PUNPEE イベントのチケットノルマの思い出を語る

PUNPEE イベントのチケットノルマの思い出を語る SOFA KING FRIDAY

PUNPEEさんがJ-WAVE『SOFA KING FRIDAY』の中でイベントのチケットノルマの思い出を話していました。

ノルマは逆効果 〜なぜ、あの組織のメンバーは自ら動けるのか〜

(PUNPEE)ひょんなことから最近、ノルマのことを思い出しまして。2002年ぐらいに自分がDJを始めた時、ノルマって自分の周りでは結構当たり前にあったカルチャーで。言ったらそのオーガナイザー、主催者の人は「このイベントに出てよ。ライブしてよ」って言われて。「でもそのかわり、お客さんを6人とか8人とか呼んでくれ」っていう感じ……ノルマ。まあ、そのノルマを達成したら払わなくてもいいし、ノルマを達成できなかったらそのお客さんの分のお金は自腹でそのオーガナイザーの人に払うっていう、そういう仕組み。

やっぱりイベント会場を借りるのも1日20万円とか30万円とかする場所もあるし。もちろんもっと高いところもあるし。だからそのイベントを成立させる上で必要なことでもあると思うんですよね。で、自分もやり始めの時は結構もちろんそれを課せられたりしてて。でもオープンの10時から朝の5時までやるイベントで、オープンの10時からの、しかもラウンジのDJですね。1時間、メインフロアじゃないラウンジのDJで、入場料2000円で7人のノルマがかけられた時とかもあったんですけど。

でも出てるメンツが結構豪華だったから、名前を知ってもらおうと思って。それで結局1人しか呼べないんですよね。それで1万円ぐらい……お客さんも3、4人しかいないそのラウンジでのDJで自腹で1万円払ってとかも全然よくあることで。なんでかっていうと、当時はインターネットがまずなかったから、自分の作品を無料で公開するっていうことができなかったんですよね。作った曲をすぐネットにあげて、誰かが見てくれるっていう広め方がまずなくて。

イベントで見てもらわないと話にならなかった時代

そしてCDを焼く機械……言ったらCD-Rとか、その時はCDJもなかったから。その作品を作るにもMDとかカセットみたいな、まだギリギリそのぐらいだったんですよね。2002、3、4年ぐらいって。だから人に知ってもらうためにどうすればいいかって言ったら、誰かに認められて。ちょっと有名な人とかに。それでCDを出すタイミング、きっかけを見つけて、そこから広がっていくとか。メジャーと契約なんてできたら最高じゃないけど、すげえ! みたいな時代。それかライブで、その口コミでどんどん広げていくっていう。「かっこいいライブをやってるやつらがいるから見に行こう!」っていう。

で、やっぱりそういうのも強かったから、その人たちがいざ、「ライブすげえかっこいい!」ってなった時に、その人たちがとうとうメジャーとのディールをゲットして音源が出た時に、結構「あれ? 音源はあんまり、そんなにだったかも?」みたいなケースもたまに聞くような時代でした。それで、自分たちも……弟の5lackもいたんですけど、5lackはすごい人を呼べたんですよね。10人とか全然平気で呼んでたし。

でも、みんなお金を持ってないから全員タダで入れたから結局そのノルマには計上されなくて(笑)。で、お金を少し持ってるお兄さん方……自分とかGAPPERとかがそれを払ってたっていう感じで。で、本当に呼べない時とかは気まずすぎて。1回、自分たちはクラブの外に出て、他の人の格好に変装して「板橋録音クラブの客です」っつって2000円ぐらい払って(笑)。自腹で払ってるんだけど、人がちゃんと呼べてるように見せかけたりとかしたこととかもあったりしました。

自分たちでノルマなしのイベントをやってみる

んで、弟が「なんでそんなお金を自分たちで払わなきゃいけねえんだよ? 自分たちでやった方が早いよ!」って言い出したんですよね。もちろん、それはもっともで。で、とある人たちと団結してイベントをやろうっていうことになって。もうノルマもつけないし、この音楽性だけで俺らはヤバいから!っていうことでやろうってなった時、最初は人がそれなりに来たんですよ。「来た」っていっても20人ぐらいなんすけど、そっからもう2、3、4回とか続けていった時に、もうお客さんが2人とかになっちゃったんですよね。出演者の方が多いみたいな(笑)。出演者20人のお客さん2人とかになっていて。

言ったら自分がどんだけかっこいいこととか、どんだけ音源に自信があっても、それを広げるにはまず誰かに知ってもらわないといけない時代だったんですよね。だから自分たちでイベントをやるにしても、他のイベントに顔を出したりとか、やっぱりフライヤーをちゃんと作って、いろんなお店に多い時は30軒、40軒とかバイクで回って置きに行ったりもしてたし。それはそれで結構大変な時代だったっすね。

それで途中からインターネットが出てきて、ライブしたことない人。でもビデオと曲がかっこいい。で、それからライブをするっていうケースもいまは全然普通になったと思うっすけど。当時は本当に誰かの下についてそういうディールをゲットするか、もうとにかく音源を会社に送って。「これ、かっこいいから」ってCDを出させてもらうとかの手段が結構、もうそれしかないと思っていたから。自分はインターネットにかなり救われたなっていうのいまも常々思います。

ネットなかったらたぶんいま、こうやってラジオでしゃべれてない気もする。そう。だからすごい便利な時代になったなっていうの思いました。最近、ひょんなことから。でもやっぱりイベントをやるのにお金がかかるって、たとえば自分でイベントをやろうってなった時に「えっ、クラブって借りるのにこんなに金かかんのかよ?」って最初にまずビビッちゃったんですよね。ハタチぐらいの人からしたら20万、30万って結構大きいお金じゃないですか。で、人が呼べなかったら全部自分で。それこそノルマより高いお金を払うことになるわけだし。

でも、途中でダウンノースキャンプ(DNC)っていう、5lackが元いた場所とかはもう自分たちでパーティーを……「先輩とかノルマとか面倒くさいからもう自分たちでやっちゃえ!」っつって、そういうのをオーガナイズしてたんですよね。当時。だからでも、オーガナイザーっていうか企画していたSORAくんも相当動いてフライヤーを置いたりとか。いろんなイベントで友達もいっぱいいたし、まあ自然とそういう流れになったと思うんですけど。

だから、そう。なにもないところからイベントうまくいかせるっていうのも実はすごい難しいことで。結構その時に学んだことがありましたっていう話。でも自分のバックDJのミチヨシくんも1回、自分で企画して渋谷で。「いいよ、ノルマ。ノルマはいいから」っつって。で、ちゃんとお客さんも集まっているイベントをもう15年前ぐらいとかにやってたんすけど。

でも、ミチヨシくんもすごいやっぱり当時から、酒のあれなんすかね? わかんないすけど、やっぱり知り合いをもうとにかくその「ミチヨシくん」っていう人で人を集めていたから。それは当時から変わってないっていうか、もうどんどん謎のいろんな場所にいま拡大してますけど。ミチヨシくんのネットワークは。うん。当時からそういうのを苦じゃなく、遊びながらやってた人だったな。

そういうのができる人は本当にうらやましいと思っていて。自分はそのイベントの顔出しだったりとかって本当に苦手だったんで。そういうのが得意な人ってやっぱりうらやましいなっていうか。自分にはないので、昔から思ったりしてました。「人間力」っていうか、思うことは結構あるっすね。というわけで、なんか昔話みたいなのをしてしまいましたが、みんなインターネットの力を使ってどんどんね、クリエイティブのものにしていきましょうっていう。

インターネットのおかげでいい時代になった

いい時代、自分の望んでいた時代になったって感じですね、はい。でもやっぱりちょっと若干ムカつくことかもしれないですけど、その時にノルマを取っていたオーガナイザーの人たちって結構いまも違う分野でちゃんと音楽関連でいろいろとやってる人、全然いるんですよね。いまも、まあやり方は違うけど続けてる人っていうか。でも自分と同じような考えを持ってる人も、やめちゃった人はいるし。いまも続けてる人ももちろんいる。インターネットとか時代のあれにちゃんとうまく乗って、ちゃんと流れ作って残ってる人もいれば、やめてしまった人ももちろんいる。

で、やっぱりそのノルマを払って誰か有名な人の前で前座でやって、そこでもうめっちゃライブで食って。そこから口コミで有名になった人ももちろんいるんですよ。お金をいっぱい最初に「しょうがないけど……」ってやって。だからやり方はその人次第なのかなっていう。そこに自分を置きに行って。で、自分でやる人もいるし。とにかく常に何か考えて動いてる人っていうのはずっとやり続けてるっていうことなのかな?って思います。

なんかあんまりうまいところに着地してないですけど。こういうの、宇多丸さんとかサイプレス上野くんは「泥水飲んでた世代」って結構言うんですけど(笑)。でもいま、インターネットとかで本当にかっこいいものとかが広がりやすくもなったし。それでチャンスをつかめる人も増えたので、すごいいい時代になったと。すごいね、自分の憧れている人にも、その人が見て反応すればすぐアクセスできるわけだし。いい時代になったと自分は思います。はい。

主催する側も出演するがそれぞれでやり方はあって。その人たちにはその人たちのやり方があって。自分たちは自分たちのやり方を信じたりとか、やって行けばいいだけの話なのかなと思います。

<書き起こしおわり>

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