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松尾潔 Beyonce『Before I Let Go』を語る

渡辺志保 Beyonce『Homecoming』徹底解説 松尾潔のメロウな夜
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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でビヨンセがメイズ feat. フランキー・ビヴァリーをカバーした『Before I Let Go』を紹介していました。

(松尾潔)さて、続きましてはそのマーヴィン・ゲイの導きによってメジャーデビューを果たしたと言われております、フランキー・ビヴァリー率いるメイズの『Before I Let Go』という曲をお届けしております。

このメイズ feat. フランキー・ビヴァリーという、あえて「バンド」と申し上げますが。生演奏にこだわったバンド形態ですね。もういまではR&Bシーンでは数えるほどになりました。ミント・コンディションとかトニ・トニ・トニとか、ギリギリまで頑張っていた、頑張っている人たちというのももちろんいますけれどもね。いまでは形態として、どうしても大所帯というのはね、いろんな意味でコストがかかるので維持しづらいというところがあるかと思いますが。

1993年のアルバムを最後にアルバム作品のリリースというのは途絶えているメイズなんですが。その存在感というのはそれから四半世紀以上たったいまも衰え知らずでございます。この番組で度々お話してまいりました、90年代半ばからニューオリンズで毎年夏に開催されているエッセンス・ミュージック・フェスティバル。いまはエッセンス・フェスティバルっていう風に言いますけども。そこで、そうですね。初年度から10数年ずっと、その大トリを飾ってきたのがこのメイズでございます。

まあフランキー・ビヴァリーっていうのはフィラデルフィア出身でして。LAでメイズの活動を展開しているという。直接ニューオリンズのご当地バンドではないんですが、この場所で愛されるっていう理由がありましてね。『Live in New Orleans』っていうソウルとかR&Bの世界に浸ってきた人であれば、もう避けて通ることができないライブアルバムをものにしてますし。

しかも、ニューオリンズに縁のあるビヨンセがこのメイズ feat. フランキー・ビヴァリーの『Before I Let Go』をカバーしたことで最近、話題になっていますね。ビヨンセ以前にもメアリー・J.ブライジがちょうど10年前ですね。2009年にこの曲をカバーしたことがありました。

その時、もうメイズはレコーディングキャリアをお休みして久しかったんですけども、そのメアリー・Jだとかジョーだとかミュージック・ソウルチャイルドとか。いろんな人たちが集ってトリビュート・アルバムを作ったことありました。その時に『Before I Let Go』がちょっと話題になりましたけども。今日この番組では初めてご紹介します。聞いてください。ビヨンセによるメイズ feat. フランキー・ビヴァリーのカバーで『Before I Let Go』。

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Beyonce『Before I Let Go』


(松尾潔)先月、突然前触れもなくリリースされたライブアルバム『Homecoming』、大変話題になっておりますけども。その中に最後にボーナスのような形で収められているのがこの『Before I Let Go』ですね。ご存知の方も多いかと思いますけれども、昨年のアメリカの音楽フェス、コーチェラにビヨンセが出演して。その時にまあ、本当にそれこそR&Bの歴史に残るような素晴らしいパフォーマンスを見せました。

それが映画作品としてネットフリックスで独占公開されて、そのサントラとしてリリースされたのが『Homecoming』なんですね。まあライブに『Homecoming』っていう名前が付けられていましたが。で、そこに『Before I Let Go』をスッと忍び込ませる。ビヨンセといえばニューオリンズに縁のあるサザン・ガールですが。そのビヨンセがこの『Before I Let Go』を歌うというのはちょっと、このフランキー・ビヴァリーとニューオリンズとビヨンセを繋ぐ線を知ってる人からすると、たまりませんし。

あと、やっぱりビヨンセってこういう時、押さえるところを押さえるよね!って。やっぱりいまの女王ってこの人なんだなと思います。まあコーチェラっていうのはね、特にR&Bに特化したフェスではないですよ。もちろん。もういまのアメリカのポップミュージック、イケてるポップミュージック……ロック、R&B、ヒップホップ。まあそこにとどまりませんね。今年は日本からPerfumeが出演を果たしたっていうことも話題になっていましたが。

世界でいま、最も勢いのある音楽のフェスティバルと言ってもいいかもしれませんが。その中でも、アフリカ系アメリカ人の女性がヘッドライナーを務めたのはいまのところ、ビヨンセだけですし。実際、史上ナンバーワンのパフォーマンスという人も多い、そのパフォーマンスを収めたライブアルバムに……たしかこれ、ライブではやらなかったのかな? ボーナスという形でスッと忍ばせたビヨンセ。これ、いまシングルとしてさほどというか、まあ当然のように……ビヨンセの曲としてはあんまりヒットしていないんですよ。これ。

それも分かった上でビヨンセはやってるんですよね。なぜなら、そのライブの最後も『Love On Top』っていう曲をやったんですが。

『メロ夜』ではもう本当にお馴染みの『Love On Top』。この曲はビヨンセの何曲もあるR&Bナンバーワンヒットのひとつですが、全米チャートのね、いわゆるナショナルチャートの方ではトップ10にも入ってないんです。つまり、もういま世界のビヨンセだけども、そのビヨンセの音楽世界の中ではやはりR&Bビヨンセとポップビヨンセみたいなのが……まあ平たく言うとあって。その最たる曲が『Love On Top』です。

で、さらにそれに付け加える形でこの『Before I Let Go』を忍び込ませるっていう。それでこそ、このライブアルバム。あと、ライブ自体のタイトルである『Homecoming』っていうね。「帰郷」ですよね。そこが成立するわけで。もうビヨンセのそのルーツを見失わない、足元ずっとキチッと見ながら派手なことをやってるというところがここに集約されてますよね。

で、もっとさかのぼりますと、このメイズ feat. フランキー・ビヴァリーのオリジナルの『Before I Let Go』も、思い起こせばこれはメイズの『Live in New Orleans』というさっきもお話したように名ライブアルバムにボーナストラックとして納められていたスタジオ録音曲でした。ライブアルバムの中に収められていたスタジオ曲だった『Before I Let Go』をビヨンセはまたそのフォーマットも受け継ぐ形でカバーしたんですね。

おそらくここまでその構造的なところが分かってないと、このビヨンセが『Before I Let Go』をカバーした意図は伝わらないかと思って、もうくどいぐらいにお話してるんですが。おそらく、こんなくどい説明が日本語でラジオの電波に乗ることはあんまりないかと思いますので(笑)。最初で最後なのでみなさんキチッと、今夜これを覚えてお休みになっていただければと思いますが(笑)。

さて、そのビヨンセの『Before I Let Go』、これ面白い仕掛けがありまして。曲の途中でバックトラックが懐かしきキャメオの『Candy』に変わるんですね。

ですから、ソング・ライティングのクレジットを見るとこのビヨンセ版の『Before I Let Go』っていうのはフランキー・ビヴァリーとキャメオのラリー・ブラックモンの名前が並んでるっていう、もうとんでもないことになっています。70年代、80年代のファンク、R&Bが好きな人にはたまらないダブルネームになっております。

<書き起こしおわり>

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