渡辺志保 J.Cole『False Prophets (Be Like This) 』を語る

渡辺志保 J.Cole『False Prophets (Be Like This) 』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でJ・コールの新作アルバムからの1曲、『False Prophets (Be Like This) 』を紹介。この曲でJ・コールがカニエ・ウェストやドレイクなどをディスっていうのでは? という話をしていました。

(渡辺志保)さっそくここいらでオープニングチューンをお届けしたいと思います。結構ヒップホップヘッズはこの週末、J・コールのあんなニュース、こんなニュースに振り回された方も多いんじゃないでしょうか? というわけで12月9日になりますね。『4 Your Eyez Only』という新しいアルバムを出すと宣言したJ・コールさんでございますが、ちょうど2年前の2014年12月9日には『2014 Forest Hills Drive』という傑作アルバムをリリースしていますけども。また年末にね、J・コールからサプライズリリースという感じで我々、アルバムを聞くことができるんだけど。現在ね、TIDALで『Eyez』っていう名前のドキュメンタリーフィルムを公開しておりまして。まあ、プラットフォームはTIDALなんだけど、これTIDALに入ってなくても全部見れるので、ぜひぜひ暇な方はちょっとずつでも見ていただきたいんだけど。

J.COLE『Eyez』

本当にいろんなミュージシャン……バイオリニストとか、あとトランペッターとか、そういったいろんなミュージシャンとセッションをしながらJ・コールが曲を作っていく様子がそこで見れるんだけど、なんと日本人のキーボーディストでありますBIGYUKIさんもそこに参加していて。ア・トライブ・コールド・クエストのアルバムにも参加していたし、つい最近凱旋ライブをブルーノートで行ったBIGYUKIさん。私もライブを見に行って相当飛ばされたんですけども、BIGYUKIさんなんかが参加している様子がわかると。で、そこで40分のビデオの中に自分の新しいミュージックビデオなんかも差し込みながら、『Eyez』というドキュメンタリーフィルムをいま発表しているJ・コールなんですけども……

J・コールと言えば今年、まず7月に発売されたDJキャレドのアルバム『Major Key』の中に『Jermaine’s Interlude』という曲が入っているんですけども。そこでもね、結構「このクソエンタメ業界! クソヒップホップ業界め!」みたいな感じで辛辣なライムをブチかましておりまして。さらには、そこでちょっと引退するのかな? みたいなことも示唆していたんですよ。なので、ちょっとビーストモードというかサベージモードなJ・コールだったりするんだけど。

まあ、先行でいま発表されているのが数曲ありますが、たとえばその中の『Everybody Dies(みんな死ぬ)』っていう曲ですけども、『Everybody Dies』の中には「俺がこのボタンを押すと一発で世界を破壊しちゃうぜ!(mass destruction when I mash the button)」とかね、あとは「ちょっと休んでくれねえか?系ラッパーのお前ら、ベラベラしゃべるくせに大したことも言わねえラッパーは大嫌いだ。特にラップ歴8週間ぐらいの素人ラッパーども! リル・なんとかっていうショートバスラッパーなんかはもうどっか行け!(The would-you-take-a-break-please rappers Bunch of words and ain’t sayin’ shit, I hate these rappers Especially the amateur eight week rappers Lil’ whatever—just another short bus rapper)」っていうような感じで。

「short bus」っていうのは身体に生涯を抱えた方への設備なんかもついているちょっと小型のスクールバスのことを指すんですけども、「リル・なんとか知らないけどさ……」みたいなことを言っていて、それってもうリル・ヨッティとかリル・ウージー・ヴァートくらいしかいなくね? みたいなのがまずネット上でザワザワっとしております。

で、その後はね、「ストリートはお前みたいなやつは支持してねえんだよ!」って。「you Pitchfork rappers Chosen by the white man, you hipster rappers」っていう風に言っていて。まあ、Pitchforkっていう有名な音楽サイトがありますけども、「どうせ白人男に選ばれただけのお前らPitchforkヒップスターだろ?」みたいなことまで言っていて、ああー、なかなかスピットするじゃないですか!っていう感じのラインもあるんですけど。まあ、その『Everybody Dies』とともに話題になっているのが、この後に聞いていただくんですけども、『False Prophets』っていう曲がありまして。『False Prophets』って「偽りの予言者」とか「見栄っ張り」みたいな意味が含まれているワードであるんですけども。

なんとこれ、ジョーイ・バッドアスがかつて発表した『Waves』っていう曲があるんですけど、それをそのまま使っているんですよね。

でも、別にビートジャックで黙って使ったとかじゃなくて、バッドアスもTwitter上で「J・コールにはラブしかない。数ヶ月前にちゃんと俺に曲を聞かせてくれて、しかも賛同を求めてくれたから。愛しているぜ、ベストなやつだぜ」みたいなことを言っているんですね。ただ、この『False Prophets』が誰にことを言っているか?っていいますと……ネット上ではあのカニエ・ウェストのことをJ・コールが丸々1曲使ってディスっているんじゃないか?っていうのがもっぱらの見方、見解でございます。で、フックは「Somebody shoulda told me it would be like this(こんな風になるんだったら、誰か最初に俺に教えてほしかったぜ)」みたいなことを言っていまして。

で、最初のリリックが「life is a balance You lose your grip, you can slip into an abyss(人生っていうのはバランスだよな。お前はグリップを失って、溝に落ちてしまったんだな)」みたいなことを言っています。それで「ああ、これはカニエのことを強烈にディスっているな」みたいなラインが、「When he tell us he a genius but it’s clearer lately It’s been hard for him to look into the mirror lately(彼はかつて自分のことを天才って言っていたけど、最近たしかなことは彼はすでに鏡を見ることすらもキツいっていうことだな)」っていう。自分をちゃんと見えてないということもラップしていて、それが物議をかもし出しているんですね。

まあ、カニエと言えばつい最近、残りのツアーを全部キャンセルして。かつ、入院してね。で、ちょっといろいろ精神障害を患って退院してきたっていうニュースもありますけども、Twitter上は結構「J・コールに賛同します! J・コールが正しい! カニエはおごり高ぶった嫌なやつだったな」みたいなそういう意見もありつつ、ただ、すごい私がいいなと思ったのは元ダス・レイシストのヒームスっていうやつがいるんですけど。彼が「退院したばっかりのやつに向けたシングルを用意してアルバムを出すなんて、J・コールは最低!」みたいなことを言っていて。「お前は童貞喪失の歌ばっかり歌っていればいいんだよ!」っていうことも言っているんですよ。で、その童貞喪失っていうのは『Wet Dreamz』って書いてあるんだけど、これはJ・コールが前回出したアルバムの中に入っている『Wet Dreamz』っていう曲で、これは彼が高校生の時に童貞喪失して、しかもすげー焦って早くイッちゃったみたいな感じの曲なんですけど。

まあ、そんなことばっかりラップしてろ、間抜けなやつめ! みたいなことを言っていて。あと、この楽曲で歌われていることはカニエのこともそうだし、ドレイクのこともね、揶揄してるんじゃないか?っていう。で、ドレイクは結構最近ね、カルチャーバルチャーって言われているんですよ。それは流行りだしたカルチャーを上手いこと食い物にして、それを上手いこと金にしていくみたいな、そういう搾取している野郎みたいなことで使われることが多いんですけど。まあちょっとグライムが流行りそうだったらUKに行ってグライムの子たちを囲ったり、ちょっとトロピカルなビートが流行りそうだったら『One Dance』とか作っちゃって。「テテンテテンテン♪」みたいな感じで囲っちゃったりとか。

そういうね、なかなかいけ好かないドレイクみたいな感じで。今年、ドレイクはすごいアップルミュージックなんかで大きな記録を作りましたから、その分やっかみなんかもあるんだと思うんだけれども、そんなこんなでドレイクやらカニエやら。あと、ワーレイのこともね、ディスっているんじゃないか? みたいになって、さっそくワーレイがアンサーを返したりもしていましたけども。まあ、12月9日にいったいJ・コールがどんなアルバムになるのか? 前作はね、自分のお母さんの話とか、さっきの自分の童貞喪失した話じゃないですけど、すごい内省的なすごいいいエモーショナルなアルバムだったんですけども、今回は結構ドラマチックな、なかなかコントラバーシャルな感じになるんじゃないのかな?って。ある意味楽しみ、ある意味ヒヤヒヤ。まあ、すごい楽しみにしているところではありますので、ここでJ・コールの12月9日発売になります新作アルバム『4 Your Eyez Only』からの1曲を聞いてください。『False Prophets』。

J Cole『False Prophets (Be Like This) 』

はい。いまお送りしておりますのはJ・コール新作アルバムからの1曲、『False Prophets (Be Like This) 』でございました。

<書き起こしおわり>

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