プチ鹿島 映画『万引き家族』を語る

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プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で映画『万引き家族』についてトーク。映画を巡る様々な論戦や映画内で印象的だった食べ物などについて話していました。

(プチ鹿島)これ、『万引き家族』。是枝裕和監督がパルム・ドールということで。先週末から公開されましたよね。言ってみれば疑似家族の話なんですよ。本当の家族じゃないんだけど、万引きでつながっている。でもなんか絆が深くてどこか楽しそうなんですよね。っていう映画で。これ、映画自体も面白いんですけど、なんかこう……僕、先週のオープニングでも話しましたけど。これを巡る論戦が結構目立っていて。

プチ鹿島 映画大好き安倍晋三首相と『万引き家族』を語る
プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で映画が大好きな安倍晋三首相と、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した是枝裕和監督の『万引き家族』について話していました。 (プ...

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)これまた時事ネタがつながったんですけど。それまで、いろんな方が賞をとったり活躍したりすると、安倍総理は祝福のコメントをかならず寄せる。祝福大好き。そりゃそうですよ。この前はロシアのザキトワさんへの秋田犬の贈呈式にまで行っちゃったぐらいで。

(塩澤未佳子)行ってましたね(笑)。

(プチ鹿島)で、日系人のカズオ・イシグロさん。日本人だけじゃなくて日系人がノーベル文学賞をとっても「おめでとう!」って。ところが、よりによって是枝監督があのカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したら、それに対しては「おめでとう」っていう祝福を……あれだけ祝福大好きな安倍さんのコメントが漏れてこないということで、フランスの新聞が皮肉って書いたんですよ。「安倍首相がなぜか沈黙」っていう。で、その理由はおそらくですけど、是枝さんっていうのは政治的な発言も多くて。安倍さんに対して批判的な人なんじゃないか? で、それは安倍さんもご存知で。自分に対して批判的だから是枝さんがとった今回も見て見ぬふりをしているんじゃないか? みたいな、そういう皮肉をフランスの新聞に書かれたわけですよね。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)で、それをやっぱり日本のタブロイド紙とかも「ほら、こんなこと書かれている! やっぱりここは言った方がいいんじゃないの? いままでさんざん誰にでも言ってきたんだから。一言いえば……それは別に恥をかくわけでもないし。むしろリーダーとして器の大きさが見せられるんじゃないの?」みたいな。それもまた皮肉で書かれている。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)そしたら、この間、ヨガ大臣いたでしょう?セクシー個室ヨガ大臣。文部科学大臣。

(塩澤未佳子)ヨガ大臣(笑)。そんな呼び方……(笑)。

(プチ鹿島)あのセクシーヨガが、要は野党がなんか言ったらしいんだよね。「安倍さんは祝福のコメントをしてないけど?」みたいな。まあ、タブロイド紙にまた乗っかるっていうそれもどうかと思うんですけど。国会で。こういうのは野次馬の俺たちに言わせておけばいいわけであって、国会でわざわざ……。そしたら、それを気にしたのか、あのセクシーヨガがですよ、安倍さんになりかわって「お招きして祝福したい」みたいな。そしたら、今度は是枝さんが「いや、公権力とは潔く距離を保つ」としてそのお招きを辞退したという。

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「公権力とは潔く距離を保つ」

是枝裕和監督からのメッセージです。
(塩澤未佳子)そう!

(プチ鹿島)それに関してお互い、いろんな立場から「なんだよ、是枝監督!」みたいな。そもそも是枝監督が政府に批判的な立場だというのは有名だから『万引き家族』っていうタイトルの映画が賞を受賞したという時点で……今日の文春オンラインにも載っているんですけども。「海外の映画祭や映画会で上映するのは日本の恥部を世界に晒す行為ではないか? という懸念、ナショナリスト的な意見が目立った」っていうんですよ。

(塩澤未佳子)ええーっ! そんなこと言うの?

(プチ鹿島)でもそれって結局、いまお互いに自分の立場とは反対の人はとにかく嫌いなだけ、とにかく文句を言いたいだけっていうのが、お互いにいろんな立場があると思うんですけど。そういう状況って不毛な……それがあると思うんです。これも僕、似ていると思って。本当に『万引き家族』っていうものにケチをつけたいというより、ただ是枝監督が好きか嫌いかだけで言っているような気がするんですよね。

(塩澤未佳子)ああー。

(プチ鹿島)だから僕はその時に安倍さんが「おめでとう」って言わば「おお、安倍さん。器デカいわ!」って。もしかしたらそういう風に最初に言っておけばそういう器のデカさが示せたのかな? とも思うんですけども。またそういうのをフランスの新聞に皮肉られて。そしたらまたそれを忖度かなんかして、あのセクシーヨガ大臣がですよ、「じゃあ文部科学省でお祝いを……」って。それを言われたらさ、「うわあ……」みたいな感じになるじゃない?

(塩澤未佳子)わかりますよね。

(プチ鹿島)で、もちろんそれ、招かれたら行って「どうもありがとうございます」って言うのもありだし。「いや、公権力とは潔く距離を持ちます」っていうのもいいじゃない? そしたら今度出てきた議論というのが興味深くて。「いやいや、是枝監督って助成金を国からもらって。文化庁のをもらって。そういうのはもらっておいて公権力とは距離を置くっていうのはどういうこと?」みたいな、いわゆるツッコミ風……ツッコミにもなっていないんですよ。だって助成金をもらったからって公権力には取り込まれませんよっていうのは全然別の話じゃないですか。

(塩澤未佳子)はいはい。

(プチ鹿島)むしろその助成金をもらっていい映画を作って国際映画祭で賞をとるなんて、こんな有効な助成金の使い方はないよね。お返しはないよね。だからもう自分の立場がはっきりしているから。「助成金をもらっていて……それ、どうなの?」みたいなツッコミもあるっていうんですよ。いやいやいや、それはまた違うんじゃないかな?っていうのが僕、ずっとザワザワしていたんです。

(塩澤未佳子)ああー。

(プチ鹿島)たとえば、その論理で言うんだったら僕、小池都知事をみんなが批判する。権力から距離を置いて見守るっていう人は都営バスに乗っちゃいけないんですか?っていうような話ですよ。それ、乗ったっていいよね?

(塩澤未佳子)そりゃそうですよ(笑)。

(プチ鹿島)都営バスに乗るってことは都知事に取り込まれることと違うからね。それはだって権利じゃない? だからそういう議論にしか見えないんですよ。少なくとも、だいたい公権力とは別の公のサービスとか制度っていうのはあって使っていいじゃんって僕は思うんですよ。それと取り込まれる、近寄っていく、ヨイショするっていうのとはまた別じゃない?

(塩澤未佳子)そう思う。ちゃんとわかっていなくちゃ。

(プチ鹿島)まあそんな話をしているとこっちも辛気臭くなってくるから、早く僕は本題に入りたいんですが。まだ本題じゃないんです。あの、僕はこの映画を見た時、いろんなテーマがあると思うんですよ。いまの社会にないものとか。むしろいまの社会にあるものを描き出したとか。でもなんかやっぱり是枝監督は最初からそういうテーマを決めて撮ったというよりは、そこは表現者ですから。スケベですから。自分の撮りたい画とかそういうのをやったらこういう映画ができたのかな?っていうのも多分にあると思うんですよ。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)だからそういうテーマ、解釈っていうのはちょっと横に置いておいて。僕、食べ物のシーンがすごく気になったんですね。あのすごく狭い平屋の部屋で疑似家族なんだけど大家族がみんなでご飯を食べているんです。印象的なのはカップラーメンにコロッケを入れて食べているんですよ。あれがね、貧困だなんだっていうのはまた話は別に置いておいて、すごく美味しそうに見えるんです。

(塩澤未佳子)美味しいやつでしょ、それ!

カップラーメンにコロッケ

(プチ鹿島)私、コロッケに関してはちょっとすごく言いたいことがあって。実際に『東京ポッド許可局』とかでネタにしてきたんですけど。塩ちゃんはどうですか? ご飯、みそ汁、コロッケってテンション上がります?

(塩澤未佳子)私?

(プチ鹿島)コロッケ定食。

(塩澤未佳子)好き!

(プチ鹿島)ああ、そうですか。僕、ご飯……それがカニクリームコロッケとかでもどうですか? 僕はそれ、コロッケは嫌いじゃないですよ。全然、もちろん。だけどご飯、みそ汁、おかずにドン!ってカニクリームコロッケがあったらそれは全然テンションが上がらないんですよ。

(塩澤未佳子)ああ、そうですか?

(プチ鹿島)いや、コロッケは揚がっていますよ。っていう話をしたらマキタ、タツオは「コロッケ、いいじゃん。コロッケでご飯を食べて、みそ汁。最高じゃん」って。俺は「いや、コロッケだったらコロッケそばだな」みたいな。そっち派なんです。

(塩澤未佳子)ああ、そっち? まあ、そっちもいいのはわかるんですよ。

(プチ鹿島)そしたらやっぱりリスナー局員……もっと言えばライブでお客さんを前にしてコロッケ定食でテンション上がる人、上がらない人って聞いたらやっぱり6ぐらいはテンションが上がる、4ぐらいはテンションが上がらないっていう。俺と同じで。

(塩澤未佳子)ああ、そんなにいますか?

(プチ鹿島)メインとしてのコロッケね。僕はついでにあったら嬉しいっていうのがコロッケなんですよ。たとえばおやつでつまんで、とか。ビールを飲んだり。あと、カップ麺に入れたり、おそば屋さんでトッピングで入れるとか。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)ちなみに僕、おそば屋さんで入れる場合はホクホクのコロッケよりは冷たいコロッケがいいんですね。あれを汁に浸して、ちょっと……っていうのが。寒い外から急に家に入った時にほぐれていくような感じが好きでね。

(塩澤未佳子)アハハハハハッ! うわっ、そこまで? そんなに違います?

(プチ鹿島)コロッケそば。そういうのをずっと考えながら見ていたんです。こんな意味のない見方をあの映画でしたの、俺だろうなって思っているんですけどね。そしたら意外とやっぱりあの映画の食のシーンに反応していて。やっぱり普段仲のいい友達とかが「俺、コロッケそば大好きなんだけど、あれを貧困の象徴って描かれると俺が辛い」みたいな、そういうツイートもあったりして。

(塩澤未佳子)アハハハハハッ!

(プチ鹿島)やっぱり仲のいいやつはだいたい同じ価値観だなって。

(塩澤未佳子)好きな人はそう思うんですね(笑)。

(プチ鹿島)だから見てください。

(塩澤未佳子)はい。その食事のシーンを中心にね。

(プチ鹿島)『万引き家族』ね。コロッケは万引きしていませんでした。ということで、まあ今日はコロッケのことを語りたかったという。ただ、あまりにも前段で「ええっ?」って。ぎょっとするような言説がちょっと多いんで。たぶん言っている本人も、どっち側にしろ無理なことを言っているっていうのはわかっていると思うんですよ。やっぱり最初に「この人好き/嫌い」「この思想好き/嫌い」「支持する/支持しない」っていうのが凝り固まっちゃっていると、ただそれと反対のものに物を投げるゲームみたいなのがただ行われているだけだと思うんですよね。いいじゃないですか。自分と考え方が違ったり、政治的な立場が違う人でも、「でも映画を見ると面白いんだよな」とか。「この人、俺と同じ考え方だけど、でも映画はつまんねーんだよな」とか。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)映画だけじゃなくて音楽でも、なんだったらお笑いでもなんでもそうじゃないですか。もっとそこはフラットでいいとは思うんですけどね。

(塩澤未佳子)上手くギザギザしてた方が、入り組んでいた方がいいような気がするんですけどね。

(プチ鹿島)ということでして、「半分、万引き。」についてお送りしました。

(塩澤未佳子)違う、違う(笑)。『万引き家族』。

(プチ鹿島)『万引き家族』です。はい。

<書き起こしおわり>

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