高橋芳朗と渡辺志保 2019年・注目音楽トピックスを語る

高橋芳朗と渡辺志保 2019年・注目音楽トピックスを語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

高橋芳朗さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』に出演。渡辺志保さんと2019年の注目音楽トピックスについて話していました。

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(渡辺志保)という感じで、話は尽きないんですけれども。せっかくなので高橋芳朗さんがいまの洋楽シーン、いまのポップスシーンで面白いなと思っているムーブメントとか、この人の動きはちょっとレアだなって思うようなアーティストがいれば、ぜひともここで紹介していただいて、曲も聞かせていただきたいなと思っているのですが。

(高橋芳朗)そうですねー。面白いアーティストで言うと、もうコーチェラの3人のヘッドライナーはみんな……コーチェラってアメリカの巨大フェスティバル。あの3組は非常に注目してます。アリアナ・グランデ、オーストラリアのサイケロックバンドのテーム・インパラ、ラッパーであり俳優でもあるチャイルディッシュ・ガンビーノ。だからやっぱりいいキャスティングしますね!っていう感じかな。

(渡辺志保)本当ですよね。で、アリアナちゃんはもともとカニエの予定だったのが、カニエがワガママを言って……って。

(高橋芳朗)そうね。でも結果的にアリアナにしてよかったんじゃないかな?って。

(渡辺志保)よかったと思います。かつ、去年は女性アーティストのヘッドライナーといえば、あのビヨンセがあそこまでのステージを作り上げましたから。だからアリアナもいい意味でね、そういうちょっとイグニッションっていうか、火がついていてるというかね。「これは忘れられないステージにしてやるぞ!」という意気込みもすごいんじゃないかな?って勝手に思っていて。

(高橋芳朗)ちょうどいい流れで来ていますよね。ただ、本当にね、新しいアルバム『thank u, next』。まあ、どこに光を当てるかによって聞こえ方が違うと思うんですけど。僕は割とちょっと彼女の精神状態が心配になってしまったというか。

(渡辺志保)そう。だから『thank u, next』についても私とヨシさんで……。

(高橋芳朗)見解が違うよね。原稿を見ていて、なんとなくそう思って。

(渡辺志保)そう。ユニバーサルさんの公式のサイトでそれぞれからの『thank u, next』論っていう原稿が載っていますけども。

アリアナ・グランデ『thank u, next』に対する見解

(渡辺志保)やっぱりヨシさんの見方と私の見方では……。

(高橋芳朗)もう娘を見るような……(笑)。「大丈夫ですか?」っていうね。

(渡辺志保)逆に私としてはね、ちょっとラッパー的なアティテュードっていうか。曲の出し方にしても。それが「もっといけ! ガンガンいけ! なにも気にせずにどんどん行け!」っていうような感じになりますけどもね。

(高橋芳朗)まあ『7 rings』なんかはね、完全にヒップホップアティテュードっていうか。2チェインズとの絡み方とかも含めてね。

(渡辺志保)ありましたけども。彼女ほどドラマティックなね、いろんなことを……酸いも甘いもというか、いろんなドラマを経験していますから。

(高橋芳朗)この後、どう展開していくのかな?っていうのが、ちょっと。

(渡辺志保)しかもまだ若いですからね。

(高橋芳朗)あと、テーム・インパラはそうだな。もうここ10年ぐらいって、どんどんそのジャンルの垣根がなくなってきてるじゃないですか。そういうシーンを象徴するバンドのひとつかなと思っていて。

(渡辺志保)だって本当にヒップホップアーティストとの絡みも多いしね。エイサップ・ロッキーとか。

(高橋芳朗)ケンドリック・ラマー、エイサップ・ロッキー、トラヴィス・スコットともやっているじゃないですか。で、新しい曲も、あれはハウスフィールっていうか。ハウス・ミュージックっぽい感じの多幸感のある、そういうクラブ対応も可能な曲を出してきたから。

(渡辺志保)ええ、ええ。

(高橋芳朗)この後、どういうアルバムを出してくるのかな?っていうのが楽しみですね。

(渡辺志保)チャイルディッシュ・ガンビーノはもう言わずもがなという感じですかね。

(高橋芳朗)しかも、彼の場合はコーチェラに合わせて作品じゃなくてリアーナとの映画をストリーム公開するっていうね。

(渡辺志保)アマゾンプライムでね。

(高橋芳朗)またちょっと面白い試みをやってきたなって。

(渡辺志保)規模が違うから。本当に!

(高橋芳朗)ねえ! しかも、ホラー? スリラーみたいな映画なんでしょう?

(渡辺志保)ちょっとトリッキーな感じみたいですね。だからそれこそジョーダン・ピールも『Us』を公開したばっかりだから。そういうブラックホラーみたいなのがもしかしたら流行るのかな? とかも思ったりしています。

(高橋芳朗)あとね、面白いムーブメントって言っていいのかわかんないですけど。去年だと『ブラックパンサー』とか『スパイダーバース』とか、ヒップホップリスナーとしては本当に「待っていました!」「ありがとうございます!」っていう。

(渡辺志保)こんな展開を待っていたぜ! みたいな。

ヒップホップ・R&Bがメインストリームになった時代の作品たち

(高橋芳朗)こんな時代が本当にやっと来たんだ!って嬉しくなるような映画がバンバン公開されているじゃないですか。で、2年ぐらい前からアメリカの音楽の売り上げがロック・ポップスを抜いてヒップホップ、R&Bが1位になった。アメリカのメインストリームをヒップホップ、R&Bが制圧したわけじゃないですか。そういう時代になって、その映画をはじめとするポップカルチャーがどんどんまた変わってくるんじゃないかな?って思って。面白い作品がバンバン出てきてるから。それが楽しみ。

(渡辺志保)ですよね。DJ YANATAKEさんも『スパイダーバース』、すごい絶賛してらっしゃって。あの映画も多様性というところをテーマにしてるから、それをつなぎ合わせるためのエッセンスがヒップホップなんだっていうところが特に嬉しいという風におっしゃっていて。

(高橋芳朗)もう映画が始まって最初から、もうリズムがヒップホップじゃん?

(渡辺志保)ああ、そうね。もちろんサウンドトラックは言わずもがなっていう感じですけども。

(高橋芳朗)主人公のマイルス少年の部屋にチャンス・ザ・ラッパーのポスターが貼ってあったり。おじさんはビギーを聞いていたりとかさ。最高! みたいな。

(渡辺志保)しかもそれが当たり前のことのように、特に説明を要するポイントではなくて。それが前提としてストーリーが進んでいくっていうのがまたいいですよね。

(高橋芳朗)ただ、逆に思ったのはもう、こっちの感覚としては90年代の半ばとか、バッドボーイエンターテイメントとかTLCの全盛期ぐらいにはもうアメリカはそういう状況だったんじゃないの?っていう気もあったの。それから20年ぐらいの時間を経て、やっとこういう状態になってんのかと思うと、まだまだいろいろと時間がかかるのかな?っていう気もしちゃう。

(渡辺志保)そうね。日本はあと40年ぐらいかかっちゃうのかしら? やだわ!(笑)。生きてるかしら? みたいな(笑)。

(高橋芳朗)ねえ。88risingとかもがんばってほしいですね。そういった意味では。

(渡辺志保)本当に話は尽きないので、またヨシさん、ぜひ来てください。

(高橋芳朗)フフフ、よろしくお願いします。

(渡辺志保)ちなみに今日はたまたまなんですけど赤坂のスタジオでこのトークを収録しているところでして。私もどの局で話しているのかわからないようなテンションではあるんですけど。最後にちょっともう1曲、いいですか?

(高橋芳朗)さっき話したそのジャンルの垣根がもう消滅しつつあるみたいないまの音楽シーンの状況を象徴する曲として選んでみました。ヴァンパイア・ウィークエンド。ブルックリンのインディー・ロックバンドのこれから出るアルバムからのリードトラックで『Sunflower』。フィーチャリングがスティーヴ・レイシー。

(渡辺志保)スティーヴ・レイシーなんですね!

(高橋芳朗)ここでこのジ・インターネットのスティーヴ・レイシーを起用してくるセンスとかもいいな!っていうね。

(渡辺志保)しかもスティーヴ・レイシーといえば、もう最年少メンバーでケンドリック・ラマーのアルバム『DAMN.』でもプロデューサーとして参加していたっていう。

(高橋芳朗)iPhoneで曲をつくっちゃう人ですからね。天才ですよ。で、ヴァンパイア・ウィークエンドのアルバムもDJ Dahiとかも参加しているみたいなんで。

(渡辺志保)そうなんだ。じゃあ本当にサウンド的にもヒップホップ的なアプローチが? へー!

(高橋芳朗)ねえ。いまのシーンを象徴する曲として、この曲を選んでみましたので。じゃあ、聞いてください。ヴァンパイア・ウィークエンド『Sunflower ft. Steve Lacy』。

Vampire Weekend『Sunflower ft. Steve Lacy』

<書き起こしおわり>

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