スポンサーリンク

荻上チキ 吉本興業・岡本昭彦社長記者会見を語る

荻上チキ 吉本興業・岡本昭彦社長記者会見を語る 荻上チキSession22
スポンサーリンク
スポンサーリンク

荻上チキさんがTBSラジオ『Session-22』の中で吉本興業の岡本昭彦社長が行った記者会見についてトーク。気になったポイントについて話していました。

(荻上チキ)さて、そのメディアをここ数日騒がせているのが吉本の反社会勢力との関係性を持った芸人に対してクビにしたみたいな動きがあったんだけれども、それの解雇というか契約解除ということになった宮迫さんと田村さんの2人が会見を行うことによって、要はそのプロセスの中で吉本側に非常に不透明かつ圧力的な対応があったということが事実上、告発された。その、ほぼ事実上の告発会見を受けて、今日はその吉本のトップが会見を行ったということになるわけですね。

で、いろいろとその経緯説明というものをすることもできるんです。と言っても、あの僕は当然だから会見とかそれから報道で流されている以上のことは知りません。ただ、たとえばどういった経緯で芸人の方々が契約解除ということになったのかとか、何日にどんなやりとりがあって……みたいな。そうしたものの時系列の表みたいなものはまとめてはあるんですね。

ただそれは、検索すれば時系列みたいなものは出てくるので。それはの興味のある方は追ってください。僕はあまりその時系列云々とか事細かに今回の吉本の中で何があったのかっていうことについては、ほとんど関心がないんですよ。ただ、これがひとつ労働問題およびメディア論の問題として特に重要だなって思ったのは、ひとつはそもそも労働環境として適切な状況を作れていないような吉本興業側の対応というのがあって。

そうしたような問題というものが一連のその反社会的集団との接点を持った。それは別にお金も払ったんじゃなくて、ある種ギャラをもらったという、そうした格好なんですよね。ということの接点の取り方の是非というものは置いておくとして、その問題をひとつのきっかけとして、そもそも吉本は適切な管理ができているの? 適切な雇用関係が結べてるのか? というような疑義が再度向けられたというような点。

スポンサーリンク

吉本興業の労働の問題

そしてその点について告発的な会見が行われたことによって、ハラスメントがある意味行われるような会社・企業であったのではないか? というようなことが表沙汰になった点。まずはこういった問題がひとつの論点だと思うんですよ。ここについて、今日は会見の中でも少し語られていました。その会見の中ではですね、そもそもそのひとつの疑惑として、「会見をしたい」という風な、そうした要望を芸人の方々が吉本のトップに求めたという時、「会見は開かせない。そうしたことをするんだったらクビだ」とか。

(南部広美)「連帯責任だ」と。

(荻上チキ)はい。あるいは「お前ら、テープを回していないだろうな?」とか、そうしたような恫喝をした。恫喝とも取れるようなコミュニケーションして不信感が増したという発言を芸人の方々が行っていたわけです。それに対する吉本のトップが今日、会見でどういった話をしていたのか? 岡本社長らのその会見の模様をお聞きください。

<会見音源スタート>

(質問者)社長ね、社長の言葉で2人に……あと2人いたのかな? そこで「テープは録っていないだろうな?」っておっしゃったそうですが、それはどんな意味があったんでしょうか?

(岡本社長)ひとつは冗談で、「テープ録ってるんちゃうの?」って言ったら……。

(質問者)「冗談」だったんですか?

(岡本社長)はい。全く受け入れられず。というか、全く笑われることもなく。

(質問者)それが信頼関係をいちばん大きく壊したという風にはお思いになってらっしゃいませんか?

(岡本社長)一方で僕としましては、そこに至る経緯が……まあ、そもそも彼らの「もらっていない」というところから始まったこと。その後、「もらっている」ということになったこと。その後、金額等なかなか判明しないこと等、会社としては全力でやりながらも、どこかにもしお互いに不信感があるんだったら、それはよくないと思いながら、そういう、冗談と言いますか、和ませると言いますか……。

<会見音源おわり>

はい。「『テープを録ってるんじゃないのか?』というな趣旨の発言というのは実際に行なったが、それはその場を和ませるための冗談として行なった」というような趣旨のことを言っているわけですね。でも、たとえばそれこそ暴力団の方が一般の方に対して「夜道、気を付けた方がいいんちゃう?」みたいなことを「ボケ」として言ったとしても、それは「恐怖」として捉えられますよね。当たり前です。

で、会社のトップの人間というものが具体的な要望というものを行っている社員……芸人は「社員」なのか? 雇用関係というものが適切に結ばれているかどうかがわからないので。まあ、しかしながら具体的な仕事を差配されるというある種、権力を持ってる側がそれを行使される側に対して恫喝的な言葉を本人は「冗談」という風に意図して言ったとしても、それは当然ながら相手に対しては一定の牽制の効果というのは持ったりしますよね。

で、このような発言が行われる経緯もひとつ、象徴をしてると思うんですけれども。要はそうしたハラスメント構造があるならば、社内での適切な処遇であるとか、あるいは調査であるとか、そうしたものがそもそも行われるような体制にはなかったのではないか? そうしたような状況の中では、「何かの事実を明らかにする」であるとか、「何かの実態について適切に説明をする」とか、そうしたことよりも、「会社のメンツなどを守って対応してしまっているのではないか?」というような疑義が向けられているわけですね。

そうした中で、「いやいや、冗談だったんです」というような形だけで対応するというのは非常に問題があるということになります。なおかつ、今回行った吉本側の社長の会見。社長がとにかくしゃべりが下手くそだったので、ほぼ時系列的に体系立てて、論理立てて何を言ってるのかということを理解するのは、とても難しいかったです。ただ、こういったような社会的な問題が起きた時には、いったい何が起きたのか。それに対してどういった調査を行って、どういった対応したのか。そして再発防止策どのようにするのか。

こういったことを整理して提示するということが重要なんですけれども。こうしたような情報開示や社内の状況を改善するということは、ほとんど適切にはされていなかったと思います。たとえば「社長の給料を1年間、50%減らします」って……そんなことは知りませんよ。民間の会社のトップが給料減らしたところで社会的影響、特にハラスメントに関するものであるとか、あるいはテレビを通じてそうした様々な芸人の方々のお笑いに対して、「もうちょっと笑うことはできないよな」みたいな形の感触を得るような方々に対しては減給云々っていうのは何の効果もないですよね。

スポンサーリンク

必要なものは「第三者による調査」

それより必要なのは、シンプルですよ。第三者調査でしょう? しっかりと、これまでに関係性を持っていたような弁護士……企業側の法務弁護士とはまた違う第三者というものを入れた上で、透明性のある調査をした上で、事実関係を明らかにしつつ。今回社長の胸先三寸で何か「この人をクビにする」とか、あるいは「やっぱり契約解除やめた」みたいな形で戻すとか、そういったようなことをしていたら、要は「ワンマン体制は変えませんよ」みたいな。あるいは「人治の状況、人の感情によって対応をしてしまうという状況は変えませんよ」ということになってしまうでしょう?

あるいはもともとあった賃金が問題とか様々な問題も、まあ触られないままというか、放置のままというか。そうした状況が変わらないということになってしまいますよね。それだと何の対応もしていないということに当然、なります。そこでもうひとつ、気になったところなんですけれども。これはもうひとつはメディア論的に気になったところです。

先日の田村さんの記者会見の中で、そうした吉本の社長側が一定の恫喝を行ったのはないかというような趣旨の発言の中で、「テレビ局は吉本の株主だから大丈夫なんだ」というような、そうした趣旨の発言をした。それについては意味がわからなかったというようなことを田村さんも言ってたわけですけれども、それはいったいどういうことなのか? 記者がたずねていましたので。その部分をお聞きください。

<会見音源スタート>

(質問者)「在京5社、在阪5社のテレビは吉本の株主やから大丈夫やから」という発言があったということなんですが。こちらは事実でしょうか? また、その内容の意味について教えていただければと思います。

(岡本社長)この件に関しましては、ええと弊社法務の小林が認識をしておりますので。小林の方からご説明させていただければと思います。

(法務・小林氏)えー、先方の弁護士さん2名と亮さんと宮迫さん。こちらは弊社側の顧問弁護士2名と私とで面談をしていました。その中で、会見の話になりまして、亮さんから「会見を生中継したいんだ」という話がございました。それに対してですね、えー、「吉本は東阪各局が株主様でいらっしゃる。生中継するとしても、どういった時間帯にするのか。そういったことは配慮しなければいけないですよ」という、そういった説明を弊社の弁護士の方から先方の弁護士にしたということがございました。それが経緯、事実でございます。

<会見音源おわり>

(荻上チキ)うん。まあ、この発言の中で「生中継するとしても時間帯に配慮する必要があるから……という話をしたんだ」という。でもこれ、文脈が随分と違う解釈ができるような発言ですよね? まあ具体的な各メディアが吉本の株主だから云々っていう話については、「だからメディアに対して一定のコントロールができるんだ」とか、「吉本についてはあまり悪くは報じないだろう」というような、そうしたような圧力や忖度という構造があるんじゃないかということを疑わせる問題でした。

それに対して単に生中継のタイミングの問題だけで回答するということは、どうも文脈的に折り合わない。それは「会見をさせてほしい」というのに対して、「生中継をするためのタイミングがあるだろう」というような話を返したということは、もしそういった文脈なのであれば「具体的にいつごろにするのが妥当か?」っていうようなコミュニケーションが行われ中でしか、そういった会話というのは出てこないと思うんですよね。

でも、どうやら両者の言い分はそこで食い違っている。で、そこのどっちがどうなのかっていう、これは吉本対芸人というような、そんな話に回収することはできないんですね。僕が興味があるのはこのメディア論の問題として、こうした「吉本」というひとつのお笑い事務所のトップが「テレビ局と持ち株関係にある」というようなことを言うことによって、「そこに対して情報のコントロールできる可能性」というものを示唆した。そうした疑惑が出てきたということの重みです。

スポンサーリンク

「テレビ局と持ち株関係にある」発言が想起させるもの

当然ながら、このテレビ各局が吉本の持ち株主であるということは、これはまずは事実としてあるわけですよね。そのことがいろいろな疑惑というものを当然もたらすということはこういった時にはありうるわけですよ。それこそたとえば「ニュース」という観点から言うと、ニュース番組についていろいろと最近、ワイドショー的なところでね、芸人さんがいろいろなコメントをするという場面、増えていたりしますよね?

僕は「専門家ではない方々がテレビとかで政治についてコメントするな」とは一切思わないが、政治についてコメントするんだったら、それについては専門的な立場などを踏まえて、当然ながら「言論」としての批判対象になるので。そこのところはよろしくねという、そういった覚悟を求めるようなものではあります。しかしながら、そうしたような芸人の方々なども含めて、一定のコントロールっていうのものを意識しなくてはいけないような状況の会社で働いていたとするならば、そうした中で出されているコメントについても忖度や自重みたいなものが働いてるのではないかという疑惑が向けられてしまいますよね。

これが疑惑の段階で事実でなかったとしても、そうした疑惑を向けられた段階で、出ている芸人の方々に対しても適切な情報管理というか、環境提言ということができていないのが企業の問題として出てきます。また、こうした問題があるということは、それこそ先日ジャニーズの圧力疑惑みたいなものも、公正取引委員会が指摘をしたみたいな一件がありしましたけれども。「具体的な圧力とまでは言えない」という判断でしたが、しかしながらそう取られかねないような動きがあった云々という、そういった話です。

そうしたようなこととこうやって重なってくると、一定の大手事務所が一定の仕方で影響をメディアの様々な分野について与えられるものなんだという風に捉えてしまいますよね。そして吉本はなんといってもこの間、非常に政治の分野などでも広い影響力を持ってきています。それはテレビで政治コメントをするような芸人がやたら増えているということだけではなくて、たとえば大阪万博とか、あるいはそれこそ安倍さんがなぜか選挙の前とかG20の時、吉本新喜劇に出て。なぜか自分の経済政策をアピールするみたいな、そうしたヨイショ芸みたいなものが行われたりしましたよね?

そうしたような形で政治といろんな接点を持っているということによって、いろいろな有形無形の権力というものを行使するということに躊躇がないような社長がその企業のトップにいるんだということは、これは重いですよ。当然ながらそのメディア全体の問題でもあるし、政治全体の問題でもあるし。それがたとえば「冗談だった」とか、あるいは「別の文脈なんだ」という風に言われたとしても、そうした発言がサラッと出てくるということ自体が大きな問題ということになるわけです。

だからそういうこと含めると、やっぱりこれは全てのメディアに対する普段の様々なタレントや芸能事務所との付き合い方っていうところにも、いろいろな問題点というものが向けられてきたりしますし。政治的な論点、ひいてはニュース、報道などについてもいろんな問題というのが向けられる問題なんですね。だから、「さて、これからその芸人を再雇用するのか? 再契約をするのか?」って……当事者にとっては重要かもしれませんけれども、あんまり僕にとっては重要じゃないんですね。

ただ、労働環境を適切にするという意味では言えば、そこはちゃんと第三者委員会などを挟んだ上で、しっかりと法に則ってやってください。コンプライアンスに則ってやってください。ただ、メディアの云々という部分についてはまた別の疑惑になっているので。そこはまた別のチームで……つまり、いったいどんなやりとりがあったのかというだけではなくて、そうした政治的なスタンスであるとか、そうしたのに対する透明性を確保する。そうした応答も必要だということ。ここは論点として提示しておきたいなと思います。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました