ダースレイダーとプチ鹿島 電気グルーヴ作品回収撤回署名活動を語る

ダースレイダーとプチ鹿島 電気グルーヴ作品回収撤回署名活動を語る YBSキックス

(プチ鹿島)あとね、ダースさんのブログに書かれていてすごく共感したのが「神経症」っていう言葉が出てきてね。「今の社会を見ればわかりますよね?神経症の症状です。マスコミも人々の反応も明らかに。」っていう。

(プチ鹿島)で、この言葉で僕が思い出したのは、10年ぐらい前ですかね? 『崖の上のポニョ』っていう宮崎駿監督の作品。あの時に宮崎監督が、たしかパンフで「神経症と不安の時代に立ち向かう」っていう。そういうキャッチコピーなんですよね。

(ダースレイダー)うん。さすが予言者ですよね。

(プチ鹿島)それで「生まれてきてよかった」っていう。だから「こんな時代でこんなにギスギスしてるけど、生まれてきてよかった」っていう。それで言うと、ダースさんが後半の部分で言ってたこと。「ちなみに石野卓球さんの一連のツイート。神経症から回復するのに最も大切なもの、友達論として非常に優れています。そして瀧さんはあんな友達がいて、本当に良かったな~と思います。」っていう。ねえ。

(ダースレイダー)瀧さん、うらまやしいと思いますよ。ああ、めちゃめちゃ仲がいい人がいるんだな!っていう。

(プチ鹿島)そうそう。そこをすごく感じましたね。

(ダースレイダー)うんうん。仲のいい人がいれば、神経症にならずに済むと思いますよ。なんかカリカリしても「まあ、落ち着けよ。じゃあ、飲みに行くか? メシでも食おうよ」って言ってくれる友達がいるだけでそのカリカリが少し収まったりするから。

(プチ鹿島)なんだったら、ダースさんも言っていたけど、「社会の外側にだって一緒に行けるよ」っていう。そういうの、ありますよね。何なんですかね? この法律の……もちろん僕、法律に関しては当然守って当たり前だけど。1人の人間として「みんな、守るだろう」っていう期待もあれば、「まあ誰か、破るやつもいるだろうな」っていう予想も半々で僕は持っておくべきだと思うんですよね。そうしないと、誰かが破った時に一斉に「あっ、破った! 破った!」で袋叩きにしちゃう。そんな……もっと達観していてもいいんじゃないとも僕は思うんですけども。

(ダースレイダー)そうですね。ビクビクしている感じですもんね。「誰か破るやつが出ないかな?」っていうのもあると思うし。で、当然法律って秩序のためにあるんで、みんなが守る前提なんですけども。でも同時に、やっぱり法律って国会とかで議論して変えるじゃないですか。

なんで法律を変えるのか?っていうと、それはやっぱり時代時代に合わせて変えていかないとダメなものだから。法律は固いもので、でもみんなの生活とかは柔らかいものだから、ピタッとははまらないんですよね。だからグニョッと出てくる部分があるということは、少なくともわかっておいて。「ああ、あいつは出ちゃったんだな」みたいなところも……。

(プチ鹿島)あと、いま一緒にやっている海野アナウンサーって、実は宗教家なんですよ。お坊さんなんです。

(海野紀恵)お坊さんでして(笑)。

(ダースレイダー)ああ、そうなんですか?

(プチ鹿島)実家が。でね、ダースさんが言っていた芸能とか宗教のの役割って、ちょっと外れたもので、非日常的なものだっていう。そこにすごい共感したって。

芸能や宗教の役割

(海野紀恵)そうなんです。ブログを読ませていただきまして。そもそもお祭りとか歌とか詩とか、そういう芸能っていうものの役割をダースさんがブログで書かれていて。そこにあったのが、「僕らみたいな音楽、あるいは著作、絵画でも詩でも。社会の幅の拡大、あるいは社会の外側への感度を保つのが存在意義だと思います。」っていう。

(プチ鹿島)だからいま、むしろそれが必要ですよね?

(海野紀恵)ねえ。そこに私は……。

(ダースレイダー)あの、抜け穴みたいなもので。絵を見るとかでもいいんですけど。ふと、その時に「ああ、ここから向こう側があるんだな」って感じる。それは彫刻とかでもいいし、映画でも漫画でもいいんですけど。なんか「ああ、そうか。ここじゃないところにちゃんと外側があるな」って感じさせてくれるきっかけっていうのが……まあ、音楽とかは特にそうなんですけども。で、やっぱり法律を守って、ルールをみんなで守って。左側通行とか、赤信号は渡らないとか全部守って生きていくっていうのは、実はみんな結構無理をしているわけで。だからストレスがたまっていくんですけども。

(プチ鹿島)そうそう。それで「俺はルールを守っているのに、お前は破ってズルい!」っていう、そういう感情もあるんだろうけどさ。

(ダースレイダー)だからやよい軒っていうチェーン店で……。

(プチ鹿島)そう。まさにその話をしようと思った。同じですよね。やよい軒もね。

(ダースレイダー)そうなんですよ。ご飯のおかわりが自由なお店で、「食べたい人は好きなだけ食べなよ」っていうスタンスだったのが、ご飯をおかわりしない人からのクレームで「同じ金を払っているのに!」っていう。

(プチ鹿島)「(自分はおかわりしないのに)ズルい!」って。

(ダースレイダー)「あいつだけなんでいっぱい食ってるんだ?」みたいな(笑)。

(プチ鹿島)普通だったらやよい軒、「いや、それはうちのサービスですから」って一笑に付すのがいままでの僕らの考えていたものなんだけども。それを一笑に付せなくなってしまったっていう。自主規制というか、過剰なクレーム対応というか。

(ダースレイダー)感覚で言うと、街の定食屋さんに行って仲のいいおばちゃんが「ああ、あんた。お腹空いているんだったらちょっと多めにしておくわね」みたいな感覚だと思うんですけども。

(プチ鹿島)そう。学生街のね。

(ダースレイダー)それで「じゃあ、50円多く取れ!」みたいな話って、なにを言ってんの? みたいな感覚なんですけども。でも、それはみんな無理をしてるからそうなっちゃうわけで。1回、そういうカリカリしてるみんな、落ち着こう。弾けようぜ!っていうのがお祭りで。その時には無礼講っていうことで、肩書とか先輩とか、そういうものはなしにして一緒に和なって「イエーイ!」って踊って。それで終わった後に片付けする時にまたその日常生活に戻っていくっていう。これって結構、みんな頭いいというか、人間の頭のよさ、知恵で。「俺ら、無理してるから何か1回リセットするものが必要だよね」っていう。それがわかっていたからそういう装置を作っていたんだと思うんですよね。

「終わりのない学級会」(菊地成孔)

(プチ鹿島)だから菊地成孔さんが「終わりのない学級会」っていう風にSNS社会をすごく端的に捉えたことをおっしゃっていましたけども。ずーっと学級会をやってますよね? で、しかもその意見が正しいかどうかも分からないっていう。

(ダースレイダー)「○○くんが○○しましたー!」みたいなのをずっと言い合っているっていう。終了のチャイムとか鳴ればいいんですけどね。

(プチ鹿島)なるほどね。ありがとうございました。ダースさん。せっかくですから、ちょっと告知、なにかあれば。

(ダースレイダー)はいはい。実は僕、脳梗塞っていう病気で入院しまして。その後遺症で左目が見えなくて、いま眼帯とかをしているんですけども。それでその入院の時の日記をもとにした闘病記っていうのを書きまして。4月29日に発売するんですけども。

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(プチ鹿島)これ、10連休にぴったりじゃないですか!

(ダースレイダー)でもね、連休の最初の1日の2時間で読み終わると思うんで(笑)。

(プチ鹿島)「2時間で読み終わる」(笑)。

(ダースレイダー)サクッと読めちゃうと思うんですけども。タイトルが『ダースレイダー自伝 NO拘束』っていう。

(プチ鹿島)もう、そんなタイトルつけるの、ダースさんか石原慎太郎かどっちかですよ。『NOと言える日本』みたいな(笑)。

(ダースレイダー)石原慎太郎さん、この間しゃべっているところを見たら、すごいしっかりしてて。「あれ? この間、ボヤッとしていたのはなんだったんだ?」って。

(プチ鹿島)ねえ。小池百合子に都議会で詰められた時に。あれ、演技だったんじゃねえか?っていう。

(ダースレイダー)そう。もう巧妙な役者ですよ。役者は弟だと思っていたら、兄貴もだいぶ役者なんですね(笑)。

(プチ鹿島)そしたら今度は石原軍団が解散みたいな。よくわかんない流れになっていますけども(笑)。

(ダースレイダー)よくわからないですよね(笑)。元気になっちゃったみたいな。まあ、そんな病んでいる人も元気になるというか、ド派手な病人もいるぞ!っていう闘病記が出ますので。

(プチ鹿島)僕は本当にね、ダースさんといろいろと番組ご一緒して、これからもどんどんとつるんで行きたいんですよ。本当に面白いし、刺激があってね。今日もすいません。わざわざ。

(海野紀恵)ありがとうございます。

(ダースレイダー)僕は「鹿島さんがいれば大丈夫」って思っていますから。

(プチ鹿島)そう。大丈夫。なにが大丈夫かはわからないけど(笑)。

(ダースレイダー)いやいや、もう新聞を読まなくても大丈夫っていう(笑)。しっかり読んでくれている人がいるっていう(笑)。鹿島さんに聞けば新聞のことは全部わかると思っています(笑)。

(プチ鹿島)わかりました。お互いに褒めあって終わりにしましょうか。

(ダースレイダー)もうそういう気持ち悪い展開で(笑)。電気グルーヴの見習って、これが友情論だ!っていうね。

(プチ鹿島)そうですね。いいグルーヴを(笑)。ありがとうございました。

(ダースレイダー)ありがとうございました!

(プチ鹿島)またよろしくお願いします! いやー、面白いでしょう?

(海野紀恵)だからいかにこういうお話を聞くと、私も放送局の中にいる人間ですけども。「もう曲はかけちゃいけない」とか……本当に思考停止だったなって。

(プチ鹿島)判断がね。だから実は考えていないし。変な話ですよ。「この野郎! 電気グルーヴ、迷惑かけやがって! もう絶対に売らない!」っていうぐらいの意志があるんだったらまだわかるよね。だけどなんか知らないけど、「過去の例にならって……」みたいな。でもやっぱりいま、いいなと思うのは、こういうのにやっぱり声をあげる。しかもそれが、さっきはSNSの功罪の「罪」みたいなことを言いましたけど。やっぱりいい部分で言うと、それがパーッと広まるっていう横の連帯でね。そこはすごく面白いなと思います。

(海野紀恵)そうですね!

<書き起こしおわり>

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