松尾潔さんがblock.fm『INSIDE OUT』に出演。著書『メロウな季節』の話をする中で、JAY-Zの名曲『Hard Knock Life (Ghetto Anthem)』のレコーディングに偶然居合わせた話をしていました。
(渡辺志保)あの、本当『メロウな季節』。あと、前作であります『メロウな日々』をお読みいただければわかると思うんですが、松尾さん、これまでにインタビューしてきたアーティストのね、もちろん国内アーティストを手がけてらして、その前といいますかね。ジェームズ・ブラウンから、パフ・ダディから、ジャネット・ジャクソン、マライア・キャリー、他には・・・
(松尾潔)ええーっ?
(渡辺志保)もう、枚挙にいとまがない・・・
(松尾潔)なんだろう?ルーサー・ヴァンドロスとか。まあ、けど今日、さっきTwitterに上げたけど、ヒップホップの人も結構やっていて。あの、さっきウータンのRZAの写真を上げたけど。アイスキューブとか、どうしても、あれぐらいの時代の人になっちゃうけど。
21時半からの『INSIDE OUT』生出演を前にレア写真を公開。97年春、ウータン・クランのRZAと。レイ・パーカーJr.所有のLAのスタジオにて。我ながらこういうポーズには無理があると微苦笑。
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— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) 2015, 7月 6
(渡辺志保)いやいやいや・・・
(松尾潔)ドレー(Dr.Dre)とか。あと、どんな人たちかな?それこそ、ソウルズ・オブ・ミスチーフ(Souls of Mischief)に会いにオークランドに行くとか、そういうこともやっていたんだけど。いまとなってはこれ、自分で言わないとみんな、そんなことやっていたんだっていう。ずっとメロウなバラードばっかり追いかけていたわけじゃなくて。当時は。
(渡辺志保)いやいやいや。そうなんですよ。私たちからすると、『ドレーって実在するんだ!ホログラムじゃないんだ?』みたいな感じでね。
(松尾潔)(笑)
(渡辺志保)『会った人、日本にいるんだ!?』みたいなね。そういう感じがしますけど。実際、どうなんですか?いまや、ドクター・ドレーなんかね、億万長者ですし。アイスキューブはね、もういまや俳優みたいな感じになっていますけど。彼ら、当時インタビューした時のインプレッションとかは?
JAY-Zのクラシック曲『Hard Knock Life』
(松尾潔)あのね、いちばんわかりやすいエピーソードで言うと、INSIDE OUTを聞いている人たちにわかりやすいところで言うと、まあいまクラシックになっているジェイ・Zの『Hard Knock Life』ってあるでしょう?あれ、僕、レコーディングの時にスタジオにいたんですよ。
(渡辺志保)おおー!あの、アニーの曲をね、サンプリングした。
(松尾潔)そうそうそう。45キング(The 45 King)と一緒にやっていて。そんで、45キングも僕、当時はまあ、なんだろう?ジェイ・Zというよりも、45キングにアガるぐらいですよ。どっちかっていうと。変な話だけど。伝説のっていうか、フレイヴァーユニット的なこう、人脈の感じ・・・
(渡辺志保)そうですよね。クラシック中のクラシックで。
(松尾潔)あ、ちゃんと(BGM)出るのね。すごいな。
(渡辺志保)素晴らしいですね。これがジェイ・Zの『Hard Knock Life』のインストゥルメンタル。
(松尾潔)で、スタジオの時に、後にクラシックになるなんて思ってないから、なんか息抜きでね、スタッフの人たちがなんか、子どものためにアニーを聞いてるんだろうなって思っていて。
(渡辺志保)ああ、なるほど。牧歌的な。
(松尾潔)そうそう。なんでこればっかし何回も何回も聞いてるんだろう?ぐらいの。本当に。腕組みしながら、ジェイさんがこうやって聞いていたんで。で、なんかそれに、いま考えたらリリックを作ったりしてたんでしょうけど。まあ、日本のラッパーもそうだけど、スタジオに入ってリリック作る人、多いからね。
(渡辺志保)うん。
(松尾潔)で、まあそん時に、持ってきたシガーをね。それも、ニューヨークのシガーショップの人に、『ジェイ・Zのお気に入りはこれだから』って言われて。で、持っていったらジェイ・Zが『これじゃない』って言われて。
(渡辺志保)(笑)。シガー屋のおっちゃんがちょっと間違えちゃったんだ。
(松尾潔)間違えちゃった。『あちゃー!』って思ったけど、『でも、もらっておく』ってちゃんと持って帰ったっていうね。ジェイ・Zがね。そこで、セコい奴だって俺は言ってるんだけど。
97年暮れ、The 45 Kingと名曲“Hard Knock Life”をレコーディング中のJay Zを訪ねた時の1枚。手土産のシガーを一緒にくゆらせました。
ちなみにぼくが一番好きなジェイ曲は“Song Cry”。
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— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) 2015, 7月 3
(渡辺志保)いやいやいや(笑)。
(松尾潔)そういう・・・(笑)。『じゃあ、余計なことを言うなよ!』っていう感じなんだけど。それぐらいですよ。だから僕、当時の。後に、あんなに歴史上に名を残すような人とかって思ってなくて。たくさん、とにかく1年間ね、100人単位で僕、インタビューしてるから。
(渡辺志保)すごいですね!はい。
(松尾潔)そんなかの、One of Themでしかなかったの。正直。聞いた時に、『これは歴史を変えるな!』なんてそんなこと、そこまではわかんなかったですね。正直ね。
(渡辺志保)なるほどね。じゃあ本当にこの『Hard Knock Life』の超初期初期段階の時に立ち会われていたと。
(松尾潔)そうですね。
(渡辺志保)このドラムとか、ビートが乗る前ぐらいだったんですかね?
(松尾潔)うーん・・・いま考えてみると、ラフなビートは乗っていたような記憶があるんですけど。
(渡辺志保)なるほどね。すごいですよね。
(松尾潔)まあけど、クラシックが生まれる現場って、その後僕ね、日本で制作をやるようになって、たとえば、なんだろうな?自分で話すと全部自慢話みたいになっちゃうんですけど。たとえば、『Lovers Again』っていうね、まあ、この番組を聞いてる人でもカラオケ行ったら歌ったりしたことあるかもしれませんけど。
(渡辺志保)うん。
(松尾潔)まあ後に、700万ダウンロードとか、そういう風になっちゃうんだけど。作っている時は、数ある中の1曲ですよね。
(渡辺志保)最初からじゃあ、700万ダウンロード目指して作るぞ!みたいな、そういう意気込みがあって生まれるわけでは・・・
(松尾潔)ヒットすればいいなとは思いますけど。うーん・・・
(渡辺志保)なるほどね。それぐらい、ちょっと肩の力が抜けたぐらいの・・・
(松尾潔)ずーっと、ねえ。速い球ばっかり見ていると、球は止まって見えるって言いますけど。インタビューもね、ずーっとやっていると・・・だから、志保ちゃんも番組ずーっとやっていて、ずーっと新譜を追いかけていると、そんなに情報が混乱しないでしょ?
(渡辺志保)ああー、どうかなー?まだその域には達していないような気がしますけど・・・
(松尾潔)ずーっと高速を走っているとさ。けど、1回高速から下りて、また上がると合流するの難しいんじゃないかな?と思いますけど。
(渡辺志保)それはたしかにね、その通りだと思います。下りるのがちょっと怖くなっちゃいますよね。ですのでね。
(松尾潔)だから僕はね、ずっと本当は働き者で、ずっと休まずに来たんで、逆に1回下りる気持ちを味わいたいぐらいなんですけど、下りるのも怖くてね。
(渡辺志保)うーん。いや、でもまだまだ、下りずにね、前を走っていていただきたいなと思いますけどね。
(松尾潔)楽しいんだよね。
(渡辺志保)それがいちばんでございますが。
<書き起こしおわり>
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