(星野源)さて、アルバムの話。『POP VIRUS』という星野源のニューアルバムが12月19日に発売になりますということで、今日発表されまして。その話をたくさんしております。なんで、いろんな方からのメールも来ていたんで、ちょっと紹介しましょう。看護師さんの方々とか、看護師さんに関してのメールが来てます。横浜市の方。「現役看護師です。源くんの言葉で今日1日の頑張りが報われました。本当にありがとうございます・そして看護学生の皆さん、待ってますよ。国家試験、頑張ってくださいね。試験に合格してドームに行きましょう」。いいですね。ありがとうございます。
川崎市の方。「源さん、ナースしてます。浣腸上手いです」。フフフ(笑)。その自己紹介、いいですね。「どうも、浣腸上手いです。先ほど、イエマガと『POP VIRUS』予約しました」。ありがとうございます。大阪府の方。「看護師さん、本当に大変ですよね。実は我が家の長女も看護師志望です。過酷なお仕事とわかっていますが、娘のやりたい気持ちを尊重し、応援したいと思います。明日、娘が起きてきたら、きっと夢見る看護師さんへの憧れを強く持つと思うので、源くんの言葉を伝えてあげようと思います」という。ありがとうございます。
本当に、僕がお世話になった看護師さんはみんな結構元気な人が多くてですね。というか、生命力にあふれているというか。本当にそういう人が日本を支えているんだなという風にすごく思います。ぜひね、試験をがんばってください。福岡県の方。「先ほどの不登校の子のお母さんの話、とても感動しました。僕は不登校ではないですが、仲間はずれ的なものにあっていて、とてもいま『学校に行きたくない』と毎日考えています。でも源さんと寺ちゃんの話を聞いて、『学校に行かなくてもいいんだ』と思うようになりました」。ああ、そうそう。全然行かなくてもいいよ。
「……また今回の発表で生きる希望が生まれ、福岡のライブの日を楽しみにもう少し頑張ってみようかなと思いました。元気をもらいました。ありがとうございます」。ああ、イエーイ(拍手)。ありがとうございます。そうですね。是非ライブに来ていただきたいと思いますね。そうそう。CM中もね、寺ちゃんと話していたけども(笑)。こういうの、やっぱりあんまりないよね。こういうことを話すこともね。面白いよね。
さあ、そんなわけで『POP VIRUS』の話を続けていこうと思いますが、そんないろんなコンセプトがあります。自分の音楽っていうものがすでに何か日本というところ、そして国外も含めてなんかすごくウィルスのように、パンデミックを起こしたかのように知っていただくことができた。とてもそのありがたい気持ち、そしてそれがすごく楽しかったし、嬉しかった。そんな気持ちを込めて、自分の思うポップスというものが広がる様を表現して『POP VIRUS』というというタイトルにしました。
そしてもうひとつは、なんかそういった活動を続けていくとですね、どんどんどんどん自分の中で、まあいろんなことが起こるわけです。そのことによって。いろんな有名になるということはですね、なんかいろんなことを引き起こすわけで。そんな中で自分の心っていうものはどんどん耐えられなくなっていてですね、病んでいってしまうという。で、それも「ポップ病」じゃないけども、ポップであることで生まれるなにか辛さみたいなものを『POP VIRUS』というタイトルにしてもいいのではないかと。そして、楽曲そのものがですね、すごく楽しい曲もあるし、暗い曲も多分あると思います。なので、そういうのも含めて……『アイデア』という曲がもうすでにそうなんですけど。あの曲はだから今回のアルバムをすごく表してるような気がするんですが。
なんかそういう楽しいものも自分の大事な部分ですし、暗い部分というものも自分の大事な部分であるというのも含めて、「ポップ」という言葉と「ウィルス」というダークな言葉を合わせて『POP VIRUS』というタイトルにしました。で、でですね、もう1個あるの。「話すことが少ない」とか言いながら、もうね、もうすぐ1時間たつみたいな。すいません。で、『POP VIRUS』という言葉というのは僕が考えたわけではないんです。もともと考えていたのですね、川勝正幸さんという方。その方が、実はいちばん最初に考えた方でございます。
もともとは川勝正幸さんの言葉
で、この川勝さんという方に僕はすごくお世話になっていて。エディター、編集者であり、ライターだったんですけども。いま、テレビブロスで連載している細野晴臣さんとの『地平線の相談』という連載、その連載のお話をまず僕がいただいて、「細野さんとの連載はどうですか?」っていうお話をいただいて「ぜひやりたいです」と。で、「ライターさん、お話を聞いてまとめる人を誰にしたいですか?」という時に「川勝さんがいいです」っていう風に僕が言って、リクエストしてそこから僕と川勝さんはお仕事をするようになりました。
僕は川勝さんの本をですね、19歳の時に買って。この話もですね、『ダヴィンチ』にも載ってるんで、ぜひそれも読んでいただきたいんですけど。川勝さんの本を買ってですね、その中で川勝さんがいろんなカルチャーを紹介してですね。そのカルチャーを紹介した切り口だったり、楽しみ方だったり、その実際のカルチャーだったり。まあ演劇だったり映画だったり音楽だったりドラマだったり、いろいろと。その楽しみ方そのものにすごく影響を受けて。そこから自分の表現という形に影響を受けてですね、自分はいろんなところで表現をするようになりました。
で、自分が何かやるきっかけになったっていうわけではなくてですね、自分がやる上で何か指針みたいなものというか。まあ、そういうものをすごく与えてくれた方なんです。で、その川勝さんの本で僕が出会った本と言うのは『ポップ中毒者の手記(約10年分)』という本なんですけど。これはだからすごい、かなり前に出た本なんですけど。
それをね、いまは亡きっていうか、渋谷にでっかいブックファーストがあったの。いまは違うお店になっちゃったんだけど。あそこの地下でね、19歳ぐらいの時に表紙がなんか「かっこいいな!」って思うような表紙で。で、川勝さんの存在はなんとなく知っていたんですけど、それをきっかけにジャケ買いしましてね。で、そこの中でいろんなポップカルチャーの楽しみ方っていうものが書かれていて、それに影響を受けたんですけど。その前書きの中に「ポップウィルス」という言葉が出てくるんです。それで僕、『POP VIRUS』って思いついた時に「なんかすごい聞いたことがあるんだけど……」って思って。
でも、なんとなく検索してみたんだけど出てこなくて。「あれ、あれ何で出てこないんだろう?」って思って、すごい頭の中でぐるぐると考えて、「あっ、川勝さんだ!」って思って。「そうだ、思い出した!」って思って。で、その川勝さんはその前書きの中で、まだインターネットが発達する前の時代の話なんですけど、「世界中で同じタイミングで同じ音楽が流行る時がある。それはどう考えてもそれって”ポップウィルス”というものがあるとしか考えられない」という書き方をしていたんですよ。で、その本はパッと見、評論集みたいな。まあいろんなカルチャーを評論しているように見えるんですけど、これは評論集ではなくて「僕がポップウィルスというウィルスに感染した状態でうわ言のように書いた本なんだ。だから何かを批評するのではなくて、感染して楽しむ。ただその楽しかったことを書く」っていう。
だからその姿勢というもの。それは本当に川勝さん自身をすごく表してるんですけど。めっちゃくちゃ優しい人で、でもめちゃくちゃ男気があって、芯のある方で。かつ、何て言うんだろう? 「私が、私が……」っていうのはなくて、人のことを常に考えてるような人。なんかそういう方だったんですけど。なんかその性格を表していて、とっても好きな本なんですよね。
で、その中で「ポップウィルス」という言葉があって。改めて思ったんですけど、あの本を手に取った時点で僕は多分そのポップウィルスに感染してるんですよ。で、僕はその川勝さんはいろんなポップウィルスに感染したんだけど、またその宿主に川勝さんがなって、それが僕がその本を手に取ったことによって僕が今度は宿主になって。で、またそのポップウィルスをいろんな人と共有するというか、感染させることによって何か面白いものとか面白い音楽だったり、僕がやってるのは音楽ですけど。面白い音楽っていうものを感染させることができるんではないかと。だから、川勝さんが生んだ「ポップウィルス」という言葉に、僕のなんか遺伝子情報みたいなものも入れて、またさらに感染させていくっていうことができたいいんじゃないかなっていうのも含めて、「ああ、そうだ。これをやろう」という気持ちになれてですね。それで『POP VIRUS』というタイトルにすることができました。
なので、その本の中に僕、すごく好きなのはポップなものも、あとマイナーなもの。有名なものも無名なものも、楽しいものも苦しいというか怖いものとかグロテスクなもの。アングラなものも、ものすごい有名なものも全部含めて、川勝さんって……「サブカルの人」ってすごく言われていたんだけど、僕は「そうじゃないんだ」ってすごく思っていたのは、川勝さんは絶対に「サブカル」って使わなかったんですよね。そういう自分が好きなものとかカルチャーを紹介する時に全部、敬意を込めて全てに「ポップカルチャー」っていう言葉で伝えてたんですよね。それって「世間の誰がなんと言おうと、俺が楽しいんだ。これはサブではなくポップなんだよ!」っていう、そのメッセージみたいなものをすごく感じて。「これってポップだろう!」っていう。
で、さらにそのポップという楽しみ方、「これをポップとして楽しむのか!」っていう楽しみ方を川勝さんがさらに教えてくれたような本で。そういうのも含めて、今回のアルバムの中には僕の中の「これはポップだと思う」っていう……「暗い曲だけど僕はこれ、ポップだと思うんだよね」っていう曲が詰まってると思って。で、「楽しい曲。これも僕のポップです」っていうような、そういうのもありまして『POP VIRUS』というタイトルにさせていただきました。結局、いっぱい話してしまったという感じでございます(笑)。川勝さん、元気でやっていますでしょうか? フフフ、そうね。もう亡くなってしまったんで、とても寂しいですが。いつもね、いまでも細野さんとの連載は続いていて。そのたびに川勝さんの話によくなったりするんですけども。
川勝さんにもこのアルバム、是非聞いていただけたらと思っております。そんな感じで……いろんな情報がありましたね。『POP VIRUS』というニューアルバムが12月19日に発売でございます。そして来年2月2日の京セラドーム大阪から、3月10日の福岡ヤフオクドームまで。もちろん東京ドームも入っておりますよ。全5ヶ所、8公演でございます。星野源のツアー、『POP VIRUS』ツアーね。是非皆さん、遊びに来ていただきたいと思います。そんな感じでオフィシャル・イヤーブック『YELLOW MAGAZINE』の購入者のみご利用いただけるWEBサービス、イエローパスでですね、最速チケット受付先行が応募可能になります。
イエローパス最速チケット、先行受付期間は10月27日(土)。お昼12時から11月14日(水)までということで、まだまだ全然間に合うね。まだ全然間に合います。なので、アスマートというところで買えるので、『YELLOW MAGAZINE』。ぜひみなさん、買ってみてください。チケット一般発売は2019年1月12日(土)でございます。詳しくは星野源オフィシャルホームページをご覧ください。さあ、曲ってかけていいんですか? 大丈夫ですか? よーし、じゃあそんな感じでこのアルバムに入る曲をもう1曲、かけさせていただこうと思います。
なのでいろんな情報……なんか特典とかさ。あっ、その話もだ! 今回も特典映像があるんですけども、死ぬほど面白いです! アハハハハハハッ! なので、「すごいのできました」っていう。それもね、ちょっと大変だったんです(笑)。その話もまたちょっと、いずれできると思いますんで、是非皆さん……あ、まだ話すことあった(笑)。今回、初回限定ブルーレイ付きとDVD付き。どっちも特性ブックレットがついていて。で、もう1個、通常盤の初回仕様っていうのがあって、前回の『YELLOW DANCER』の時も全部一緒なんですけど、特製ブックレットだけついてるっていうのがあります。あと、通常版もあります。
これは何というか、僕だったら割とそのブルーレイを買ったりもするし、あとはその作品性ってそのCDの作品、音で結構完結するような部分もあるから、「ブックレットだけ」っていうのも欲しいなとよく思っていたんですよ。なんか、あの初回盤っていうものに中で「特製ブックレット、そしてブルーレイもついてます! DVDもついてます!」っていうう中で、「それももちろん買うんですけど、あの……ブックレットだけついてるのも欲しいんですけど。特製ブックレットだけ読みたいんですけど」みたいに思ったことがあって。で、それを作りたいっていうことで前回の『YELLOW DANCER』から作るようになりました。
そんなわけで、ブルーレイとかDVDを買った方はもちろんブックレットもついてくるんで、「なんだ全部揃えなきゃいけないじゃないか!」っていうことじゃあもちろんありませんので。ブルーレイもDVDも同じ内容でございます。なので、そんな感じでまあ4種類。通常版も含めてありますので、是非皆さんチェックをよろしくお願いします。(ささやくように)予約開始しております……。そんな感じで星野源の『POP VIRUS』というニューアルバム、何卒よろしくお願いいたします。その中に入る曲、このコンセプトを決めた1曲と言っても過言ではないでしょう。聞いてください。星野源で『アイデア』!
星野源『アイデア』
さあ送りしたのは、星野源ニューアルバム『POP VIRUS』。12月19日発売でございます。絶賛予約受付中でございます。そこに収録される星野源の新曲でございます『アイデア』でした。そしてもう、いろんなこと話したので話し終わったと思ったけど、ジャケットのことを話していませんでしたよ。そうだよ、そうだよ。フフフ、ジャケットも質問があったよ、最初の方にね。「制作秘話はどんな感じですか?」っていう。
「心臓」のジャケットデザイン
今回もですね、吉田ユニちゃんがですね、デザインをしてくれました。もうすごいよね、本当に。いつもですね、『YELLOW DANCER』の時もそうだったし、その後の『恋』や『Family Song』、『ドラえもん』もそうだったんですけど、僕が楽曲のコンセプトとか思いをですね、伝えてユニちゃんがいくつかアイデアを出してくれるという形だったんですけど。今回、伝え方として「POP VIRUS」という言葉のさっき説明したようなことと、楽曲もなんか、楽しいこともあるし明るい早い曲とかもあるし、ゆったりした曲もあるという。そういう意味で、楽しい部分だったり温かい部分っていうのと、なんかグロテスクな部分みたいなものを感じれるようなジャケットがいいな、なんてことをぼんやり話したんですよ。
そしたらその後に、僕から「こうしてほしい」って言ったのはいままでの作品の中で1個もないんですけども。ユニちゃんが全部アイデアを出してくれたことがほとんどだったと思うんですけど。今回もですね、「こういうの、どうですか?」っていう案をいただいて「天才! もうすっげーな!」って思って。びっくりしちゃって。で、「まだ見たことないよ!」っていう方がいたらぜひ、ウェブとかがあったら『POP VIRUS』で検索をしてみてください。とっても美しくてあたたかくてグロテスクなジャケットなので。めっちゃかっこいいです。
で、これは人間の心臓を花、そして土、そして根っこで表現をしているんですけども。「実写ですか?」っていうのもありましたけど、完全に実写です。で、これを撮影しているカメラの後ろに僕、います。フハハハハハッ! これね、夜8時ごろに始まって、朝7時までやっていました。で、僕も朝7時までいました(笑)。ずーっと。で、ブックレットの中の写真とかもいろいろと撮ったんですけど、そっちも超ヤバいんですけど。かっこいいんですけど。いわゆる、本物の土だし、本物の茎だし、本物の花だし、本物の根っこなんです。なので、これはたくさん、ちゃんと1からそういう形になるように作っていくという途方もない時間のかかる作業を……すごいです、本当に。ちゃんと栄養を与えながらというか、いじめる形にならないように。ちゃんと大切に扱いながら作っていって。
このジャケットのアイデアを見た時も「ヤバいな!」って思ったけど、ユニちゃんのすごいところは基本的に全部実写でやるんだ!っていう。CGを使わないぞ!っていう。なんかその、「吉田ユニ」で検索をするといろんな作品が出てくると思うんですけど、その作品のほとんどがCGを使っているように見えるけど一切使っていないという。で、その作品を『YELLOW DANCER』のちょっと前ぐらいに見てすごい衝撃を受けて。それで『YELLOW DANCER』からお願いするようになったんですけど。今回もすごかったです。
で、ジャケット撮影というかそういう撮影を最後まで見守るということが僕、はじめてだったんで。僕、書き物をしなくちゃいけないっていうのもあって。『ダ・ヴィンチ』のエッセイを書かなくちゃいけなかったので、7時間以上かけてずっとカタカタやりながら、その撮影の雰囲気を見守り。で、美術の山田さんとかと作って、ユニちゃんも作って……みたいな様子を見て「すげーかっこいい現場だな」って思いながら。本当に素晴らしいです。ちゃんと心臓という……で、さっき医師の方がね、褒めてくださったという。「しっかりしていました」というのもすごくうれしいですね。そういう風に言ってもらえると。
で、本当に中も見てほしいっす。中、すごい。中もすごいんで。これは人が何人だろう? 8人ぐらいかな? 丁寧に丁寧にいろんなものを作っていってできているんで。ぜひ……もちろん音もたくさんの人が丁寧に丁寧に作っていますけど。今回、『アイデア』は配信だけでしたけど、CDとして物がありますので。ぜひ物も手に取っていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。ということで、CMに行こう。ありがとうね、聞いてくれて。