吉田豪さんがニッポン放送『上柳昌彦・松本秀夫 今夜もオトパラ!』に出演。歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの素顔について話していました。
(松本秀夫)今日は歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの素顔を伺います。
(吉田豪)はい。海老蔵さん。ちょうど僕、1回だけ取材してるんですが。それがまあ、よりによってなんですけど、あの騒動後だったんですよ。いわゆる、海老蔵さん事件。
(松本秀夫)いろいろこう、ちょっと・・・
(吉田豪)大変な人たちと。
(上柳昌彦)何年?2010年11月25日。ああ、そんな前になりますか、もう。
(吉田豪)もう、そんなですかっていうね。いわゆる灰皿テキーラ的な騒動。
(上柳昌彦)灰皿テキーラ的な騒動(笑)。
(吉田豪)ありましたけどね。バルビゾン的な騒動の後。それが2010年11月で。2011年に映画『一命』っていうのがありまして。瑛太さんと出た時代劇ですけど。これがちょうど事件のせいで公開が延期されて。
(上柳昌彦)ああ、そうでしたっけ?
(吉田豪)で、ようやく公開されるっていう時の取材だったんですよ。なので、しかも最初が複数の活字媒体による合同インタビューからの単独取材ということで。まあ、その合同インタビューのピリピリ感がすごくて(笑)。
灰皿テキーラ的な騒動後のインタビュー
(上柳昌彦)そりゃそうでしょうよ!その事件後の初めてのインタビューだから、それはもう・・・
(松本秀夫)ちょっと謹慎状態みたいなところですよね。
(上柳昌彦)どこまで踏み込めるのか?とか。どれぐらいしゃべるのか?とかね。
(吉田豪)で、横から順番に質問するように言われて。最初に振られた、女性の記者だったと思うんですけど、すっごい恐る恐る質問したら、海老蔵さんが『すげー声ちっちゃいの、なんでですか?』って(笑)。
(上柳昌彦)そこですか?(笑)。
(吉田豪)あ、そこいじるんだ!と思って(笑)。当然、僕も爆笑して(笑)。そっからちょっと空気ゆるんで。いろいろ聞けるようになって。
(上柳・松本)あー。
(吉田豪)で、単独取材も、まあ緊張感ありましたけど。でも、基本ぶっきらぼうで失礼なようでいても、取材には好意的で。ぜんぜん答えてくれて。
(上柳昌彦)ああ、そういう方なんですか。
(吉田豪)面白かったですよ。僕、そういう面倒くさそうな人の取材の場合、だいたい聞くのが『取材とかって、お好きですか?』って聞くと、まあ当然のようにね、答えますね。『好きじゃないです』っていう(笑)。
(上柳昌彦)うん。『好きじゃないです』って言われた後、次、どうするんですか?吉田豪さんは。
(吉田豪)人のせいにします。だから、『なんでですか?』みたいな感じで、前のインタビュアーがいかに悪かったか?みたいな。
(上柳昌彦)ああ、そうかそうか。言わせるんですね。1回ね。
(吉田豪)共通の敵を探しだすシステム(笑)。
(上柳昌彦)『よく見もしないで聞いて・・・』みたいな。
(吉田豪)『ああ、わかります!』みたいな感じで(笑)。
(上柳昌彦)(笑)。仲間になるんだ!これ、使わせてもらおう。
(吉田豪)そうです(笑)。『嫌ですよね、そういうの!』みたいな(笑)。
(松本秀夫)悪者を作る。『ねー!』っていう。これはすごい技だなあ!いい方法ですね。
(吉田豪)あるある!っていう(笑)。だから『そういうの面倒くさいし、ちょっとエンジンがかかると、それはそれで面倒くさいことになって・・・』みたいなことを言っていて。『面倒くさいってなんですか?』って聞いて、『後で後悔するから』って。
(上柳昌彦)ああ。
(松本秀夫)言ってしまって。
(吉田豪)言いすぎちゃって。
(上柳昌彦)それは思ったより、するんですね。
(吉田豪)そうですね。ちなみに、この時の取材もかなり言いすぎたみたいで。ほぼカットになってましたね(笑)。
(松本秀夫)『さっきのあそこの部分と、あそこの部分と、あそこの部分はナシで』みたいな。
(吉田豪)まあね、映画宣伝用ですからね。
(上柳昌彦)それ以外のところはちょっと・・・というのが入りますね。
(吉田豪)映画宣伝用なのにそれ以外のことばっかり聞いていたんで。海老蔵さんにも言われましたからね。『まだ映画の話、してないじゃない?』って(笑)。
(上柳・松本)(笑)
(上柳昌彦)しかし、豪さんも映画関係者の人がじっと見守る中で、よくやりますね、それを。
(吉田豪)まあだって、合同取材でさんざん映画の話したんだから・・・ぐらいの気持ちで(笑)。
(上柳昌彦)もういいじゃんと。
(松本秀夫)やっぱりでも、そういう映画のこと関係なくても、スイッチ入るとガンガンガンガンしゃべってくれます?
(吉田豪)しゃべってっちゃう。そうなんですよ。僕が探り探り行ったパターンで言うと、昔やっていたフジテレビのドキュメント番組があって。『あれ、面白かったですよ』って言ったら、『あれ、海外で評価されたんですよ』って言ってて。『海外で賞とったんですよね?』っつったら、『そう。僕、海外向けなんですよ』って(笑)。『国内はちょっと・・・』みたいな(笑)。
(松本秀夫)海外向け歌舞伎俳優。へー!
(吉田豪)案外ね、なんなら自虐的なギャグを結構いろいろ言ってくれる人で。面白いですよ。
(上柳昌彦)いまね、ものすごい数のブログの更新がね。
(吉田豪)そうなんです。ブログでようやく素のキャラが出た感じですよね。
(松本秀夫)能町みね子さんがね、そのブログに着目して。文章の「てにおは」も少し・・・だし。
(上柳昌彦)独特の文体なんですよね。
(吉田豪)独特の文体。あの更新しすぎ問題とかね(笑)。あのキャラがようやく伝わったと思うんですよ。ブログで。かわいげはあるけども、かわいげは見えてなかったですからね。ぜんぜん。
(上柳昌彦)そりゃね、歌舞伎をある種背負っている人ですからね。
(吉田豪)あの、だから事件の時に相当いろいろ聞き込みしたんですよ。周囲に。いろんな芸能人の方も含めて。まあ、飲み屋で会ったお笑い芸人の方とかは、誰一人よく言わないんですよ。
(松本秀夫)よく言わない?
(吉田豪)まあ、みんな絡まれたりとかで。
(松本秀夫)絡んじゃう酒なんですね。
(吉田豪)絡んじゃう酒なんですけど。でも、一緒に飲んだ人とかから聞くと、いい話も多数なんですよね。かわいげのある。
(松本秀夫)どんな話が?
(吉田豪)みんなで飲んでて、『ちょっとこの後、誰かの家に行かねえ?』みたいな感じになって。『海老蔵ん家、行こうか?』みたいな感じで言い出した時に、『いや、ヤベーよ。今日、家、團十郎いんだよ。團十郎。團十郎、ヤベーよ!』。
(上柳・松本)(爆笑)
(吉田豪)『團十郎、怖えんだよ!』みたいな(笑)。あ、團十郎、そんな怖いんだ!みたいな(笑)。
(松本秀夫)子どもみたいっすね!
(吉田豪)そう(笑)。
『團十郎、いるんだよ。ヤベーよ!』
(上柳昌彦)いる人がデカすぎて、どう言っていいかわかんないけど(笑)。『團十郎いるんだよ、ヤベー!』って。
(吉田豪)『團十郎、ヤベーんだよ!』って(笑)。
(松本秀夫)(笑)。わかりやすいっすね!
(上柳昌彦)やっぱりそういう先輩に対して頭が上がらないっていうのはあるんですね。
(吉田豪)團十郎、怖いらしいんですよ(笑)。
(上柳昌彦)へー!團十郎さんもね。そうか。
(吉田豪)放送できないレベルで、いい話はいろいろ聞いてますよ。あと、まあね、最近ちょっと有名にっていうか、芸能事務所に入ってちょっとテレビにも出始めたK DUB SHINEさんっていうラッパーの方がいまして。キングギドラっていうヒップホップのグループにいた人なんですけど。ケーダブさんがサウナで偶然出会った海老蔵に説教した話っていうのが結構好きで。
(上柳昌彦)海老蔵さんに説教したんですか?
(吉田豪)説教したんです。
(上柳昌彦)なにを、どう?
(吉田豪)あの、はしゃいでたんですよ。伊藤英明さんと一緒に、水風呂で水かけっことかしてて(笑)。
(松本秀夫)あの俳優の伊藤英明さんと?肉体派の2人がサウナで、はしゃいでる。
(吉田豪)まあ、この2人が組むと結構な騒ぎになっちゃうのが有名なんで。この2人がワーッ!ってやっている時に・・・
(松本秀夫)あ、仲いいんですね。それを、たしなめたんですか?
(上柳昌彦)『静かにしろよ!』と。
(吉田豪)ピシャリと言ったという。
(松本秀夫)なんか修学旅行の、ねえ。生徒みたいな感じですけど。
(上柳昌彦)伊藤英明さんもさ、『海猿』とかで鍛えまくって。こんな体してるし。海老蔵さんだって歌舞伎役者っていうのはすっごい体だから。結構声かけるの、勇気いりますよ、これは。
(吉田豪)で、ちなみに僕がその海老蔵さん事件の時にいろんなテレビ局から『海老蔵さんのネタ、なにか持ってないですか?』って言われて。そんなに海老蔵さん、当時取材もしてなかったんで。『交流もないです』って言った時に、ちょうどその日が偶然、そのK DUB SHINEさんとのイベントの日だったんですよ。『いま、横にいる、あるラッパーの人がサウナで説教したことがあるんですけど。(電話)かわりましょうか?』って言って。即その場で紹介して。翌日放送の『アッコにおまかせ!』でK DUB SHINEのパネルが使われて(笑)。
(上柳・松本)(笑)
(吉田豪)ものすごく凶悪そうな人の写真が出て。『俺は説教したことがある』みたいな(笑)。結構な放送事故になっていて面白かったですよ(笑)。ずーっと放送中、後ろに悪そうな人の写真が・・・(笑)。海老蔵さんよりこっちの方が悪そうじゃねーか!みたいな(笑)。
(松本秀夫)(笑)
(上柳昌彦)説教された2人は『ああ、すいません』ってなったんですか?
(吉田豪)なったみたいです。
(上柳昌彦)それはよかったですね。
(松本秀夫)シュンとする時はやっぱりシュンとしちゃうんですね。あの、その問題の事件とかに関しても、やっぱり聞かれたんですか?
(吉田豪)それも相当調べたし、そのことも突っ込みましたし。放送ではあまり言いづらいですけど、この事件の時の敵対していた、その相手のグループ側の人からも僕、話聞いてますから。
(上柳昌彦)またいろんなところに入り込みますなあ。
(吉田豪)もはや報道のレベルでしたけど(笑)。
(上柳昌彦)腕章つけたくなる感じですね。
(吉田豪)でも、その敵対していた側の人も、実はそんなに悪く言ってなかったりとかして。『酒癖悪いだけなんだよな、あいつ』って(笑)。
(松本秀夫)飲んだ席でのことだよっていう。
(上柳昌彦)だから、酒がある程度のところまではいい人なんですよ。きっとね。いい人なんですよ。仲間思いの。で、あるところを超えちゃうと、もう・・・
(吉田豪)どうしようもないと。
(松本秀夫)やっぱりもう、覚えていないってことが結構あったりするんですかね?
(上柳昌彦)そうだね。まあでもね、最近のその海老蔵さんの歌舞伎に対する姿勢なんかを取り上げた番組なんかを見ると、本当に真剣にお弟子さんとか若手の人にものすごく厳しく演出つけて。ああ、この人、歌舞伎・・・どんどんどんどん歌舞伎の神様が名優の人を持って行っちゃうもんだから、ここをなんとかしなきゃいけねえぞ!っていう思いではあるでしょうね。
取材の裏テーマ
(吉田豪)ちなみに僕がこの時の取材で裏テーマで設定していたのが、『海老蔵さん、いろいろあったけれども、下手に反省はしてほしくない』っていうテーマの(笑)。そう言いに行ったんですよ。実は。『ある程度の反省は必要なんでしょうけど、下手な反省はしてほしくない』って言ったらね。で、『それが面白さを欠くような流れになってほしくないと思っていたんですが、大丈夫だ!っていま思いました!』って報告するっていうね。で、爆笑してくれて。海老蔵さんも。『僕は変わんないですね』みたいな感じで(笑)。
(松本秀夫)『変わらないですね』と。
(吉田豪)『安心しました!』っていうね。まあ、こういうのは載らないですね。やっぱりねっていうね。よかったですよ。でも、こういう話をしていて、勝新太郎に対するあこがれを話し始めるんですよ。
(上柳昌彦)ああー。
(吉田豪)だから勝新さん的な酒の席での粋さが足りなかったっていうのがたぶん、ポイントですよね。
(上柳昌彦)なるほどね。
(吉田豪)だからその、『ガンでね、退院した記者会見でね、「タバコはやめた」って言いながらタバコ吸ったりとか。かっこいいじゃないですか!』っていうね。そういうところにあこがれる人なんですよ。だから、『俺が「酒をやめました」って言って、日本酒を持ってきて、「カーッ!うめーっ!」って言ったらさあ、許されないでしょう?』っていう(笑)。そりゃそうだっていうね(笑)。
(上柳昌彦)そこまではまだ行ってないと。
(松本秀夫)そのレベルに、でもね。
(吉田豪)そもそも勝さん、タバコで怒られたわけじゃないですからね(笑)。そこで大麻吸ったら怒られますよ!ってことですよ(笑)。
(松本秀夫)パンツでしたね。
(上柳昌彦)まあ、でもね、なんて言うか、お行儀のいい人ばかりじゃあ、やっぱりつまらないのはたしかでね。
(吉田豪)だから、面白かったですよ。『本当にね、世の中、結婚もしてない、なにもしてないのに、彼女とメシ食いに行っただけでなんか言われちゃうとかね。ひどい時は俺がラーメン屋さんで男性の付き人とラーメン食っただけで写真週刊誌に載ったこともあった』って言って。『すごい食べ方したわけでもないのにですか?』って聞いたら、『ううん。すごい食べ方したんですけど』って。だから載るんですよ!っていう(笑)。
(上柳昌彦)へー!
(吉田豪)理由、あるじゃん!っていうね(笑)。
(松本秀夫)隙というか、豪快にやっているから。ネタにはなるんですね。
(吉田豪)でしょうね。なにもしてないのに・・・じゃないんだと思うんですよ。基本、この人は。
(松本秀夫)それを、やっぱり続けてほしいっていうことですよね。
(吉田豪)もったいないですよ。
(上柳昌彦)まあ、それが魅力になっていくんですよ。
(吉田豪)法律を犯さないレベルでね、面白いことをやり続けてほしいっていうね。
(上柳昌彦)『海老蔵だから、いいんだよ』っていうことになるんでしょうね。
(吉田豪)『まあ、国宝級だから許しましょう』みたいな(笑)。
(上柳昌彦)『いいんだよ、舞台の上がよけりゃ。俺は構わねえ』っていう人がいっぱい・・・
(吉田豪)ある程度まではセーフにしましょう!っていう(笑)。
(上柳昌彦)ある程度まではね(笑)。はい。ということで今日は市川海老蔵さんのお話でございました。
<書き起こしおわり>