安住紳一郎 地元・赤坂の人間模様とそこで出会った生徒の話

安住紳一郎『出演番組を見る際は自分自身を全力で応援する』 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中でTBSのある赤坂の地元の人々の人間模様についてトーク。偶然赤坂で出会った安住さんの生徒についても話していました。

局アナ 安住紳一郎

(安住紳一郎)さて、スタジオのあります赤坂の周りはちょうど秋のお祭り。氷川神社の御祭礼があるということで街が少し賑やかになっていました。お神輿などが赤坂、六本木のあたりをずっと巡回しておりますが。町内会にテントで作った休憩所みたいなものがありますものね。あそこに長老がデンと座ってシワひとつないハッピを着て。ねえ。あれはご祝儀の番をしてるんですか? なんかあそこにご祝儀を持っていったりしますもんね。金庫もあったりしますよね。で、神輿が帰ってくるとそこでみんな休憩して、お酒飲んで……ということですけれども。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)最近は御神酒所っていうのかな? 休憩所っていうんですか? さっき通ってきましたけど、QRコードがついてるんですね。それで「そのQRコードを読み取ると、いまお神輿がどこを巡行しているかが一目でわかります」って書いてありましたね。「へー!」って思って。なかなかハイテクだなと思いましたけどね。なんとなくね、ちょうどいまお神輿はどこかな?ってみんな思いますもんね。戻ってくるんだったらちょっと待っていて見てみようかなって気持ちになったりするかもしれませんね。

(中澤有美子)たしかに。

(安住紳一郎)赤坂も歴史のある街なので、街の人たちが熱心にお神輿などをやってらっしゃいますね。私たちは勤めているだけなんで、なんとなくそこの輪にはなかなか入れないんですけども、さすがに20年も働いていますと少し昔から赤坂に住んでらっしゃる方にも顔を覚えてもらって。まあ10年くらい前は「おお、安住くん!」みたいなことでね、声をかけられて嬉しかった覚えもありますし。いまも通っていますと寝、名前を呼んでもらったりしてすごく嬉しいなと思いますね。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)昔から芸者さんとかいるような、とてもいい街なので。昔から赤坂を愛して住んでるっていう方もたくさんいらっしゃって。逆に最近はオフィス街などになりまして、その昔ながらの東京の街の良さみたいなものが少し薄くはなりかけていますけれども。やはりこうやってお祭りとかがありますと、そういう地域の顔役といった皆さん方の活躍が、ビジネスマンとは違うやはり輝きを見せ始めますね。やっぱりね。そういうものに私も40を過ぎまして、「やっぱりこういう大人にならなくちゃダメだな」っていう気がいたしますね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)なにかね、地域の皆さんから敬われているというか、きっとね、ずっと小さい時から育ってね、きっと周りの皆さんとの関係を密にしているからこそですけどね。私も勤め始めて10年目ぐらいに気づきましたけど、「赤坂見附の近くにある長寿庵のご主人をまず押さえなさい」と言われましたね。やっぱりね。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)顔役ですからね。赤坂見附の方の長寿庵のご主人は。

(中澤有美子)そうなんですね。へー!

(安住紳一郎)そう。あとはそこの娘さんがお嫁に行ってる酒屋さんと、それからそこの長寿庵のご主人が尊敬している和菓子屋さんの女将さんと、そこを押さえなさいっていうことだよね。もうね、あのそこの和菓子屋さんの大女将なのかな? ちょっとわからない。私も一度しかお話ししたことないですけども。その人は「226事件を私は見た」って言ってたからね。うーん。「226事件の反乱将校を私は止めたよ」って言ったからね。「やめなさい」って。「ええっ、本当?」って言ったんですけども(笑)。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)結構赤坂にもやっぱりね、昔ながらのね、人がいて。そういう人たちの話を聞くと面白いですよね。あとは大正生まれの、もともとは芸者さんをやっていたのかな? すっごいもう本当になんか生き方がいなせっていうような大正生まれのご婦人が赤坂4丁目のあたりにいたのかな? 本当に大正生まれの人って面白いじゃない? だからね、私ちょっと猫背で坂を歩いてたらね、なんかね、「ちょっとお兄さん!」みたいなことを言われて。「なんですか?」って思ったら、「そんな背中を丸くして歩いちゃあ、台無しだよ!」なんてことを言われて。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)フフフ(笑)。面白かったなー!

(中澤有美子)いいですね、そのイントネーション。

(安住紳一郎)イントネーションがね、ちょっとね。「ちょいと、お兄さん!」なんてね。びっくりしました。ねえ。いいですよね。そういう街の人のつながりね。あとはなんか、赤坂はちょっと夜もね、怪しい色を少しこう帯びる街ですもんね。私のこれ、大好きな話なんですけど、あんまり外では話ができないで、ちょっとこの機会に話しちゃいますけど。まあ、でも本当に私は話、赤坂で住んでいてとってもいい話だなと思ってるんで。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)夜になると外国からいらっしゃってるマッサージのお姉さん方がたくさん出るんですよね。新橋とか赤坂は。まあ、それがどういう商売なのかは詳しくはね、知らないことにしておいた方がいいっていう場合もありますけれども。当然夜の街なので、そういうまあ、日本にお金を稼ぎに来ている人たちも一生懸命働いてるわけですよね。それで酔客たちを誘って、まあご商売をされてるわけだけども。朝方の4時とか5時ぐらいになるともう客さんはほとんどいなくて。で、私たちのような勤め人でお酒飲んでなくて、本当にただ夜遅くまで仕事しちゃって帰るだけみたいな。そういう私たちとすれ違うんだけども、そっちの女の子たちはもう私たちのことはただの仕事帰りの疲れたサラリーマンだと思ってるから、自分たちの客じゃないと思ってるから。要するに、お客としては見ないから普通にただのお互い赤坂の勤め人同士のすれ違いが続くんだよね。

(中澤有美子)なるほど。

(安住紳一郎)それが私は夜中になるともう誰もいないから。その女の人たちしかいないから。まあ普通にね、「お疲れ様」みたいな感じで帰るんだけども。それがお互い、なんか夜まで働いてる者同士のちょっと、アジア人同士の連帯感みたいのがあって嫌いではないんですよ。で、ある時、本当に朝5時ぐらい。両手に荷物を抱えて、ちょっと電車で帰るの嫌だからタクシーを拾おうと思って大通りまで行こうと思ったら、その出稼ぎに来ている女の人が私の顔を見つけて。そして、てっきりね、私がなんか呼び込みされるのかな?って思ったら違って。私のその右手を取って固く握手をして、「あなたは私の先生!」って言われて。「へっ、なっ……新しい勧誘かな?」って思って。

(中澤有美子)フハハハハハッ!

「安住さん、あなたは私の先生!」

(安住紳一郎)なんだろう?って思って。俺、手に紙袋を持っていたんだけど、その紙袋を払い落とされてね。「あなたは私の先生!」って言われて。「そうか……どんなマッサージですか? おいくらですか?」みたいなことにはならないんだけど。そしたら、「どういうこと?」って言ったら、「私はあなたを知っている」っていう。私がこういう仕事してるっていうことを伝えたいのかな?って思ったらそうではなくて。「私は日本に来た時にお金がなくて、日本語学校に行けなかった。だから私はあなたのバラエティー番組の字幕スーパーを見て日本語を覚えました!」って。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)嬉しかった……。嬉しかった。「バラエティー番組が面白いからよく見てた。あなたの日本語キレイだから私、日本語覚えやすかった。青い字幕スーパー、覚えやすかった!」って。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)もう本当、涙が出たの。いやー、本当に嬉しかった(泣)。「私はあなたのために仕事してました!」みたいな感じだね、もう本当。それで、その人に……チゲ鍋をご馳走になったの!

(中澤有美子)フハハハハハッ!

(安住紳一郎)24時間やってるチョンソルっていう韓国料理屋で。「先生! 先生!」っつってね。もう完全なマッサージ嬢ね。で、「安住、なにマッサージ嬢と食事してんだよ?」っていう目で見られながらも、でも俺は先生だから平気だった。「あれ、アナウンサーの安住さんだけど、完全にあれ……ええっ? マッサージ嬢と飯食ってるぞ!」みたいな。

(中澤有美子)夜明けの(笑)。

(安住紳一郎)でも、俺は平気だった。俺の教え子だから。すっごい嬉しかった……。赤坂のお祭りを見るとこの話をね、いつも思い出すんです(泣)。いい話でしょう? でもね、これちゃんと説明しないとね、ちょっとうまく説明できないので。ちょっとお時間いただいたり。ちょっと私の演出的な涙声も織り込みながらね(笑)。

(中澤有美子)演出なの?(笑)。

(安住紳一郎)そう。これはこっちから先にね、ちょっとね感情を出していかないとね、皆さんが乗り遅れる恐れがあるからね。このへんは私のテクニックなんだけども。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)だって、そうじゃん。これだっていい話にしないと、ネット記事とかになったらちょっと違うニュアンスになったりするじゃない?

(中澤有美子)そうですね。見出しだけ違うっていう(笑)。

(安住紳一郎)だからね、きちんと感情を乗せて話をする。本当にでもね、こういうことがあるんだなと思って。嬉しかったし、頑張ってほしいなと思いましたね。それでね、自分で言うのもなんだけども、さすが! 俺の字幕スーパーを見て日本語を覚えた彼女だったよね。彼女って言っても俺とさほど歳は変わんないんだけどさ。本当にね、俺と話が合った。なぜなら、俺の日本語を聞いて覚えてくれたから!

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)すごい俺の好きな日本語のパターンとか。「えー」とか言わなかったから、すごいなと思って。本当に優秀な生徒でね、嬉しかった! あんなに話が噛み合った人はいないね。世界中に。あの赤坂のマッサージ嬢の方。本当はね、その人にね、その後にマッサージしてもらえればよかったんだけども、当然そういう気持ちにはならないから。私の教え子だからね。「頑張ってね!」っていう感じだよね。そう思った。赤坂での私のみなさんとの交流をお話いたしました。

<書き起こしおわり>

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