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松尾潔 1996年アメリカR&Bチャートを振り返る

松尾潔 1992年アメリカR&Bチャートを振り返る 松尾潔のメロウな夜
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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で1996年のR&Bチャートを振り返り。この年にヒットした曲を聞きながら、解説をしていきました。

(松尾潔)いまでも聞きたいナンバーワン。2010年3月31日に始まった『松尾潔のメロウな夜』。この番組は、メロウをキーワードにして、僕の大好きなR&Bを中心に大人のための音楽をお届けしています。ですが、リスナーのみなさんの中には『そもそもR&Bって何だろう?』という方も少なくないようです。そこでこのコーナーでは、アメリカのR&Bチャートのナンバーワンヒットを年度別にピックアップ。歴史的名曲の数々を聞きながら、僕がわかりやすくご説明します。

第11回目となる今回は、1996年のR&Bナンバーワンヒットを・・・ご紹介しましょう。ここまで、年代をご紹介する時にためることもなかったのかな?という気もしますけれども。まあ、1996年というのはもしかしたら、この番組のリスナーのみなさんの中では、最も人気が高い1年かもしれませんね。ついに来たか、96年!と快哉を叫ばれている方もいらっしゃるかな?どうかな?はい。1996年。もう、もちろんミッド90’sと言われている、昨今ちょっと再評価が急速に高まっている時代の、R&Bのど真ん中の1年ですね。1996年。

これはもう、歴史的に見ても大豊作と言えましょう。まあ、この時期に活躍したアーティストが現時点でね、それから20年近くたちましたけども、現時点で、もう重鎮になっておりますし。そして、意外にという言い方が正しいかわかりませんけれども、みんな長寿アーティストになっていますね。うん。そして実にフレッシュなイメージも、いまだに維持しているという。そういった音楽が生まれるような時代的な土壌とか環境があったんでしょうね。1996年。

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アトランタオリンピックイヤー

僕もこの頃は、まあ音楽プロデューサーを名乗る前。音楽ライター、音楽ジャーナリスト時代のもう最後のあたりなので。まあ、思い出深いです。アメリカンブラックカルチャーというところで言いますと、1996年はアトランタオリンピック。アメリカの南部の中心都市アトランタでオリンピックが開催され、イコール、ブラックミュージックオリンピックということで盛り上がった。そんな1年でもございました。何しろ、オリンピックのね、式典の音楽監督をつとめたのがジャム&ルイスですからね。ついにそんな時代が来たか!と。なんて言いましょうか、式典の音楽とかにもう、ひとつひとつ狂喜乱舞していましたね。

もうあれから20年近くたつのかと思いますし、まあその、R&BがいまのR&Bのイメージというのを決定づけられるような、そんな時代でもありましたので。特に思い出深いのかな?という気がいたします。この年、ヒット、たくさんあるんです。もう、いまでも歌い継がれるヒットの中でも、ナンバーワンになってないものがたくさんあるんですが。まあ、このコーナー、ナンバーワンヒッツということでご紹介してますから、ナンバーワンを記録したヒットの数。19曲でしたね。前の年から持ち越しで、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)の『Exhale(Shoop Shoop) 』の曲で、この年のナンバーワン街道が始まりました。

これイコール、ホイットニー・ヒューストン主演の『ため息つかせて(Waiting To Exhale)』という映画のサウンドトラックの破竹の絶好調ぶりの、そんな中で始まった1年ということですね。あれが95年の年末の映画でしたからね。で、このアルバムの中からは、ホイットニー以外にもメアリー・J.ブライジ(Mary J. Blige)の『Not Gon Cry』という曲もカットされて1位をとっていますし。

そういった、まあベイビーフェイス(Babyface)が出がける一連の女性シンガーが1年の上半期を鮮やかに、そして色っぽく彩ってくれたのですが。そんな中でも、1年が終わってみると、『ああ、今年もR.ケリー(R.Kelly)の1年だったな』という感じでした。このフレーズ、以前にも使いました。『1994年はR.ケリーの年。これは試験に出る』とまで言ったんですけれども。96年もR.ケリーの年でしたね。まあもちろん、間に挟まれた95年もR.ケリーは元気に、そして絶好調だったんですが。まあ96年に、また化け物のような活躍を果たしました。ではね、まあR.ケリーの話は改めてするといたしまして、まず2曲。R.ケリーとは関係のない2曲を紹介したいと思います。

まずは1月20日・27日と2週間連続ナンバーワンを獲得しましたのが、当時まだ新人だったモニカ(Monica)です。デビューアルバム『Miss Thang』の中から『Before You Walk Out Of My Life』。もうこれは本当に、当時、『泣ける!』『泣きメロ!』とか、いろんな賞賛の言葉を獲得した曲です。そしてもう1曲。少なくとも当時、R.ケリーの最大最強の好敵手でした。キース・スウェット(Keith Sweat)のナンバー。女性ボーカルグループ、Kut Kloseのリードシンガー、アシーナ・ケイジ(Athena Cage)をフィーチャーした男女デュエットで『Nobody』。これが11月の30日付から12月14日まで3週連続ナンバーワンを獲得いたしました。では、2曲続けてご紹介しましょう。モニカ、そしてキース・スウェット feat.アシーナ・ケイジ。

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Monica『Before You Walk Out Of My Life』

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Keith Sweat『Nobody』

いまでも聞きたいナンバーワン。今週はその第11回目。1996年のナンバーワンヒットをご紹介しております。モニカ『Before You Walk Out Of My Life』。そして、キース・スウェット feat.アシーナ・ケイジ『Nobody』と続けてみました。モニカという女性は1980年生まれでありまして、95年に、まだ14才。15才の誕生日を迎える前に、14才でデビューして『天才少女あらわる!』といわれました。そのモニカが活動の拠点としていたのがアトランタでございまして。そのアトランタは翌年、96年にオリンピックの開催を控えていましたから、まあ盛り上がりましたね。

そしてそのオリンピックイヤーの96年にはこの『Before You Walk Out Of My Life』をナンバーワンに押し込むという。まあ、まだこの時点でもね、15才だったんですよね。成熟した歌声ですよね。そして同じく、アトランタを拠点に当時、スウェットショップというスタジオをね、アトランタでやっていましたキース・スウェット『Nobody』。それに先がけて、『Twisted』という曲のヒットもありました。夏場にロングヒットしたんですけども。

まあキース・スウェットっていうのはご存知のように1980年代の後半にニュージャックスウィングの旗手として世に出たんですが。それからほぼ10年たった時には、もうこういうスロウジャムの巨匠として、『ベッドルームの王様』みたいなことを当時よく本人も言ってましたけれども(笑)。まあ、そういった足場固めができたのがね、この年ですね。収録アルバム『Keith Sweat』。その名も『Keith Sweat』というアルバムは、いまにだに名作として名高いです。

96年、他にどんなヒットが出たのか?ざっとご紹介しますと、R.ケリーの『Down Low (Nobody Has To Know)』という曲。アイズレー・ブラザーズ(Isley Brothers)をフィーチャーした『Down Low』。これが7週連続で1位を獲得して、この年の最大のヒットになっています。まあ、94年の『Bump N’ Grind』はもう12週ナンバーワンヒットでしたから、それに比べると、やや小ぶりな印象を与えますが、まあとは言っても、その年最大のヒットであることは間違いございません。

そして、SWVの『You’re The One』という曲がR.ケリーから1位を奪取します。この『You’re The One』という曲はリミックスバージョンの方が大ウケしまして。『96 Anthem』という、まさにオリンピックイヤーに相応しいタイトルで、当時絶好調だったAllstarというプロデューサーがリミックスしたんですが。そのバージョンが愛されました。オリンピック直前の機運を高めましたね。

そしてマライア・キャリー(Mariah Carey)『Always Be My Baby』。

Bone Thugs N Harmony『Crossroads』。

ローリン・ヒル(Lauryn Hill)を全面に押し出したフージーズ(The Fugees)の『Killing Me Softly』もこの年の春。『Killing Me Softly』、大ヒットいたしました。ロバータ・フラック(Roberta Flack)の曲をこんな形で蘇らせるとは・・・

あと、トニ・ブラクストン(Toni Braxton)の『You’re Makin’ Me HIgh』。

K-Ci & JoJoをフィーチャーした2Pac『How Do You Want It』。

そしてまたR.ケリーが『I Can’t Sleep Baby』で1位をとったかと思うと、今度はキース・スウェットが『Twisted』で撃ち落とす!

そして再結成を果たしたニュー・エディション(New Edition)。なんとボビー・ブラウン(Bobby Brown)とジョニー・ギル(Johnny Gill)が一緒に歌うという夢のような企画。『Hit Me Off』が、もう本当にみんなの期待どおり1位をとります。僕はこの曲のPV撮影の現場に行きまして。『松尾潔ってのは、あの現場に行ってきたんだろ?その話を聞きたい』っていうことで、ラジオ番組のゲストに呼んでくれたのが鈴木雅之さん。それから10数年たって今度、マーチンさんのアルバムをプロデュースするというね、なんか僕の中では、96年からいろんなストーリーが始まっているんですけども。もう興奮を隠しきれませんが。

そして、一時はR.ケリーの最大のパートナーでありましたアリーヤ(Aaliyah)の『If Your Girl Only Knew』。これがR.ケリーの手を離れてヒットいたしました。

ボーイズⅡメンを離れたマーク・ネルソン(Marc Nelson)という人が新しく作ったグループ、Az Yetの『Last Night』が1位をとったかと思いますと、

テディー・ライリー(Teddy Riley)率いるブラックストリート(Blackstreet)が西海岸の大物Dr.Dreをフィーチャーして『No Diggity』というナンバーワン。

そして、まあアリーヤと同じコミュニティーからジェニュワイン(Ginuwine)の『Pony』がナンバーワンをとります。ジェニュワイン。いま、TGTというユニットで活躍してますね。

そしてキース・スウェットとアシーナ・ケイジ。先ほどご紹介した『Nobody』が年末も見えてきた年の暮れに、いかにも人肌恋しい感じで歌い上げたかと思うと、クリスマス直前。12月21日から再びR.ケリー『I Believe I Can Fly』が。これはもう、97年の頭まで1位を行くわけですよ。それで97年のことを話しますと、元恋人アリーヤが次、1位に輝くという、もうこのあたり、何組かの家族とかで回していたんじゃないか?っていう印象があるぐらいの(笑)。

そんな、人脈図を書くと大変面白い、そんな1年でもありました。まあ、曲も楽しみながら、そういった人間関係も楽しむという、まさにね、人が作る、熱い血が作るソウル・ミュージックの面目躍如の1年。96年でございました。では、ここでお届けしますのは、あえて、最大のヒット『Down Low』ではなく、個人的に僕はこちらが好きという理由だけでご紹介したいと思います。『I Can’t Sleep Baby (If I) 』。R.ケリー。

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R.Kelly『I Can’t Sleep Baby (If I) 』

お届けしたのはR.ケリーで『I Can’t Sleep Baby (If I) 』でした。考えてみますとね、好敵手という関係にあったR.ケリーとキース・スウェット。それぞれがこの時期に出したアルバムのタイトルは自分の名前なんですよ。セルフタイトルドアルバムと言われている。まあ、R.ケリーは『R.Kelly』という名前のアルバムを出し、

キース・スウェットは『Keith Sweat』という名前のアルバムを出す。

デビューアルバムでないにもかかわらずですよ。つまり、95年、96年あたりっていうのは、いま、21世紀に活躍しているアーティストたちが本気で勝負をかけた、アフリカン・アメリカンのエンターテイメントの世界においては非常に大切な時期だったと言えるんじゃないでしょうか。それが、まあオリンピックイヤー、96年に最大の高まりを見せたということだと思います。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/32657

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