松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でElla Mai『Everything ft. John Legend』、そしてJohn Legend『Wrap Me Up in Your Love』を紹介していました。
(松尾潔)では、もうちょっと今年活躍した女性R&Bシンガーをご紹介したいと思いますね。まあ、この人の名前は外すことできないかと思いますね。この人とH.E.R.っていうのは今年の大活躍した若手2人なんですが、エラ・メイでございます。もういまとなってみるとね、この番組で最初「エラ・マイ」って僕が紹介していたことも懐かしいですね。いま「マイ」というとね、先週ご紹介したタイ・ダラー・サインとジェレマイのユニットの「マイ・タイ」。そっちの方に引っ張られますけども。
またこのエラ・メイとタイ・ダラー・サインがデュエットしたりしてるから話はややこしいんですけども。それはともかく、今年もう『Boo’d Up』1曲で自分の人生を変えてしまった女、エラ・メイ。『メロ夜』では昨年の春に早くも『Boo’d Up』をご紹介して、実際に昨年の年間チャートでは16位にランクインしていた曲なんですが。
今年に入って本格的なブレイク、世界的な成功を収めたということはご存知の通りですが、その『Boo’d Up』を引っさげてリリースされたファーストアルバム『Ella Mai』の中でいくつかのデュエットがあるんだよっていう話をこの間、しました。クリス・ブラウンの曲やH.E.R.とのデュエットもご紹介しましたが、もうひとつご紹介していない曲がございました。それはかのジョン・レジェンドとのデュエットナンバーですね。面白いのはエラ・メイがそのトレードマークになりつつある、マスタードが作り出すトラップ調のビートではなくて、この曲ではジョン・レジェンドの色合いにちょっと寄せたような、そんなサウンドプロダクションで歌っているというのも面白いポイントではないでしょうか。聞いてください。エラ・メイ feat. ジョン・レジェンドで『Everything』。
Ella Mai『Everything ft. John Legend』
John Legend『Wrap Me Up in Your Love』
2曲続けてお楽しみいただきました。まずはエラ・メイ feat. ジョン・レジェンドで『Everything』。これはエラ・メイのはじめてのフルアルバム『Ella Mai』に収録されておりました。このアルバムの中では、ちょっと珍しいサウンドプロダクションなんですが。これはゲストのジョン・レジェンドに配慮して、彼の本領とされるようなちょっとオーガニックなサウンドで歌ってみたという、そういう印象を受けましたね。
そしてそのジョン・レジェンドの素晴らしい……本当に素晴らしい圧巻のクリスマスアルバム『A Legendary Christmas』の中から、先週に続いて今週も1曲ご紹介いたしました。『Wrap Me Up in Your Love』。新曲です。いやー、本当にこれはジョン・レジェンドのいまの充実ぶりを端的に証明する作品集になりましたね。なにしろね、ご存知の方も多いかと思いますけども、グラミー、オスカー、トニー、そしてエミー賞まで受賞したはじめてのアフリカ系アメリカ人男性となったジョン・レジェンド。
その文化的なステータス……もちろんね、経済的にも大変潤っているはずですし、なんと言っても私生活の充実ぶりというのもよくメディアで報じられてますね。おしどり夫婦なんですよね。ジョン・レジェンドはね。
ああ……いや、別に「ああ……」っていうのはこの人の不幸をどこかで望んでるとか、そういう他意はないですよ(笑)。いつまでもジョン・レジェンドを歌ってほしいなって思うんですね。なんとなくあの、語弊があるかもしれないけど、あえて言いますけどもね。ジョン・レジェンドは「精神的にハッピーに安定しているダニー・ハサウェイ」みたいなイメージがありますよね。それは、まあわがままなものでね、音楽ファンっていうのはダニー・ハサウェイとかたとえばマーヴィン・ゲイとか、そういった私生活でいろいろあった……弱いところもさらけ出してたような人たちを好む傾向がある。
まあ、「アーティストってのはそうじゃないとね」なんてことを言う人もいますけども。僕はね、もちろん言うまでもないですよ。そう言った人たちの芸術をこよなく愛してますが、ジョン・レジェンドのような人の強さに励まされることも、まあこの歳になると増えてきますね。わかりません。ジョン・レジェンドの人生、この先に何があるかはまだわかりませんけれども、そのジョン・レジェンドのメンタルの安定してる感じっていうのが、どれだけいま、同じ時代を生きている我々を勇気づけてくれてるのかってことを考えたりもしますね。まあ、まずはこの『A Legendary Christmas』というアルバムを聞いていただきたいです。そしてジョン・レジェンドを支えるプロデューサー、ラファエル・サディークの手腕というのもね、堪能していただければと思います。
<書き起こしおわり>