プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で発足から5年目を迎えた第二次安倍政権について、新聞各紙の報道を読み比べていました。
(プチ鹿島)さあ、ということで今日も新聞を読んできたんですけど。実は今日って安倍政権発足5年目なんですよね。だかrこれ、たとえば毎日新聞なんかを見ると一面では「安倍政権一強続く 今日政権発足5年」ということで、その分析をしているんですよね。大見出しと小見出しだけ読んでいきましょうか。毎日新聞。「地方創生、働き方改革……」。だから、そこはどうなっているの?っていう。詳しくは記事を読んでという。「国民の飽き、懸念材料」。まあ、長く続いていますからね。「支持率低下に目玉政策次々」。これ、どういうことかというと、他の新聞でまた後々、説明いたしましょう。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)で、「デフレ脱却見えず アベノミクス景気拡大」。だけども、デフレ脱却見えずっていうのが、まあやっぱり経済になるとアベノミクス、さあどうなのか?っていうのが各新聞の切り口なんですよね。で、産経新聞を見るとすごい。一面ドッカーンと「憲政史上最長も視野 安倍政権5年 在職日数2193日 長期政権世界で存在感」となりまして。まあ、産経新聞っていうのはどっちかって言うと安倍政権大好きですから。もう、どうだ! 「長期政権、安定政権ということにもメリットがあるんだ」というコラムもありまして。一面です。
(塩澤未佳子)ええ。
(プチ鹿島)これ、最後の方を読んでみましょうか。だから、さっき毎日新聞は「有権者の飽きが懸念される」ってあったじゃないですか。実は産経新聞も同じことを書いていて、「安倍内閣に対しては長期政権化による有権者の飽きが指摘される。たしかに憲法改正や拉致問題解決など、5年がすぎても未達成の課題もあるが、少なくとも長期安定政権は国民にとって大きな財産だと言える」っていうことでコラムを結んでいるわけです。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)だから、長期安定政権だと海外のリーダーから見れば、やっぱり約束に実行力が伴うということで、それはいいことなんだという、そういう切り口でしたね。じゃあ、肝心のアベノミクスとかデフレって出てこないなと思ったら、これはめくって三面のいちばん最後。「物が売れなければ企業も値上げできない。消費喚起へどこまで有効な対策を打てるかがデフレ脱却に向けて重要となる」っていう、ちょっと産経新聞は「長期安定政権、すごいよかったじゃないか!」って言いつつ、だけどデフレに関してはちょこっと最後に「デフレ脱却に向けて重要となる」って、一応書いてらっしゃるということですね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)で、面白いなと思ったのが、こちらですね。朝日新聞です。「ははー、そういうことをおっしゃっているんだ」っていうのがありまして。朝日新聞は一面で、安倍さんは実は自分はリベラルだと言っているというんですよね。リベラルって何か?っていったら、政治的、思想的リベラルではなく、経済分配政策に力を入れるということで。昔は安倍さんは「小さな政府」っていうのを志向していたんだけど、最近は教育無償化とか「大きな政府」(的な政策)で。ご自身でも「自分はリベラルだ。大きな政府をしている」っていう。だけど、それは果たして国民の方を向いているのか? 自分の政権の力を持続させるために、(大きな政府的な方向に)舵を切ったんじゃないか? という、そういうような分析だったわけです。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)そんな中、面白かったのが各紙、安倍政権を振り返っているんですけど、なんとあの読売新聞は一行も書いていないんです。
(塩澤未佳子)はあ?
読売新聞は一行も書いていない理由
(プチ鹿島)でしょう? 俺、何度も何度も見返したんです。ところが塩ちゃん、やっぱりすごいよ。昨日。1日早くやっていました。
(塩澤未佳子)そうなんだ(笑)。
(プチ鹿島)昨日の新聞を見ると、やっぱり「内閣発足5年 12月の第二次内閣発足から26日で丸5年を迎える」と、1日早くやっちゃっている。
(塩澤未佳子)もう、早かったんだー。早いなー(笑)。
(プチ鹿島)そこはさすがですね、読売さんね。盤石です。もう、みんな今日になって言っているけど、1日早く昨日言ってます。で、まず経済。安倍一強ということで、「憲法改正へ勝負の年」という。だからやっぱり、「いやいや、経済はすごいじゃないか。来年こそ憲法改正勝負の年だよ」っていうのを昨日、もう総括してらっしゃる。
(塩澤未佳子)はー! それぞれですねー。
(プチ鹿島)だからこれらを読むと、意外と新聞の差……切り口ですよね。経済にしても、「いや、デフレ脱却できてないじゃないの?」っていうのもあるし。「いやいや、5年持つだけで海外から信用されて。そういう政権を私たちは戴いているんだよ」っていうのを一面でコラムで書いてくる新聞もあって。やっぱりそれぞれに切り口が違うなと思いました。で、東京新聞。それらを含めて東京新聞は今日、二面でこう書いているんですね。「選挙で経済、終われば安倍カラー」っていう。要はこれ、どういうことかわかります? 安倍さんのこの5年っていうのは、ひとつの特徴があって。経済政策を掲げて国政選挙に臨む。そこで多くの議席を確保。そうすると、選挙が終わって安定するとこだわりの外交、安全保障政策を推進するというサイクルだという。これ、そうですよね。
(塩澤未佳子)ああー、そうですね。
「選挙で経済、終われば安倍カラー」
(プチ鹿島)たとえば、これは安保法とか共謀罪……テロ等準備罪を掲げて選挙は戦わないですよね。それよりは、「経済を良くする」っていうのを全面に掲げて、言葉は悪いですけど、乗り切ってきたわけですよね。だからそのサイクルがあるんだという。これに関しては僕、本当に人でもたとえられるなと思うのが、この間文春オンラインというところで僕、連載しているんですけど、そこで年末なんで、今年を振り返るおじさん大賞座談会っていうのをやってきたんです。今年のおじさんについて語るっていう。
(塩澤未佳子)おおー。
(プチ鹿島)で、他にはたとえば作家の鈴木涼美先生とか。もともと日経新聞の記者で、実はおじさんとも長ーく、それこそ10代のころから見てきた、付き合ってきた、そばにいた、みたいなおじさんのスペシャリストがいるんですよ。そういう方と座談会をしたんですけども、その鈴木さんが言うには、トランプさんとか二階さんとかそういう話になると、おじさんでもいわゆるリベラル的な、正義を主張するおじさんっていうのはたしかにいるけど、実際に身の回りでトランプみたいなオヤジとか二階さんみたいなオヤジが「金を出すから一緒にメシ食いに行こう」みたいなことをされると、そっちの方が気が楽だったりするみたいなことを……おじさん目線でですよ。
(塩澤未佳子)ああー、はい。
(プチ鹿島)っていう、まあある種の真実っていうのを出していてね。で、僕は「それをすごいよくわかる。だって、安倍さんもそうじゃないですか」って言ったんですよ。選挙になると「経済でみんな豊かになろう」っていうのは、「美味いもんでも食いに行こうよ」って誘ってくれているようなものなわけですよ。誘うわけです。で、選挙とかそういう楽しいデートが終わると、自分がこだわりがある安保法とか共謀罪とか、賛否がわかれることをそこにぶっ込んでくる。
(塩澤未佳子)やってくるわけですねー。
(プチ鹿島)だから、やっぱり昭和から続くおじさんの共通項なのかなと思うわけですよね。
(塩澤未佳子)ほー、本当に変わってないかも!
(プチ鹿島)「メシ、食いに行くぞ」って。で、すごくガサツで杜撰で。トランプとかもね。だけど、「美味いメシを食わしてくれるんだったら、それでいいや」っていう。その日限りではですよ。そういう見方というのもあるというんですよ。でもこれ、いま各紙の読み比べをしましたけど、選挙になると経済を語って、終われば思想的な、賛成と反対がきれいにわかれるようなものをぶっ込んでくるっていうのはある種、おじさんのやり口なのかなっていう(笑)。
(塩澤未佳子)アハハハハッ! そうですね。言われてみれば、みんなそうですね。
(プチ鹿島)だから、逆に言えばそこで枝野さんとかのリベラル的なおじさんはこれからどうするんだ?っていうのもありますけど、これはもう僕、本当に昔から言うんですけど、それはプロレス団体とかも見て、理想とか自分たちの崇高な理念を掲げた団体って意外と長続きしないんですよね。っていうのは、頭でっかちが多いから。だから、ちょっとあいつのあそこが許せねえっていうことになると、すぐに分裂しちゃうんですよ。
(塩澤未佳子)うーん! それは理想が高いからね。
(プチ鹿島)そう。だからそういうのっていうのは、いわゆるリベラルおやじに共通しているなっていう。その鈴木さんのお話を聞いてね。そういうの、ないですか? 別にこれはおじさんに限らず。正義をずーっとやって、その人は言っていることは正しいんだよ。美しいんですよ。だけど意外と5メートル以内で人気がるのはもう白も黒も含んで、「まあ、美味いもんでも食いに行こうや」っていう、そういうグレーおじさんだったりするでしょう? そういうことでしょう。だから、そこなんですよね。
(塩澤未佳子)はー! へー!
(プチ鹿島)まあいま政治もプロレスも含めて、ごちゃまぜに言っていますけど。
(塩澤未佳子)だけどまあ、人もそういうところ、ありますからね。
(プチ鹿島)あるある。でも、その中でいかに正しさを追求していくか?っていうのはもう1回、立ち上がらなきゃいけないところだとは思うんですけどね。「いや、いいじゃん。みんな、お金分配して、美味いもん食いに行こうよ」だったらいいんだけど……でも、そのお金はどこから出ているの?っていう話もあるしさ。
(塩澤未佳子)はい。そう。そればっかりずーっとやっていっても、ねえ。
(プチ鹿島)というのを、この「選挙で経済、終われば安倍カラー」っていうこの東京新聞の分析で各紙読み比べを締めたかったんですよね。
(塩澤未佳子)ああ、それは見事に言い得てますね。
(プチ鹿島)でも、それを安倍さんは「自分はリベラルだ」って言っていたという。その経済政策に関してはね。だから、各紙読み比べが面白かったといことでございます。
<書き起こしおわり>