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渡辺志保と奥田翔 映画『ブラックパンサー』を語る

渡辺志保と奥田翔 映画『ブラックパンサー』を語る INSIDE OUT
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渡辺志保さんと奥田翔さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で映画『ブラックパンサー』についてトーク。映画の中に隠された文化的背景などを、ケンドリック・ラマー監修の『Black Panther: The Album』の楽曲を交えつつ話していました。

念願の #INSIDE_OUT に出演しましたー! 映画『#ブラックパンサー』とインスパイア盤『Black Panther: The Album』特集! 花粉症×オタクっぽい早口でお聞き苦しい点も多々あったかと思いますが、濃いめの内容にできたかなと思います。志保さん、ヤナタケさん、block.fmの皆様、ありがとうございました! たしか1週間限定でアーカイブお聴きいただけます?? Y'all don't know how much it means to me to be a part of something that I've been listening to since I was just another college kid. Was such an honor to be there and represent all you listeners to talk about my favorite movie & music. Thanks. https://block.fm/radios/8?

Sho Okudaさん(@vegashokuda)がシェアした投稿 –

(渡辺志保)まあそれだけケンドリック・ラマーの大ハードファンの奥田さんも大興奮してらっしゃるに違いないこの映画『ブラックパンサー』。もうぶっちゃけ公開が始まって4日目とか5日目ということなので。もう見た方もたくさんいらっさhるんじゃないかと思うんですよ。なので、今日これからはネタバレ注意な感じでお届けしますので。まだ見てない、そして「『ブラックパンサー』の情報は全部シャットアウトしてきました!」みたいな方がいたら、耳栓つけてタイムラインだけ見ておいてくださいって感じなんで。
ここからはネタバレも若干ありつつお届けしていきたいと思います。奥田さん的にどうですか? 「ここがポイント、キーワードになるんじゃないか?」っていう見どころはいかがでした?

(奥田翔)そうですね。僕も試写会に行く機会をいただいて1回目を見た後、昨日2回目を見てきたんですけども。1回目、2回目で見て全然違う要素に目が行ったり。「最初は感情移入していたの、こっちだけど、いまはこっちだな」みたいなのがあったり。一言じゃあ言い表せないんですけど……ひとつ目で「これは新しいな」って思ったのは、アフリカにすごい光を当てているっていう風に感じて。このインスパイア盤。オフィシャル・サウンドトラックの方も南アフリカのアーティストを4人起用しているあたりとか。あと、僕がすごい面白いなと思ったのが、登場人物がアフリカ訛り……なにをもって「訛り」っていうかは難しいですけど、アフリカ訛りの英語を話していて。

(渡辺志保)ええ、ええ。そうだよね。

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アフリカン・アクセント

(奥田翔)その方言の指導とかも徹底的にやったみたいな話を、方言指導の人のインタビューを読んだりして。で、ちょっとネタバレというか。山奥に住んでいるエムバクっていたじゃないですか。あれなんかは陸の方に住んでいる人たちに比べて、ちょっと隔絶されたところに住んでいるから違う訛りをしゃべらせるようにしたみたいなことを聞いて、そういうディテールのこだわり方もヤバいなって。

(渡辺志保)なるほどね。いやー、そうですね。だってコスチュームにしろメイクアップにしろ、絶対にこれってなにか実際のリファレンスがあるんだろうな、みたいな感じの芸の細かいディテールでしたよね。いまから、ケンドリック・ラマーが監修というかキュレーションをした、サウンドトラックではなくて、インスパイア盤というのがありまして。この『INSIDE OUT』でも何度となく紹介した内容なんですけど、このインスパイア盤の方から今日は何曲か聞いてもらおうかと思うんですが。そういったアフリカニズムを感じる1曲といえば、奥田さん。紹介していただけますか?

(奥田翔)僕がこの中で気に入っているんですけども。アイザイア・ラッシャッドとかケンドリックとかと客演しているザカリっていうシンガーと、南アフリカのベイブズ・ウドゥモ(Babes Wodumo)とが一緒にやっている『Redemption』っていう曲なんですけど。これがアフリカっぽくて、ちょっとトロピカルでもあり。なんかマダガスカルのビーチとか……行ったことはないですけど、こんな感じなのかな?って思いながら聞いていて。

(渡辺志保)たしかに。このベイブズ・ウドゥモちゃんもまだ若いアフリカのアーティストで。彼女もこの曲は実際にアフリカの言語でラップというか、歌っているところもあるし。いいヴァイブスの楽曲だよね。

(奥田翔)クラブとかでもいっぱいかかってほしいなと思いながら聞いてます(笑)。

(渡辺志保)間違いない。じゃあ、曲紹介をお願いします。

(奥田翔)ザカリとベイブズ・ウドゥモで『Redemption』。

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Zacari ft. Babes Wodumo『Redemption』

(渡辺志保)はい。いまお聞きいただいておりますのはケンドリック・ラマー、そしてTDE(Top Dawg Entertainment)がキュレーションを務めたブラックパンサーのインスパイア・アルバム『Black Panther: The Album』からザカリとベイブズ・ウドゥモで『Redemption』でした。もう、歌っちゃう、踊っちゃうみたいな。私もクラブで早く踊りたいなと思っていますけども。今日はネタバレ若干ありということで『ブラックパンサー』特集をお送りしています。いま、奥田さんからアフリカに光が当たっていたというところをお話いただいたんですが。その他にリマーカブルな、みなさんにお伝えしたいこととかは?

(奥田翔)この曲なんかもそうですけど、インスパイア盤の曲が全部登場人物だったり映画の内容に関係するようなことだったりして。この曲はGeniusとかだと、ティ・チャラが……。

(渡辺志保)チャウィック・ボーズマン演じる主人公の。ヒーローの姿はブラックパンサー。そして本当はワカンダ王国という架空のアフリカの国のティ・チャラという名の王様でもあるという。なので、ヒーローでもあり、王様でもあるというキャラクターですけども。

(奥田翔)それが、元カノへの思いを歌った曲だっていうことで。この映画は登場人物がみんな魅力的なんですよね。で、個人的に結構好きなのが、白人のCIAの捜査官のロス。彼がちょっと話し始めると、みんなアフリカ訛りの英語の中でパッとすごい標準的な英語で冷静かつ……でも、ちょっと和むんですよ。

(渡辺志保)わかります。彼がいちばん私たちに近いというか。外部の人としてワカンダに連れてこられるじゃないですか。

(奥田翔)そういうのもあったりとか。あとはさっきのエムバクもそうだけど、部族それぞれの背景を持っているというのも魅力的だし。あと、女性のキャラクターがすごく強いですよね。主人公ティ・チャラ(ブラックパンサー)の妹のシュリという天才科学者。レティーシャ・ライトという女優さんが演じているキャラクターがいたり。

(渡辺志保)新人のね。

(奥田翔)あと、さっきの『Redemption』でテーマになっていた元カノのナキアという女性。彼女も力強いキャラクターでルピタ・ニョンゴが演じていて。あとは、オコエという親衛隊長とか、いろいろといるんですけども。そういう、本当にいろんな魅力的なキャラクターを主役以外にもすごく据えている映画だなと感じていて。で、このインスパイア盤はだいたい主人公のブラックパンサーか、あるいは敵役のキルモンガーのどちらかの視点でやっている曲が多いかなと思うんですけども。

(渡辺志保)そうだね。

(奥田翔)このいまからかけたい曲が女性のキャラクターに対するビッグ・アップっていうか。そういう感じがすごく伝わってきて。

(渡辺志保)わかるー! 「I really want a power girl」っていうね。

(奥田翔)そうですね。登場してくる女性キャラクターはみんなやっぱりパワーガールズで。

(渡辺志保)ねえ。本当に超パワフルだし。さっきもちょっと話が出たティ・チャラの妹役のシュリちゃんが、彼女はすごく天才科学者で。なんでも科学の力で解決できちゃうような子なんだけど。彼女がいつもいるラボ(研究所)みたいな場所がちょいちょい出てきますけど、いる人が全員女性なの。研究所が全員女性なんですよ。この『ブラックパンサー』の中では。そういうところもすごいアツい!って思って。女性たちがそうやって研究をしながら、国のためにすごい技術を生んでいるんだな、女性たちが回しているんだ、うおおーっ!って思っちゃって。

(奥田翔)フフフ(笑)。

(渡辺志保)私もこの、いまからかけてもらう曲に関してはそういうパワーガールに関する曲ということで、めっちゃいいな!って思ったところでした。では、聞いていただきましょう。

(奥田翔)カリードとスウェイ・リーで『The Ways』。

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Khalid『The Ways ft. Swae Lee』

(渡辺志保)はい。いま聞いていただいておりますのは『Black Panther: The Album』からカリードとスウェイ・リーで『The Ways』でした。ツイッターもいろいろといただいております。(ツイートを読む)「全員に感情移入できる不思議な映画だった。冒頭の○○に上がった!」っていうことで。某バスケットボール選手の名前ですね。そういうところからも時代背景とかが見えるし。

(奥田翔)うんうん。

(渡辺志保)(ツイートを読む)「釜山のカーチェイスシーン、最高!」ってつぶやきもありますけども。韓国でロケした場面もあって、私が見たニュースだと韓国はアメリカと同じタイミングでもう『ブラックパンサー』が公開されていたんですね。そして、最初の週末のアメリカ国外の興行収入の1位が韓国だったらしいですね。なので、日本も同じぐらい盛り上がってほしいなっていう風に思っているけど、どうなんでしょうか。(ツイートを読む)「『ブラックパンサー』はシュリちゃん激推し。かわいい!」。

(奥田翔)フフフ(笑)。

(渡辺志保)わかる! シュリ、Twitterのハッシュタグ、「#ブラックパンサー」って打つとブラックパンサーの絵文字が出ますが、カタカナで「#シュリ」もシュリちゃんの絵文字が出てる。知らなかった!

(DJ YANATAKE)それだけじゃなくて、「#キルモンガー」とか、基本的に全部……あと、アベンジャーズも全部出る。

(奥田翔)へー!

(渡辺志保)マジ? すごい! じゃあ私、「#キルモンガー」ってつぶやこう。そうなんだ!

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ブラックパンサー・ハッシュタグ

(DJ YANATAKE)「#blackpanther」でも出るし、他の国の言葉でも結構出ていて。

(渡辺志保)そうなんだ。さすがマーベル、さすがディズニー。そういったところまで。いいですね。でも、ちょっと話が逸れますけど、キルモンガー役のマイケル・B・ジョーダン。この後、奥田さんもお話されるかもしれないけど、すっごいかっこいいじゃないですか。

(奥田翔)かっこいいですね。

(渡辺志保)女子的な目線から見てもかっこいいから、この間、アメリカの有名なトークショーの『Ellen』にプロモーションで出ていて。で、いい体じゃないですか。エレンももちろん、そのいい体について突っ込んでいて。で、1日に6回に分けて食事をするらしいですね。で、1日に2、3回は筋トレをする。この『ブラックパンサー』が終わったら次は4月から『クリード2』の撮影が始まるんですって。「だからまた、体をシェイプするために今日もこの『Ellen』が終わった後にジムに行くんだ」とかいう話をしていて。で、エレンが「あんた、たまにはソファーに寝っ転がって何もしない役とかやりなさいよ」ってアドバイスをしていて。「いつかやるよ」みたいな話をしていたんですけども。

(奥田翔)フフフ(笑)。それすらもかっこよさそうですね(笑)。

(渡辺志保)それすらも絶対にかっこいいよね!っていう(笑)。マイケル・B・ジョーダンがかっこいいという話ですが。他にもね、奥田さんにはお話をうかがっていきたいんですが。まだまだ、『ブラックパンサー』小ネタをお願いできますか?

(奥田翔)『INSIDE OUT』っていうこともあるんですけど、これはヒップホップ的にもすごいアツいなっていう風に僕は思っていまして。いろんなヒップホップ的な要素が散りばめられているんですけども。それを体現するのがキルモンガー。アメリカのストリートで育って……みたいなところもあるんですけども。すごい細かいところでも、ケンドリックの前のアルバム『DAMN.』を聞いていただいた方だとリアーナとの『LOYATY.』っていう曲がありますけども。

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『LOYATY.』

(渡辺志保)はい。

(奥田翔)まさにそれをなぞっているんじゃないか?っていうような会話があって。

(渡辺志保)あった! たしかにあった!

(奥田翔)ネタバレになってしまうんですけども。「Who Are You Loyal?(あなたは誰に忠誠を尽くすの?)」みたいな感じで。それぞれが「国と○○(人物名)」とか、そんな話があったりして。

(渡辺志保)そうだよね。それって私も「めっちゃ『LOYATY.』じゃん!」って思って。そのシーンを見て、さらにケンドリックとこのライアン・クーグラー監督はいったいどういう時系列で映画を作ったんだろう?って思って。なにも知らずにクーグラー監督もそのセリフを忍ばせたのか、『LOYATY.』を聞いてインスパイアされたのか。すげえ!って思ったんですけど、でもこのインスパイア盤や『All The Stars』の作曲をお願いしたのは『DAMN.』が出た後っていう風にクーグラー監督は言っていたから、すごい偶然!ってシンパシーを感じたところでもありました。

(奥田翔)そうですよね。あと、これはもうさらにネタバレになるんですけども……ワカンダっていうブラックパンサーが統治する国が、とあることをきっかけに真っ二つに分かれてしまって、戦闘のシーンがあるんですけど。そこで戦っているのが青い衣装の人たちと赤い衣装の人たち。これはまさにクリップス(青)とブラッズ(赤)みたいな。

(渡辺志保)みなさん、ご存知だと思いますが、アメリカの、特に西海岸を代表するギャングといえば、クリップスとブラッズ。クリップスのチームカラーが青。ブラッズのカラーは赤というわけで、そういった象徴でもあるんじゃないかと。

(奥田翔)ちなみにこれは自分で気づいたんじゃなくて、これは一緒に試写会に行ったメディアの編集の方が「そういえばあれ、そうなんですよ」って言っていて。「ああ、なるほど!」って。……ちょっと悔しかったんですけど(笑)。

(渡辺志保)フフフ(笑)。

(奥田翔)まあ、そんなこともあったりとか。あと、とあるヒップホップアーティストのポスターがあるシーンで登場したりとかあるんですけども。

(渡辺志保)これは言ってもいいんじゃないですか?

(DJ YANATAKE)これは質問がすごい来ているんだよね。まあ、いまから完全にネタバレなんで。聞きたくない人は……。

(渡辺志保)耳栓して(笑)。(ツイートを読む)「あのパブリック・エナミー(のポスター)にはどんな意味があったんですか?」という。

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パブリック・エナミーのポスターの意味

(奥田翔)パブリック・エナミーとかも含めて、いろんなところから感じたのは、ライアン・クーグラー監督が託したブラックパンサーのイメージ。ひとつは、ヒーローとしてのブラックパンサー。

(渡辺志保)マーベルが作ったブラックパンサーですね。

(奥田翔)それを主人公のブラックパンサー、ティ・チャラ。チャドウィック・ボーズマンが演じる方にやったと思うんですけども、もうひとつ、これは黒人文化をある程度わかる方だと、ブラックパンサー党という公民権運動のちょっと後の時代に登場した、黒人の権利を守るために武装していったような、「急進派」みたいな言い方もしますけども。

(渡辺志保)ちょっと過激なね。

(奥田翔)はい。そういったブラックパンサーのイメージというものもあって。そっちの方をマイケル・B・ジョーダンが演じるキルモンガーに託したんじゃないかな?っていう風に思っていて。さっきのパブリック・エナミーなんかもどちらかと言うと、そちらの急進派寄りの感じですし。

(DJ YANATAKE)実際はブラックパンサー党よりも前にブラックパンサーっていうキャラクターはあったんだけどね。そのへんは、1回政治的な面が勘違いされちゃうから、ブラックパンサーをマーベル的には名前を変えたこともあったという。

(渡辺志保)「ブラック」を取るか? みたいな話もあったみたいですけど。なんだけど、いままでマーベル的には「政治団体、自警団としてのブラックパンサー党と我々のヒーロー、ブラックパンサーは別物ですよ」というのが主張だったけど、私も奥田さんと全く同意見で。この映画にはそのライアン・クーグラー監督がブラックパンサー党のメッセージも忍ばせていると思いますね。

(奥田翔)そうですね。

(DJ YANATAKE)それの象徴として、パブリック・エナミーのポスターが貼ってあったっていうことですね。

(渡辺志保)そうそう。で、パブリック・エナミーもいまバックでヤナタケさんがかけてくださっていますけども。もともと彼らもちょっとブラックパンサー党寄りの思想をビシビシと受け継いでいたという。

(奥田翔)そうですね。

(DJ YANATAKE)だからこのアルバムはさ、本当は1988年に出ていて。1992年のオークランドには、だいぶ4年ぐらい時間がたっているけど、あえてそこを貼っているというところでね。

(渡辺志保)そうですね。たぶん当時もそういう思想の黒人の方はたくさんいただろうし。そういった方たちには88年のパブリック・エナミーのアルバムがある種、アンセムみたいな形で聞かれていたんじゃないかと私は思いましたね。

(DJ YANATAKE)おじさんたちの出番ですね。

(渡辺志保)いやいや(笑)。とんでもありません。だから、いまおっしゃったように、キルモンガーがちょっと急進的なブラックパンサー党寄り。もっと言うとマルコム・X的な。ブラックパンサー党ももともとマルコム・Xの遺志を受け継いだようなところがありますから。マルコム・X寄りな考え方。そして、国王。ヒーローであるティ・チャラ(ブラックパンサー)がどちらかと言うとみんなで平和的に解決しようっていう穏健派(=キング牧師的)な考え方なんじゃないかな?っていうのも映画を見て感じたところですね。

(奥田翔)そうですね。そういう風に感じましたね。で、インスパイア盤の方に話が戻るんですけども。カリフォルニアはカリフォルニアでも、ずっとLAとかコンプトンだったり、ロングビーチとか。そっちの方はずっと光が当たっていたけど、このアルバム、インスパイア盤では北カリフォルニアの方のアーティストたちが結構いっぱい出てきていて。SOB X RBEなんかはバレーホというE-40なんかと同じ地域だったりとか。あと、Mozzyというケンドリックと同い年ぐらいのアーティストはサクラメント出身だったりとかして。で、このオークランドはブラックパンサー党発足の地でもあるんですけども。

(渡辺志保)かつ、ライアン・クーグラー監督の地元でもあるという。

(奥田翔)ということもあって。それもやっぱり北カリフォルニアの方ということで。そういう、北カリフォルニアに焦点を当てているというのもすごい面白いと思っていて。

(渡辺志保)そうね。で、ブラックパンサーっていうとやっぱり、ワカンダ王国がメインの舞台になっているんですけど。ちゃんと映画の冒頭と最後は、「ちゃんと」って言ったら変だけどもオークランドのシーンで始まって、オークランドのシーンで終わるんですよね。私、それもすごいいいなと思って。終わり方の感じも、もちろん文句のつけようがないエンディングの感じがして……まあ、そこまでは言えないですけど(笑)。

(奥田翔)フフフ(笑)。

(渡辺志保)そう。すごい素敵だなって。そこにオークランドをレプリゼントさせるクーグラー監督の心意気がすごい素敵だなという風に思いましたね。

(奥田翔)そうですね。で、そのインスパイア盤に出ていたMozzyというラッパーが、結構つい最近……3月に入ってからかな? 3月2日に新作EPを、6曲入りの短いやつなんですけども、リリースしまして。それがまたね、エモいんですよね。

(渡辺志保)ああっ、いいですねー。ぶっちゃけ、ちょっと暗いテンションのEPじゃないですか。彼が発表したやつは。だから私もどういう意味があって出したEPなんだろう?っていうのは考えちゃったところがあるんですけど。

(奥田翔)で、僕は個人的に思ったのが、インスパイア盤のキルモンガーを表すような曲っていうのがいくつかあるんですよ。たとえば、いまバックでかかっている『King’s Dead』なんかもキルモンガー的な、アン・アポロジックな感じもありますし。あと、SOB X RBEの曲なんかもそうだと思いますけども。

(渡辺志保)あれもそうですね。最初は「I am Killmonger」って始まりますよね。

(奥田翔)というところから始まってますけども。そのMozzyの新作もある意味、そういう生き方をせざるを得なかった悲しみみたいなのを体現している。だから、これもある意味でどの曲よりもキルモンガー的なんじゃないかな?っていうことを感じていて。

(渡辺志保)まあEPのタイトルがそもそも『Spiritual Conversations』っていう、「精神の対話」というか。で、私も聞いて最初の印象は、サグとしてのブルースみたいな感じをすごく受けました。

(奥田翔)そうですね。なんでちょっと、この曲はインスパイア盤からじゃないんですけど、キルモンガーだなと自分が感じた曲として、この曲をかけさせてください。Mozzy feat. Rayven Justiceで『No Choice』。

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Mozzy『No Choice ft. Rayven Justice』

(渡辺志保)はい。いまお届けしておりますのは『Black Panther: The Album』にも参加していたMozzyの新しいEP『Spiritual Conversations』から『No Choice ft. Rayven Justice』。サグいブルース。すっごいですよね。

(奥田翔)サグでエモくて。

(渡辺志保)映画を見れば、もちろんわかるだろうと思うんですけども、キルモンガーも敵役、悪役なんだけども、彼には彼のちゃんとした理由があって、あえてそういう行動を取らざるを得ないというところもあって。私も他のラジオ番組でも話したんですけども、キルモンガーに感情移入して見てしまうところもすごくありましたね。

(奥田翔)そうですね。いやー、本当に。だから自分も1回目はケンドリック・ラマーとの関連性について触れながらということで、そういう視点で見ていたんですけども。それを取っ払って見た時、やっぱりキルモンガーには別の正義というか、そういうものを感じるし。で、彼が過激派にならざるを得なかった背景みたいなのを考えると、すごく最後のシーンとかも切ないなと思って。

(渡辺志保)ねえ。そうだよね。それって本当にいろんないまのアメリカのシチュエーションにも置き換えることができると思うし。私もいままで2回、この『ブラックパンサー』を拝見して、二度目はアメリカ出身の黒人の子と一緒に見に行ったんですよ。で、彼に見終わった後に感想を聞いたら、「いかなる状況であれ、ブラザー同士が殺し合うシーンは見たくなかった。戦うシーンは見たくなかった」みたいな話をしていて。でも、それって本当に救いようのないシチュエーションだとは思うんですけども。でも、その中でもやっぱりキルモンガーにあそこまでの主体性というか正当性を持たせるというのが唯一の救いだった部分ではないかな? という風にも感じましたね。

(奥田翔)そうですね。

(DJ YANATAKE)そうだね。俺もさっき、はじまる前に話していたけどさ。スピンオフみたいなのが仮にできたとして、キルモンガー側から描いたら全然反対のが作れちゃうぐらい、キルモンガーのキャラクターはすごいよね。

(渡辺志保)それを演じているマイケル・B・ジョーダンはこのライアン・クーグラー監督の作品に毎回出ている俳優さんでもあって。だから、またそういうのを作ってほしいな、なんて思ったりもしたし。この映画は本当にいろいろと考えさせられるし、もしそういうスピンオフのストーリーがあったらどうなったか? とか。私はすごい、話が飛んじゃいますけども、ブラックパンサー党の方もモチーフにしているということで。もしも2パックが生きていたらライアン・クーグラー監督は2パックに曲をたのみたかったんじゃないかなってふと思ったんです。

(奥田翔)いや、そうですね。

(渡辺志保)でも、これはクーグラー監督が同世代のケンドリック・ラマーと一緒にタッグを組むからいいものができたのであって。なんかそれとこれとはちょっと違うな、なんて1人で全然答えがないんだけど、そういうことをグルグル考えもしたし。すごいいいですよね。私はやっぱり、いままですごくマーベルを追いかけていたとか、そういうアメコミとかヒーロー物を追いかけていたとかではないんだけど、でもすごくIntoしてしまいましたし。かつ、ケンドリック・ラマーというラッパーがこれだけの立ち位置でこの映画で成し遂げたことみたいなものも考えると、とてもリマーカブルな作品だなと思うし。

(奥田翔)うんうん。

(渡辺志保)まあ、2回見たけどまた見たいっていう風に。で、さんざん奥田さんもいろんな小ネタを話してくれましたけど、たぶんまだ気づいていないものがたくさんあるじゃないかとか思っちゃうし。いろんな視点からみたいなとも思いますし。まだ本当に公開されたばかりなので、見ていないという方はぜひぜひ劇場に足を運んでいただきたいと思います。どうでしょう? 奥田さん。

(奥田翔)本当に劇場に足を運んでもらいたいんですけど。このインスパイア盤からの先行シングルでケンドリック・ラマーとSZAの『All The Stars』という曲。これ、ピッチフォークとかで「無難な曲」とかって批判されていて。

(渡辺志保)あ、私も見た。いちばん最初のレビューだよね。

(奥田翔)で、この曲は好きは好きなんですけど、そのレビューにも共感する部分もあったんですが……。

(渡辺志保)そうだね。結構SZAの『Ctrl』を聞いてからこの『All The Stars』を聞くと、「あら? SZAちゃん、普通だな?」みたいな。わかる。超わかります。

(奥田翔)普通だな、サントラっぽいな、みたいな。でも、やっぱりこの曲を映画の最後に聞くと、「これしかない!」ってなりますよね(笑)。

(渡辺志保)わかる! すっごい締めだよね。だから「普通だな」っていうのを逆に、普遍的な愛というか。そしてこの『ブラックパンサー』にも通じる、普遍的なみなさんを包み込むような感情を歌った、リプリゼントしたのがこの曲ですっていう感じがしますよね。

(奥田翔)で、まさにそのへんが、ケンドリックがこれまでに自分の楽曲とかで話してきたようなことと重なる部分があって。力を独占するんじゃなくて、共有するみたいなところがあったんですけど。それなんかも、『To Pimp A Butterfly』に『How much a dollar cost』っていう曲があって。オバマ大統領が2015年のベストトラックに選んだ曲なんですけども。

(渡辺志保)はい。

(奥田翔)なんかそれっぽい感じの、いままでは自己中心主義が自分をこの地位に導いたと思っているけど、いまこの立場に立ったんだから今度は施す側に回るみたいな、そういうメッセージがあったと思うんですけど。そういうところとも通じるものがあって。

(渡辺志保)そうだね。私はでも、この『Black Panther: The Album』を聞き出してから、よりケンドリックの『Section.80』を聞くようになったの。あれもやっぱりハイパワーのムーブメントをラップしたりしていて。ケンドリックの普遍性っていうところもすごいし。変わらず、自分の主張をズレずに伝えているラッパーという点でもすごいなと思ったところですね。

(奥田翔)そうですね。

(渡辺志保)じゃあ、ちょっとだけその『All The Stars』も聞いてもらいましょうかね。

(奥田翔)ケンドリック・ラマー&SZAで『All The Stars』。

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Kendrick Lamar, SZA『All The Stars』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのは『Black Panther: The Album』の表題曲と言ってもいい感じですけども。『ブラックパンサー』のテーマ曲と言うべきケンドリック・ラマー&SZA『All The Stars』でした。というわけで、本当にあっという間に時間がすぎてしまいましたけども。奥田さんも今日は本当に濃密なトーク、ありがとうございました。

(奥田翔)ありがとうございました。

(渡辺志保)「話し足りない」っていう感じがしますけども(笑)。またぜひぜひ『INSIDE OUT』に遊びにきてほしいし。奥田さんから告知、ありますか?

(奥田翔)そうですね。この『ブラックパンサー』関連でいうと、「『ブラックパンサー』になぜケンドリック・ラマーが起用された?」っていうタイトルでCINRA.NETさんで書かせていただいている原稿がありますので。そちらをお読みいただければと思います。ケンドリックをちょっと厚めに書いています。

(渡辺志保)はい。

(奥田翔)というのと、グラミー賞で5部門ノミネートされたカリードの『American Teen』の国内盤の対訳と解説。それからSZAの『Ctrl』の国内盤の解説。こちら、対訳は志保さんがやられているんですよね。

(渡辺志保)ありがとうございます! などなどということで、奥田さん、もちろんブログも頻繁に更新されているので。

(奥田翔)はい。もうちょっとがんばってやりますので(笑)。

(渡辺志保)お体を壊さぬよう。でも、ちょこちょこいろんな記事をアップされているので、ぜひ奥田さんのTwitterとかInstagramのアカウントをフォローされるといいんじゃないでしょうか。私も『Black Panther: The Album』の解説を書かせていただいておりまして。そして『ブラックパンサー』つながりでDJ YANATAKEさんと語り尽くすぞ! ということで、Mikikiさんで2人の対談形式の記事もアップされております。

(渡辺志保)そして先週の金曜日、3月2日のTBSラジオ『荻上チキ Session-22』にも出演させていただきまして。そこでも「マーベル初の黒人ヒーロー『ブラックパンサー』は現代社会に何を問いかけるのか」ということで。いま、ラジオクラウドで音声が配信されていますので、ぜひぜひこちらも。あんまりネタバレ度は低いので、安心してぜひぜひ聞いてください。

(DJ YANATAKE)はい。ヤナタケです。僕も『ブラックパンサー』、敵役のキルモンガーを……『Complex Magazine』の記事で「『ダークナイト』の(ヒース・レジャーの)ジョーカー以来の悪役がついに出てきた!」みたいな紹介をしていたのもすごいよかったし。マーベルの作品をいろいろと追いかけていくと、それこそRap Geniusみたいに「あそこの話とここの話がつながっていて……」みたいな楽しみ方を、たぶん子供の頃からアメリカの子供たちはしているのかなって思って。だから、ヒップホップもああやってRap Geniusとかを見ながら楽しむ土台がそういうところからできているのかな?って。

(奥田翔)うんうん。

(渡辺志保)たしかに、それはあるかも。

(DJ YANATAKE)「この話とこの話はこうつながって、ここをこういう風に読んで……」みたいなのはすっごいなと。そういうつながりを感じたのと、でも僕の奥さんの弟がガチ勢なんですよ。マーベルガチ勢で、彼に聞いて。俺もまさにそうだと思ったんだけど、今回はブラックパンサーが主役の回ははじめてじゃないですか。『アベンジャーズ』とかになるとみんながいっぱい出てくるけど。そのキャラクターがはじめての回の映画は、そのキャラクターにフォーカスされるから。いままでの他のマーベルの作品を知らなくても全然楽しめるよということなんで。まさにそんな感じだったんで。全然、いままで全くマーベル作品を見たことがない人でも全然楽しめるので、ぜひ見に行っていただきたいですね。

(渡辺志保)ヤナタケさん、質問です。(ツイートを読む)「4DXを鑑賞してみていかがでしたか?」っていう質問が。

(DJ YANATAKE)思ったよりもめっちゃ揺れたりするんだけど、いちばんよかったのは高いところから落ちていく時の感じにイスがなってくれるの。あそこは没入感がありました。ただ、思ったよりもめっちゃ揺れるんですよ(笑)。

(渡辺志保)そうなんだよね。だから、「ポップコーンは袋に入れてください」って言われるんだよね。それがちょっと……みたいな(笑)。

(奥田翔)ポリポリ食べながら見れないんですね。

(DJ YANATAKE)そうそう。見れない。

(渡辺志保)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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