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町山智浩『愛がなんだ』を語る

町山智浩『愛がなんだ』を語る たまむすび
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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』を紹介していました。

(町山智浩)ちょっと今日はアメリカ映画を見ていないので、日本映画の話をしたくて。4月に公開されてからもう1ヶ月以上ロングランをしている映画がありまして。『愛がなんだ』というタイトルの映画を僕の知り合いとかが「よかったよ!」って言うから。で、日本に来てアメリカ映画を見るのも何ですから、日本にいる間は日本映画をマメに見るようにしているんですが。それで見たら、すごいよかったんですよ。

(赤江珠緒)よかった。へー!

(町山智浩)あんまりよかったんで、監督が名古屋の方でトークショーをやっているっていうことで追いかけていって名古屋に行ったら、「もう岐阜に行きました」っていうので岐阜まで追いかけていって。

(赤江珠緒)アハハハハハハハハハッ!

(町山智浩)岐阜でつかまえて。

(山里亮太)この映画、そこまでさせる力があるんですね!

(赤江珠緒)すごいですね、町山さんの行動力(笑)。

(町山智浩)岐阜でつかまえて、いろいろとお話をお聞きしていったんですけども。今泉力哉監督という人で。まあ僕は彼の作品をいままで見ていなかったんで「本当に申し訳ない」って謝ったんですけども。で、どういう映画かっていうとこれ、主人公は28歳の女性でOLなんですね。マーケティング会社に勤めている人で山田テルコさん。これを岸井ゆきのさんが演じています。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、彼女が好きな相手が田中マモルくんという子で成田凌さんが演じているんですよ。で、とにかく好きなんですけども、このマモルというのは非常にワガママな男で。相手の事情はお構いなしに、このテルコちゃんを電話で呼びつけるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、呼びつけて用が済むと「帰って」って。終電が終わっていても平気で外に放り出しちゃうんですよ。

(赤江珠緒)うわーっ!

(山里亮太)こんな顔していたら、そんなこともするか……。

(町山智浩)で、とにかくそういう人なのに、どんどんどんどんこの山田テルコさんは彼にハマっていくんですね。

(赤江珠緒)はー! 冷たくされても?

(町山智浩)冷たくされても。で、たとえば「俺、今日動物園行きたいからさ、行こうよ!」「会社があるのに……」「いいよ、行こう、行こう!」とかって。それで彼女は会社をクビになっちゃうんです。

(赤江珠緒)ええっ、そこまで?

(町山智浩)うん。そこまで。で、その家のものとかを彼女が部屋の中で片付けていたりすると、片付けすぎて自分のテリトリーに入られたと思ったその成田凌は「出ていって」って追い出すんです。

(赤江珠緒)うーわ、ちょっと……。

(山里亮太)ヤバい。ストレス溜まる……。

(町山智浩)で、全然連絡をしないし。で、そのいつくるかわからない連絡……もう連絡がきたらすぐに行かなきゃと思っているテルコちゃんは定職に就かないんですよ。いつでも行けるように。それで何ヶ月も待ち続けるんですよ。

(赤江珠緒)えっ、でも恋は一方通行で全然……。

(町山智浩)で、彼は絶対に「好き」とか「愛してる」とか言わないんですよ。ただ、やるだけやるんですけど。

(赤江珠緒)あれれれれれ……。

(町山智浩)でね、何ヶ月もほったらかしにされて、呼びつけられて「やったー!」って行ってみると、「この人、スミレさん」って、成田凌が自分の好きな女性を紹介してくるんですよ。ところが、そのスミレさんは全然成田凌のことが好きじゃないみたいなんですよ。

(赤江珠緒)あれっ?

(町山智浩)そうすると腹いせにテルコちゃんに「家、行ってもいい?」って家に来て。それで「やらせて」って言うんですよ。スミレさんに相手にされないもんだから、「こっちで済ますか……」みたいな感じで「やらせて」って言って。

(赤江珠緒)最悪じゃないですか……。

(町山智浩)いま、こういう話をしているところで向こう側にいたいけな学生さんたちが真剣に話を聞いてますけども(笑)。

(赤江珠緒)そうですね。フレッシュマンたちが(笑)。

(町山智浩)いきなり俺はここで「やらせて」話をしてるという(笑)。

(山里亮太)なんであと30分、早くこなかったんだよ!(笑)。

(町山智浩)教育上、ものすごくよくないですね(笑)。

(赤江珠緒)学生さんかな? そうだね。いまね、学生さんが来てくれたんだね。

(山里亮太)この世界を目指している学生さんが。

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最低男・マモル

(町山智浩)まあ、とにかくこの成田凌が最低なんですよ。でも、どんどんどんどん彼女、テルコちゃんはハマっていくんですよ。で、なにもかもを犠牲にしていくんですよ。というような話で、すっごいんですよ。これがまた、そのハマり方が。で、これ成田凌くんだから顔がいいじゃないですか。

(赤江珠緒)うんうん。

(山里亮太)めちゃくちゃかっこいいです。

(町山智浩)だからまあしょうがないなっていう気にもなるんだけど、これは原作ではそういう風には書かれていなくて。全く魅力がない顔の男として書かれているんですよ。背も低くて貧相で。

(赤江珠緒)ええっ?

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(町山智浩)だから監督に会えてよかったんですけど。その今泉力哉さんの奥さんの映画監督なんですが。「これは結局、この彼女にとって彼自身がどうであっても関係のないことで。愛だけがあるわけだから。この男は顔すら見せなくても成立する物語だね」って言っていたんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)まったく空っぽな男なんですよ。完全に空っぽなんですよ。それでも、愛だけがあるんですよ。で、だから「成田くんにしてよかった。お客さん入るから」って言っていましたけども(笑)。

(赤江珠緒)ああー、そうか!

(町山智浩)ただね、成田凌くんは本来モテるから、時々素でモテるアドリブをしちゃっているんですよ。この映画の中で。

(赤江珠緒)モテるアドリブ?

(町山智浩)モテる男しかしないアドリブをしているんですよ。

(赤江珠緒)そんなの、あります?

(町山智浩)それはご覧になって……。

(赤江珠緒)いま山ちゃん、俄然それを使おうとしていますけど……。

(町山智浩)それはだから「壁ドン」みたいなことってあるじゃないですか。女の子がキュンとしちゃうようなこと。それをアドリブでカマしてくるんですよ。この成田凌が。

(山里亮太)ああーっ、よくないよ、成田くん。それは!

(町山智浩)でもそれは完全にキャラと外れちゃっているんですよ。だから監督としてはその時は「やりやがった!」って思っているんですって。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)でも、監督自身はその「女性にモテるっていうのがあまりよくわからない」っていう風におっしゃっていて。でも成田凌は知っているから、それが自然に出てくるんですよ。モテる技を。

(赤江珠緒)はー、なるほど!

(山里亮太)出ちゃうんだ?

(町山智浩)だから監督はそれをモテないように、モテないようにやらせようとするっていう、そのせめぎあいが現場で行われたというね。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。不思議な攻防ですね(笑)。

(山里亮太)でもそのせめぎあいを乗り越えて残っちゃったものがあるんですか?

(町山智浩)残っちゃったものがあって。成田凌のそのへんがちょこっと残っているんですよ。自然モテが。

(山里亮太)へー! そこは殺していかないと……。

(町山智浩)そう。監督はそれを全部潰そうとするんだけど、成田凌の自然なモテが出てくるっていうので。そのモテ対非モテのせめぎあいが、まるでゴジラVSキングギドラのような……。

(山里亮太)なるほど……監督ぅ~! 監督、頑張れ!

(町山智浩)面白いですよ。たとえば、監督がこういうことをやるんですよ。「道を歩いている時、絶対に君は車道側を歩いちゃダメだよ。彼女を車道側に行かせなさい」って。わかるでしょう?

(赤江珠緒)うん。やっぱり、そうですね。女性を守る感じで……。

(町山智浩)そう。女の子が危なくないように男の方が車道側に立つとかね。「それは絶対にやっちゃダメだよ。この主人公の田中マモルはそういうことができない男なんだから。それをやってしまうと『成田凌』になっちゃうからダメだよ」って言ったりとか。あとは、いろんなことがありましたよ。荷物があったらすぐにその荷物を持つとか。ドアを先に開けてあげるとか、そういうモテる男が自然にやりがちなことっていうのを全部封印したんですって。

(赤江珠緒)はー!

(山里亮太)成田さんも大変だったろうね。

(町山智浩)そう。自然にモテが出ちゃうから。モテる男っていうのは考えないでそういうのが出る。

(赤江珠緒)無意識に。

(山里亮太)細胞がモテる行動をさせる? かぁーーっ!

(町山智浩)そう!

(赤江珠緒)フフフ、ちょっと待って! この2人、いま……(笑)。

(町山智浩)そこまで刻み込まなきゃダメ。

(山里亮太)なるほどなー!

(赤江珠緒)この意気投合している2人(笑)。……2人は出ないんかい? そういうの、自然に。

(町山智浩)えっ? だから「非モテアドバイザー」として参加してもいいですけども。

(山里亮太)そう! お菓子、食べるか?

(赤江珠緒)いま、いらないわよ! しゃべる時に!(笑)。

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超都合のいい女・テルコ

(町山智浩)で、またこのテルコちゃんは超都合のいい女なんですけども。ただ、この話ってもうとにかく徹底的にそういった変な恋愛をつきつめていく物語になっていくんですけど。じゃあ、なんで俺がね、この映画ですごくジンと来たのかっていうと、さっき言ったみたいに恋愛を超えていくところがこの映画にはあるんですよ。恋愛そのものを超えていくところがあるんです。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、これはタイトルが『愛がなんだ』っていうタイトルなんですけども、これはセリフの中で彼女がそういうことを叫ぶんですよ。で、それはもう1人の男の子がいて。ナカハラくんっていう男の子なんですよ。やっぱり報われないのにある女性に愛を捧げ続けている男の子が出てくるんですけども。その子が、とうとう「もう疲れた。いくら愛しても彼女は僕の方を振り向いてくれないから、もうこれ以上は耐えられません。もうやめます」って言うんですよ。そうすると、このテルちゃんはキレるんですよ。「なんだ、おめえ? 見返りを求めているのかよ?」って言うんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ?

(町山智浩)「でも、愛されないから」「愛がなんだってんだよ?」っていう風に彼女、テルちゃんが言うんですよ。

(赤江珠緒)急にかっこいい! テルちゃんが。いままで全部翻弄されていたのに。

(町山智浩)そうなんですよ。「恋とか、なんだってんだよ?」って言うんですよ。でも、すごく変じゃないですか。で、途中でこういうセリフも出てくるんですよ。これ、原作にもあるんですけども。でもよく考えるとこの成田凌が演じる男はね、好きになる要素がまるでない。なにひとつない。だからそこを成立させるためには、成田くんをちょっと特徴のない男にすれば、それが成立しちゃうんですけども。でもみんな、「顔があるじゃん」っていう風に思っちゃうんだけど、それはしょうがないですよ。成田凌をキャスティングした問題なんですよね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)でも、実際にはないと思って見なければならないんですよ。たぶんこの成田凌がきれいに見えるのは、「テルちゃんの目から見ると成田凌に見えている」っていうことなんですよ。

(赤江珠緒)なるほどね。

(町山智浩)でもたぶん、実際には成田凌じゃないんですよ。客観的な目があったら。

(赤江珠緒)恋のフィルターがかかって成田凌さんに見えているっていう。

(町山智浩)たぶん、そういうことなんだと思います。でも、そうすると客観的に考えると、この男はいいところがひとつもない。

(赤江珠緒)才能もない?

(町山智浩)才能もない。性格も悪い。顔も悪い。なにもないんだっていう。それでちゃんと原作には「なんとアホな甘えた男だろう」とまでテルちゃんが言うんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)それで、こう言うんですよ。「これは愛じゃない。恋でもない。でも私は彼にこだわり続けている。この執着はいったいなんだろう?」って問いかけるんですよ。もうすでに、愛ではないんですよ。これは、なんだと思いますか?

(赤江珠緒)なんだろう、それ? それは、すごいな。

(山里亮太)その誰かを追いかけている自分が結局、その自分のことを好いている状態だ、みたいな?

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町山智浩のラストの解釈

(町山智浩)あのね、ここから先は監督が答えを出していないんですよ。で、この原作はそうやって問いかけているところで終わってしまっているんですけども、監督はその後に原作にないシーンをひとつ、入れています。それに関しては解釈はいくらでもあるんですよ。だからみんなが解釈すればいいので。僕が解釈したのは――これは監督の意図ではないですけども――僕自身の解釈はまさに、山ちゃんが言ったことなんですよ。

(山里亮太)えっ、あたし、一緒だった?

(赤江珠緒)執着している自分?

(町山智浩)執着している自分。愛している自分。そのためにすべてを捧げて生きている自分が……「生きてる」感があるんですよ。というのは、この原作者の角田光代さんの前の作品で『紙の月』ってあったじゃないですか。

(赤江珠緒)うんうん。宮沢りえさんで映画化された。

(町山智浩)あれは何もなかった、つまらない人生を送ってきた銀行員の宮沢りえさんがチャラい男のためにすべてを貢いでいって、犯罪までおかしてしまう。それで、見れば見るほど……あれも池松壮亮くんだったから、すごく見た目がいいからわかるんだけど。あれもだから原作では空っぽな男なんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)だから、相手はなんでもいいんです。それこそ穴でもいいんですよ。お金を入れられれば。

(赤江珠緒)そうかー!

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『紙の月』

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(町山智浩)だから『紙の月』っていうタイトルはそういうことなんですよ。ペラッペラの紙の月なんですよ。中身のなにもない。でも、そこになにもかもを捧げていくことによってはじめて主人公は「私は生きている!」っていう感覚をつかめたんですよ。何もなかった人生に。で、この話のテルちゃんっていうのも、これは監督に聞いたんですけども、全く趣味のない女性として描いていて。部屋は空っぽなんですよ。その彼女がはじめて入れ込める対象を見つけたんです。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、こう言うんですよ。「彼を好きになってはじめて私の世界はきれいに2つに分けて見えるようになった。それは好きなものとどうでもいいものの2つに分かれて見えるようになった」っていう風に言うんですよ。で、結局世界ってさ、なにがいい/悪い、どれを捨てる/捨てないっていうのはわからないじゃないですか。全てがごちゃごちゃにあって。これを全部受け入れることは不可能なんですよ。

だからなにか、コンパスが必要なんですよ。なにがよくて、なにが悪いか。そうしないと生きられないですよ。でも、それをなにかが好きになるとサッと世界が2つに分かれて見える。「私はこれが好き。ということは、これは私は嫌いなんだ」「私はこれが好きだから、これは私にとって関係ないんだ」っていうことが明確に見えてくるんですよ。なにかを好きになると。

(赤江珠緒)ああーっ! もう好きなものが北極星みたいに。そこをちゃんと軸にして。

(町山智浩)そう! なにもない大海原で目指すべき星が見えるんですよ。だから、それは捨てられないんですよ。

(赤江珠緒)はー! そういうことか。

(町山智浩)どうして生きていいのか、わからなくなっちゃうんですよ。空っぽなもの。ただの星ですよ。永遠に届かない。星っていうのは見えるけど、届かないもの。でもそれがあることによって、よくわからない、どこに行ったらいいのかわからない大海原を航海することができる。生きることができる。もし星がなければ、どこに行ったらいいのかもわからないんですよ。でも、その星は星でしかなくて、幻なんですよ。

(赤江珠緒)そうか。だから他の人から見たら、その恋とかも「なんで?」っていうことでも。

(町山智浩)周りからは「なんで?」って言われているんですよ。だから『紙の月』なんですよ。そうするとこれは「好き」っていうのは恋愛と関係ないんですよね。趣味でもいいんですよ。人によってはそれがAKBだったりアニメだったりゴジラだったり鉄道だったりK-POPだったりするけど、でもそれを掴んだ時に本当に「あっ、俺、生きてる!」っていう気持ちになるでしょう?

(赤江珠緒)それはなりますね。それはそうだ。

(町山智浩)「あっ、目の前にやりたいことがある!」っていう。そこなんだと思いますよ。そう考えると、恋愛とか趣味とかは関係なしに、なにかを好きになるということはものすごいことなんだなって思うんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですね。好きになる前となった後では、全く違うものになるっていうことですよね。

(町山智浩)そう。世界の見え方が違うんですよ。だから宗教と近いんですよね。宗教に目覚めると急に世界が見えてくるっていうのと本当に近いんですよ。というところまで、僕は勝手に考えたんですよ。

(山里亮太)ああ、監督は投げかけているんですね。

(町山智浩)監督が投げかけているんで、キャッチボール。ボールを投げたよっていう。で、そのボールが投げられた作品っていうのはいい作品なんですよね。

(赤江珠緒)だからこの映画を見た方はみんななんかね、見た人と語り合いたくなるっていう。すごく。

(町山智浩)そうなんですよ。「私はこういうボールをキャッチしたよ」「私はこういうボールを」って、みんなそれは違うんですよ。

(赤江珠緒)で、「私は見ていない」って言っているのに、見たスタッフはガンガン語りかけてきたりして(笑)。

(山里亮太)またね、非モテ代表みたいなミフネくんが(笑)。

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『桐島、部活やめるってよ』

(町山智浩)だからね、『桐島、部活やめるってよ』もそういう話でしたね。あれもだから東出くんがスポーツ万能、成績優秀、顔もいい、背も高いモテモテで女の子をよりどりみどり。セックスもしている。でも、なんか虚しいんですよ。なんでこんなに虚しいのか、わからない。で、そこに映画オタクの神木隆之介くんが現れる。ゾンビ映画を撮って、映画秘宝を読んで、もう嬉しくてしょうがないみたいな。そこに東出くんが「なんでそんなことやっているの? それでお金持ちになりたいとか、モテたいとかあるの?」って聞いたら、神木くんが「えっ? 映画、好きだから」って言うと東出くんが「負けた!」っていう顔でもう泣きそうになるんですよ。

(赤江珠緒)そうかー!

(町山智浩)「好きっていうやつか! これが好きっていう力か!」っていう。

(赤江珠緒)そういうことだ! 人生のポーラースターを見つけている人なんだってことだ。

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(山里亮太)いやー、これは外の学生の子たち、最終的にいい話、聞いたでしょう? 最初はどうかと思ったけど。見てくださいよ、キラキラした目になっていますよ。町山さん、よかった!

(町山智浩)それが見つかった時、本当に人生は目の前に道がブワーッと開けていく感じでね。僕はそういう風に見えたんですよ。いちばんのラストシーンが。でも、そうではないかもしれない。それが間違った道かもしれない。そうすると、これは恋愛とは違って終わりがないから。彼女自身の生き方っていうことでアイデンティティーとしてこれをやっちゃっているから。間違った宗教を信じちゃうと、そうですよね? そうすると、それは底なし沼ですよ。間違った宗教を信じてそうなっている人、いっぱいいますよね。あとは間違った男を好きになっちゃって、どんどん堕ちていく人もいる。間違った趣味をしちゃう人もいる。だからそれはわからないんだけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だからそれはわからないんだけども。それは人それぞれだと思うんですよ。ただ、最後に出てくるシーンっていうのは監督がパッと思いついたところっていうのは、いい風に解釈をすると僕は彼女自身がこのくだらない恋愛を通して自分自身にたどり着く道を見つけたのかなって。で、なにかを好きになるっていうことはその中に自分が求めている自分自身がないと好きにならないんですよ。なにかを好きになるということは、たぶんその中に自分のなりたい自分がどこかにあるんですよ。

(赤江珠緒)そうか。

(町山智浩)で、それがなんだろう?っていうことになると、「ああ、俺が(私が)行くべきところはここなんだ」っていうことがわかってくるんですよ。

(赤江珠緒)じゃあ、好きも突き詰めなきゃいけないんですね。

(町山智浩)突き詰めた方がいいと思います。「なんでこれが好きなんだろう」って。で、その彼・マモルくん、いいところがひとつもないんですね。成田凌、ひとつもいいところがねえんだ(笑)。

(赤江珠緒)フフフ、いや、「成田凌くんの役」だからね(笑)。

(町山智浩)ただ映画の中で1ヶ所だけ、「こいつ、いいやつかも?」って思わせる瞬間があって。それをラストで拾うんですよ。という映画が……。

(赤江珠緒)へー! これはたしかに見たくなるな。

(山里亮太)まだ見れるんですよね?

(赤江珠緒)見られる劇場が増えてきているということで。6月5日(木)までのところもあるんですけども。『愛がなんだ』で検索をしてみてください。

(町山智浩)僕は彼がキャッチボールで投げてきたボールを全然関係ないところに投げいるかもしれないですけども。

(山里亮太)その球をどう受けて、どう投げるか。

(町山智浩)そう。みんな違う受け方をすると思います。

(赤江珠緒)どういう風に感じるかっていうのは楽しみですね。はい。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>

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