松尾潔 2018年注目の韓国系・南米系R&Bアーティストを語る

松尾潔 2018年注目の韓国系・南米系R&Bアーティストを語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で非アフリカン・アメリカンのR&Bを紹介。韓国系シンガーAnnaleやTablo、Eric NamとGallantのコラボ、そしてコロンビア系シンガーのKali Uchisを紹介していました。

(松尾潔)それに続けてご紹介しましたのが、先ほどから何度か名前をここで上げてまいりました、ミント・コンディションの中心人物で昨年ソロとして大活躍しましたストークリーがプロデュースしてかつ、デュエットでも参加しているという女性シンガー。アナレイ(Annale)って読むんですかね? 僕もきちんとした発音自信ないんですが。『Back of My Hand』という曲でした。フィーチャリング、ストークリー。

Annale『Back of My Hand (Feat. Stokley)』

(松尾潔)このアナレイという人はね、2年ぐらい前から僕は名前を聞くようになりました。で、『Showtime』っていう去年リリースされた曲でストークリーがプロデュースしているというのが好事家の間ではニュースになっておりましたが。

今回はそのストークリーがいよいよ、デュエットパートナーとしてフィーチャリングされておりまして。もうすぐアルバムが出るのかな? アナレイという方は韓国系女性シンガーですね。コリアン・アメリカンだそうですが。彼女の名前もちょっと覚えておいて損はないんじゃないでしょうか。『Back of My Hand』、ご紹介いたしました。まあね、こういうアメリカと韓国のR&Bのコラボレーションっていうのは最近増えてるんですよね。いま、バックで流れております曲は『Circle』という曲でございまして。最近、割とそうですね、移動の時なんかに僕は聞いている曲なんですけど。セイという、ある女性ボーカルグループからソロになった女性がティッシュ・ハイマンっていうアメリカの女性ラッパー……歌も歌いますけどね、ラッパーとしての活動が目立ちますが、そのティッシュ・ハイマンをフューチャリングした曲です。

こういったね、US R&BとコリアンR&Bのコラボっていうのは、ちょっとここ来て増えてますね。まあ、もちろんアメリカの市場においてもK-POPのアーティストたちが一定の存在感を示し始めたということと無縁ではないでしょう。まあ、昔からその2ne1ですとかね、BIGBANGですとか、防弾少年団とか。もちろん少女時代とかね、そういった人たちも、J-POP以上にK-POPっていうのがアメリカ進出に自覚的ですし。一朝一夕に生まれたコラボじゃないんだなと思って、さっきのストークリーの歌声を聞いていたわけなんですが。

続いてご紹介するのは、これも去年リリースされたものでして。男性×男性というコラボレーションです。アメリカからはガラントが登場します。ガラントはこの番組でも一昨年あたりはよくご紹介した記憶がありますね。そのガラントが韓国のタブロ。このひとはエピック・ハイっていうユニットの人ですよね。それぐらいは僕も知っているっていう感じなんですけど。まあ僕もK-POPの仕事をプロデューサーとしていくつかいままでやってまいりましたけれども。

そんなに直接付き合いのあるような人たちではないんですが。あとエリック・ナムという人……ひらたく言いますと、アメリカから1人、韓国から2人ということで男性が3人でR&B、ラップ、そういったものを共演しております。これは結構な聞き物なんですよね。意外とまだ、日本では取りざたされることもそんなないような気もいたしまして。このタイミングでご紹介いたします。聞いてください。ガラントとタブロ、エリック・ナムの共演で曲は『Cave Me In』。

Gallant x Tablo x Eric Nam『Cave Me In』

Kali Uchis『After The Storm ft. Tyler, The Creator, Bootsy Collins』

ブルーノ・マーズの大活躍でもはやR&Bというものがアフリカン・アメリカンの専売特許ではないという時代、もう本当にまざまざと見せつけられているような、そんな気がするのですが。今日、ご紹介したいくつかのナンバーも、その時代というものを背負ってますね。いま聞いていただいた2曲はいずれもそんなことを強く印象づける、そんなナンバーでした。まずはガラントがタブロとエリック・ナムという3人で……どっちかというと、主導権は韓国勢にあるんだなっていうのを聞いてみて、ひしひしと感じましたけどね。『Cave Me In』という曲。

これは……ガラントはね、この番組でも『Weight In Gold』とかあと『Miyazaki』っていう曲をご紹介した記憶がありますが。

松尾潔 Gallant『Miyazaki』を語る
松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でGallantの新作アルバム『Ology』から『Miyazaki』を紹介していました。 (松尾潔)続いてご紹介しましたのは、LAからガラント(Gallant)という男性シンガー。この番組で...

僕がこの番組で繰り返し言っているドレイク以降の、ああいうフロウの、アンビエントなっていうんですかね? そういうR&Bであると同時に、K-POPというか、韓国のR&Bの持ち味も十分に活きているなと思いました。エピック・ハイのタブロとエリック・ナム。もちろん、この人たちというのはアメリカンカルチャーのい影響が強い。あちらで生活をしていた時間も長いというような人たちなんですがただ、この曲はビデオが香港で撮影されてまして。そういったところも含めて、なんかアジア発信っていうところを強く打ち出しているのは面白いなと思いました。それが国際競争力にもなるのでしょうね。いまの時代はね。

そして続いてご紹介しました、これはね、ちょっと新曲かな?っていうぐらいの気持ちの良いレイドバックしたリズムでございました。女性シンガー、カリ・ウチスがラッパーのタイラー・ザ・クリエイター、そしてかのブーツィー・コリンズをフィーチャーした、これも三つ巴楽曲でした。『After The Storm』。リリースされたばかりのシングルです。カリ・ウチスという人はダニエル・シーザーとのデュエット『Get You』という曲、これを去年ロングヒットさせましたが。

あれはあくまでもダニエル・シーザーに軸足が置かれておりましが、今回はね……まあ、ブーツィー・コリンズが年末もクリスマスナンバーでカリ・ウチスに声をかけたりしていましたから。同じ時期に作った作品何でしょうが。そこにタイラー・ザ・クリエイターというこの数年の西海岸ヒップホップシーンを牽引しているオッド・フューチャーという集団のボスですね。この間、グラミー賞授賞式で存在感を発揮してましたが、そのタイラーとブーツィー・コリンズという新旧のアメリカン・ブラックミュージックのアイコンと一緒にやってるか面白いのですが。

そのカリ・ウチスっていうこの名前の響きからお察しできるかもしれませんが、この人はいわゆるアフリカン・アメリカンとはちょっと違って、コロンビア生まれなんですよね。そういったところもいまのR&Bシーンの面白みですよね。コロンビア生まれの才女がブーツィー・コリンズとね、共演するという。まあ、私ごとながら、僕が初めて製作に関わった1996年のジョン・Bという人の『Simple Melody』っていう、これはベイビーフェイスが送り出した白人R&Bアーティストとして当時、ちょっと変わった存在と言われた人なんです。

実はそこにもブーツィー・コリンズがフィーチャーされていましたからね。まあ、僕ははじめて製作した曲が、だからブーツィー絡みの曲だったんで。ブーツィーの名前は特別なものになってるんですが。それからもう20年以上経って、ブーツィーの使われ方がいまもほとんど変わらない意味合いにおいて使われてるっていうところに、「ブーツィーの前にブーツィーなし、ブーツィーの後にブーツィーなし」っていうのを感じて、ちょっと頼もしいですね。そんな個人的な感想もございました。

<書き起こしおわり>

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