プチ鹿島 宝島社新聞広告「敵は、嘘」「嘘つきは、戦争の始まり」を語る

プチ鹿島 宝島社新聞広告「敵は、嘘」「嘘つきは、戦争の始まり」を語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で宝島社が新聞に出した広告「敵は、嘘」「嘘つきは、戦争の始まり」について話していました。

(プチ鹿島)で、もう1回新聞の話に戻ると、たしかに新聞っていろいろな記事を読むのも楽しいんですが、もうひとつの楽しみは広告を眺める楽しみっていうのもあるんですね。

(塩澤未佳子)広告かー。

(プチ鹿島)たとえば元日の朝刊。僕、これ楽しみなんですよ。だって今年1年を占う……たとえば社説にしろ、その日だけの社説じゃないんですよ。一年の計は元旦にありって言いますけども、新聞各紙にとってはその社説で何を書くのか?っていうのが一年の計であったりね。だいたい「対中国」とかそういうのが多かったんですけども。で、その元日の新聞を読むのが楽しみなんですが、その一方で元日にどういう広告が載るのか?っていうのも楽しみだったりするんですよ。

(塩澤未佳子)広告ってあんまり気にしなかったかな。

(プチ鹿島)ああ、そうですか? 僕が今回、しみじみしたのは積水ハウスさんですね。一面の全面広告で「家に帰れば積水ハウス」という。ちょっとアットホームな。積水ハウスさん、去年、いろいろありましたからね。地面師でね。

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)50何億も……だから、それを新年に改めて払拭したいという。「積水ハウス、がんばっているぞ!」っていう。50何億取られたっていうのはあったけど、ちゃんと全面広告出してがんばっていますっていう、そういうメッセージも僕は感じたんですよ。「うちは今年、心機一転がんばります」っていう。勝手にですけども。

(塩澤未佳子)ああ、はい。

(プチ鹿島)たぶんそういうイメージがあると思うんですよね。で、広告で言うと、ちょっといま、それこそSNSで話題になっている広告がありまして。それが宝島社の広告。これが1月7日。日曜日付の広告ですね。全国紙3紙の朝刊、もしくは夕刊に出した広告に注目が集まっているという。朝日新聞、読売新聞、日刊ゲンダイに出たんです。

(塩澤未佳子)へー。

(プチ鹿島)宝島社。これ、どういう広告か?っていうと、いま手元には日刊ゲンダイがあるんですけどね。「敵は、嘘」っていう。これです。

(塩澤未佳子)ええっ?

(プチ鹿島)これ、ローマに真実の口ってあるじゃないですか。そこに手を入れると……みたいな。その彫刻が一面にあって、コピーで「敵は、嘘」って書いてあるわけですね。で、「いろいろな人がいろいろな嘘をついている。子供の頃から『嘘をつくな』と言われてきたのに嘘をついている。陰謀も隠蔽も改ざんも粉飾も、つまりは嘘。世界中にこれほど嘘が蔓延した時代はあっただろうか。……嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。」っていう。まあ、メッセージ広告ですよね。

「敵は、嘘」

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)で、これが実は読売新聞と日刊ゲンダイは同じバージョンなんですが、朝日新聞だとまた違うんですよ。「嘘つきは、戦争の始まり。」っていう。ある程度年配の方や大人の方は覚えていると思いますけども、湾岸戦争の時、油まみれになった鳥の写真、あったじゃないですか。で、実はあの写真、真偽はいまだ定かではない。その写真を載せて、こんなことが書いてあります。「『イラクが油田の油を海に流した』。その証拠とされ、湾岸戦争本格化のきっかけとなった1枚の写真。しかしその真偽はいまだ定かではない。ポーランド侵攻もトンキン湾事件も嘘から始まったと言われている。今、多くの指導者たちが平然と嘘をついている。この負の連鎖は私たちをきっととんでもない場所へ連れてゆく。今、人類が戦うべき相手は原発よりウィルスより温暖化より嘘である。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ」っていう。これ、朝日新聞バージョンなんですね。

(塩澤未佳子)へー!

「嘘つきは、戦争の始まり。」

(プチ鹿島)これ、面白いですね。新聞によってコピーの内容とか写真とかを変えたり。そもそもなんでじゃあ朝日新聞、読売新聞、日刊ゲンダイなんだ?っていうのもこれ、狙いですよね。誰に広告を打つか?っていう。で、この番組では結構お話したかもしれませんが、日刊ゲンダイって僕、擬人化すると毎日真剣に怒っているおじさん。政治や社会に対してですね。だから擬人化するとそういうおじさんなんですよ。でも、面白いことにそれがWEBになると、たとえばSNSで問題意識が高い文化人とかに日刊ゲンダイの記事がシェアされたりして。日刊ゲンダイ人気みたいなのがちょっとあるんですよね。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)で、これ自体は僕、日刊ゲンダイに去年インタビューを受けた時、インタビューしてくださった方とインタビュー後に話をして。「ゲンダイがああいう風な人気になっちゃうって、それはそれでどうなんですかね?」って言ったんですよ。そうでしょう? だって変な話、タブロイド紙がそんな問題意識を背負う人たちに……ねえ。それって朝刊ががんばってないっていう証拠じゃないですか。朝刊がどんどん踏み込んで、攻め込んでいる記事を書いていない証拠だから、逆にゲンダイとかが人気が出ちゃうっていう。で、それは実はゲンダイの人も「センターの人たちがちゃんとがんばってもらわないとダメですよね」っておっしゃっていて。

(塩澤未佳子)そうですか。

(プチ鹿島)でも、自分たちは夕刊紙、タブロイド紙でもできることをやっているんだけども。それがなんて言うか、もてはやされること。それはうれしいことなんでしょうけど、でもそれっていかに朝刊紙ががんばっていないのか?っていうことにもなるわけで。それは当のご本人、ゲンダイの中の人も言っていたわけですよね。

(塩澤未佳子)へー。

(プチ鹿島)でも、逆に言えばそういう人たちに届いているっていうのを見越して宝島社は「じゃあ、ゲンダイに広告を載せればインパクトはデカいだろう」って判断したんじゃないか? 広告ってそういうことですよね。「誰に打つか?」っていうことですよね。

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)だから「嘘を止めろ」っていうことで。これが日曜日なんですけども。これ、もうひとつ今日、なるほどなと思った記事をご紹介しましょうか。広告が載ったのが日曜日なんですけども、本日の沖縄の新聞、琉球新報。これはWEBの記事なんですけども。1月8日ですから今日、出た記事ですね。こんな記事が出ている。「辺野古埋め立て 首相が「あそこのサンゴは移植」と発言したが…実際は土砂投入海域の移植はゼロ」という。これ、どういうことか?っていうと……。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)「安倍晋三首相は6日に放送されたNHKのテレビ番組「日曜討論」で事実を誤認して発言した」っていう風に琉球新報は書いているわけです。「安倍首相は「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移植している」と述べたが、現在土砂が投入されている辺野古側の海域「埋め立て区域2―1」からサンゴは移植していない。」という。これ……ザワッとしますよね?

(塩澤未佳子)大きく違いますよね。

(プチ鹿島)ちなみ「首相の発言について玉城デニー知事は7日、ツイッターに「安倍総理…。それは誰からのレクチャーでしょうか。現実はそうなっておりません。だから私たちは問題を提起しているのです」と投稿した。」という。さらには「首相は「砂浜の絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移す」とも発言した。沖縄防衛局の事業で、貝類や甲殻類を手で採捕して移した事例はあるものの、「砂をさらって」別の浜に移す事業は実施していない。」ということが今日付けの新聞に載っているわけですね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だから、これ妙にリンクしていませんか? 宝島社の広告が日曜日に出たんです。『日曜討論』って日曜日ですよね? 僕が言いたいのは「ああ、嘘ついた、嘘ついた!」っていうんじゃなくて、今度はじゃあ安倍首相は嘘をついたのか? それとも事実誤認なのか? 誰かに適当なことを吹き込まれたのか? どれが本当なのかをマスコミが聞く番なんですよね。

(塩澤未佳子)そっちか。

(プチ鹿島)そうそう。これを「わーっ、嘘ついた! 嘘ついた!」だけだと憎悪と憎悪、批難と批難の応酬で終わってしまうじゃないですか。そうじゃなくてやっぱり淡々と首相に「あの番組でこういう風に発言をされましたけども、一方ではそれは事実ではないという指摘も出ている。それに関して、どういう意図でお話になったのですか?」って聞かなくちゃいけないし、僕らも知りたいよね。

(塩澤未佳子)知りたい。どこからそういう風になったのか。

(プチ鹿島)だからこれが僕、すごく重要なことだと思っていて。去年の年末、『月刊Journalism』っていう雑誌があって。とても高尚な雑誌なんです。それがなぜか知らないですけど、僕に「書いてくれ」って依頼してきて。「政治の話題とかがなぜ、いま読者や世の中に届かないのか?」っていう、そういうお題だったんですね。で、僕は新聞を12紙取って読んでいる身として、「じゃあ新聞の記事はなぜ届かないのか?」って僕なりに絞ったんです。そこで後半で書いたのが麻生さんのことなんですけどね。

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)麻生さんって「麻生節」なんて言われてますけど、よく聞いていると特に対新聞で攻撃をしかけてくる。その中で言っていることが事実じゃないことがあるんですよ。で、それに対して言われた新聞側はなにも反論をしていない。「いや、これは麻生さんが言っていることだから。取るに足らないことだ」って思っているかもしれないけど、でもそれを反論しないと、もう1回問いたださないと、それを信じてしまう人たちは「ああ、やっぱり麻生さんが正しいじゃないか! 麻生さん、よく言ってくれた!」で終わっちゃうわけですよね。だからそれはやっぱりいくら麻生節に対してバカバカしいと思っても、言われた新聞、名指しされた新聞は事実を示して反論していかなきゃいけないんじゃないか?っていう、そういうことを1万字ぐらい書いたわけです。だから慣れちゃいけないわけですよ。

(塩澤未佳子)そうですね。

(プチ鹿島)「絶対に慣れちゃいけないわけ。バカバカしいと思ったとしても『いや、これは嘘だろ』とか『これは事実と違うよね?』っていうのであればいちいち反論してほしい」っていう風に僕は新聞に言ったわけです。これ、まさに今回そうですよね。だから安倍さんは悪意があってわざと言ったのかどうか、これはわからないですよ。だからこそ、聞かなくちゃいけないんですよ。で、事実かどうか、どういう思惑で言ったのか。今度、いまは注目すべきはマスコミですよ。いつもぶら下がりみたいなの、やっているじゃないですか。あの人たちがちゃんと聞くのかどうかっていうことですよね。それ、聞いてほしいと思います。だから、慣れちゃいけないっていうのと、いちいちギョッとしていかなくちゃいけない。敏感になっていかなくちゃいけないっていう。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)だからこれ、宝島社としてはハマったよね。時期としてはね。

(塩澤未佳子)ちょうど、ねえ。

(プチ鹿島)ということを感じました。まあ、(ZOZOTOWON)前澤さんにしろ宝島社にしろ、広告ってやっぱり「あの広告、見た?」とか「あの広告、なんだよ?」って語られる時点でもうある種、話題になっていますからね。

(塩澤未佳子)成功していることになりますからね。

(プチ鹿島)ということで前澤さんからのDM、まだ来ないんですけどもね……。

(塩澤未佳子)アハハハハハハッ!

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(プチ鹿島)ちなみに前澤さんのお年玉の倍率、やっぱりリツイートした人が多くて、5万倍だって(笑)。

(塩澤未佳子)5万倍!

(プチ鹿島)約ですよ。お金出して宝くじ買った方がよくないか?っていう(笑)。というわけで、キックススタートです!

<書き起こしおわり>

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