渡辺志保と荻上チキ Cardi Bを語る

渡辺志保・DJ YANATAKE 2018年初頭の最新ヒップホップ話題曲を語る 荻上チキSession22

渡辺志保さんがTBSラジオ『荻上チキ Session-22』に出演。2018年注目の女性ラッパーを荻上チキさんと南部広美さんに紹介する中で、カーディ・Bについて話していました。

(荻上チキ)幅広くいろいろな曲を紹介してらっしゃると思うんですけど、今月はテーマを絞って選曲をしてくださるということで。どんなテーマなんでしょうか?

(渡辺志保)私、アメリカのヒップホップシーンについておしゃべりをすることが多いんですけど。たとえば今回のグラミー賞では登壇者の方がみなさん、白いバラを飾って。

(荻上チキ)胸元とか、いろんなところに。

(渡辺志保)そうなんです。で、セクハラに対する抗議をしたり。同じくグラミー賞で言うと「#GrammysSoMale」。「Male」っていうのは「男性的」という意味なんですけども、「(グラミー賞が)すごく男性中心的である」という風に非難されたことも記憶に新しいかなと思うんですけど。結構アメリカの賞レースを中心に、女性が行動を起こすということがすごくいま、注目をされているんですね。というわけで、今回は2018年注目の女性ヒップホップアーティストというところに焦点を絞ってご紹介したいと思います。

(荻上チキ)いいですね。昨年からとても注目されていましたよね。初回はどんな曲なんですか?

(渡辺志保)今夜は、さっそくいまアメリカでいちばん注目をされている女性ラッパーを紹介したいと思うんですけども。カーディ・Bという女の子がいます。彼女が『Finesse』という曲……これはもともと今年のグラミー賞でも大きく注目されましたブルーノ・マーズというシンガーがいるんですけど。そのブルーノ・マーズの最新アルバム『24K Magic』の中からのシングルなんですが、そのリミックス・バージョンにこの新人女性ラッパーのカーディ・Bを迎えて、ブルーノ・マーズが今年に入ってリリースしたという曲になります。

Start your 2018 with Big Bronx Boogie Herself @iamcardib and me Midnight Tonight EST #Finesse

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(荻上チキ)ええ。このカーディ・Bという方はもともとどういった方なんですか?

(渡辺志保)1992年生まれのまだ25才。で、SNSとかテレビ番組のリアリティーショーの出演などを経て大きな人気を獲得したという女性ラッパーです。ちょっと言ったら、炎上チックなこともあるんですけど、彼女の場合はそれも逆手に取って、逐一InstagramやTwitterで発信して、どんどん自分の人気を加速させていくという。で、それが見事に成功したという非常に稀有な、そしてイマっぽいラッパーだと思います。

(荻上チキ)それでは、さっそく曲紹介をお願いします。

(渡辺志保)それでは聞いてください。ブルーノ・マーズ feat. カーディ・Bで『Finesse Remix』。

Bruno Mars『Finesse Remix Feat. Cardi B』

(南部広美)この曲を聞きながら『Every Little Step』が流れるっていう。ボビー・ブラウンが。

(渡辺志保)でも、本当にまさにそうで。あえて今回、ブルーノ・マーズは自分のアルバムでそういう、かつての雰囲気を取り込もうとしていて。そこにこの最先端の女性ラッパー、カーディ・Bを呼ぶっていうところに醍醐味を感じてしまうというところがあります。

(荻上チキ)なるほど。今回のカーディ・Bさんの音楽のルーツというか、背景というのはどういったものなんですか?

(渡辺志保)はい。彼女はもともと両親がドミニカからの移民でもあるんですよ。で、ニューヨークのブロンクス出身なんですけども。あまり裕福とは言えない環境に育って、10代の頃、当時付き合っていた彼氏と同棲を始めるんですけど……彼氏がちょっと稼ぎが悪いということでカーディが選んだ道というのが、自分がストリッパーで稼ぐということ。で、時代的にInstagramやTwitterがありますので、カーディ・Bがそこでその日に来た客の悪口とかをInstagramの動画で発信するようになったんですよ。

(荻上チキ)ほう!(笑)。

(渡辺志保)「あの男がしつこくてさ!」みたいな。

(荻上チキ)それ、アカンやつじゃないですか(笑)。

(渡辺志保)でも、それがジワジワと人気を集めるようになってきていて。もう明け透けに、なにもかもをInstagramで発信する。そこで注目されて、その後にリアリティーショー。日本にもありますけど、リアリティーショー(『Love & Hip Hop: New York』)に出演するようになったと。

なので、ニューヨークのストリップクラブからSNS、そしてテレビ番組。そしてその後に本格的に去年の夏、メジャーレーベルからラップデビューをして、どんどんどんどん、わずか2、3年の間にすっごい勢いで自分の活動の場所を広げて、かつ人気を獲得しているという。

(荻上チキ)うんうん。

(渡辺志保)で、ドミニカ出身なので、結構アメリカの移民の人たちからも彼女はすごく、ヒロインみたいな感じになっていて。いまも変わらず彼女は逐一SNSで自分の私生活をさらけ出してくれているんですけど。自分のアパートに祖国からいろんな親戚の人を呼んで、一緒に住まわせているとか、そういった様子も見受けられるほどです。

(荻上チキ)なるほど。パパラッチの3歩ぐらい先を常に行っているんですね(笑)。

(南部広美)先に! 自ら(笑)。

(渡辺志保)そうなんです(笑)。

(荻上チキ)「なにか残ってますか?」っていうような(笑)。そういったスタイル。

(渡辺志保)なにもかもさらけ出しているっていう感じです。

(荻上チキ)イマっぽいですね。

<書き起こしおわり>

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