吉田豪 八代亜紀を語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で八代亜紀さんについて話していました。



(玉袋筋太郎)さあ、今日は?

(安東弘樹)そうなんです。八代亜紀さん。では、八代亜紀さんのあらすじとその筋をご紹介しましょう。1950年、熊本県のお生まれで21才で歌手デビュー。デビューして2年後、『なみだ恋』が120万枚の大ヒットを記録。以降、『愛の終着駅』『舟歌』など数々の名曲を世に送り出し、1980年には『雨の慕情』で日本レコード大賞を受賞。現在もジャズやメタルなど音楽のジャンルを超えて活躍しており、女性演歌歌手としては楽曲の総売上枚数トップを誇る演歌の女王です。そして、吉田豪さんの取材によりますと八代亜紀さんのその筋は……その1、ギャラの持ち逃げ、金銭トラブル。どんな苦労も笑い話の筋。その2、嫌われ続けた全日本歌謡選手権。売られたケンカは3回目で買うよ! の筋。その3、「俺たちが守る」「俺が亜紀と一緒になる」。いろんなファンが増殖の筋。その4、知らないおじさんの面倒を見ていた八代パパの筋。その5、あくまでも代弁者。私、意外と経験ないんですの筋。以上、5本の筋でございます。

(玉袋筋太郎)豪ちゃんはそれまで八代さんとは何回かあったの?

(吉田豪)全然接点ないですね。まあ1回だけ僕が握手会で会ったっていうだけですね。ただのファンとして(笑)。

(玉袋筋太郎)偉いねー。うん。

(吉田豪)フフフ、そうなんですよ。僕、5年前に八代さんの握手会に行っていて。5年前に小西康陽さんのプロデュースした『夜のアルバム』っていうジャズのアルバムが出て。僕、アイドルの握手会にも行かないし、CDの複数買いもしない主義なんですけど、八代さんのアルバムを手違いで3枚、買っちゃったんですよ。

(安東弘樹)手違い?

(吉田豪)そうなんですよ。単なるミスで。で、握手券が3枚入っていたから、「これは行かなくちゃ!」って思って行ったら、ものすごい神対応でかわいらしくてっていうね。あ、『たまむすび』にも出ていましたね。

(安東弘樹)もう我々、メロメロになりましたよ。

(玉袋筋太郎)うん。八代さん、よかったよ。

(吉田豪)かわいいんですよ。

(安東弘樹)かわいかったです。本当に。

(玉袋筋太郎)俺、番組で八代さんの実家まで行ってるからね。ロケで。

(吉田豪)ストーキング的なものではなく?

(玉袋筋太郎)じゃない。番組で。

(安東弘樹)番組でね。ああ、うらやましい。

(吉田豪)だから本当にかわいらしいなと思ったのが僕、この取材の時に取材の部屋に入った瞬間に、最近新しいアルバムで『夜のアルバム』の続きの『夜のつづき』っていうのが出て。それのLPサイズのジャケットができたということですごいはしゃいでいたんです。「みんな、見て、これ!」とかってスタッフに見せてキャーキャー言っていた瞬間で。で、僕が山ほど本を持参したんですよ。そしたらその本も見て、『舟唄ビューティー』っていう八代さんがダイエットしてすごい若いメイクをして……みたいな本があったんですよ。それを見てまた興奮して。「みんな、これ見て! これ見て! ほらっ、ほらっ、ほらっ!」って。ずーっとそういう(笑)。

大量の八代亜紀本


(安東弘樹)そういうテンションなんでしょうね。

(吉田豪)「かわいいなー」っていうね。

(安東弘樹)僕、だって6回、「抱きしめたい」って思いましたもん。

(吉田豪)ダハハハハッ!

(玉袋筋太郎)6回ですか!?

(吉田豪)カウントしてた(笑)。

(安東弘樹)6回、「抱きしめたい」と思いましたけどね。

(玉袋筋太郎)八代さんをですね。うわー。

(吉田豪)でも、わかりますよ。本当にアイドル以上にアイドル性のある人で。前から「40才、50才になっても『かわいい』と言われたい」って本で書いていたんですけど、実際にそうなっているんですよね。ちゃんとかわいい。

(玉袋筋太郎)なってる、なってる。バラエティー出てもね、そういう対応してくれるし。うん。

(吉田豪)で、いろいろと僕は八代さんの本を読んだんですけど、かなり苦労をされている人なんですけど、自覚がないっていうか。「苦労、してないですよ」って言っていて。

(玉袋筋太郎)いや、しているはずだよ。そんな……。

(吉田豪)「してますよ!」っていう。

(玉袋筋太郎)若い頃からそんな、キャバレーで。

(吉田豪)キャンペーンとかキャバレーとか、それぐらいは当たり前ですって感じなんですけど。それ以外にもいろいろとあるじゃないですかって。デビューするなりマネージャーさんにギャラも含めてお金を全部持ち逃げされたりとかね。あったんですよね。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。

(吉田豪)「レコード大賞を取った後も金銭トラブルがあったり……」って言うと、もういきなり笑い飛ばされて。「アハハハハッ! 金銭トラブルはもうクワーッと来てる八代亜紀ですから!」っていう感じでね。「レコ大の前もレコ大の後も。アハハハハッ!」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)すごいな。その位置まで達するっていうことは。

(吉田豪)なんか笑い事にしてるんですよ。

(安東弘樹)なんかの境地に達したんでしょうかね。悟りというかね。

(吉田豪)音楽学校に通っていた時代の話っていうのもひどくて。学校の先生にいきなり気に入られて、「歌手なんか辞めて俺と結婚してくれ!」って迫られたりとか。

(玉袋筋太郎)昭和だな、おい。

(吉田豪)昭和なんですよ。で、音楽学校にスカウトとかでレコード会社の人も結構来ていたんですけど。で、八代さんもレコード会社にスカウトされて。オーディションにも受かって、レコーディングもして。あとはレコードを出すばかりっていう段階になって「お金がいる。200万円持って来い。もしくは、ないなら君の体で払え」って言われたっていうね。

(玉袋筋太郎)これだよなあ……。

(安東弘樹)うわー、当時らしいなー。

(吉田豪)「昭和!」っていうね(笑)。

(玉袋筋太郎)ハリウッドのプロデューサー(ワインスタイン)もびっくりですよ、これ!

(吉田豪)いま話題の。そういう案件ですよ。で、八代さんは「じゃあ結構です」って断ったら、「もったいないことをするね」って言われたっていうね。

(玉袋筋太郎)うわー……。

(安東弘樹)でも、「結構です」って言える八代さん、かっこいいな。

(吉田豪)そうですね。で、「当時はそんなことが氾濫していました。架空のディレクターとか架空のプロダクションとかいっぱいあったんじゃないかしら?」って言っていて。そういう経験があった後でクラブで歌うようになったんで、クラブでいくらスカウトされても……たぶんちゃんとしたスカウトもあったかもしれないんですけど。「どうせお金がいるんでしょう? 興味ありません」って言ってレコード歌手の話には一切乗らなかったっていうね。

(安東弘樹)なるほどね。

(玉袋筋太郎)そこで人を見る目を養ったってことなのかもしれないな。

基本的に騙されやすい人

(吉田豪)見る目はあんまりない気がするんですけどね。基本的に騙されやすい人なんで(笑)。だから、余計にスカウトマンとかにも追いかけ回されて、プレゼント攻撃みたいなこともあったらしいんですよ。「歌に惚れた。だからお礼がしたい」って宝石とかをプレゼントするって。ベルベットの箱をパカッと開けたら、ダイヤモンドがぎっしりとあって。「好きなのを選びなさい」っていう。で、八代さんはちょっと考えて、「こんなことはしない方がいい」と思って、結局もらわなかったという。

(安東弘樹)そうかー。騙されるけど、最後の最後で八代さん、なにかが働いているんですね。

(吉田豪)そうですね。

(玉袋筋太郎)これでダイヤモンドをもらったら八代さんはいないわけだよ。

(安東弘樹)そういうことですね。

(吉田豪)いない可能性もありますね。

(安東弘樹)なんか保護機能が働くんだろうな。最後の最後で。

(吉田豪)「なんでそんないろんなことがあって暗い影が見えないのですか? こういうフワフワした感じになるんですか?」って聞いたら、「そういうのもね、全部勉強だから。高い勉強代だな、仕方ないなって思っています」っていうね。ただ、八代さんのところの社長に「あなたはずっとヒット曲もあってちゃんとした人の側にいたら、何百億も持っているよ」と言われちゃったという。

(玉袋筋太郎)これだよ。(マイク・)タイソンみてえだな。ファイトマネーを稼いで。島倉千代子さんも結構お金のトラブル、あったよね。

(吉田豪)同じパターンですね。あの人も信じやすい人で。晩年まで信じ続けて(笑)。「私に新しい息子ができました」とか言い出したり(笑)。「できない、できない!」っていう。

(玉袋筋太郎)なんだよ、それ。あのスケートの渡部絵美さんも金を騙されたもんな。うーん、まあまあまあ……。

(安東弘樹)でもね、そんな中ですよ、

(玉袋筋太郎)才能があるからそういう人がたかってくるんだよ。金のなる木だと思って。

(安東弘樹)しかも、魅力がなきゃそんな風にもならないし。「体で……」なんて話にもならないし。でも、かわいさを維持しているという。そして、嫌われ続けた全日本歌謡選手権。売られたケンカは3回目で買うと。

(吉田豪)まあ、全日本歌謡選手権っていう番組で10週勝ち抜いて成功していくのは有名な話なんですけど、ちょっとその周辺をたっぷり掘ってみたんですよ。この番組に出ようとした理由っていうのは、最初のマネージャーさんに騙されて全てを持ち逃げされて裏切られた時で。で、まだ10代でレコードを出したんだけど、会社も倒産して。もうその時は「生きていてもしょうがないな」と思って手首を切ろうとしたぐらいだったっていう。

(安東弘樹)そういうところまで行かれたんですね。

(吉田豪)1回、10代の時に考えて。でも、まあ「死ぬ気になったらなんでもできる」と考え直して。で、「五木ひろしさんが成功した全日本歌謡選手権に私もチャレンジしてみよう」って腹をくくって。で、「10週行かなかったら八代亜紀を捨てよう」と思っていたと言っていて。どういうことなのかと思ったら、「故郷に帰るつもりもない。このまま私はどこかに……」ぐらいの覚悟でいたらしいんですよ。だからお母さんが心配して。「落ちたらこの子、自殺するんじゃないか」って思っていたという。

(安東弘樹)ああ、そうか。そのぐらいの覚悟を。

(吉田豪)そうそう。四国の新居浜っていうところでやっていたんで。「受からなかったらそこから瀬戸内海へ身を投げるんじゃないか?」っていう。それぐらいの覚悟で受けた番組で審査員の淡谷のり子先生からダメ出しされまくるんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)もう、厳しいな!

(安東弘樹)本当に淡谷さん、すごいですね。

(吉田豪)10週連続で「あんた、嫌い」って言われ続けるっていう。

(安東弘樹)ダメ出しじゃないじゃない。感情ですね。「嫌い」って。

(吉田豪)清水アキラパターンをずっとやられていたっていう(笑)。これ、本当にあれですよ。まだその番組だからよかったですよ。『ラストアイドル』形式だったら八代亜紀さん、いないですよね(笑)。

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(安東弘樹)ああー、そうですね。

(玉袋筋太郎)いないんだよ。「嫌い」って言われちゃってるんだもん。

(吉田豪)で、毎週毎週、「あんた嫌い。はい。あんた嫌い。はい」って言い続けて。だから淡谷さんにはキツい点数をつけられていて。ただ、他の先生には気に入られていたんで、打ち合わせをして、淡谷先生が落選する点数をつけるから、他の審査員で上乗せして点数をつけてくれていてなんとなかったっていう。

(安東弘樹)へー! 本当に嫌いだったんですね(笑)。

(吉田豪)そう。でね、「そんな経験から受かっていくうれしさの方が大きいから、恨まなくなった。すごく優しくなった」って言っていて。で、ちなみに淡谷先生とはその後どうなったのか?って思ったら、その後も淡谷先生がたとえばご老体だから転びそうになった時に、ちょっと手を貸そうとすると手をピシャッとやられたりとか(笑)。

(安東弘樹)ああー! 淡谷先生……。

(玉袋筋太郎)『セッション』ですよ、これは!

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(吉田豪)その後も緊張感のある関係は続いたという。

(安東弘樹)でもある意味、筋が通っていて気持ちがいいですね。淡谷先生ね。

(吉田豪)「でも、ついそういう時に手を差し伸べちゃうのよ、なんか」っていう風に言っていましたね。で、楽屋で淡谷のり子先生が着替える時にチャックとかを上げられなくて困っている時に手伝おうとしたらまたピシャッと……みたいな話も聞いたんで。楽屋の話が出たんで、「とある先輩の女性タレントに楽屋で絡まれたことがあるらしいじゃないですか」っていうのを聞いたんですよ。

(安東弘樹)方法。

(吉田豪)ある時、リハーサルを終えて楽屋に戻ると付き人の女性が楽屋で泣いていて。見てみたら化粧前なのに化粧道具が全部床に落とされていて。で、八代さんは「泣くな、笑っていなさい」って言ったっていうね。八代さんは自分に何かがあった時もニコニコしている人なんで、とにかくそういう風にされてもずっと笑っていたと。そしたらその相手に「ビビッてるのに何で泣かないんだ!」って逆に言われて。

(玉袋筋太郎)ええーっ!

(吉田豪)それでもニコニコしていたっていう。

(玉袋筋太郎)すっごい。誰だろうね。あの当時……。

(吉田豪)でもね、なんかまだいるっぽいんですよ。来ていると(笑)。

(安東弘樹)まだご活躍中?

(玉袋筋太郎)まだいるんだ。

(吉田豪)「その後、和解したんですか?」って聞いても「和解はしていないけど、普通にしているから向こうもあんまりツンツンしなくなって、普通に挨拶を返してくるようになった」みたいな。

(玉袋筋太郎)その頃の上の年代って、誰だろうな。気になるな、これ。

3回売られたケンカは買う

(吉田豪)で、色々あったけど、八代さんに暗い影が見えないのはこういうハートの強さだろうなって思って。そうやって言ったら、「ステージではそういうのを出す必要はないし、表に出して引きずって相手に『どうしたんだろう?』って思わせることが間違いでしょう。ただし、売られたケンカは3回売られたら買うよ!」って言っていて。

(安東弘樹)おおー、そういうことか。

(吉田豪)「10年に1回ぐらいしかないですけどね」っていうね。「10年に1回、あるんだ!」っていう。

(玉袋筋太郎)あるんだよ。八代の女ですなあ!

(安東弘樹)ねえ! 誰なのか気になるな。

(玉袋筋太郎)さあ、そんな八代さんをね、「俺たちが守る」「俺が亜紀と一緒になる」と言っていろんなファンが増殖の筋。

(吉田豪)八代さんといえば、まあトラック野郎人気がすごくて。トラック野郎の観音様と言われているわけですけども、そのトラック野郎たちが何台も連なって、レコード会社とかテレビ局とかコンサート会場に乗り込んできたこともあったという。

(玉袋筋太郎)哥麿会かな。

(吉田豪)「八代亜紀を大切にしろ! 俺たちが守る!」って言って、抗議団体みたいな感じで。なにかあるとトラック野郎が乗り込んでくるらしいんですよ(笑)。

(安東弘樹)かっこいいな、これ!

(吉田豪)で、追っかけが始まったのはその全日本歌謡選手権の7週目ぐらいかららしくて。トラックがパフパフいわせながらどんどん付いてくる。番組が終わって山道をハイヤーで下りていっても、ずーっとトラックとバイクが付いてきて。「八代亜紀を助けなきゃ!」って。

(安東弘樹)やっぱりね、ファンなんだな。

(吉田豪)八代さん的には、「悲しんだ歌を歌っているから、それでかわいそうだと思われたのかしら?」って言っていたんですけど……騙されやすいのがもうバレていたんじゃないか? ぐらいの(笑)。

(玉袋筋太郎)フハハハッ!

(安東弘樹)「俺たちがいないと、騙される!」っていう。

(吉田豪)そうです、そうです。

(玉袋筋太郎)ねえ。で、『トラック野郎』にも出るんだから。

(吉田豪)そうです。つながっていってね。で、その後『なみだ恋』で売れて。その頃からちょっと違うファンが増えたと言っていて。どういうことかと思ったら、八代さんはその時、ご両親と一緒に暮らしていたんだけど、お父さんとお母さんに「出て行け」って言ってくるらしいんですよ。「なんですか、それ?」って聞いたら、「お前らがいるから、俺が亜紀と一緒になれない」っていう。そういうファンが増えたという。いわゆる「ガチ恋」(笑)。八代亜紀ガチ恋ヲタが出てきて、「両親、邪魔だ!」っていう(笑)。

(安東弘樹)うわーっ! すげーな!

(玉袋筋太郎)妄信的なファンが。

八代亜紀ガチ恋ヲタ

(吉田豪)そうです。さらには、家財道具的な荷物が突然届いて。なにかと思ったら、「あなた、お願い。帰ってきて」とか「もう一度会いたい」とかって歌詞を本気にして。「会いに来た! 俺に会いたいんだろう?」っていう。

(玉袋筋太郎)「もいちーど、会いたい♪」を。

(吉田豪)「これは俺へのメッセージだ!」っていう。ダハハハハッ!

(安東弘樹)なるほど!

(玉袋筋太郎)受信しちゃダメだよ!

(吉田豪)「1回、会ってたもんね。わかったわかった、行く行く!」っていう(笑)。

(安東弘樹)コンサートで1回でも会えば、「俺か!」っていう。

(吉田豪)そうなんですよ。「『帰ってきて』って言ったじゃん!」っていう(笑)。厄介ヲタがどんどん増えたらしいんですよ(笑)。

(安東弘樹)いまで言うところの厄介ヲタ。

(吉田豪)それに対して八代さんのお父さんが玄関で「あれは歌ですから。歌の世界ですから」って説明しても、「いや、違う! 亜紀がそう言ったんだ!」って。

(安東弘樹)ああ、当時からそういう方はいらっしゃったんですね。

(吉田豪)で、そういうファンが増えたら、今度はそういう人から「俺が守る!」っていう新たなファンが生まれて(笑)。

(玉袋筋太郎)フハハハッ!

(玉袋筋太郎)どんどんファンが増えていくよ。増殖しているよ。まさに。

(吉田豪)そうなんですよ。それでも八代さんは「大変な思いはぜんぜんなかったです。楽しかった」っていう。

(安東弘樹)でも、八代さんは人をひきつけるんですね。

(吉田豪)ねえ。なんか心配させたりとか。本気で惚れ込ませたりとか。なんかでも、他人事な人なんですよ。「それもその時は大変だねって思うんですけどね」みたいな感じでね。で、いまの旦那さんは40年近く現場のマネージャーをやっていた人らしいんですよ。それでどうして結婚したか?っていうと、「この人は自分が守らなきゃ」と思ったらしくて。「私生活から守っておかなきゃ危ない。あまりにもこういう人だから」っていう。

(安東弘樹)やっぱりそれもそう思わせたっていうことなんですね。

(吉田豪)思いつつ、しかも、「そのままでもいいよ」とも言っていて。つまり「八代さんはこのフワフワした感じを保ってほしい。それを俺たちが守る」っていう。

(安東弘樹)なるほどねー!

(吉田豪)みんながトラック野郎みたいなモードなんですよ。

(安東弘樹)本当、そうですね。でも、すごくわかるなー。

(吉田豪)だからあれが保てているんですよね。周りがちゃんと守って。

(玉袋筋太郎)安東さんと一緒ですよ。6回抱きたいと思ったわけでしょう?

(安東弘樹)あ、ごめんんさい。「抱きたい」じゃないです。「抱きしめたい」です。

(吉田豪)ダハハハハッ!

(安東弘樹)そこ、ニュアンスが変わってくるんで。はい。

(吉田豪)安東さんもガチ恋枠ですね(笑)。

(玉袋筋太郎)ガチ恋だよ!

(安東弘樹)「守ってあげたい!」っていう感じになったもんなー。さあ、続いて。知らないおじさんの面倒を見ていた八代パパの筋。これ、八代さんのお父さんのこと。

(吉田豪)お父さんですね。話を聞いていたら、八代さんのお父さんもすごいいい人なんですよね。八代さんがちいさい時に知らないおじさんの面倒をみていたっていう話があって。なにかと思ったらホームレスの人で。「寒そうだ」っていうことで家に連れて帰ったりしていたっていうね、そういう人で。その血を継いでいるのが八代さんっていう。

(安東弘樹)ああ、困っている人を放っておけないんですね。

(吉田豪)そうなんですよ。だから「裏切られても意地悪でも、人間はご飯を食べなきゃ生きていけない。どんなに悪い人でも、食べる時は耳の後ろがカクカクッて動く。その動く姿を見ると切なくなるの。ああ、恨んじゃいけないって思う。この人も人間なんだって恨めなくなって、逆にかわいそうになってくる」っていう。

(安東弘樹)耳の後ろがカクカクッて……。

(吉田豪)それだけで?っていう(笑)。

(安東弘樹)すごいね! 八代さん、やっぱりすごいな! でも、お父さんの流れなんですね。これは。

(吉田豪)そうですね。で、お父さんがさらには小さい頃から「天狗になるな」って教えていたんで。売れた時ほど「ありがとう、こんにちは、よろしく」って礼儀正しくして。ところが、レコード大賞を取った時に「天狗になった」的な噂が流れたらしいんですよね。本人いわく、「いつもニコニコしているから、のぼせて見えたかもしれない」っていうね(笑)。

(安東弘樹)でも、それはいつも通りですからね。言われたからその通りにやっていただけなのに。

(吉田豪)調子に乗ってヘラヘラしているわけでもなく。見られても、そうなわけですからね。

(玉袋筋太郎)そうだよな。へー。誤解されちゃったわけだ。

(吉田豪)まあ、一貫しているんですよ。八代さんの子供の頃のエピソードもやっぱり本に出ていて。いじめられっ子がいじめられているのを見た時に、そのいじめていた女番長に食ってかかったこともあると。女番長をひっくり返したという。

(安東弘樹)正義の人だな!

(吉田豪)正義の人なんですよ。ニコニコしているけど、根底にはそういうハートがあって。それもお父さんがそういう人だった。お父さんも売られたケンカは3度目に買うタイプっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)フハハハッ!

(安東弘樹)すぐは買わない。

(吉田豪)ただ、怒った時に怖い感じで。だから15才で内緒でクラブで歌っていたのがバレた時も勘当されて大変で。柱時計が飛んできて、本当に死ぬかと思ったっていう。

(玉袋筋太郎)ああ、言っていたよね。これはね。

(吉田豪)で、当時、お父さんはトラックの運送の会社をやっていたんですよね。で、12才の時にはじめて車に押している姿を見て、「お金に困っているのかな? 私が助けなきゃ」って思って。でも、親のプライドもあるだろうし……って言いだせなくて、クラブで働きはじめて……っていう流れなんですけど。その後に八代さんがトラック野郎に支持される流れも面白いですよね。

(玉袋筋太郎)本当だよ。ねえ! つながっているなー。

(吉田豪)つい最近も楽屋に大きなダンボールが届いて「観音様へ」って書いてあって。中にはカボチャがいっぱい入っていたとか。コンサートに訪ねてきたファンがいて、その18才の息子さんも「観音様!」って言っていたりとか。いまだにちゃんとトラック野郎は支持しているっていう。

(玉袋筋太郎)いるんだよな。まだまだ。道はつながっているよ。ねえ。

(安東弘樹)で、次。あくまで代弁者。意外と経験ないんです。これだけ経験を聞かされた後に、「私、経験ないんです」って、これはどういうことですか?

(吉田豪)「八代さん、本当に色気ある歌ですよね」って言ったら、「全然色気ないですよ」って言っていて。「あんなのもね、全部何の経験もない」っていう。「誰かにフラれたとか恨むとか引きずるとか、そういうことも意外と経験がないんです」って言ったら、周りのスタッフが「気がついてないだけですよ」って言っていたっていう(笑)。

(安東弘樹)ですよね。これまでの筋、紹介してきて。気づいてないんだ。

(吉田豪)その感情がないだけなんですよ。恨むとかの。「なにかはいろいろあるんですよ。仕事上はいっぱいある。人間関係の挫折とか。でも、恋愛関係では本当に一度も何もない」って言っていて。だから、経験があったから歌に深みがあるっていうわけでもないと。八代さんいわく、もともと小さい頃からイマジネーションが強い子だったらしくて、2才ぐらいの頃にいつもお父さんの腕枕で寝ていたけど、お父さんが天中軒雲月さんっていう女性の浪曲を聞かせながら寝かせていたら、「おかあしゃん、おかあしゃん」って泣いて追いかける部分で浪曲士が悲しい声色を出す。そしたら、歌詞なんかわからないはずなのに2才の八代さんがボロボロと泣いていた。記憶が無いはずだけど、お父さんが「どうしたんだ?」って聞いたら、「かわいそう、かわいそう」って2才の八代さんが言っていたという。

(安東弘樹)うん。

(吉田豪)だからそういう、声音が心を打つ。悲しい声の出し方が心に響くっていうね。

(安東弘樹)がっつりお父さんの影響をいろいろと受けているんですね。本当に。

(吉田豪)で、歌に色気を感じるのは、やっぱり本当に誤解だったという(笑)。

(安東弘樹)その「経験がない」っていうのは恋愛とかの経験があまりないっていう意味でもあるんですかね。

(吉田豪)でしょうね。だからそういうドラマチックなことも何もなく……っていう。

(安東弘樹)ああ、そうなんだ。だから新鮮さがなくならないのかな?

(吉田豪)八代さんはあくまでも代弁者なんですよっていう。なりきる能力が高くて、でもなりきろうと思ってもやっていない。自然とそうなるっていう。

(安東弘樹)へー! すごいな! それってなかなか身につけられるものじゃないですね。これはもう、もはや。

(吉田豪)で、これだけいろんな経験をして、いろんな……人には2通りあって、「あの時代は俺じゃない。いまが俺だ」っていう人もいて。逆に「あの時代があるからいまがある」っていう人もいて。八代さんはその後者で。「お金を持ち逃げされたりとかいっぱいあるし、それがいいとは思わないけど、そういう人生もある。それを忘れないでいよう。いまを大事にしようと思います」って言っていて。

(玉袋筋太郎)いや、この代弁者っていうね。歌の中ではそういう色気とかそういうものを出すっていうね。でも、歌が終わっちゃうともう普通に戻っちゃうっていう。すごいよね。なんか、言葉が下りてきてワーッていう人みたいな。霊能者みたいだな。

(安東弘樹)だからまあ、ある種の……代弁者ってそういうことでしょうね。

(玉袋筋太郎)そうだよ。

(吉田豪)八代さんの歌がなんで泣けるんだろう?っていうので僕が好きな話があって。「歌に感情を込めると余計泣けなくなる」って言っているんですよね。「悲しい歌は笑って歌う。楽しいことの歌はちょっと悲しく歌うとズシッと来ます」っていう。それが刑務所とかの慰問に行っていた時に気づいたって言っていて。泣かそうとして感情を入れて歌うと全然泣かないらしいんですよね。で、むしろサラッと歌うとボロボロと泣いて。「これだ!」と思ったっていう。

(安東弘樹)ああ、八代さん、やってらっしゃるもんね。そういう慰問とかをたくさん。

(玉袋筋太郎)そうなんだよな。

歌に感情を込めると余計泣けなくなる

(吉田豪)本当、そうだと思って。僕もよく聞くアイドルとかで、よくあるんですよ。やっぱりキャリアを積むと歌に感情を入れ始めて、全然泣けなくなるんですよ。

(安東弘樹)ああーっ!

(玉袋筋太郎)なるほど。あの歌なんかでも、歌っている人は泣いたりするわけだもんな。

(吉田豪)ああ、曲名が書いてますね(笑)。

(安東弘樹)筆談です、筆談。

(玉袋筋太郎)筆談、始まったけども。

(吉田豪)まあ、そういう側の人もいるけど。

(玉袋筋太郎)いるんだよね。だからまあ、両極があるってことだろうね。うん。八代さんはそういうタイプじゃないっていう。

(吉田豪)でも、わかりますよ。やっぱり感情を入れない方が泣けますよって。むしろそれで感情が入る余地ができて……っていう。

(安東弘樹)ああ、こっち側の感情が入る余地が。欅坂とかもそういう感じなのかな?

(吉田豪)ああー。

(安東弘樹)さあ、その豪さんの八代亜紀さんインタビューなんですが、現在発売中の『CDジャーナル』11月号に詳しく掲載されています。これは読み応えがありそうですね。

(吉田豪)そうですね。ニューアルバム『夜のつづき』も出てますよっていうね。

(玉袋筋太郎)なんかいいんだよ。そういうのが。

(吉田豪)今回も行こうと思ったんですけど、仕事と重なっちゃって行けなかったんですよ。今回はハイタッチ会をやっていたんですけどね。「八代さんとハイタッチ、したい!」って思ったんですけど……。

(安東弘樹)すごい! ハイタッチ会!

(吉田豪)ためしに普通のコンサートでやったらしいんです。そしたらおじいちゃん、おばあちゃん中心だからもうハイタッチを空振りしまくって(笑)。

(安東弘樹)アハハハハッ!

(吉田豪)大変だったらしいですよ。

(安東弘樹)さっき他局のテレビでやっていましたよ。ハイタッチを。豪さん、いいんですか? その他のお知らせは。

(吉田豪)ええと、今日はこの後にミスiDという僕がやっぱり審査員をやっているアイドル企画のイベントに出て、夜はロフト9の漫画家さんのイベントに出ます。今日はイベント2本立てです。

(安東弘樹)忙しい豪さん、ありがとうございました。吉田豪さん、次回の出演は12月1日です。ありがとうございました!

(吉田豪)どうもー!

(玉袋筋太郎)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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