星野源 SUMMER SONIC2023・ライブ中の過呼吸と乗り越えた先の新境地を語る

星野源 SUMMER SONIC2023・ライブ中の過呼吸と乗り越えた先の新境地を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年8月22日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身がプロデュース&キュレーションをしたSUMMER SONIC2023・ビーチステージ“so sad so happy”の模様を振り返り。朝から忙しく動く中で自身のライブ中に過呼吸的な状態になってしまったものの、それを乗り越えてこれまでに感じたことのない新境地に到達したという話をしていました。

(星野源)さあ、サマソニね。サマソニも話すこと、いっぱいあるわ。“so sad so happy”。私、星野源がプロデュース&キュレーションさせていただきました。1ステージを丸々、俺にくれるってすごくないですか?(笑)。すごいことだよね。いや、マジで自分1人でやったら何億円かかるんだ?っていう話なんですよ。本当に。だから、それを「どうぞ」みたいな感じで。「すげえな、サマソニ!」って思うんですけど。ありがたかったです。しかも自分の友達をね、呼ぶことができて。たとえばビジネスとか、本当にただラインナップして、よさげな人を呼んだとかじゃなくて。

もう自分と既に交流があって、心から信頼してる人を呼んで。ちゃんと僕っていう人間を介してですね、別々の国だったりとか、文化から……あと、同じ国だったとしても生まれが違うみたいな人たちがひとつのステージで音楽を繰り広げるっていうのはすごくすごく、たぶん面白い空間になるだろうな。ここにしかない場所になるんだろうなと思ったら、見事にそうなった感じがして、僕は本当に嬉しかったです。気持ち良かったし、楽しかった。

で、僕のステージの話をした方がいいんだな。たぶんな。なんですけど……僕のステージはね、本当にいろんなことがあったんですよ。で、僕は朝から入って、ずっとその場所にいて。メッセの方に本楽屋があるんですけど、1回も俺、帰っていないんですよ。で、メッセの方にちゃんとした食事場があるの。だから俺、飯を食ってないの。飯食ってないので、最初のお弁当はあるのね。最初のお弁当はあって。みんな、他の出演者は基本、暑いからメッセのちゃんとした楽屋にいるの。で、自分の出番の時だけ来るんだけど。俺はずっとあの現場にいるから。で、全員の前説とかをするんで。それでいたし。

で、そうだ。最初にニッポン放送の檜原社長が挨拶に来てくれて。差し入れをくれたりとかして、嬉しかったんですけど。それで、もう超忙しいわけ。袖でも聞くし。主催者っていうか、プロデューサーが聞かないとか、ありえないし、なんか嫌じゃない? 呼んだ人のをちゃんと聞かないのって。で、聞きたいし、最高に楽しくて。それで裏で取材があったりとか。あと全員の写真の確認とか、いろいろワーッてして。片時も休む時はないわけ。

それで自分の出番になる前に、「飯が食いたい!」と思ったんだけど。それこそもう、みんな忙しいわけ。俺以外の人たちも全員、忙しいの。だからお弁当とか取りに行くのもできなくて。で、1人、そのスタッフの人が買ってきてくれたお弁当があったんだけど、それが茶色っていうお弁当だったの。茶色 on 茶色 on 茶色な……茶色すぎて、お腹がいっぱいになっちゃうやつだったの。で、歌う時にお腹いっぱいだと、めっちゃきついんですよ。だから「無理だ……」と思って。そこで俺を助けてくれたのが、檜原社長が差し入れてくれたバナナだったの!そう。俺は檜原社長のバナナにマジで救われました! バナナって、消化も早いし。だから、すごく助かったんですけど。

ライブの途中で過呼吸に

(星野源)そこで出て。もうなんかね、途中でちょっと過呼吸みたいなっちゃったんですよ。たぶん疲れもあったとは思うんですけど、楽しすぎて、興奮しちゃって、というのもあって。でも、なんか限界みたいなのを自分ですごい感じたんですよ。で、それで息がねちょっとね、なんて言えばいいの? 普通にしっかり吐いて、ゆっくり吸うっていうやり方をいつもしてるんだけど。その1吸いが3吸いぐらいになっちゃう。「スッスッスッ」みたいな、勝手に吸っちゃう。で、そうするとやっぱり苦しくなって。「これはもう、歌えません」みたいになっちゃって。

で、そんな中で「これはもうやばい。限界だ」って思ったんですけど……それで僕がたとえば「ちょっと休憩させてくれ」って言ったとするじゃないですか。で、俺の出番の前に既にすごい押していたの。やっぱり、しょうがないんだよね。それって。いろんな人が出るから。だから、僕は押せないんだけど。たとえば僕が「5分、ちょっとだけ休ませて」って言って休んだとしたら、その後のジェイコブが1曲、やれなくなるの。僕の後でやるジェイコブ・コリアーが1曲、減らさないといけなくなる。わざわざ来てくれて、しかもトリをやってもらって。そのアーティストが1曲、減らされるっていうのは俺はプロデューサーとして嫌だなって思ったから「俺は、やる!」ってなって。

で、その中で、でももんな知らないけど「たぶん、この今の一瞬を切り抜けたこの先には何か、面白いことが待っている気がする」と思って。なんかそういう勘みたいなのがあったんですよ。で、マジでダメだったら俺はたぶん、止めてるんだけど。「あっ、これはたぶん行けるやつだ」ってなって。その後が『くだらないの中に』っていう曲だったんですけども。その『くだらないの中に』ギターでポロンって弾き始めて。「ふぅ……」って一息ついたら、もう息がスーッて落ち着いて。なんか知らないけど。それまで、ちょっとしんどかったんですけど、すごい元気になってきて。で、曲のテンポがめちゃめちゃ遅く感じたんですよ。

で、自分が歌う時に込める感情みたいなのがあって。それって、たとえば「20」込めたとするじゃないですか。そうすると、いつもの感じで、ここでこういう感じで気持ちが込もるみたいなのがあったとしたら、「2」込めるだけで「20」込もっちゃうみたいな。なんかものすごく、自分の中で……この言い方はちょっと恥ずかしいけど。新・星野源になったみたいな、なんかそんな感じがしたたの。超進化みたいな。なんか知らないけども。その1回、「きつい」みたいなところをバーンと超えた時に、それになって。

そこからもう、楽しくなっちゃって。楽だし。すごい楽だし、すごい感情がこもるし。自分の歌い方も全部、そこから変わって。『Week End』っていう曲を歌ってる時とかも、遅いの。で、もちろんテンポは変わってないんだよ? でも「さよなら、目が、覚めたら……♪」ぐらいの感じなの。自分で歌ってる感じは。めっちゃ遅くて。だから、たぶん研ぎ澄まされすぎてるんだと思うんだけど。自分の感覚が。

感覚が研ぎ澄まされまくった新・星野源になる

(星野源)だから、その30フレームの映像が60フレームになったみたいな。なんかそういう感じがあって。なんかもうね、スーパーサイヤ人みたいな、まさにそんな感じになった気がして。「やってよかったな!」っていうのをすごく思ったんです。で、お客さんが本当にめちゃめちゃ入ってくれて。わかんないけど、おそらくたぶんビーチステージ初なんじゃないかと言われまして。実際はわかんないんですけど。入場制限になって。あんな景色のビーチステージは見たことがないっていうぐらい、ブワーッと人が入って。で、全員がぐちゃぐちゃに踊っているみたいな。

で、すごいそれぞれが勝手に楽しんでるみたいな感じがあって、非常に嬉しかったですね。で、当番組のディレクターのね、落合くんも見に来てくれて。岩田さんも見に来てくれて、ありがとうございます。そしたら、さっき話を聞いたんだけど。落合くんが見ていた横でね、たぶん僕のファンらしき人が2人いて。なんか写真を撮ってるんだって。それでよく見たら……それは僕のステージ前の、まだ転換してる時に写真を撮っていて。で、「何を撮っているんだろう?」と思ってふと見たら、ステージが後ろにあるでしょう? その手前に野上アクリルスタンドを置いて、写真を撮っていたんだって。

だから前のね、当番組ディレクター野上くんのアクリルスタンドをグッズで作ったんですけど。それ越しにステージを撮っていて。で、「リスナーだ!」ってなって。落合くん、ディレクターですから。「嬉しいな」って思ったらしいんだけど。その直後にその2人が「ねえ。これ、見られて私たち2人、野上推しって思われたら嫌だね」って言っていたんだって。アハハハハハハハハッ! 「野上推しって思われたら嫌だね」って言いながらすごい写真を撮っていたらしくて。「今日、落合さんとか岩田さんとか、来てるかな?」って横で言っていたらしくて。「来てるよ!」って隣ですごい思っていたんだって(笑)。「すごいいい話!」って思って(笑)。

(中略)

(星野源)どうも、こんばんは。星野源です。先日、サマソニで自分がね、ステージを丸々1個、貸してもらえるというすごい機会がありまして。世界中からいろんなアーティストを呼んで、キュレーション、プロデュースをさせていただきました。その感想が届いておりますので、読んでいきたいと思います。「サマソニ、行きました。“so sad so happy”、最高でした。素敵なステージで自然と笑顔になってしまいました。源さんが開幕宣言に出てきてくれた時、『ラジオを聞いてる人?』との問いかけにほとんどの人が手を挙げていて、いつも1人で聞いているラジオに本当にこんなたくさんの同志がいるのかと少し泣きそうになってしまったと同時に、『もしかしたらこの中に知っているラジオネームの方もいるかもしれない』とニヤニヤしてしまいました。

源さんのステージでは、サプライズでサム・ゲンデルが出てきたり、UMIさん、そしてジェイコブさん、カミーロさん総出のフィナーレもフェスならではで最高すぎました。源さんも出演アーティストの皆様も最高な夏をありがとうございました。PS 『ドラえもん』の時、赤と白の照明の中、源さんが赤い衣装で歌っているのでステージ全体がドラえもんに見えてテンション爆上げした」。おお、すごいね、それ! そうかもね。いやいや、あのね、僕の照明さんはすごいんですよ。だからそれ、たぶん考えてると思うんですよ。すごい! それは俺には教えてもらえなかったから(笑)。それはたぶんね、考えてると思う。すごいね!

東京都の方。これはたぶんあれだね。さっき話した『くだらないの中に』の時の話だね。「源さん。それは俗にいう『ゾーンに入っていた』のではないでしょうか? 世界陸上の話も相まって、源さんがひとつ超人への階段を上がったように感じます」。これはね、ちょっと自分で言うのも恥ずかしいんですけど、本当にそう思うんだよ。なんていうか……なんかやっぱり、やってないことをやるわけじゃないですか。“so sad so happy”っていう。やってないことをやる時って、やっぱり不安なんですよ。「これ、大丈夫なの?」って。それは「これ、やって大丈夫なの?」っていうのもあるし。あと「こんなに忙しい中で、自分のステージをやれるの?」みたいな。でも、なんか知らないけど俺の勘は「やれる」っていうか、もう「やる」なんですよね。だから「やるしかないわ」っていう感じなんですけど。

で、「なんかいいことが起きそうな気がする」みたいなことを思っていて。アホみたいなんですけども(笑)。「なんかいいこと、起きそうな気がするー」と思っていて。そしたらやっぱり「すげえつらい……」って自分のステージでなって(笑)。でも、「すごいつらいんだけど、これの後にたぶんなんか、すごいいいことが起きる気がするぅー!」と思っていて。そしたらですね、なんかまさにそんな感じになって。で、そのゾーンに入っていたっていうのも、たぶんそうだと思うし。あといわゆる「”1″を超える」みたいなね。僕の『生命体』の歌詞。前に時に説明したやつと同じ状況だと思うんですけど。「無我」っていうか。全く自分と外との境がなくなって、空っぽみたいな。無みたいな。

だからその後も、なんにも考えないですごい楽しいっていう感じだったんですよね。いや、本当に。もう俺がたまに出すあれですけど。『ジャングルの王者ターちゃん』でターちゃんが1回、瀕死の状態になるんですけど。で、みんなからすごい心配されて。「ターちゃん!」ってなるんだけども。急に、めちゃめちゃびっちょり汗をかいて。もう倒れているんだよ? ブワーッて体からいろんな水分が出てきて。「うわっ、死んじゃったかもしれない」ってなったら、その後にめちゃめちゃ強くなって蘇るみたいなのがあるんですよ。

ターちゃんが死にかけて復活したようなイメージ

(星野源)で、その感覚になる気がするって思いながら。その主観的な俺とすごい客観の俺がいて。その客観の俺が「たぶんそうなるよ」みたいな感じで言っていて。で、そしたら本当にそうなったので。フフフ(笑)。なに、この説明? アハハハハハハハハッ! なに、このラジオ?(笑)。ごめんなさい。俺に起きたことを今、普通にそのまま話してるだけなんですけど、なに、このラジオ?って感じでしたけど。そうなんだよね。だから本当に、よかったです。よかった。

(中略)

(星野源)東京都の方。「夜のビーチ、埋め尽くした観客の中でめちゃくちゃに踊って歌って盛り上がった源さんのあのライブ。途中でまさか過呼吸になっていたと後から知ってびっくり。源さんの中で何かを超えた瞬間だったんですね」。うん。そうだと思います。「源さんが昼から何度も観客に『無理しないで』と呼びかけてくれたおかげで私たちは最後まで無事でしたが、源さんはずっとステージ袖でさぞ大変だったと思います。どうか来週と言わず、今すぐラジオブースで寝てください」(笑)。いいですね。ありがとうね。気遣ってくれて。そうですね。本当にみんな、お客さん、ありがとうね。

始まる前だから、たぶんすごい早く来てくれていた方が1人だけ、倒れられちゃったのかな? でも、病院に運ばれた方は僕のステージでは1人もいなくて。あと、その始まる前に倒れちゃった人が1人、いたんですけど。それから以降は1人も倒れなかったらしく。すごいなと思いました。みんな、本当に気をつけつつ。「体を第一にしてね」って随時、口を酸っぱく言ってはいたんですけど。みんな、それを守ってくれたようで、本当によかったです。ありがとうございました。おかげで楽しいステージになりました。ありがとうございます。いや、本当に楽しかったわ。じゃあ、そんなわけで1曲、お送りしちゃおうかな。だからこの時のこの歌はですね、たぶん一生忘れないと思いますね。この時に歌っていた感じっていうのは、僕はこの感覚は初めてだったので。すごい思い出に一生残ると思います。それでは聞いてください。星野源で『くだらないの中に』。

星野源『くだらないの中に』

<書き起こしおわり>

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