安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中でスマホ検索についてトーク。検索で調べてしまいがちな内容や、なんでもすぐに検索で調べて解決をしてしまうことで起きるイライラなどについて話していました。
(安住紳一郎)横浜市港北区、40歳女性の方。ありがとうございます。「スマホを使うようになってから、ガラケーの時よりもインターネット検索を頻繁にするようになりました」。そうね。たしかに。もう中毒症状みたいな時、ありますもんね。
(中澤有美子)すぐ調べちゃう。
(安住紳一郎)調べなくていいのに調べたりとかね。「あれ? この企業、本社はどこだろう?」「調べなくていい!」みたいな。
(中澤有美子)フフフ、そういうこと、ありますよね(笑)。
(安住紳一郎)「同族経営なのか? そうか。株主を調べてみよう。へー!」とかね。
(中澤有美子)そうですか(笑)。
(安住紳一郎)「東日本に工場はあるのかな? ああ、こんな合併の歴史が? この合併された企業側の従業員たちはどんな気持ちなんだろうか?……過去の会社情報を調べてみよう!」「そこまでしなくていい!」みたいな。
(中澤有美子)深掘り。へー!
(安住紳一郎)深掘り。「……スマホを使うようになってから、ガラケーの時よりもインターネット検索を頻繁にするようになりました。ついつい、思いつくままになんでも検索します。知らない言葉、食べ物の栄養、旅行先の飲食店などなど。知的好奇心のために調べ物をしている時には問題はないのですが、時々『仕事 疲れた』『仕事 休みたい』『心 折れた』などを検索しようとしてふと我に返り、『ああ、疲れているんだな』とハッとすることがあります。私にとってスマホは自分の疲れ具合をチェックするバロメーターの役割を持っています」。
(中澤有美子)わかりますねー。
(安住紳一郎)ねえ。検索グセができるとね、なんか、そう。食べ物とかね、疲れが取れる食べ物みたいなことをやっているとね、その延長線上で「疲れた どうしたらいい」みたいなね。入れちゃうんだよね。
(中澤有美子)あります、あります。慰められることも結構それでありますね。「ああ、ここに同じ人がたくさんいた」っていうね。
(安住紳一郎)そうですね。なんでもね、調べてしまうということ、ありますよね。前になんか、あれはどなたが言っていたのかな? ごめんなさい。あとで名前が出てきたらお伝えしますが。最近、ほら。街中の人たちがイライラしますでしょう? イライラする原因はなんなのかということをいろんな社会学者とかも研究をしているようですけども。スマートフォンでなんでも調べられるようになって、比較的通信環境もいいので、たとえば「ここの駅への行き方は?」「ここのコンサート会場はどこにある?」「何時から? チケットの予約状況は? 誰が持っている? 値段……」ってすぐに調べられますよね。
(中澤有美子)うんうん。
人々がイライラする原因
(安住紳一郎)で、やっぱり自分が疑問に思ったことがすぐに解決するという便利な時代になったからこそ、世の中に出て電車の中とかで自分の欲求がストレートに解消されないとイライラして人とぶつかっちゃうとか。どうやら、そのスマートフォンの普及やパソコンなんかが便利になって、自分たちのその欲求がすぐに解決できるっていうことの反動じゃないか?っていう風におっしゃっている方がいて、「なるほどな」って思いましたね。
たしかにね、私たち、そういうものがない時には「いい曲だな!」って思ってもその曲がなにか、全然わからずに10年とか15年とか、心にためておいて。で、レコード屋さんに行って「たぶん尾崎豊の曲だと思うんだけどな?」みたいな。で、「たぶんこのベスト盤に入っているかな?」と思って買って家に帰って聞いて「入ってなーい! じゃあ、違うんだ。あれは小田和正さんの歌なのかな?」なんてね。で、「こんな歌、知っている?」なんて音楽に詳しい人に言って「知らない」って言われて、「猛烈に恥ずかしい!」とかね、そういう気持ち、あったりとか。
(中澤有美子)あったりとか。時間がかかったー!
(安住紳一郎)たとえば、あとはね、そこに行ったら何を食べたらいいのとかね、そういう情報を聞いて。で、なかなかお店にたどり着けなくて。「えっ、そこって……ああ、そうなんだ! 月曜日は休みなんだ。じゃあ、まただな。でも、または行けないかな? 残念!」みたいな感じとかね。いまはね、調べちゃうからね。「なんで『月曜日定休』ってネットに書いておかないんですか!」みたいなね。
(中澤有美子)そうですね(笑)。
(安住紳一郎)ということになっちゃったりなんてことがありますよね。まあ、昔がいいとは言いませんけども。そういう時代もあったななんて思いましたね。私、北海道で高校3年生までいたんですけども、「東京の学校に進学したい」ってなった時、東京の学校の状況が周りに詳しい子がいなかったので。担任の先生が「たしか、うーん。うちの教頭がたしか東京の市立の学校に行っていたと思うから、教頭先生に聞いてきたら?」「はーい!」なんて。
(中澤有美子)フフフ、いいですね、いいですね(笑)。
(安住紳一郎)で、俺は休み時間に教頭先生のところに行って「すいません。3年E組の安住ですけど、東京の学校の状況について、教えてください」「ああ、わかった。ちょっと待ってて」って。それで教頭先生の机の横で「そうだなー。じゃあ、なにから言おうかな? だいたいね、御茶ノ水のあたりに学校がいっぱいあるかな?」「ああ、御茶ノ水にありますか!」みたいな。
(中澤有美子)フハハハハハハハハッ!
(安住紳一郎)「ああ、そうですか。メモメモ!」みたいな。「ああ、へー。ああ、そうなんだ」みたいな。そんな感じよね。
(中澤有美子)ああ、そうでしたね。そうですよね。
(安住紳一郎)「先生、いくらぐらい持っていったらいいですかね?」みたいな。「うーん? どれぐらい? 6万? 7万?」みたいな。「はーい!」みたいなね。そんな感じですよね。で、そこで教頭先生に対する尊敬っていうか、芽生えるよね。やっぱりね。先に行っている人たち、東京を知っているから「さすが!」って思ってですね。そう(笑)。
(中略)
(安住紳一郎)渋谷の51歳女性の方。「私はウェブサイトを作る側です。先ほど安住氏が『スマホで悩みがすぐに解決するのでイライラが増えた』という話をしていましたね」。私、これは鴻上尚史さんのエッセイかなにかで読みましたね。「……ウェブサイトを作る場合にはこの『すぐに解決すること』がいいサイトとされています。まずは悩みを問題定義し、その原因を列挙し、解決案を提示。そしてその内容を簡単にまとめる。
これでほとんどの悩みを解決できる構造にするのと、パソコンでもスマホでも見やすい画面にする。このページを見る側は数分で済むかと思うのですが、パソコンとスマホの両方の表示を意識し、内容も知らないことはスマホで調べて事実確認を繰り返し繰り返し。その作業が延々と続きます。作る側は本当にスマホで悩みがすぐに解決するためにイライラしながら作っています。
イライラしながら作っている自分のイライラを解消させる手段をまたスマホで調べるというスマホイライラスパイラル状態から抜けさせない現代病に陥っています。重症ですなあ!」という。うーん。作る側からのね。「みんながイライラしないように私はイライラしながら作っています」という。うーん!
(中澤有美子)ありがとうございます!
(安住紳一郎)そろそろ、誰かね、「もうこれ以上の便利はやめましょう!」っていうね、便利終了宣言っていう。「しゅうりょーう! じかーん!」って。
(中澤有美子)フフフ、来ますかね?(笑)。
(安住紳一郎)来るんじゃないですかね、たぶんね。うん。「それ以上詳しい情報は、いりません! それ以上詳しい情報を知りたい場合は……有料になります!」みたいなね。好奇心税っていうのがね。
(中澤有美子)なるほどね!(笑)。好奇心税、フフフ(笑)。
「それ上の好奇心は、課税されます!」
(安住紳一郎)そうそうそう。ほら、肥大化した人間の欲望に税金をかけるでしょう? 砂糖に税金をかけたりしてね、肥満を防止したりする。
(中澤有美子)そうだ!
(安住紳一郎)「これ以上の好奇心には課税されます!」みたいなね。「ああーっ!」みたいな。「累進課税です!」「ああーっ!」みたいな。
(中澤有美子)そこにあったか!
(安住紳一郎)どうします? こういう時代に入っちゃって。「ええと……あのアイドルのデビュー当時の曲を知りたいんだけど……」「でも、これは税金がかかりますね」みたいな。「それ以上の好奇心は課税ですね」なんて。(ユミタソファンの口調で)「あの、中澤さんのですね……」「あ、税金かかりますよ? 中澤さんのこと、それ以上知りたい場合には税金がかかりますよ?」。
(中澤有美子)フフフ(笑)。
(安住紳一郎)「中澤さんと安住さん以外にもスタジオで笑っている男性の方、いらっしゃいますけども……」「税金がかかりますけども。その好奇心には。そんなそんな、全部に興味を持っちゃいけません!」っていうこと? 違うこと、言っているかな? やだなー、誰かに怒られるの。
(中澤有美子)フフフ(笑)。
(安住紳一郎)どうでもいいよね(笑)。それでは1曲、お送りします。横浜市港南区、38歳女性の方。どんな方なのかな? 税金がかかります!
(中澤有美子)フハハハハハッ!
<書き起こしおわり>