松尾潔 山下達郎秘伝のラジオ番組長寿の秘訣を語る

松尾潔と菊地成孔 『メロウな季節』序文を語り合う 菊地成孔の粋な夜電波

松尾潔さんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』に出演。松尾さんが山下達郎さんに聞いた、ラジオ番組を長寿させる秘訣について話していました。

(菊地成孔)と、まあこんな夜話をしている間に、あっという間に番組も終わりの時間を迎えようとして。

(松尾潔)早すぎですね。2曲しかかけてないじゃん!っていう。

(菊地成孔)まあ、3曲ですから。

(松尾潔)3曲?

(菊地成孔)ローレン・デスバーグと・・・

(松尾潔)あ、そうかそうか。でも、立派な対談番組ですね。これ。

(菊地成孔)そうですね。

(松尾潔)そういう番組でよかったんですか?

(菊地成孔)ぜんぜん問題ないですよ。まあ、結局ね、松尾さんの声が聞こえればいいんですよね(笑)。

(松尾潔)いやいやいや、ええーっ?

(菊地成孔)この番組のリスナーに聞かせたいんですよ。松尾さん、もちろんラジオ。

(松尾潔)神南の方で。

(菊地成孔)1枚、メールを読みますけどね。(投稿メールを読む)『菊地さん、スタッフのみなさん、そして2回目のご出演となる松尾さん、こんばんは。突然ですが松尾さんにお願いがあります。松尾さんと言えば、国営放送で菊地さんよりも長期間、メロウなラジオ番組を担当されていらっしゃいます。さらに、松尾さんの番組も粋な夜電波も、特定のスポンサーが存在しないという点では共通しています。そこで、スポンサーなしで番組を長く続けるコツがあれば、菊地さんに教えてあげてください。前回の出演時に、ご自分のことを「サブカル出身」とおっしゃっていた松尾さんらしいお答えを期待する今日このごろです』。ありがとうございます。

(松尾潔)(笑)

(菊地成孔)まあ、厳密にはこの番組はスポンサーが存在しないのではなくて、スポンサーが存在しては消えていくっていうのが正しいところなんですけど(笑)。長寿番組の秘訣はなんなんですか?あの、山下達郎さんから受けた秘伝みたいなのがあるんですか?(笑)。

(松尾潔)(笑)。うん、まじめにお答えすると、それ、あるんですね。僕もね、かつては民放のラジオ局で、長くても2年ぐらいでいつも終わっていたんですよ。もう、ある時など横浜の方のFM局でって、1局しかないですけど(笑)。

(菊地成孔)まあ、そうですね(笑)。

(松尾潔)日産というクレジット名がついていて、カルロス・ゴーンさんがトップになったら僕の番組が消えて。『コストカッターの対象って、俺!?』って言ったぐらいの、それぐらいのスポンサーに受けない感じだったんで。もう、何をやっても受けないなっていう。

(菊地成孔)信じられないですね。

NHKでラジオ番組を始める際に・・・

(松尾潔)いやいやいや、本当、受けよくないんですけど。NHKで番組を始める時に達郎さんから、『とにかくNHKでは・・・』。彼、ずっと昔、サウンドストリートっておやりになっていたから。『自分が好きなことをやるのがいちばんだよ。NHKはある意味において、いちばん自由が満喫できると思うよ』って言われたんで、まあ変な話、『じゃあまあ、好きなことをやれるのであれば、いつ終わってもいいかな?』と思ったら、まあ6年ぐらいやっているってことですね。

(菊地成孔)なるほど。

(松尾潔)この無欲をね、強調する感じのいやらしさ(笑)。

(菊地成孔)いや、ぜんぜんいやらしくないですよ(笑)。

(松尾潔)自分で言いながら、『ちょっといまやりすぎたかな?』と思っちゃった。

(菊地成孔)いまのは、いちばんいやらしくないところだと思いますけどね(笑)。

(松尾潔)マジっすか?(笑)。その後のエクスキューズ、いらなかったな(笑)。

(菊地成孔)いやいやいや、あのね、いちばん最初の話に戻りますけど、声が高いことが名文家の・・・っていう話、しましたけど。

松尾潔と菊地成孔 『メロウな季節』序文を語り合う
松尾潔さんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』に出演。著書『松尾潔のメロウな季節』の序文を担当した菊地さんと、本の序文や本編について語り合っていました。 おはようございます。昨夜TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』に耳を傾けてくださった方

(松尾潔)(笑)。よく覚えてましたね。最初のネタ(笑)。

(菊地成孔)あの、声が高いことと、軽躁で自分でしゃべって自分で笑う人の番組は長いです。それ僕、サンソン(山下達郎のサンデー・ソングブック)だと思っているわけ。

(松尾潔)はいはいはい!

(菊地成孔)それでね、それを継いでいるのが松尾さんだと思っていて、で、俺も同じだと思っているの(笑)。

(松尾潔)(笑)

(菊地成孔)だから、達郎さんからなんか秘伝があって、それがその内容だって回答になったら本当に美しいなと思ったら、まさに100点満点の返しがきたんで、やっぱ100点出す人だって思いましたね。いまね。

(松尾潔)やった!無邪気に喜んでみる(笑)。

(菊地成孔)いやいや、あのね、好きなことをやっているのを聞きたいんですよ。

(松尾潔)あ、まあけど、そうかもしれない。

(菊地成孔)極端に言うと、いまの人たちっていうのはその勢いがね、いまラジオ番組で好きな・・・たとえば構成作家、この番組、いませんから。

(松尾潔)本当ですよね。

(菊地成孔)自分で全部、好きにやっているわけ。で、『松尾さんが来たいって言ってますよ』って言われたら、『じゃあ、呼んで』って言っているだけのことなんで(笑)。だから、ただそういう形で好きなことをやっているのを聞きたいっていうのは、突き詰めていくと、まあみんな、炎上が見たいって思っているのと一緒ですね。

(松尾潔)(笑)。まあ、事件性を期待しているわけでしょ?どっかで。

(菊地成孔)っていうか、炎上っていうのは感情のいちばん遠慮してない部分ですよね。

(松尾潔)うーん、なるほど。

(菊地成孔)要するに怒っているわけだから。だから、その人が本当に好きなことを言って、もうなんもかもない。スタッフも構成作家もなんもないんだ。俺はこれが言いたい!っていうのを言い合っているのが炎上だと思うんですよ。だから、炎上しか読みたくない。もう内容はなんでもいいから、炎上が見たいんだっていうのは、人が好きにやっている状態を見たいのと一緒だと思う。

(松尾潔)まあ、けどそれは本当にそうですね。

(菊地成孔)それをどんどんどんどん薄めていってエレガントにしていったのが音楽番組とかに系統的につながっていくと思うんですよね。

(松尾潔)僕、ぜんっぜんわからないヘビーメタルでも、なんかもう伊藤政則さんが・・・

(菊地成孔)そう!そう!

(松尾潔)すんごい面白そうに話していると、そこだけ聞いちゃうもんな。

(菊地成孔)聞きますよね?あのね、伊藤政則さんは天使ですよね(笑)。本当に。

(松尾潔)本当ですよ。しかも、20年前、30年前なのかな?はじめて、彼のことを。そん時から、まったくイメージが変わらないですね。

(菊地成孔)変わんない。時が止まっているの。あの人。聞くもんが変わらないからだと思うの(笑)。

(松尾潔)(笑)

(菊地成孔)そこはね、だからある意味、切なさがないっていう安心感もあるんですよね。

(松尾潔)そうかー。

(菊地成孔)松尾さん、もう聞くものがすごい偏っているように見えるから、時間が止まっていて、あんまり体もね、ボディメイクもすごいしっかりされているので。だんだん中年になって腹が出てきたみたいな、ボテッてきた感もないじゃないですか。

(松尾潔)(笑)

(菊地成孔)そうすると、松尾さんって変わんないねって思うんだけど、今回の本を読んだ時にちょっと切ないなって思ったんですよね。それはさっき言ったような季節の変わり目っていうのがやっぱりあるんだなっていうのを感じました。すごく。いやー、ぜんぜん止まらないっすね。

(松尾潔)止まらないですね。

(菊地成孔)あの、あと8億乗せるんで・・・(笑)。

(松尾潔)(笑)

(菊地成孔)TBSがあと8億。あ、6億ですか?すいません。8億は無理なようです。6億乗せるんで、来週も出ていただけませんでしょうか?

(松尾潔)(笑)。菊地さん、問題は単位です。それ、ペソじゃないでしょうね?

(菊地成孔)(笑)。あのね、70年代の人民元で(笑)。

(松尾潔)(笑)。もっとキツいじゃないですか。

(菊地成孔)いや、ユーロですよ、ユーロ(笑)。あ、告知してください。

<書き起こしおわり>
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