古川耕 宇多丸&ILL-BOSSTINO 生電話対談のエモさを語る

古川耕 宇多丸&ILL-BOSSTINO 生電話対談のエモさを語る アフター6ジャンクション

古川耕さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の放送の中で実現した宇多丸さんとTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOさんの生電話対談のエモさについて話していました。

(山本匠晃)さあ、水曜日ですが。まずはメール、こちらカルチャー最新レポートについて。「今週のアトロクの中でいちばん印象に残っているのは水曜日のカルチャー最新レポートに出演されたILL-BOSSTINOさんと宇多丸さんのトークです。タマフル時代などにお二人が飲み明かしたエピソードなどは聞いていましたが、実際に話されているのを聞くと一ヒップホップヘッズとしては謎の感慨と萌えが同時にやってきて大変でした」ということですね。

(コンバットREC)ねえ。すごかったですね。これ。でも、これにいちばん詳しいのは古川さんじゃないですか?

(古川耕)どうも。構成作家の古川です。そうですね。僕は結構背景を知っているので、僕も隣で異常にエモくなっていて。

(コンバットREC)両者とお付き合いがずっとあったわけですもんね?

(古川耕)そうですね。BOSS THE MCさん、ILL-BOSSTINOさんとはここ10年ぐらいはあまり会っていなかったわけですけども。取材で昔、会ったりもしていたので。両者と関わりがあるのは僕だけでしたね。当時、現場で。で、ちょっとだけなぜこの会合がエモかったのか?っていう話をすると、もう20年以上のストーリーになるんですが。RHYMESTERというグループとTHA BLUE HERBというグループがあって。THA BLUE HERBの方がグループとしてはキャリアが浅いというか、RHYMESTERよりは後から出てきたグループで。

そのRHYMESTERのみなさんが当時出ていたラジオ番組の中で、デモテープを紹介するコーナーの中で「THA BLUE HERBというすごいグループがいる!」っていうことで、そのデモテープを番組の中で紹介したりしていたんです。非常に評価していた。そして1996年に『耳ヲ貸スベキ』というシングルを出した際に、その歌詞の一節で「北の地下深く技磨くライマー」っていう歌詞が出てくるんですが。これはそのTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOさんのことを言っているんじゃないか?って言われてるぐらい、RHYMESTERとしてはすごく評価をしていたと。

RHYMESTER『耳ヲ貸スベキ』

(古川耕)ところが、1999年にTHA BLUE HERBがアルバムを出してすごく話題になっていた時に、僕が当時『blast』というヒップホップの雑誌で原稿を書いていて、そこで彼らにインタビューをした時にILL-BOSSTINOが非常に「対東京、対東京メディア」みたいなのを色濃く出していた時期でもったので。「RHYMESTERがやっているヒップホップは僕らがやっているヒップホップとは違うんだ」みたいなことを彼がインタビューで言ったんですね。

で、そこでちょっとRHYMESTERの皆さんとしては「実力を認めていたグループなのに、そんなことを言われるのは心外だ!」っていうことでちょっとギクシャクするというのが20年ぐらい前に始まっていて。

(コンバットREC)しかも結構、そういう時期が長かったんですよね。

(古川耕)そうですね。で、曲の中の歌詞でお互いにそういうことの応酬が続いたりしていたっていう時期を経て。それでだんだんとお互いに雪解けムードになっていって。それでこの水曜日にかけたTHA BLUE HERBの『TRAINING DAYS』という曲の中でどういうフレーズがスクラッチされていたかというと、さっきまさに言った『耳ヲ貸スベキ』の「北の地下深く技磨くライマー」っていうフレーズがあえてスクラッチされていたという。

THA BLUE HERB『TRAINING DAYS』

(古川耕)ということが、非常にエモいわけですね。で、もともとその確執のきっかけとなった記事を書いたのが僕でもあったということで……(笑)。

(コンバットREC)フハハハハハハッ! 「お前か!」っていう(笑)。

(古川耕)「お前か!」って(笑)。ちょっとBOSSさんとも電話で話して。「結局、君が書いた記事が原因だからね」って言われて(笑)。

(山本匠晃)発信源(笑)。

(古川耕)「ようやく、この20年分のストーリーの輪が閉じましたね」っていう話を僕もちょっとオンエアーに乗っていないところで話したんですけども。

(コンバットREC)でも、そのスタート地点にいた古川さんがこのゴールのところにもいたっていうのはいい話ですよね。これね。

(古川耕)非常に多分BOSSさんと宇多丸、そして僕が三者三様にエモかったというのがあのカルチャー最新レポートで。

(コンバットREC)僕もだから宇多丸さんと……僕、そんなヒップホップは門外漢というか明るくはないんですけども。宇多丸さんとお酒を飲んでいる時に時折、THA BLUE HERBさんの名前っていうのが出るんですよ。

(山本匠晃)どんな風に出るんですか?

(コンバットREC)それがやっぱりギスギスしている時期はギスギスしているんだなって伝わる感じでしたし、番組でもおっしゃってましたけど福岡で会ったっていう時には「ものすごい楽しかった!」ってウキウキして語っていましたし。僕もそれ、宇多丸さんから間接的に聞いてきていたんで。ちょっとこの特集はね、ラジオを聞いてこんなエモい気持ちになるの、久しぶりだなっていう感じでした。これ、本当に大河ドラマを見ているような気持ちになりましたね。20年とか22年とかのストーリーの集大成というか。でね、もう時間が経つといろんなことがお互いあったけど、こうやってラジオでね、お話ができるようになるという。「時間、すげえ!」って思いました。「時間、ありがとう!」みたいな。時間が偉大だと思いました。

(妹尾匡夫)「時間は優しい」って言うもんね。

(コンバットREC)ええ。

(古川耕)BOSSさんがね、「お互いに健康でいような」って言ったところ。あそこもなんかグッときちゃうわけですよ。

(コンバットREC)そうそうそう! グッと来ましたよね。だからこれね、普段からヒップホップが好きでRHYMESTERも宇多丸も好きだけど、タマフルとかアトロクは聞いていないっていう人もたぶんいると思うんですけども。そういう人にこそ、これを聞いてほしいなって思いますね。思うんだけど……その人たちはたぶんこの金曜の8時台は聞いてないと思うので。すごい歯がゆいので。この番組を聞いているヒップホップが好きな人たちはね、そういうところにも届くようにこれ、ぜひ拡散してほしいですね。結構歴史的な放送なんじゃないか?って思って聞いていました。

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(古川耕)この後にKREVAくんが出てきたりとかね。

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(コンバットREC)そうなんですよ!

(古川耕)で、さらにその後にはVaVaさんとin-dさんっていうさらに違う世代の方々が出て。いろんなジェネレーションが一気にできたっていうあたりもまあ、この日はとっても日本語ラップが好きな人にはエモかったっていう。

ヒップホップ尽くしの1時間半

(コンバットREC)水曜日の頭の1時間半はね、ヒップホップ特集みたいな感じですので。

(妹尾匡夫)Wikipediaに載せてもらえば?

(山本匠晃)なんて載せるんですかね?(笑)。

(コンバットREC)いや、出典がないとダメなんで。ダメです(笑)。

(妹尾匡夫)本人に取材すればいいじゃない?

(古川耕)ぜひタイムフリーで聞いていただきたいなと。

(山本匠晃)カルチャー最新レポートはラジオクラウドにならないですもんね。ですので、タイムフリーで1週間限定で聞けるということです。

<書き起こしおわり>

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