(中略)
(プチ鹿島)黒井さん、気になるニュースを選んでいただいて。
(黒井文太郎)まあ、お二人がオープニングでやっていたんですけど、SPA!の話を……。
(プチ鹿島)もともと週刊誌で。
(黒井文太郎)もともと写真週刊誌のフライデーという雑誌の編集者から仕事を始めているんで。今回ね、先ほどおっしゃっていたような「#MeToo」とかそういった話とはまた別に一言、気になったんですけども。SPA!さん、僕はお世話になっているんでがんばってほしいなと思うんですが、やっぱり日本の週刊誌とかっていうのは世界から見るとエロが多すぎて非常に海外で見せるのに大変だっていうことですよね。だから僕らも海外に行っている時、「お前が働いている雑誌を見せろ」ってかならず向こうの当局にも言われるんですけども。まあ、ちょっと見せるとまずもう言うわけですね。
(プチ鹿島)SPA!も本当に骨太なコラムとかたくさんあって、すごい面白いんですけども。やっぱりこういう企画がないと、紙はもう成り立たないっていうことですか?
(黒井文太郎)わからないですね。ただ、週刊誌の世界っていうのは元からそういうものがあって。たとえば一時、週刊ポストとか現代もヘアヌードっていうのが昔、流行って。あれで持ち直したっていう。
(モーリー)私、ポストの副編と仲がよかったんですけど、「送られてきた誌面のヘアヌードが嫌いです」ってFAXを送ったらこなくなって、友好関係がダメになったっていうのがあったの。20年前に。だからヘアヌード。
(プチ鹿島)90年代はすごかったですね。
(黒井文太郎)で、いまは購読者層の年齢が高くなったんで、いわゆる熟年の性の話が。
(プチ鹿島)死ぬまでSEXとか、もしくは長生きのためには何を食べればいいのかみたいな。
(モーリー)そうすると、20代からずっと雑誌を愛読してきた人たちが、なんていうかある種「デザート」って言っていいのかわからないけど、その裸とかポルノ、性的な部分が一定数ないと物足りないという生活習慣、読者習慣がついてしまった状態で熟年化しているっていう。
(黒井文太郎)ただね、もともと戦後にカストリ雑誌っていうのが……。
(モーリー)やっぱり! カストリ雑誌ですよね! 俺もさっき調べたんですよ!
(黒井文太郎)だからその、とにかくエロと政治がごっちゃになっているというところからスタートはしているんですよね。
(プチ鹿島)そのいろんなものがごっちゃになっている醍醐味っていうのもたしかにあるんでしょうね。週刊誌はね。
世界から見ると変わっている日本の雑誌
(黒井文太郎)ただ、これは世界から見るとちょっと変わっているんですよ。だから、先ほどそういうった話が一般の雑誌に載るっていうことが……まあ「タブロイド」っていう言葉を使っていますけども。そういった海外のメディアから見ると「えっ?」っていう風になるわけですね。
(プチ鹿島)一方で「じゃあアサヒ芸能とか週刊実話はもっとどぎついことをやっているじゃないか! SPA!も昔からこういった企画があったじゃないか!」っていう声もあるんですけども……。
(モーリー)まあ、それが「#MeToo」の時代にどうなるか? ですよ。
(プチ鹿島)しかもそれが女子大生っていう、別に公人ではない、芸能人ではない人をターゲットにするのはもう……っていう。
(モーリー)だから80年代の女子大生ブームの時は公人でないにもかかわらず、女子大生というだけで特別扱い……いわゆるコモディティーとなっていたのかな? ある種フェティッシュとも言えるけども。で、「それは性的な目線も含めるけど、憧れで持ち上げられているんだからいいじゃない。悪い気はしないわ」っていうようなちょっとした共謀関係みたいなもの、相互依存はあったんだよね。
(プチ鹿島)女子大生ブームという。
(モーリー)で、いまは全くフラットになって。それを編集部は全く読んでいなかったんだろうね。そういう世間の読み込みはせずに結構安易に特集を組んで。
(黒井文太郎)ただね、今回ので言えば、大学名を出さなければたぶんスルーされていたと思います。この手の記事って結構あります。
(プチ鹿島)そうですね。本当にありますよ。
(モーリー)なるほど。最後に一言、言い添えたいのはですね、たとえば中国。いまウイグルとかで人権が苛烈な状態ですよね。まあ調べれば調べるほど本当にひどいっていうことを私も確認しているんですけども。そういうのを世界で女性に対する性差別とか性的搾取、人身売買みたいなものがいっぱいニュースになっているわけだ。その中でこういう記事が出ると「なんだ、日本って結局女性蔑視で、人権を軽視しているんだ。だから慰安婦問題でもやっぱりギルティーだな」っていう風に連想をしちゃうんですよね。だから、国に対してマイナスになるっていうことをSPA!は考えずにやったんだと思うけども。いまの時代はそれがリンクしてしまうっていうことだと思います。
(プチ鹿島)だからそれが紙で出して、それにお金を出してくれる読者にはそれでいいだろうと思ったら、やっぱりそれがいまはネットでも可視化される時代じゃないですか。マッチングアプリを紹介して「ネットってすごいな!」っていうことを紹介していたら、ネットでさらされるっていうそういうことですよね。
<書き起こしおわり>