本当に燃料投下系っていうか。自分たちでそのSNSを引っかき回して。ちょっと過激なことを言ったりとか。ちょっと脅迫めいたことを言いながら、それで「いいね」とか閲覧数を増やしていくタイプでしたけども。たしかにリル・ナズ・Xのミームとかは本当に誰も誰も傷つかないような感じですよね。

(YOSHI)テカシとかはもう最初に殴って反応を見るみたいな感じだったんですけども。リル・ナズ・Xとかはもうかわしてかわしてかわして……みたいな。

(渡辺志保)本当ですね。でもリル・ナズ・Xとかブルーフェイスとかの勝算はどこにあったとお考えですか? 特にリル・ナズ・Xに関してはね、非常にヨシさんも分析的でらっしゃると思うんですけども。

(YOSHI)そうですね。その種みたいなものをどんどんいろんなところに植えているなと思っていて。たとえばリル・ナズ・Xを例にあげると、歌詞の面でもキャッチーな歌詞を入れたり。歌詞を選ぶだけで1ヶ月ぐらいかかっているんですよね。たしか。それでどこを切り取ってもミームになるような状況を作ったりだとか。あと、ビートもカントリーとトラップを混ぜていて。どっちからも引きがあるような。もう本当にどこからでも切れ取れるような下地みたいなのを作っていたのがその成功の秘訣なのかなと思いますね。

(渡辺志保)すごいですね! だってさ、ミームって言ったらSNS、Twitter映えとかInstagram映えするネタって言う感じだと思うんですけど。やっぱりみなさん使うのはTikTokとかもそうだけど、15秒ぐらいですよね。本当に。いや、すごい話だよね。だからその15秒を切り取って、それがもう彼を億万長者にしたっていうわけじゃないですか。

(YOSHI)TikTokとかもユーザーの力がものすごくて。もう1回引っかかったらどんどんとそこで回してくれるっていうのがあるので。

(渡辺志保)たしかに。文字通り「バイラル(Viral)」っていうね。

(YOSHI)だから彼らがわかっているの、そこで自分たちが面白いことやろうとするんじゃなくて、自分たちがそのネタみたいなものを提供して、面白い人たちがいっぱいいるからそれをやらせていこうみたいな、そういう流れみたいなのは結構伝わってきますね。

(渡辺志保)すごいですよね。でもこの流れっていつぐらいまで有効だとお考えですか? 「賞味期限」っていうか「消費期限」と言った方が正しいのかもしれないですけども。まあ、2020年以降もこういうミーム発とかソーシャルメディア発のヒップホップヒットっていうのはどんどん生まれていくのか。それともちょっとずつ飽きられる傾向にあるのか。

(YOSHI)でも、これからどんどん広がってくとは思います。TikTok自体、まだ全然伸びていて。30代以降のユーザーみたいなのの割合も結構大きくなってるんで。で、ここから同じようには行かないと思うんですけど、似たような感じでどんどんどんどんTikTok中心に広がっていく流れはあるのかなと思います。

(渡辺志保)なるほどね。私もリル・テッカ。彼は『Ransom』がすごくヒットしまして。この番組でも何度か取り上げたことがあるんですけども。

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Lil Tecca『Ransom』

(渡辺志保)リル・テッカ、まだ16歳、17歳ぐらいのティーンですけども。彼のインタビューを聞いた時に「自分はすごくネットに向いてる人間だと思う」っていう風に言っていて。「インターネット上だと自分がなりたいペルソナ(人格)になんでもなれちゃうし、僕はリアルな人間関係よりもネット上の人間関係の方が得意だ」っていう風に言っていて。「おお、おお……」みたいな。私の世代……やっぱりヒップホップっていうかラッパーで成功するには地元でとにかくライブをがんばって、先輩にくっついてとか。そういうのがまだ有効だった時期からラップを聞いている身としては、いまこういう世代が現れたんだと思って、びっくりしましたね。

(YOSHI)そうですね。もう地元でプロップスを得る必要なんてないですよね。たとえばNavなんかも最初のライブはロンドンで1万人の前でしたし。Lil MoseyなんかもLil Xanに呼んでもらってまた1万人nぐらい前でラップしたりとか。もう地元でちょっとずつやるよりは、そうやってインターネットで爆発的にやった方が効率がいいっていう風になってるんで。結構まあ地元でやってる人とかもそっちにシフトしてきてるっていう感はありますよね。

(渡辺志保)なるほどね。地元で小さな種をまくよりも、インターネットでデカい釣り竿を振っていた方が……。

(YOSHI)もうパイが全然違うわけですから。それはもう、SNSに……っていう感じですよね。

(渡辺志保)たしかに。で、私が今日、本当にこのヒットのカラクリみたいなのがわからなくて。ヨシさんに聞きたいのが、この番組でも毎回、Spotifyのチャートを見ながら曲をかけるコーナーがありまして。で、いきなり『Omae Wa Mou』っていうタイトルの曲がグローバル、世界中の口コミチャート1位になる。しかもそれが何週間も続いてるっていうことが起こって。で、ネットで調べても本当に情報がまだ曖昧な感じですし。ただ、そのYouTubeの再生回数とか、そういったものはめちゃめちゃ伸びてる。で、曲を聞くと、日本のアニメソングをサンプリングしながらラップをしてる感じなんですよね。で、ええとこれは……ええと?って思って。

(YOSHI)最初にこれは聞いた方がいいんでしょうかね?

(渡辺志保)そうですね。じゃあ、曲紹介をお願いします。

(YOSHI)はい。deadmanで『Omae Wa Mou』。

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deadman『Omae Wa Mou』

(渡辺志保)はい。いまお聞きいただきましたのはデッドマンで『Omae Wa Mou』という……不思議な曲ですよね。でもこれがいま世界で何百万再生とされている超特大大ヒット曲になっているという。

(YOSHI)まだ伸び続けていますよね。

(渡辺志保)すごい! これ、いま聞いていただいたらわかると思うんですけど。ちょっとボサノバ調で、アニメ声のボーカルが乗っているという。

(YOSHI)フフフ、もう「これ、ヒップホップなのか?」みたいなことなんですけどね。

(渡辺志保)これはなんか……ちょっと解説をお願いしてもいいですか?

(YOSHI)もともとは2017年にできた曲で。このデッドマンっていう方が、たしかテイ・ケイだったのかな? テイ・ケイかなんかがインスタに乗せた曲が元ネタだったんですけども。で、それをデッドマンが聞いて、サンプリングしてハイハットを入れてドラムを入れて……っていう感じで。それを「タイプビート」っていう形で2017年に出したんですね。たしか『Omae wa mou Type Beat』みたいな感じで出して。

(渡辺志保)なるほど。タイプビートって本当に世界中のプロデューサー、ビートメイカーたちがYouTubeとかに無数にあげてるなんというか、セール用のビートっていうと言い方が安っぽいかもしれないですけども。

(YOSHI)でも本当にそんな感じですよね。

(渡辺志保)そうですよね。なので、「このビートを使ってお前たち、ラップしていいぜ」っていう、ちょっとバラまいているような感じのトラック。オケ。それをタイプビートと言いますけども。なるほど。『Omae wa mou Type Beat』。すごいね。

(YOSHI)で、そこをリル・ブームっていうラッパーが見つけまして。そのビートを使ってリル・ブームが『Already Dead』っていう曲で出すんですね。

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Lil Boom『Already Dead』

(渡辺志保)なるほどね。『Omae wa mou』をちゃんとラップ調に調理したのが『Already Dead』。「お前はもう死んでいる」を英語に直訳したのが……。

(YOSHI)もうそのまま英語にしたみたいな。で、その曲が出まして。その当時はちょっとは人気があったんですけど、そこまで、いまみたいな風にはならなくて。そこから2年経つんですけども。で、その2017年って結構「お前はもう」ブームみたいなのがありまして。ヒップホップを関係なく、ミームっていうのがすごい人気で。2017年の検索数だけブワーッと伸びているんですけども。

(YOSHI)で、そこをリル・ブームも見つけて……っていう感じなんですよ。で、2019年に入ると「To Be Continued」とかのミームがあったじゃないですか。

(渡辺志保)はい。

(YOSHI)で、その流れで「お前はもう」のミームもちょっと流行っていたんですね。で、たぶんそこに引っかかったんだと思うんですけども、そこからこっちの曲がミームになって。で、TikTokに流れるっていう形なんですけども。


(渡辺志保)すごい! だからヒットの種がいくつも、何層にも重なって、ここまでの特大ヒットになったって感じですよね。ちょうど2017年とかそれぐらい……まあリル・ウージー・ヴァートとかが爆発的に流行ったぐらいから、やっぱりその日本のアニメをネタにするとか日本の漫画をネタにすること自体、アメリカのヒップホップシーンで非常に流行っていたと思うんですけども。そういうのとインターネット上のネタとしてのバズり。プラス、ヒップホップが持つ潜在的なバズりの種みたいなものが合わさって、キャッチーさとね。それでいま、こういうことになってる? 謎……。

(YOSHI)リル・ブームっていうラッパーも結構変なラッパーで。

(渡辺志保)彼の曲をSpotifyで聞いてみたんですけど……独特ですよね。

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