松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でDJキャレドのWe the Best Musicのシンガー、ケント・ジョーンズの『Merengue』を紹介。さらにそのサンプリング元のジョージ・ベンソンについても話していました。
ちなみにじゃあこの人たち(フェイス・エヴァンス&スティービー・J)……いま、僕は「40代」って言いましたけども、実際にどれくらいなのかっていうと、フェイス・エヴァンスは1973年生まれ。そしてスティービー・Jは1971年生まれ。これはもう立派な『メロ夜』世代ということができるでしょう。まあせっかくなので、この90年代からいままで活躍を続けてる人たち、もしくは名前がずっと輝いてる人たちっていうのはだいたい何歳ぐらいなのか?っていうのをいま、僕の知ってる限りダッと言いますよ。
まあ、こういう話の時にかならず出てくる、さっきも話しましたショーン・パフィ・コムズ。そしてジェイ・Z。この2人が69年生まれと言われております。来年50の大台っていうことですね。そして同じ60年生まれ説もあるんですが、公称70年生まれっていうことになっている……ずいぶんトゲのある言い方ですけども。これ、マライア・キャリーですね。で、マライア・キャリーとかつて共演もしたQ・ティップも70年。で、71年生まれになりますと、メアリー・J.ブライジ、エリカ・バドゥっていうこの二大ディーヴァがいますね。
そしてラッパーで言いますと2パックですよ。2パックもかつて、フェイス・エヴァンスとの仲が取り沙汰されたことございましたけども。あとは、いまフェイスの旦那さんになりましたスティービー・Jですとか、ネオソウルの中心人物でございますクエスト・ラブ。この人あたりは71年ですね。そして72年に生まれたのがビギーことノトーリアス・B.I.G.。あとはラッパーのコモンなんかも72年ですか。で、73年生まれがフェイス、ナズ。あとはちょっと渋いとこで言うとマッド・リブとかね。で、マッド・リブの相方でもありましたJ・ディラ。まあ、もう神格化された亡くなったDJですがJ・ディラ。それとまた親交の深かったディアンジェロ。この2人は74年生まれ。
そして75年生まれがDJキャレドでございますね。DJキャレドはもうここに来てピークを迎えてますが、『Wild Thoughts』でDJ界のトップに立ったような感じもございますけども。
続いてご紹介しますのがそのDJキャレドの秘蔵っ子シンガーです。ここにつながります。ケント・ジョーンズという男性シンガーをご紹介したいのですが……。いま、バックに流れておりますのはジョージ・ベンソンの『Come Into My World』という曲。これは1993年にリリースされましたジョージ・ベンソンの『Love Remembers』に収録されていました。
この頃のジョージ・ベンソンはちょうどね50歳ぐらいですから、まあいまのスティービー・Jぐらい。で、そのジョージ・ベンソンの長いキャリアの中では決して代表作にあげられることはない『Love Remembers』の中の『Come Into My World』っていうこの曲を上手くリサイクルして『Merengue』っていうご機嫌な曲を発表したのがケント・ジョーンズでございます。ケント・ジョーンズ、DJ・キャレドが率いるWe the Best Musicに所属しているシンガーでして。この曲の前にもね、一昨年ですか。『Don’t Mind』っていう曲をヒットさせました。
これはの曲の中で「こんにちは」って日本語が入ってることで、もしかしたら聞き覚えのある方もいるかもしれませんけども。個人的にはそうですね。『Don’t Mind』以来のキャッチーな、まあブギーも意識しながら「メレンゲ」っていうぐらいでラテンのリズム。これ昨今のトレンドでもありますからね。上手い具合にマーケティングが施されてるというか、上手い具合に作られた曲。さすがDJキャレド一派という気がしますが。口上はこれぐらいにしておきましょうか。聞いていただきましょう。ケント・ジョーンズで『Merengue』。
Kent Jones『Merengue』
George Benson『I’ll Be Good To You』
ケント・ジョーンズ『Merengue』に続きましてはそのケント・ジョーンズのサンプリング元になっておりましたジョージ・ベンソンの『Come Into My World』。この曲が収録されていたアルバムの冒頭に収められておりました『I’ll Be Good To You』をお聞きいただきました。ジョージ・ベンソンでございます。ケント・ジョーンズについて、ちょっともう1回軽くおさらいしますけど、この人はさっきも話しましたいまをときめくDJ・キャレドの集団、We the Best Music。そこの一押し男性シンガーですね。
この曲はもう今年の頭……ちょっと前の曲だったんですけど、この夏になるのを待っていました。実際この夏に聞くと気持ちが上がりますね。これ、あのさっきお話しましたそのジョージ・ベンソンの曲を上手くリサイクルしているのですが、歌メロとしてはね、ビッグ・パンとジョーというラッパーとシンガーの組み合わせでヒットしました『Still Not a Player』という曲がありましたけども。それをちょっとなぞったりして、細かい計算が施された曲という風に感心しております。
で、ジョージ・ベンソンの『I’ll Be Good To You』。これはアルバム『Love Remembers』の1曲目。当時、よく聞きましたね。早いものでもう25年前のアルバムとなりますけども。当時すでにビッグネームだったジョージ・ベンソンが、「おお、これでまた最前線に復帰するのかな?」っていうぐらいのときめきを僕に与えてくれたんですが……残念ながらそんなにヒットしなかった。で、その最前線って当時僕が思った理由のひとつが、この曲フィーチャーまではいかないですけど、コーラスでもう目立って聞こえるのがブライアン・マックナイトなんですよね。
で、この曲の歌メロもブライアン・マックナイトが作ったと言われております。じゃあこの曲のトラックを中心になって作ったの誰かというと、元スクリッティ・ポリッティのデビッド・ギャムソンですね。彼は当時、このジョージ・ベンソンが所属していたワーナーでたくさん仕事をやってましてね。同じレーベルのロジャー。ザップのロジャーのアルバムなんかも手がけてましたね。当時、この『Love Remembers』っていうアルバムが出て、ギターのネックを握ってジョージ・ベンソン様が怪しげな目つきでこちらを見てらっしゃる、大変にいま表現に気を使いながら話してますけども。「ああ、これはやっぱりジョージ・ベンソンっていうのは唯一無二のシンガーでありギタリストだな」なんという、その証明写真のようなジャケットなんですよね。
この『I’ll Be Good To You』も要所要所で「♪♪♪♪」ってもう本当にたまんない音色の、これぞジョージ・ベンソン!っていうギタープレイが聞けますが、クレジットを見てびっくり。弾いているのはワーワー・ワトソンっていう人だったというね。シンガーに徹していたってびっくりですよね。紛らわしいジャケット、やめてほしいと思うんだけど。他の曲では結構、ギター弾いてるんだけど、この『I’ll Be Good To You』はワーワー・ワトソンがギターを弾いていますね。
ちなみに他のミュージシャンも凄腕でございまして。ドラムはちょっと前に亡くなりましたね。レオン・ンドゥグ・チャンクラーで、ベースはエイブラハム・ラボリエルというもう最強の布陣ですね。パーカッションはビル・サマーズ。サマーズ・ヒートっていうグループも好きなグループでしたけども。まあそういった、フュージョンと言っても差し支えないようなオールスターズで作り上げて、若きブライアン・マックナイトがジョージ・ベンソンを引っ張るようなこの図式っていうのは、これの10年ぐらい前にカシーフがジョージ・ベンソンを引っ張って。
で、その後ろからアリフ・マーディンが支えていたっていう『Inside Love』っていう曲の構図を思わせるものだったんですが。おそらくそれを狙ったんだと思うんですけど、そうは問屋が卸しませんでしたね。なかなかヒットにはほど遠かったかなという。でも、心に残る1曲でした。ジョージ・ベンソン『I’ll Be Good To You』をお聞きいただきました。
<書き起こしおわり>