プチ鹿島 西部邁を語る

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プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で亡くなった評論家の西部邁さんについて話していました。

保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱 (講談社現代新書)

(プチ鹿島)本来だったこのコーナー、小室(哲哉)さんの話をしようと思ったんですけど、いま思いっきりしゃべってしまったので、急遽変えて。そういえば、こんなニュースがあったなというのを急遽、なんの準備もしていないんですけども、しゃべってみようと思います。それは、評論家の西部邁さんがね、お亡くなりになりましたよね。日曜日に。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)僕、この方は『朝まで生テレビ!』ではじめて見たんですよ。88年、9年ぐらいかな? だから僕が高校生の時。で、朝生ってね、猛獣ばっかり出ていたんです。方や大島渚さんが「バカヤロー!」って言ったり、若手の舛添要一さんが後ろの方、奥の方からガヤ芸人よろしくワイワイワイワイやって。もう本当に言葉の取り合いだったの。そんな中でいつもタバコを吸いながら、あえて言うとニヤニヤしながら余裕シャクシャクの人が西部邁さん。

(塩澤未佳子)ああ、そういう感じだったんだ。

(プチ鹿島)で、僕は「なんだ、この闘牛場で余裕シャクシャクの?」って思って。で、「なんか屁理屈すげー言ってるな」って思って逆に気になって。僕は大学時代とか結構、朝生出演者の本とかを読んでいたんですよね。で、西部邁さんのも読んでいたんです。

(塩澤未佳子)そうですか。

(プチ鹿島)で、何冊もあって。特に学生時代にいろいろと読んでいたんで、最近のは読んでないっていう前提で承知していただいてお話を聞いていただきたいんですけども。2つ、印象的な言葉があってね。テキストがいま、目の前にあるわけじゃないから一字一句は合っていませんよ。合っていないと思いますけど、2つ覚えていることがあってね。「ああ、なるほど」と思ったのがあって。ひとつが「大衆」という言葉。西部さんは本の中で大衆の定義を……たとえばいま、誰かが「大衆がさ……」って言ったら、その世の中の多くの人のことを思い浮かべるじゃないですか。

(塩澤未佳子)そうですね。

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本当の「大衆」

(プチ鹿島)「でも本当の大衆は、自分を大衆だと思っていない人だ」って言っているんです。

(塩澤未佳子)なに? どういうこと?

(プチ鹿島)これ、すごくいまの時代にもつながる話なんです。「大衆はさ、本当にバカだよね」とか「大衆はまたこんな話題に飛びついて」とか、軽々しく僕ら、思わず言っちゃうんですよ。気持ちがいいから。だけど、「自分は大衆じゃない」って思っちゃっている、ある種傲慢な人の方が大衆なんだよっていう。

(塩澤未佳子)はー! ちょっとなんか突かれた感じがする。痛いところをグッと。

(プチ鹿島)でしょう? 僕はそれで、「ああ、そういうことか」って。つまり、「人っていうのはそれほど傲慢なんだよ」っていう。で、「自分は正しい、自分は正義だ」っていう人こそ危なっかしいんだよと僕は解釈したんですよ。これ、いまの時代にも通じませんか? 簡単に、やっぱり人を見下してね、語っちゃうんですけど……でも、それが大衆。平均のやつだから……っていうのを頭に入れておくと便利かなと思います。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)あと、もうひとつ。西部さんっていうのは「保守の論客」って言われるんですよね。たしかに朝生でもそういう立ち位置です。だけど、色々と本を読んでいくと、あの人は大学時代にむしろ学生運動のトップだったんですよ。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)むしろ、超左なんですよ。だったんです。そこから、いろいろと変遷を経て。だからたぶんあのニヤニヤっていうのは周りを見下すニヤニヤじゃなくて、「またそんなことを言っている。でも、そういうのって昔の俺も言っていたな」みたいな、自分に対する照れもあったのかな? みたいなのも考えちゃうぐらい。っていうのはね、簡単に「保守、保守」って言うんだけど。覚えている言葉の2つ目を言うと、「本当の保守というのは綱渡りと同じだ」というのをどこかの本に書かれていたんですね。どういうことかな?っていうと、綱渡りをする時ってバランスよく進まなくちゃいけないじゃないですか。

(塩澤未佳子)そうですね。落ちちゃいますからね。

本当の「保守」

(プチ鹿島)で、一歩一歩進まなくちゃいけないじゃないですか。それが本当の保守だと言うんですよ。だから、急激に改革をしようってなると、つまり綱渡りをバーッて走って行ったら、落ちますよね? それは急激だから。本当に着実に一歩一歩前に進むんだったら、綱渡りと同じように棒を持って、バランスを取って一歩一歩……しかもそれは綱渡りですから、後ろにはもう戻らないですよね?

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だから保守って言うとなにかいまを現状肯定するだけが保守みたいなことを言うんだけど、違うんだと。後ろを確認しながら、でも後ろには絶対に戻らない。でも一歩一歩しか前には進めないっていうのも保守だと聞いて、「ああ、そういうものか」と僕は思ったわけです。それ以降、僕の中ではそういうことをする人が保守だなと思うんですけど……さあ、それを頭においてください。いまの政治家って、本当に保守政治家っているんですか?っていう話ですよ。

(塩澤未佳子)そうですね。

(プチ鹿島)みんな口を開けば「改革、改革」。だから急激に物事を変える。「革命」とか。もう安倍さんも言っていますよね。「ひとづくり革命」とか、「働き方改革」とか。だけどそれって、いわゆるその西部流が保守だとしたら、本当に保守なの?っていうのもあるわけですよね。急激に物事を変えようとする。だからこの四半世紀を見てくださいよ。政治改革とかなんとか、だいたい急激にやろうとすると、ポシャるじゃないですか。だから、その言葉にはある種の本質があるのかな?っていうのは思っているんですよね。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)「後戻りをしない」っていうのはいいですよね。いまのものをただ現状肯定で、既得権益を守るためが保守っていうイメージ。そういう人たちはいると思いますよ。絶対に。だけど、そうじゃなくて。一歩一歩前に進むしかないんだというのが保守の定義だとしたら。だから僕がいま、どこの方面を見てもみんな口を揃えて「改革だ」「革命だ」って、なにかガラッと変えれば世の中がよくなるんだ、みたいなことを言っている政治家の人たちばっかりじゃないですか。

(塩澤未佳子)そういうじゃあ、そうおっしゃる保守の一歩一歩進んでいるところって、見渡してどこにいるんだろう?って。

(プチ鹿島)だから、いるのかはわからない。いないんじゃない?っていう話ですよ。だから、ごめんなさい。これは最近の西部さんの著作は僕、読んでなかったので。せいぜい90年代前半、中盤ぐらいですけども。いまだにでも、その2つの言葉というのは有効なのかなとは僕は思いますけどね。

(塩澤未佳子)はー。それだけ残っているんですもんね。頭の中にいまだにね。

(プチ鹿島)だからまあ、本を読んでいると自分の死生観とかも書かれていたんで。今回、まあ川に入ってというのはまあ、驚き半分、「ああ、やっぱりか」というのはありましたよね。自分で決定するという。それに賛同するとは僕は言っていないですよ。言っていないですけど……そういうのを考えましたね。久しぶりに、「そういえばあんなことを書いてたな」というのを日曜日、その訃報を聞いて思い出しましたね。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)みんな、言葉が安くなっていませんか? 「改革」だけじゃなくて「大改革」とか言うでしょう? この間の(選挙の)マニフェストなんか、みんな読んでくださいよ。「大改革」「革命」……そんなに世の中を急に変えたら、なんかほころびが出るよね? で、(実際には)やっていないし。

(塩澤未佳子)そうだなー。

(プチ鹿島)だから、これは別に保守だ、革新だ、どっちだっていうんじゃなくて、やっぱりひとつずつじっくりやっている政治家を探そうっていう話なんじゃないですか? と、僕は思いました。ということで、まあ急遽ね。ごめんなさい。こういう話をするとは思ってなかったんで、いま脳内の記憶だけでしゃべっているんで。それだけちょっとお話しました。プチ総論でした。

<書き起こしおわり>

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