吉田豪と戦慄かなの 鑑別所と少年院の生活を語る

吉田豪と戦慄かなの 過酷な家庭環境とJKビジネス運営を語る SHOWROOM

(吉田豪)で、目が覚めたら?

(戦慄かなの)目が覚めたら鑑別所でした。それで「2日後に行くから、部屋の掃除をちゃんとして」みたいな。でも内容が全部頭に入ってこない。「えっ、ちょっと待って、待って。少年院って何をするの? いったいどれぐらい出られないんですか?」って……。

(吉田豪)鑑別所の時点でこれだけキツいのに……っていうね。

(戦慄かなの)そう。でもやっぱり少年院のこととかもわからないんで。生活をずっと見られているっていうことだし、好きな料理も食べられない、ネットもできないっていうことだし。なんか、「人から指図されるのとか、無理!」って思っていたから(笑)。

(吉田豪)そこは指図をされる場です(笑)。

(戦慄かなの)そう。だから「無理じゃん。人生終わった!」ってなって。まあ、そんな感じで廃人になったまままた手錠をされて少年院に向かうという。ここまでが山場かな? アハハハハハッ! ここで起承転結の起・承まで。

(吉田豪)はいはい。で、少年院はどうなんですか? 鑑別所よりは多少はマシだったりする?

(戦慄かなの)私、たしかに正直いちばん辛かったのは鑑別所だと思っていて。もちろん、いろいろと課題とかを与えられて精神的に辛いみたいなのは……少年院の方がいっぱい泣いたりもするし。でも鑑別は本当に廃人になっちゃったから。

(吉田豪)孤独で追い込まれていく場だけど、少年院は更生をさせる場というか。

(戦慄かなの)そう。やっぱり人と話せるだけマシみたいなところもありますし。

(吉田豪)1人じゃないっていうのも大きいですよね。

(戦慄かなの)日課もあるし、勉強ができる、本が読める。「勉強、どうぞしてください。本、どうぞ読んでください」みたいな場だから、暇よりもマシだった。

(吉田豪)出所したその後のプラスになるために、とにかく勉強とかを積極的に奨励するわけですよね。

(戦慄かなの)そうです、そうです。だからやっぱり、暇なのがいちばん辛い……ホームレスの人とか、どうしているのかな?

(吉田豪)意外とやることがあるんじゃないですか。行列に並んでお金をもらったり(笑)。

(戦慄かなの)フフフ(笑)。でもやっぱりね、本当はやりたいことがあるのに、なにもできなくて。なにもやれないみたいなのがいちばん辛かったから。

(吉田豪)それ、わかるんですよ。レベルは違いますけど、僕も無職の時に金がなくて暇だけがあるのがいちばん辛かったんですよ。

(戦慄かなの)そうですよね。そうだと思う。なんだかんだで休みたいとか思うかもしれないけど、毎日休みとかだったらたぶん死にたくなるんだろうなって思うんですよ。

(吉田豪)そんなの数日で飽きますよ。

(戦慄かなの)本当、そう。だから、少年院は鑑別所よりはマシだったけど、でも超辛くて。

(吉田豪)少年院でも結構反抗した話は聞いてますよ。

(戦慄かなの)フフフ(笑)。少年院は最短だと10ヶ月で出れるんですよ。でも、私は2年入っていて。問題を起こしまくったっていうことなんですけども。あ、まだ伏線を回収しきれてなかったな(笑)。もうちょっとしばしお付き合いくださいね。で、やっぱり……。

(吉田豪)やっぱりどこかで「私はここに入っているべき人間ではない」みたいな思いがその時点ではあった?

(戦慄かなの)ありました。やっぱり、でも明らかに他の子と違うんですよ。他の子はやっぱり不良っぽいし、ギャルっぽかったりとか。あとはまともに学校に行っていなかった子たちが多いんですよ。で、カタカナを読めない子とかもいて。それで思ったよりも先生たちの口調は厳しくなくて、本当にみんなに対しては幼稚園児を扱うかのような扱いだったんですよ。「いまから靴を履いて2階に出ます」みたいな。そういう話し方とかに私はイライラしちゃって。

(吉田豪)はいはい(笑)。

(戦慄かなの)「それ、マジですっごい効率悪くないっすか?」みたいな。「とっととそこの鍵を開けて。先生が来なくてもすぐに2階に出ちゃえばよくないですか? 20分まで待つの、マジで意味なくないですか?」とかって。

(吉田豪)ああ、ガンガン言っちゃって。

(戦慄かなの)そう。ガンガン言っちゃうんですよ。周りにはそんな子、いないわけですよ。

(吉田豪)まあ、そんなことを言って得することはないですからね(笑)。

(戦慄かなの)そう。でも先読みだから、「それ、効率悪くない?」とか先生の言うことにケチつけちゃうわけ。そうすると、「かなのさんがまた授業の邪魔をします」みたいなこととかを上に伝えられていて。まあ、私だけ面接の数が異常に多かったり。あとは生意気だったんで先生にいっぱい怒られるんですよ。で、ムカついて先生にも「クソババア」って言ったり。あとはどこの部屋にも監視カメラがあるんですよ。監視カメラにサンダルをブチ投げて中指を立てたりとか(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。逆効果ですよー。それがプラスに転がることはひとつもないですよ(笑)。

(戦慄かなの)そうそう(笑)。あとは洋服をね、みんなが畳んでいる洋服があるんだけど、それをあちこちに散らかしたり、コップを投げて割ったり。

(吉田豪)先生に飲み物をかけたんじゃなかったっけ?

(戦慄かなの)先生に……それは洗濯係っていうのがって。洗剤、粉石鹸を水で溶かして……みたいなのがあるんですけど、それを先生にこうやって。制服が粉石鹸まみれになって。その時はマジで別室に移動させられた。あの、集団寮と個室みたいなのがあるんですよ。で、個室は罰を受けた時だけじゃないけどだいたいは罰を受けた時用にみんなから離されて1人でブチ込まれるっていう。まあ、鑑別所と似たような部屋があるんですよ。で、そこにブチ込まれることが人よりも……たぶん30回ぐらい多かったのかな?

(吉田豪)うん。それは2年になりますよ。

(戦慄かなの)そうですね(笑)。

(吉田豪)なんで変われたんですか? そこまで反抗していた人が獄中で。

(戦慄かなの)なんでか?って言いますと、やっぱり……私はやっぱり少年院で子供がえりしていたと思うんですよ。本当はもうちょっと賢くやり過ごそうと思えばできたんだけど、わざとそうやって反抗することで子供がえりというか、甘えていたと思うんですよね。

(吉田豪)親との関係がうまくできなかった部分をちゃんとそこでやろうとしているっていうか。

少年院で更生できた理由

(戦慄かなの)そうなんですよ。やっぱりそういう非行に走る子っていうのは家族と上手く行っている子ってなかなかいないんで。やっぱり先生が……少年院には担任の先生みたいなのがあるんですよ。担任制度があって、3人ぐらいの生徒につき1人の先生が担当するみたいなのがあって。その担任の先生っていうのはお母さん代わりになっているわけですよ。それで私が問題児だったっていうのもあって、いちばんベテランで歳も上の先生がついてくださって。

(吉田豪)いちばんお母さん感がありそうな?

(戦慄かなの)そうそう。もうお母さんよりも年上だったんですよ。それで結構ベテランの先生で根気強く、私がどんなに「私、先生のこと嫌いだから」って突き放しても、根気強く私のことを一生懸命見てくれた人がいたっていうのもあったし。少年院には進級制度があるんですよ。下級生下、下級生上、上級生下、上級生上っていうのがあって。それで最初の下級生下から下級生上に行くには1ヶ月。あとは3ヶ月、3ヶ月、3ヶ月でそれぞれ進級なんですよ。で、本当は下級生だけで4ヶ月で済ませられるプログラムなんですけど、その4ヶ月のプログラムなのに私はそこで1年かかっちゃったわけですよ。

(吉田豪)おおう(笑)。

(戦慄かなの)結構下級生と上級生では境目があって。下級生はやってはいけないことがすごくたくさんあって。上級生になると任せられる寮の係仕事とかがすごく増えるし、寮全体を担う……やっぱり集団生活だから大事なんですよ。1人1人が……たとえば親と面会した時に親とケンカしちゃったみたいな子が1人でもいると、本当にその寮の空気全部が悪くなるんですよ。どんどんブルーになっていくし。だから、それはダメだということで隔離されたりとかもするぐらい。やっぱり、24時間ずっとみんなと一緒にいるから、モロに出ちゃうんですよね。だから、その上級生の係仕事ってやっぱりその寮をみんなが過ごしやすいように保つ、みたいな。そういう役目とかもあるから。

(吉田豪)うん。

(戦慄かなの)下級生の1年間ですごく反抗していたんですよ。でも、上級生になっちゃうと、やっぱりみんなが大変なのとか苦しいのをすごくわかるから。だから先生にとかじゃなくて、みんなへの思いやりがどんどん出てくるわけですよ。そうすると自然にそれが自分のお母さんに対する自分の気持の気付きだったり。非行をしていたあの時にマッチするなっていうことがあったりとか。その寮生活の中でいろいろとパズルが当てはまった感じがあるんですよね。

(吉田豪)ちょうど本とかも読んでいて、いろんな知識もついて。

(戦慄かなの)そうそう。それで、別に更生しようって思ってした感じじゃなくて、自然に自発的に。自分でどんどん、やろうって思ったことがそれが寮のためになっていくみたいな。それを先生が見ていてくれて。それをどんどん、上級生になってからはトントン拍子で上がって。それで最後には少年院を出たくなかったんですよ。

(吉田豪)家よりも居心地よさそうだもんね。お母さんよりも優しいし(笑)。

(戦慄かなの)そうなんですよ(笑)。だから少年院のシステムがよくできていて。本当にそれが目的みたいな。下級生、上級生みたいなシステムもやっぱりこれから先、社会で生きていく中で必要なことだったりとかして。就職活動とか。

(吉田豪)基本、資格とかはすごく取れたりするんですよね。

(戦慄かなの)そうです、そうです。取れます。私も資格とかすごい取っていて。やっぱり少年院って勉強が娯楽だったんですよ。で、みんなやっぱり勉強はそれぞれ苦手なんだけども、勉強が少年院の中ですごい楽しくなっちゃって。いろんな資格を取ったり、あとは高卒認定も取りました。

(吉田豪)当時はそういう状況だったのが、いま大学に行けているのは、その中での努力が実を結んでっていう。

(戦慄かなの)そう。中卒だったんですけど、少年院の中で高卒認定を取って。いまは大学生をやっています。

(吉田豪)まあ、本当に少年院ってちゃんとした制度ですよね。フフフ(笑)。

(戦慄かなの)本当にそう思う! 出てきてわかった。「ああ、よくできてるなー」って。そうなんですよ。どう? 伏線回収できた?

(吉田豪)だいぶね、いろいろと(コメントで)荒れていた人たちもようやく納得をしてくれて(笑)。

(戦慄かなの)アハハハハハッ! (コメントを読んで)大学、それが楽しくないんですよ。全然楽しくなくて。一応勉強するために行っているんですけど、友達とかも1人も作らないようにしていて。サークルとかもチャラつきたくないから。もう勉強するために行っているって思って行っているから。サークルとかも入らなくて。

(吉田豪)こんな人だけど、意外と恋愛関係も真面目だったり。意外とちゃんとしているんですよね。

(戦慄かなの)そうなんですよ。意外にピュアなところもあって(笑)。そう。もう羽目を外したくないから。

(吉田豪)で、2年で出て。無事に出れたわけですね?

(戦慄かなの)そうです。無事に出て……ああ、そうだ。出て終わりじゃないからね。ここから、いまがあるからね。最初、就職をしたんですよ。

(吉田豪)あれでしょう? 秘書の検定かなんか取っていたんでしょ?

(戦慄かなの)そうです。秘書検定を取っていたんで。それで事務仕事みたいなのをやっていて。それもでも上手く……それはお母さんが出た瞬間に入れるようにやってくれていて。でも、私はちょっとね、アイドルをやってみたくて。アイドル活動と最初、並行していたんですよ。

(吉田豪)獄中ではいろんなもの、見てはいたんですか? テレビとかでアイドルとか。

(戦慄かなの)ああ、見ていましたよ。だから夜の8時から9時の間だけテレビが見れるんですよ。あとはご飯を食べている間は朝、昼、夜と見れるから。でもまあ、朝は朝ドラで昼と夜はワイドショーなんで。まあ別にアイドルとかは関係ないけど。夜の8時~9時で見たい番組はみんなで多数決を取って決めるんですよ。それでやっぱり金曜とかは『Mステ』がすごい人気だったんで。8時から9時が見れるから。そうすると、やっぱり最新の音楽チャートとかは一応追ってはいけるんですよ。AKBの新曲だとか、モーニング娘。が出てるとか。それぐらいは見ていて。

(吉田豪)うんうん。

(戦慄かなの)だからそんなにめちゃめちゃ世間から取り残されているみたいなのはなかった。ちゃんとラッスンゴレライ見ていたしね。

(吉田豪)僕の友達も2年ぐらいクサい飯を食ってましたけど、意外とそっちの方が情報が入るって言ってましたよ。ラジオもすごい聞けるし……って。

(戦慄かなの)ああ、そうそうそう。しかも新聞とかも毎日新聞と読売新聞が両方あって。やっぱり暇なのもあるし、社会に追いつきたいから隅から隅まで読むんですよ。そうすると、やっぱりちょっと賢くなっちゃいますね。

(吉田豪)そういう中で出てきて、ちょうど時期的に地下アイドル人気というか、いない間に地下アイドルという文化がだいぶ根付いていたわけですね。

(戦慄かなの)そうですね。私はずっとちっちゃい時、非行とかに走る前はモーニング娘。にすごい憧れていて。AKBも好きで。小学校の虐待をされていた時はお母さんが帰ってこない時間、PerfumeのDVDを見たり、AKBの『大声ダイヤモンド』とか『10年桜』の時代だったんですけど。振りコピとかをしていて、アイドルはずっと好きだったんですよ。

(吉田豪)はいはい。

(戦慄かなの)で、アイドルになりたかったけど、自分がなれるとか思っていなくて。

(吉田豪)遠い世界で。Perfumeになれるわけないっていうね(笑)。

(戦慄かなの)そうそう。ダンスができたってなれるとか、ないじゃないですか。でも少年院に入って、出て。そしたら地下アイドルっていうのがすごく浸透していたんですよ。だから私、少年院に入る前にはもうでんぱ組とかはいて。どんどんそういう風に行っている感じはしたんですけど、少年院から出たら思ったよりも……。

(吉田豪)あれでしょう? 少年院に出会った女の子がアイドルになっていたんでしょう?

(戦慄かなの)それは鑑別所に入る前の児童相談所の保護施設に一時保護で行った時に……。

(吉田豪)まあ、誰とかは特定できるようなことは言わないですけども……。

<書き起こしおわり>

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