渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2019年のアカデミー賞を振り返り。スパイク・リーの初受賞などについてなどを話していました。
(渡辺志保)そして今日は朝から第91回アカデミー賞を家でWOWOWの中継を見ていてですね。ちょっと仕事で途中、離脱しなきゃいけない時とかもあって、ずっと張り付いて見て全編をフルで見ている状況ではまだないんですけれども、やっぱりいろいろ印象に残ったシーンが多かったですね。で、ちょっと今年グラミー賞がなんかつまらなかったみたいな感じになっていて。私もぶっちゃけちょっとね、あの予想下回るグラミーだったなとかって思ってたんだけど。今年はもともとケヴィン・ハートがホストを務める予定だったんですけども、彼の過去のツイートだったりが問題になりまして、今年はホスト不在のアカデミー賞になった。
ただ私が、いろんな子アカデミー賞のレビューを見たんですけども。インディ・ワイヤーというアメリカのサイトは「No Host No Problem(ホストがいなくても何も問題なかった)っていう風に書き出しておりまして。私も同感という感じです。最初は「えっ、ホストがいなくてどうなるんだろう?」って思ってたけどね、全然スムーズに進んでいたなという風に思いましたし。あと、個人的なやっぱりミシェル・ヨーとかコンスタンス・ウーとかオークワフィーナとか、みなさん『クレイジー・リッチ・エイジアンズ』のキャストですけども。アジア人女性の女優さんがよくプレゼンターとして登壇する機会が今年は多く見受けられまして。
で、みなさん本当に美しい。もうミシェル・ヨーのデコルテ、超きれいだったし、コンスタンス・ウーもお姫様みたいだし。オークワフィーナの紹介するスピーチもすごい良かったですし。そういったところでも視覚的にも楽しめたなと思うし。レッドカーペットにはね、あのMarie Kondoこと、こんまり先生もいらっしゃっておりまして。まあ本当に翌年以降はですね、アカデミー賞を受賞する側にもっと回ってほしいなという風にも思いました。
で、まあいろいろ私も個人的ハイライトがいくつかあるんですけども。ひとつ、キーワードとしては「Humanity(人間性、慈愛)」。ヒューマニティーを感じるようなアワードでありました。で、このヒューマニティーというキーワードはスパイク・リーもスピーチで言ってたし。あとはアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』の作品紹介の時もこのヒューマニティーというワードが出てきましたし。
アルフォンソ・キュアロン監督も受賞スピーチの時にこの『ROMA/ローマ』はメキシコのための映画ということを盛んに繰り返しておりましたので。まあいろいろとそういったところを感じたし、ちょっとやっぱりヒップホップファンとしてはスパイク・リーが! 30年の時を経て……『ドゥ・ザ・ライト・シング』の公開から30年で初めてのオスカーを手にした。
(DJ YANATAKE)そうなんだよね。初めてっていうのはちょっと意外?
(渡辺志保)でもいままで、ノミネートされたのも2作品しかないのかな?
(DJ YANATAKE)『マルコムX』あたりで取っていそうな感じがしたけどね。
(渡辺志保)取ってないの。そのかわり、功労賞っていうのを1回、取ったりしてるんだけど。で、脚色賞っていうのを『ブラック・クランズマン』という映画で受賞しているんですけど。その『ブラック・クランズマン』ってもともとは実話なんですよね。そういう警察官が実際いらっしゃって。その方の本をベースにした映画なんだけど……原作と全然違うそうなんですね。だからこそ、脚色賞を受賞してるんだけれども。その脚色賞の授賞のプレゼンターがサミュエル・L・ジャクソンだったの。
で、私は「これでもし、サミュエル・L・ジャクソンが『受賞したのはスパイク・リー監督です!』っていう発表をしたらすげえアツい!」って思いながら見ていたら、まあその通りになりまして。あの封筒をガサガサって開けるじゃないですか。ガサガサって開けた時になんか「ブーン!」って言ってさ。サミュエル・L・ジャクソンがすごいテンション上がって。「ブーン! マジか! 『ブラック・クランズマン』!」って言って。それでスパイク・リーがパパパパパッてステージに駆け寄って登壇して。まずサミュエル・L・ジャクソンに飛びつくっていう(笑)。
で、金色に光るオリジナルのエアジョーダン3みたいな。それで今回、パープルのスーツをお召しでしたけども、『ブラック・クランズマン』ってエンディングテーマがプリンスの曲なんですよ。だからそれもたぶんプリンスへのトリビュートを表してパープルのスーツをお召しだったんじゃないかと思うんですけども。まあ、そういったところもすごくグッとグッとグッと来ましたしね。
スパイク・リーが初受賞
Spike Lee took home his first #AcademyAward and left us all with a simple mission: “Do the right thing.” ??? #BlacKkKlansman
?: @VanityFair / Mark Seliger pic.twitter.com/szynzOsEHC
— BlacKkKlansman (@BlacKkKlansman) 2019年2月25日
あとは『グリーンブック』が作品賞を取ったんですけど。それはもうおマハーシャラ・アリもオクタヴィア・スペンサーもおめでとう!っていう感じがするんだけど。この『グリーンブック』って60年代の子人種差別が激しかったアメリカ南部のことを描いていて。これもまた実話がベースになってるんですけど。『ブラック・クランズマン』とは反対で、これは主人公になった男性の遺族から抗議されているぐらいちょっと事実とは異なることが問題になっているそうなんですね。
で、まだ私は『グリーンブック』は見ていないので何とも言えないんですけれども。で、まあスパイク・リーも「『グリーンブック』が作品賞です」って発表された時、席を立って会場を出ようとしたぐらい怒ったんですって。で、その後の囲いの会見の時も「あればもう誤審だ」っていう風に言ってまして、非常にね怒りをあらわにしていたというところもありました。
あとは女性の受賞者がに非常に多かったなという封にも思いますし、『ブラックパンサー』がらみの、コスチュームデザイン賞であるとか、美術賞とかね、そういったものもすべて女性だったから。そういう女性の裏方がこうやって評価されてステージに立つってすごくパワーをもらえるなっていう風に感じたアカデミー賞でしたね。
(DJ YANATAKE)たしかに。まあ、その『ブラックパンサー』で言えば3部門。その他にも作曲賞ってういのも取って。でも、衣装デザインはアフリカン・アメリカンの女性としてははじめて受賞した賞っていうこともあるし。あと、単純にマーベルファンなんであれなんですけど、そういうスーパーヒーロー物がね、そういったものが3部門もアカデミー賞を取るなんてかなりすごいし。あと、もうすぐ日本でも公開になりますけども、『スパイダーマン: スパイダーバース』っていうのが……あれ、マジで超本当にヒップホップ映画なんで。僕、試写会に行ったんですけど、本当に『スパイダーマン: スパイダーバース』、アニメなんですけど見た方がいいと思うんですけど。まあ、そういうマーベルの括約とか、あとはNetflix作品が結構取ったりとかして。少し時代が動いたかなっていう感じがあったのが面白かったですね。
(渡辺志保)あと、短編ドキュメンタリー賞がインドの生理用ナプキンについての短編のドキュメンタリー作品(『ピリオド 羽ばたく女性たち』)で。私、Netflixで今日、すぐに見たんですけど、めっちゃよかった。で、これはアメリカの高校生の子とインドの人権問題を考えるNPO団体の人が一緒に作った映画だそうで。みなさんもぜひNetflixで、26分ぐらいの映画なんで見ていただきたいです。
(DJ YANATAKE)さっきのスパイク・リーの授賞の時にサミュエル・L・ジャクソンがって言っていたけど、なんか今回、『ブラックパンサー』の美術賞のジェニファー・ロペスとクリス・エヴァンス……『キャプテン・アメリカ』の人が出た時、そこでも『ブラックパンサー』が取ったのよ。だからそこでクリス・エヴァンスが『ブラックパンサー』の名前を見た時、発表の前に一瞬ガッツポーズするシーンがめちゃくちゃバズっていて。いままであんまりそういうの、見たことがなかった気がするんだけど……。
(渡辺志保)あとね、テッサ・トンプソンとマイケル・B・ジョーダンが発表したのもルドウィグ・ゴランソン。それも『ブラックパンサー』の作曲家で。『This Is America』を書いたのと同じ人だけどルドウィグ・ゴランソンの発表の時もテッサ・トンプソンとマイケル・B・ジョーダンで。テッサは『ブラックパンサー』は関係ないけどさ。
(DJ YANATAKE)テッサ・トンプソンはでも『マイティ・ソー バトルロイヤル』というマーベル映画のヒロインなんで、マーベルに出ている人なんですよ。だからなんか割とそういう、プレゼンターの方が……。
(渡辺志保)気を利かせているのかな?
(DJ YANATAKE)いままではなんかそういうのは関係のない人がやらなきゃ……みたいな暗黙の了解があった気がするけど、今回はそういうのが結構あって。それはそれでみんな感情がバーッとなって。なんかいいシーンが逆にいっぱいあったんじゃないかなって。
(渡辺志保)そう。だから本当、私も……そんな私はさ、映画について語るあれでもないですし。専門のライターでもなんでもないですけど、本当に見ていてよかったし。あと、エンタメ性で言うとやっぱりレディ・ガガとブラッドリー・クーパーの『Shallow』のパフォーマンスもすごいよかった。ちょっとネタバレになっちゃうから言わないですけど。まだもし見てらっしゃらない方がいたら「アカデミー賞 レディ・ガガ」とかでググって見てみてほしいなって。
(DJ YANATAKE)僕、『Shallow』大好きなんで見たいと思います。
(渡辺志保)すごい。映画の再現をしているような感じでよかったです。ブラッドリー・クーパー、おもらしはしていないということだけお伝えしておきます。
(DJ YANATAKE)はい(笑)。
<書き起こしおわり>