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松尾潔 R&B定番曲解説 Junior『Mama Used To Say』

松尾潔 R&B定番曲解説 Junior『Mama Used To Say』 松尾潔のメロウな夜
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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でR&Bの定番曲、Junior『Mama Used To Say』を紹介。様々なカバーバージョンを聞き比べながら解説していました。

(松尾潔)さて、ここからは帰ってまいりました。いまなら間に合うスタンダード、その27回。再開後2回目となります。今夜ご紹介しますのはイギリスのソウルシンガー……R&Bと言わず、あえてソウルシンガーと申し上げましょう。ジュニアの『Mama Used To Say』なんですが。いま、バックで流れているのはヘヴィ・D&ザ・ボーイズで『Is It Good To You』。これは彼らにとって大出世作ですね。その前の『Big Tyme』っていうアルバムでかなり一般的な認知をエタンエスが、この『Peaceful Journey』でドカンと来ましたね。1991年。

テディ・ライリーをはじめとする当時の気鋭のプロデューサーたちが集いまして。ヒップホップとR&Bをクロスオーバーするような、そんな内容でグッと歌物に傾いたアルバムと言われてます。ヘヴィ・Dはね、その後に自分もラッパーからシンガーへという風にどんどん自分の置かれている場所を自ら変えていくんですね。その前からお芝居なんかもやってまして。本当、お茶の間の人気者みたいなところまで行ったんですけど、惜しくも亡くなりましたね。早すぎる死でございましたが。

そのヘヴィ・Dの出世曲のひとつ『Is It Good To You』、この曲を今日はきっかけに、この曲の元ネタになっておりますジュニアの『Mama Used To Say』。この曲ですね、このイギリス発祥でアメリカ、そして世界中で愛された曲。こちらをご紹介したいのですが。ヘヴィ・D&ザ・ボーイズのこのラップバージョン『Is It Good To You』でフィーチャーされていた女性シンガーのタミー・ルーカス。このプロデューサーのテディ・ライリーのバックアップでソロアルバムが出る、出るって言われて結局はなかなか強いスポットライトを浴びることがなかった悲運の女性シンガーなんですが。

テディ・ライリーと当時、大変密な関係にあったことはたしかでございまして。この『Peaceful Journey』というアルバムのが出て数ヶ月後には『Juice』という2パックが主演した映画のサウンドトラックでタミー・ルーカスを全面的にフィーチャーした『Is It Good To You』の歌物が出ます。

こうなってくると、よくあるかつてヒットしたR&Bナンバーを下敷きにしたラップとしての『Is It Good To You』じゃなくて、R&BがまたR&Bになるという、座組が変わってくるんですけどね。まあテディ本人はどれぐらいの気持ちでやってたのかは分かりませんが。テディ・ライリー名義でタミー・ルーカスがフィーチャーされたというテイで世に出たこちらを聞いてください。その翌年1992年にはシングルカットされて結構なヒットになったと記憶しております。テディ・ライリー feat. タミー・ルーカスで『Is It Good To You』。

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Teddy Riley Feat. Tammy Lucas『Is It Good To You』

いいですねえ! テディ・ライリーは本当に……「流行っていうものはちょっと古いがいちばん古い」っていう真理がございますけども。テディ・ライリーのサラウンドっていうのも常にそういうリスクってのはあるんだけれども。そこを超えて、なんかやっぱり地肩が強いっていうのかな? そういう気がしますね。最近、再評価の波、とみに高まります。テディ・ライリー。そのリーダー作品からテディ・ライリー feat. タミー・ルーカスで『Is It Good To You』。映画『Juice』のサウンドトラックの中からの1曲でございました。

まあさっきのあの『Money Talks』もそうでしたけども、90年代のこういうR&Bとヒップホップの映画のサントラとの仲が良かった時代っていうのは本当に……そのサントラまで全部チェックしなきゃいけないっていうのもヒーヒー言いながらも当時、喜んでいましたね。いまみたいにサブスクリプションとかがない時代ですから。「この1曲のためにアルバムを買っちゃうのか……ちょっと懐にキツいなあ……」みたいなことも正直、学生時代などはそういうこともありましたけどもね。そういう時はね、お目当ての曲を聞いた後に残りの曲も好きになる努力をするんです。

ええ、こんな話、もう音楽好きのおじさんがよくやりますけども(笑)。本当に努力をして。そうなってくると、それから1年、2年、いや10年経ってみると、初恋の人とは違った人が自分の長年の伴侶になってるということもあるわけですよね。サントラっていうのは本当に出会いの場としては面白かったなと思いますね。ひとつの教室でしたね。はい。話が逸れてしまいましたけども。

このテディ・ライリーというプロデューサー、ガイやブラックストリートなど名グループのリーダーでもありましたが、この彼のサウンドメイクというのはある種の錬金術でございまして。まずヘヴィ・D&ザ・ボーイズの『Is It Good To You』を聞いた時に「ん? このベースラインはもしかして……?」って思った時に、「やられた! その手があったか!」と。でも、答えが分かっていたとしても同じものを作れるのはこの人しかいないなっていう感じもあるんですよね。いつもね。

そこはやっぱり超一流の錬金術師ならではのスキル、マジックかと思うのですが。いま、バックで流れておりますダニーボーイという、知る人ぞ知る……最近、よく使いますね。「知る人ぞ知る」、便利な言葉だな(笑)。まあ、西海岸のレイドバックしたタイプのR&Bシンガーがこの『Mama Used To Say』をカバーしてますけども。まあ、ダニーボーイの歌声を楽しむには悪くないけども、予想される程度の仕上がりなんですよ。

なんだけども、テディ・ライリーはそこに足すものっていうのかな? なんか同じ食材なのにどうしてこんなに味が違うのだろう?っていう絶品の料理を作る人がたまにいますけども。もうそういう感じですよね。じゃあ、その元になってるものっていうのはどういう曲なのか?っていうのをこれからご紹介したいと思います。今日ご紹介するスタンダード。まさにこの曲から始まった曲の連なりをお楽しみいただきたいのですが。元になった曲を聞いていただきたいと思います。

ジュニア……Junior Giscombeというフルネームでもイギリスでは知られております。1981年にリリースされましてイギリスではナショナルチャートも7位まで。そしてアメリカ進出をしてアメリカでも一般のチャート、ポップチャートで最高位30位というね、なかなかの成功を収めました。こちらです。聞いてくださいジュニアで『Mama Used To Say』。

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Junior『Mama Used To Say』

ジュニアで『Mama Used To Say』。これは『American Remix』という7インチリミックスで。ギターから始まるイントロが印象的ですね。長尺のものっていうのは7分近くて。パーカッションが最初に耳に飛び込んでくるようなアレンジなんですが。それもまたご興味のある方は聞いていただければと思いますね。

このベースライン、ベースの置き方……ベース・ギターに触れたことのある人ならこの曲の魅力っていうのはより立体的にわかるんじゃないかと思いますけどね。もうなんか指先が喜んでるような、そんなノートの動き方ですね。「ドッドッドッドッ♪」ってね。ちょっとぐらい心得のある人なら真似したくなる。でも難しいという感じなんですが。これ、やっぱりビートありきなんだなっていうことを裏付ける1曲かなと思うんですが。数年前に出たラテンカバーでね、Los Ciegos Del Barrioっていう……僕もよく彼らの実態を知らないまま言ってますけども。ひょっとこりと『Mama Used To Say』のカバーが出たんですけども。

たしかにこれ、サルサにもできるし、レゲエにもできるし、いろんな曲に化けるようなちょっと人懐っこいメロディーでもあるんですが。やっぱりビートが変わると別物になっちゃうんだなっていう、そんな1曲でもあります。じゃあ次にご紹介しますのは、この曲がイギリスの後輩ソウルシンガーたちにどう評価されてきたのか?っていうのがよく分かる1曲を聞いていただきたいと思います。ビヴァリー・ナイトっていう一時はイギリスのメアリー・J.ブライジ的な位置づけでしたね。

いまはちょっとメアリー・Jがそうであるようにこの人も落ち着いて、ヒップホップソウル的な佇まいから割とルーツを探求していくようなね、ソウルミュージックの歴史学者みたいなスタンスも取っているビヴァリー・ナイトですが。そのビヴァリー・ナイトが2011年にリリースした『Soul UK』っていうアルバムがあるんですよ。彼女が自国UK発信のソウルミュージックにこだわって同胞の先達のカバーを収めた作品集なんですけども。その中の3曲めに収められましたビヴァリー・ナイトバージョン、こちらをお楽しみいただきたいと思います。ビヴァリー・ナイトで『Mama Used To Say』。

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Beverley Knight『Mama Used To Say』

お届けしましたのはビヴァリー・ナイトによる『Mama Used To Say』のカバーでした。ビヴァリー・ナイト、イギリスの女性R&Bシンガーとして代表的な存在といっても過言ではないのですが。彼女がより自らの音楽的アイデンティティを探求した、そんな一作『Soul UK』という2011年。日本でいえばあの震災の年に出たアルバムですが。その中に収められておりました『Mama Used To Say』でした。

この曲、彼女の歌う動機を示すかのようにミュージックビデオにはね、この人たちがいなければUkでR&B、ソウルミュージックというものがこれほど盛り上がらなかったのではないかというくらい、いろんな人たちが……この人のステージの模様を撮ったようなビデオなんですけど。その楽屋裏みたいなオフショットがたくさん盛り込まれているんですね。

もちろんこの曲のオリジネーターでありますジュニアもそうですし、ロッド・テンパートンですとか、ジャジー・B、オマー、ジャッキー・グラハムとかね。「おお、おお、おお!」っていう感じでね、いろんな方々が出ていますね。見ものなんでぜひそちらもチェックしていただければと思います。もっと話したいんですけどもね。これぐらいにしておきましょうね。

<書き起こしおわり>

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