プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で2017年衆議院解散・選挙についてトーク。「政局よりも政策が大事」と言われがちな中で、政局ウォッチの重要性とそこから見えてくるものについて話していました。
(プチ鹿島)僕、昨日ある新聞のインタビューを受けたんですよね。それはもしかしたらWEB版にも掲載されるかもしれないっていうんですけど。とりあえずは紙なんですけど。どういうインタビューだったか?っていうと、いまの政治、選挙をどう見るか? どう思うか? なにを見たらいいのか?っていう。知ってますか? 「インフルエンサー」って。
(塩澤未佳子)ええっ?
(プチ鹿島)「インフルエンサーに聞く」っていう、そういうので僕……あの、インフルエンザじゃないですよ。
(塩澤未佳子)インフルエンサーに聞く?
(プチ鹿島)インフルエンサーっていうのは僕も聞いたんですけど……「影響力のある人」みたいな。
(塩澤未佳子)あらっ!
(プチ鹿島)来たよ!(笑)。「本当に、あたしでいいんですか? あたしで?」って(笑)。だからゴキゲンで張り切って答えてきましたよ。まあ、まず「この解散は(名付けるとしたら)○○解散ですか?」って聞かれますよね。
(塩澤未佳子)そうですよね。いま、付けますからね。
(プチ鹿島)まあ、僕は「インチキ解散」って言いそうになったんですけどね。だって、いろんなところでインチキが行われているじゃないですか。あそこも、ここも。
(塩澤未佳子)まあ、インチキですか。
(プチ鹿島)でも、それはちょっと言葉が強いっていうんで、僕がお上品に言ったのが、「みんな逃げた解散」っていう。みんな、だって逃げていません? そもそも国会の追求から逃げたかった方もいれば、もう沈没しそうな党から逃げたかった人もいるわけだし。なんだったら、東京都政から逃げたがっている人もいるわけだし、みんな逃げているんですよ! でしょう?
(塩澤未佳子)逃げてます(笑)。
みんな逃げた解散
(プチ鹿島)だから俺、上手いこと言ったなって思うんですけどね。みんな逃げているんですよ。
(塩澤未佳子)そうですよね! 今回。
(プチ鹿島)そうですよ。だって、思い出してください。安倍さんがいきなり解散を言い出した時に「大義がない」って言われた。そりゃそうですよ。大義はないんだから。それは、(臨時国会の)冒頭で解散をすることによって、「森友・加計問題はもういいだろ?」って蓋をしめちゃうわけですよね。それ、どう見てもやっぱり、「もう言ってくれるな」っていう姿勢が見えますよね。
(塩澤未佳子)わかりますよね。
(プチ鹿島)で、僕はその時に思ったのが、この半年だけでもいいですよ。結局、森友・加計問題とかで何が僕ら、気になったか?って、「プロセスの不透明さ」じゃないですか。どうして、そういうことになったのか? とか、「それについての文書とかメモとか出してください」って言ったら、「もうない」とか「消えた」とか「記憶にございません」とか、有耶無耶になっちゃっているじゃなですか。
(塩澤未佳子)全部そうなっていますもんね。
(プチ鹿島)うん。だからそのプロセスに対してこういう手法はいいのかどうか?っていうのはひとつの争点になると思ったんですけども……いま、野党がやっていることも思いっきりプロセスがわからない(笑)。有耶無耶ですよね。急にポンと出てくるっていう。
(塩澤未佳子)もうね、本当にわからない。
(プチ鹿島)だから、なんなんでしょうね。どうしても安倍さんを続けさせたい人がいるって……(笑)。でも、そう思いましたよ。だって、「森友・加計問題ってそんなの北朝鮮の緊迫した情勢から比べれば些細なことで、本当にそんなこと、いつまでも言っていていいのか?」っていう論調もあるんです。たとえば、産経新聞とかね。それもひとつの意見だと思いますよ。だけど僕は逆に、「神は細部に宿る」って言いますけど、小さい問題での振る舞いこそが……小さい問題での振る舞いは、大きな問題が起きた場合にさらに同じように振る舞うだろうっていうその怖さ、危険性っていうものを僕は感じているわけですよ。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)だから僕は森友・加計問題がもし小さな問題だったとしても、そこでいかに振る舞ったか?っていうのを見ておくことは必要だと思うんですよね。だからこそ、僕は「不透明さ、どうなんですか?」っていうのがひとつの争点になるのかな?って思っていたら……もう、それどころじゃない(笑)。みんな不透明じゃないですか。
(塩澤未佳子)それもわからないもんね。
(プチ鹿島)でね、もうひとつ、声を大にして言ったのが、政局。政局や政局報道って、バカにされるんです。つまり、「そんなこと(政局)よりも早く政策論争、政策論議をやってくれよ!」って言うんです。僕、それは100%正しいと思います。政策論争。政治家ってそういうことだから。でも、ともすると、「政策論争、政策論争」って言って問題意識が高いのはいいんですけど、それによって政局をバカにしていると、結局また同じことが行われるんですよ。これって意味、わかります?
(塩澤未佳子)ええっ?
(プチ鹿島)だって、政策って大事ですけど、誰でも同じことを言えるじゃないですか。口先だけでは。だからこそ、政局って僕、あるものは見た方がいいと思っていて。だって、そうでしょう? 政局っていうのはわかりやすく定義すると、政治における人間のドロドロドラマだとしますね。そればっかりをやっているワイドショーとか新聞の記事などはバカにされますよね。政策を推し進めたい人はね。でも、僕はそここそを見るべきだと思うんです。だって、そういう永田町の非日常でどういう振る舞いをするかで、その人の本性が見えるじゃないですか。
(塩澤未佳子)うわーっ!
政局での振る舞いで政治家の本性が見える
(プチ鹿島)だって、「あれ? この人、政策ではこんなこと言ってたけど、急に意見を変えたぞ」とか。「普段はきれいごとを言っているけど、いざとなれば手のひらを返して全然逆の行動を取っているじゃん!」って見えるのが、いまなんですよ。だから僕は政局はずっと見るべきだと思ったんです。で、これは基本的に下世話な視点だし野次馬視点だけど、なんでそういう視点が大事か?って僕が気づいたのは、そもそもハードルが低いんですよね。小学生の時から僕、政局報道って大好きで。
(塩澤未佳子)うん。
(プチ鹿島)っていうのは、僕はプロレスが好きでね、軍団抗争とかプロレス専門誌を見ているわけですよ。で、父親が買ってきた文藝春秋とか週刊朝日とかそういうのを見ると、政治記事であの頃は田中角栄さんとか。その派閥が分裂して竹下派とか。「あ、プロレスも政治もやっていることは同じじゃねえか。人間が自分の欲望をいかに大義に変えて、世の中に訴えて、賛同を得た方が勝ちなんだ」っていうね。だから実際にプロレスだって、本当に団体を作って出ていっちゃう人、いますからね。そういうリングとは別の、本当の人間ドラマですから。やっていることは同じだなと思ったんです。そこからなんですよ。
(塩澤未佳子)そうか。
(プチ鹿島)そうすると、やっぱり政策にも興味を持つじゃないですか。で、最終的に同じ政策を言っている人が2人いたら、なにを信じますか? 結局は人柄じゃないですか。
(塩澤未佳子)まあ、そうなりますよね。最終的には。
(プチ鹿島)だから政局っていうのは僕は大事だと思うんです。
(塩澤未佳子)そこでどう振る舞っているかを見る。
(プチ鹿島)だから、この1週間とか10日間で行われることに関して、すごく辟易している人もいると思うんですよね。「くだらない」とか、「あいつら、自分の当選だけ考えているじゃないか」とか。でも、そういう……普段だったらもうツンとすましたきれいごとしか言っていない政治家が、もう自分が受かるか落ちるかっていう事態に直面して、どう振る舞っているか?っていうのを見れるチャンスなんですよ。だから、「その中でいかに嘘をついていない人、いかにブレていない人、いざとなったら嘘をつきそうもない人は誰かな?」っていう目線でも、最低限はいいと思うんですよね。
(塩澤未佳子)はー!
(プチ鹿島)そうすると、面白いことに政策も見えてくるんですよ。だって、そうじゃないですか。民進党で希望の党とかに駆け込んでいる人って、もう全部いままでのことを放り投げて……「ええっ?」って思いません?
(塩澤未佳子)思いましたよ。
(プチ鹿島)いや、安倍さんだってそうですよ。最初に大義に抱えたもの。先週も言いましたけど、「消費税の増税分を社会保障に回しましょう」っていう。あれ、(民進党の)前原さんが言っていたことですから。
(塩澤未佳子)そうそう。
(プチ鹿島)で、その「前原さん、どうなんだ?」問題っていうのもあるじゃないですか。それもね、政局と政策の話、両方を見ていった方がいいんですよ。「前原さん、しょうがねえな」って思うんですけど、一方で、僕はやっぱり民進党の代表戦。枝野さんと前原さんが出ましたよね。僕はあの初日の立会演説会みたいなのを(TBSラジオ)『デイ・キャッチ!』っていう番組でレポートに行ったので、現場で見ていたんです。そしたら、いままでは「前原さんって自民党と変わりない人だな」って思っていたんですけど、やっぱり社会保障を充実してみんなで……要は、「再分配しようよ。弱い人にも目を向けようよ」っていうことを言って。「あれ?」って思ったんですよ。
(塩澤未佳子)うん。
(プチ鹿島)僕、勉強不足でね、知らなかったんですよ。「ああ、前原さん、変わったな」って思ったんですよね。で、そしたら、これも新聞のコラムをよく読んでおくのは大事だなって思ったんですけど。9月29日(金)の東京新聞のコラムに佐藤優さんっていう方がコラムを書いていて。僕の新聞の本も帯文を書いてくださった……だからみなさん、買ってください。
(塩澤未佳子)(笑)
(プチ鹿島)まあ、すごい売れっ子の方ですよ。その方が、「政策と人生」っていうコラムを書いてらっしゃる。で、民進党の前原さんについて書いているんです。というのはこの方、佐藤さんと前原さんは慶応大学の井手(英策)教授という人とずっと2年間ぐらい社会政策について勉強会を行っていたというんですね。で、その結果を出した本『分断社会ニッポン』っていう本で書いたらしいんですよ。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)でね、「前原さんが社会政策について、経済政策も含めて変容させていく過程を筆者は間近で見ていた」って佐藤さんは書いているんです。で、安倍さんが前原さんと同じ政策を出しましたね。そしたら、何人かの新聞記者や週刊誌の記者から電話がかかってきて。「あれは前原さんの政策のパクリじゃないか?」って佐藤さんに質問をしてきたんです。これに対して佐藤さんはこんな答えをしたと言っているんですけど……「パクリか偶然の一致かは僕にはよくわからない。ただ、前原さんは中学生の時にお父さんが自殺し、母子家庭で経済的には苦労した。高校・大学も奨学金を得て、大学時代はバイト代のいい早朝の魚市場で働いた。そして井出さんと出会い、意見交換を重ねる中で、いまの日本の社会では自分と同じ境遇の子供がまともな教育を受けるのは不可能だと認識するようになった。それが今回の政策転換につながった。前原さんの政策には彼の人生が反映されている」と。もちろん、佐藤さんは前原さんと一緒に勉強会をしたから、ある程度のシンパシーはあるんですけども。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)こういうのを見ると、政策をただ口先だけで言う人と、2年間なら2年間、勉強会をして、「ああ、いけない。やっぱり社会保障を厚くしないといけないんだ」って前原さんは気づいたわけですよ。だから僕、この前原さんの言っている社会保障政策ってすごく、今度の選挙のひとつの争点になるかな?って思っていたんですよ。そしたら、まあ安倍さんに取られ。しかも、なんだったらそれを売りにするはずが、希望の党と合流する。ここもだからね、政策と政局なんですよ。政策は「ああ、そうだな」って思うんですけど、大事な政局でヘマをするっていうか。だからその総合点が政治家なんでしょうけどね。
(塩澤未佳子)うわーっ、どっちもできないといけないんだ。
政局と政策の総合点で判断
(プチ鹿島)だから「ヘマをする」って言ったら現時点では失礼かもしれないけど。結果的に5年後、10年後に今回の前原さんの選択ってもしかしたら評価されているかもしれないし、わからないんだけど。だからやっぱり僕らは両にらみを進めていくべきなんですよね。だから、同じ政策でも、どういうバックボーンでどういう時間をかけて言い出したのか?っていうのもひとつだし。だけど、それを掲げて戦うはずの人が目先のね……党の代表っていうのでああいう奇策を取ったのかもしれないけど。「ええっ、前原さん、なに?」ってもうね、戦犯のように言われているっていう。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)だからこれ、総合点で判断するしかないでしょうね。でも、実際にそのおかげで、枝野さんみたいな考えがはっきりと分かれる人がちゃんと自分の党を作っているっていうのは、将来的には今回はよかったのかもしれない。民進党が寄せ集めだったとしたらね。
(塩澤未佳子)ええ、ええ。
(プチ鹿島)だからその時点時点で僕らも判断をしなくちゃいけないわけですよね。
(塩澤未佳子)そうですねー。両方からね。
(プチ鹿島)政策も政局も両方見ていかなくちゃいけないわけです。
(塩澤未佳子)でも、そう思うと、「面白い」って言ったらなんだけど、興味が出てきますね。
(プチ鹿島)そうそうそう。だからハードルは低くていいんですよ。本当に。昔、「床屋政談」なんて言葉がありましたけどね。あそこで行われていたことって近所のオヤジたちの人物の品評会だけですよ。政策論議なんかしていません。でも、意外といまから考えると、それって当たっているんじゃないかな?って思うんですよね。だって、そうでしょう。なんで代議制か?って言ったら、「魚屋さんには魚屋さんの本分があって、八百屋さんには八百屋さんの本分があって。みんなそれぞれ本分で忙しいから、情報を吟味して、政策判断をするってできないじゃないですか。全部が全部は。それならば、代わりに誰かを選びましょう」っていうのが代議制だから、最終的には「俺らの代表として、こいつを信じれるか? 信じられないか?」っていう判断だけでも僕はいいと思うんですよ。下世話な部分でもね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)で、もっと踏み込めば政策もちゃんと読んでいけばいいと思うんですけどね。だから今日も「民進三分裂」とかね、朝日新聞に書いてあります。だから枝野さんは枝野新党、いいじゃないですか。自分のね。比較的、この騒ぎの中ではブレてない人だと思いますから。でも、やっぱりこうなると、「ここで失敗すればリベラル勢力は壊滅してしまうかもしれない」っていう声もあるし。「野党がいろいろと増えていくことによって、また政権与党に立ち向かう勢力が自壊する」っていう朝日新聞・政治部長のコラムもあるし。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)一方、読売新聞とか産経新聞とか、東京新聞もそうかな? 小池さんが急にインタビューを受けだして、「出馬は100%ありません」と。だからこれ3日、4日前は出る気満々だったのが、土日でいま世論調査をするでしょう? その結果を見ているわけですよ。そしたら、「小池さんは都知事のままでいるべきだ」っていうのが60%、70%ぐらいあると、あの人はああいう方ですからね。やっぱりこういうことを言い出すわけですよ。
(塩澤未佳子)いろいろとね。
(プチ鹿島)で、最終的に日刊スポーツの今日のコラムなんかを読むとね、「別のところにある小池の腹」っていう。「なんだろう?って思ったら、「いちばんのポイントはこうなってくると、衆院選に出馬せず、自民党と連立を組むことを選択しようとしているのではないか?」っていう。「ええっ? じゃあ、自民党と希望ってもう同じなの?」っていう。僕は都議選の後に言いましたよね。「二大政党制ってこってりラーメンとあっさりラーメンの食べ比べが醍醐味なんですけど、いま起きていることは『こってりラーメンに飽きたな』と思ったら、また新しいこってりラーメンが出てきている。その中で、『どちらかを選んでください』って言われている」っていう。そういう状況がまたいま、起きようとしているじゃないですか。
(塩澤未佳子)うんうんうん。
(プチ鹿島)あと、最後に。小池さんがよく「しがらみのない政治」って言いますけど、あれはすごく耳心地のいい言葉じゃないですか。でも、それも疑った方がいいと思うんですよね。だって、「しがらみ」が100%ない人っています?
(塩澤未佳子)ああーっ(笑)。
(プチ鹿島)周りの人に支えられているから。ドライな人からすれば、それが「しがらみ」って言われるかもしれないじゃない? だって、小池さんのキャリアを考えてみてくださいよ。日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党。で、いまは東京都知事ですよ。これ、どういうことか?って言ったら、しがらみがないですよね。つまり、その時々で仲間を捨てているから。自分のいちばんいい、おいしいところにさっさと移っているから。そしたら、しがらみないですよ。そういう人が「寛容な保守」って言うのは僕はどうなのかな?って思うんですけどね。
(塩澤未佳子)ああー。
(プチ鹿島)だから「しがらみのない」って言うと……すごく選挙になるとね、耳気持ちいい言葉が出てくるんですよ。「改革」とかね。でも、その人の背景を見てみると、「それはたしかにしがらみはないよね」っていう。マイナスの部分のしがらみのなさも出てくるわけだから。そこはやっぱり、いろんな人を吟味した方がいいと思いますね。言っていること、バックボーンを。ということで、火曜『キックス』、スタートです。
<書き起こしおわり>