吉田豪と白幡いちほ アイドルとお笑い芸人の収益構造の違いを語る

吉田豪と白幡いちほ アイドルとお笑い芸人の収益構造の違いを語る SHOWROOM

白幡いちほさんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんとアイドルとお笑い芸人の収益構造についてトーク。同様に「低収入」と括られがちではあるものの、実は全く構造が異なる点を指摘していました。

(吉田豪)この前、AbemaTVの『The Night』でカンニング竹山さんと話して思ったのが、芸人の世界ってどこに行ってもいまだにちゃんとした大きな事務所がメインで。地下芸人的なものもあるけど、本当にアンダーグラウンドじゃないですか。アイドルの方が地下から地上にのし上がる道はできている気がする。

(白幡いちほ)ああ、たしかに。それは大いにある。しかもアイドルの場合はマネタイズできるから生きていける。

(吉田豪)そうなんですよね。だから「芸人も若いうちはお金をもらえないんだよ」みたいに。それを(アイドルと)イコールにされがちじゃないですか。「アイドルが収入がない」みたいなことを「俺たちと同じだよ」みたいに語られがちだけども。「いや、ちょっと待て! アイドルは物販が回っているんだよ! お金が生まれているんだ!」っていう。

(白幡いちほ)そう! 売れてなくてもアイドルはマネタイズできる(笑)。

(吉田豪)で、「お金が回っているはずなのに自分のところに入らないことがおかしい」って言っているわけで。若手芸人とかが歩合でお金がないのは、それはわかるよ。

(白幡いちほ)そもそもお笑いライブ自体が何十組も出るのにチケットが1000円とか。安いんですよ。で、当然ギャラも安いし。しかもテレビに出ていない芸人さんとかを見に来るお笑いファンの方って結構コアな方じゃないですか。だからすごい毎回ライブハウスがパンパンとかいうわけでもないし。他に何十組とか出ていて、それを主催しているイベンターさんがいて。芸人の場合は物販がないから本当にチケットバック的なもののみだから。だからライブに出ても本当にコンビで出て、2人でギャラ2000円とか全然あるんですよ。

(吉田豪)「チケットを2枚売りました」ぐらいのこと?

(白幡いちほ)そう(笑)。まあ、ほぼ交通費扱いですよね。だからライブでネタをやって、そのネタを良くしてテレビのオーディションに持っていくみたいな流れなんで。

(吉田豪)「稽古を見せている」ぐらいの感覚っていうことね?

(白幡いちほ)そうそう。だから交通費で2000円もらって。で、事務所にいた時はそれが事務所に何割か取られて、源泉も引かれて。その残ったやつを2人で割るから、1人あたり600円とかなんですよ。だから口座からまず下ろせない(笑)。

(吉田豪)ああ、なるほどね。2回ぐらいやってようやく1000円札になって下ろせるっていうね。

(白幡いちほ)そう。口座に数字だけが、下ろすことのできない架空の数字だけが入っているみたいな感じだから。それに比べたらアイドルは全然、売れてなかったとしても物販を取れるじゃないですか。チェキを撮ったりとか。

(吉田豪)やっぱりね、「チェキ」っていうシステムの開発が大きかったよね。

チェキという偉大な発明

(白幡いちほ)いや、すごい。本当に作った人はすごい。マジで。でもそれに甘んじるのもダメだなとは思うけど(笑)。

(吉田豪)まあ、皆さん甘んじてますよ(笑)。

(白幡いちほ)だけど「チェキ屋さん」になっちゃうと本末転倒だなって思うけど。

(吉田豪)まあね、とあるアイドルの方が言ってますよね。「『自分の肩書き、なんだろう?』って思った時にたぶん自分の収入を支えているのはチェキだから。私の肩書きは『チェキ屋さん』なんじゃないか?」っていう。

(白幡いちほ)そう! それはめっちゃ思う。でも、じゃあチェキ屋さんを一生することはできないから。だし、じゃあそのチェキにどうやって価値を出せるのか?って思ったら、まあ普通にたぶん、人によると思うけど。女の子としゃべりたくて撮っているっていう人ももちろんいると思うけど、ステージがよかったから、ライブがよかったから、この子を応援したいっていう気持ちで撮る人とか。あとは普通にタレントとしていいじゃん、アーティストとしていいじゃんとかって思って記念に撮りたいっていう人とか、いろいろといると思うけど。接触したいとか、しゃべりたいとかみたいな感じでやっていると、なんかしんどくなるから。なんだろう……その考えで行っちゃうとちょっと本末転倒感が出てくるな、みたいなのはある。

(吉田豪)基本、でも「お布施をしたい」っていう気持ちは絶対にあるわけで。で、物販とかでお金を落として、ちょっとでもお金を渡したい。でも、毎回新しいグッズや音源があるわけでもないから、とりあえずチェキを撮るっていう風になるのはわかるんですよ。

(白幡いちほ)そうそう。ライブも多いから、毎回新譜があるわけでもないし。

(吉田豪)もちろん。で、毎回記念としてチェキを撮るようになる。僕、だから全然チェキはお金を出して撮ったことは1回もないけど、そうなる流れはわかるんですよ。毎回来た記念として。

(白幡いちほ)ねえ。だし、これぐらい自分が応援したよみたいな。

(吉田豪)システム、本当によくできていると思う。

(白幡いちほ)それがあるから成り立っているし、食べていけてるなって思うから。

(吉田豪)AKBが開発したんですよね。流れで言うとね。

(白幡いちほ)だから富士フィルムさんはすごい感謝していると思うし。

(吉田豪)ねえ。もう完全に廃れた文化だったはずが、急にチェキフィルムが枯れて(笑)。

(白幡いちほ)マジで経済を回しているなって。5個入りのパック、この世からなくなりましたもんね。

(吉田豪)あれね、誰が買っているんだ?っていう話だからね。アイドル運営以外に買う人、いないでしょ?っていう(笑)。

(白幡いちほ)アハハハハハッ! アイドルかビジュアル系しか買ってないもん。絶対に(笑)。

(吉田豪)でも最近、だからいろんなジャンルがチェキを取り込んでいて。僕、だからアイドルの子が出ている舞台を誘われて1回、見に行った時に、要は本当に小さな舞台。50人ぐらいしか入らないやつ。あれも結局、チェキで回していたんですよね。

(白幡いちほ)へー!

アイドル以外にも広がるチェキ文化

(吉田豪)イベントが終わった後、物販も別に売るものはないから、出演者とのチェキを。

(白幡いちほ)えっ、それは普通の、アイドルじゃない役者さんも?

(吉田豪)役者。男も含めて。だから地下アイドル的なシステムがいろんなところに回っていて。たぶんでも、舞台俳優とかもなかなか稼げる道がなかったのが……。

(白幡いちほ)あれ、舞台とかも稽古期間が長いからね。

(吉田豪)食えないとか言われていたのが、直で1000円札をもらえる文化ができたっていう(笑)。

(白幡いちほ)そうね(笑)。でも絶対にいいと思うし、なんかバンドとかもやったらいいと思う。

(吉田豪)バンドがね、あるタイミングからどんどん取り組みはじめて。ビジュアル系はもう完全にチェキ屋さんになって(笑)。

(白幡いちほ)バンドさんはでも、まだやっぱりちょっとプライドがある人とかもいるから。まだ全部には浸透していないけど。でもそんなプライド……やっぱり金には代えられないよね。金の方が大事だよ、プライドより。

(吉田豪)フフフ(笑)。いろんな人がチェキをやる瞬間とか、面白いじゃないですか。

(白幡いちほ)うんうん! 「あ、チェキ始めたんだ」みたいなね。

(吉田豪)まあ、ギターウルフのセイジさんが本を出した時、人生初のチェキ会をやるっていう。やっぱりそういうの、燃えるじゃないですか。

(白幡いちほ)ああ、燃える、燃える!

(吉田豪)「セイジさんのチェキ会!」みたいな(笑)。

(白幡いちほ)撮りたい、撮りたい! 人生初のチェキ。

(吉田豪)「ああ、俺も撮りたい!」とか。この前の武道館アイドルフェス、2回目の時になぜかX JAPANのPATAさんが呼ばれて。で、アイドルがなにかのバトルで勝ち抜いたらPATAさんとチェキが撮れるっていう企画で。

(白幡いちほ)アハハハハハッ! 意味わかんない(笑)。

(吉田豪)意味わかんないけど、武道館でPATAとチェキって最高じゃないですか!

(白幡いちほ)撮りたい、撮りたい!

(吉田豪)「俺も撮りたい! いいなー!」っていう(笑)。

(白幡いちほ)それ、オタクも絶対に撮りたいでしょ?

(吉田豪)そう。本気で思ったもん。チェキ会やってくれたら、全然払いますよ!っていう。

(白幡いちほ)ねえ。誰よりも撮りたいでしょ?

(吉田豪)うん。「PATAと撮りてえ!」っていう(笑)。

(白幡いちほ)撮りてー!

(吉田豪)しかも場所、武道館っていう。最高じゃないですか(笑)。

(白幡いちほ)そんな機会、ないもんね!

(吉田豪)(コメントを読む)「あれは売れます」。本当にそうだよね。あの日、2人だけアイドルがPATAさんとチェキ撮っていて。バトルに勝った結果。超うらやましかった。

(白幡いちほ)へー! それは一生の宝だよ。マジで。

(吉田豪)PATAと手でハートとか作ってるの。超最高!って思って(笑)。

(白幡いちほ)最高! いいなー! うわー、それがあるんだったら私も行きたかったな!

(吉田豪)だからチェキ文化は全然……それこそロマンポルシェ。の掟ポルシェがいろいろとTシャツ作ったりとか、マルベル堂でブロマイド作ったりとかいろいろしていたのが、やっぱりある段階でチェキビジネスを始めて。「豪ちゃん、チェキいいよ!」って言い始めて。「チェキがいちばん手堅い」って言っていた。

(白幡いちほ)フフフ、いや、本当にそう。それはそうだよ。

(吉田豪)「豪ちゃんもやった方がいいよ、チェキ」って言われて。でも、なかなかそこは踏み切れない部分があって。

(白幡いちほ)たしかに(笑)。吉田豪さんがやり始めたら、ちょっとリアル感ある。だって絶対にみんな撮りたいもん(笑)。ガチでビジネスとして成立しちゃうから。

(吉田豪)回っちゃいそうでしょう?

(白幡いちほ)そう。生々しい(笑)。

(吉田豪)で、たぶん本業がチェキ屋さんになったらマズいっていう自覚はあるから。あくまでも本業は物書きでなきゃいけないわけで(笑)。

(白幡いちほ)だって全然食えると思うもん。チェキ始めたら。豪さんのチェキ、撮りたいもん(笑)。

(吉田豪)だからそこはちょっと、ねえ。考えてますよ。

(白幡いちほ)撮りたいもんね(笑)。みんなコメントが「撮りたい」「撮りたい」って(笑)。でもそうなったら違う感はある。めっちゃ。

(吉田豪)なるほどね。

<書き起こしおわり>

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