プチ鹿島 2017年衆議院選挙「大義」新聞各紙読み比べ

プチ鹿島 2017年衆議院選挙「大義」新聞各紙読み比べ YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で2017年衆議院解散・選挙実施の「大義」について新聞各紙の記事を読み比べ。そこから見えてきたものについて話していました。

(プチ鹿島)いやー、昨日ね、いよいよ発表されましたね。

(塩澤未佳子)なりましたね。

(プチ鹿島)パンダの赤ちゃんね。

(塩澤未佳子)あ、そっちですね(笑)。

(プチ鹿島)大事なことです、これ。

(塩澤未佳子)大事ですよ(笑)。すっごい応募があったんですから。

(プチ鹿島)こっちは大義がありますからね。

(塩澤未佳子)ちゃんとね。

(プチ鹿島)「香香(シャンシャン)」ですって。で、僕は最初に聞いた時、中華屋さんみたいだなって思ったんですけども、茨城県水戸市にあるんです。やっぱり、上海料理店・香香って。で、マスコミの電話が殺到と。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)で、こちら最終的に8候補が残ったということなんですね。シャンシャンの他に。レンレン、ヨウヨウ、マオマオ、シンリー、ルールー、シュウシュウ、リーシン。あと、ソンタクっていうのもあるんですけど……。

(塩澤未佳子)嘘だ!(笑)。

(プチ鹿島)僕、「ソンタク」っていうので応募したんですけど……残ってないですね。

(塩澤未佳子)それは残ってなかったですね(笑)。

上野パンダの命名候補「ソンタク」

(プチ鹿島)ソンタク、ダメですか、これ?

(塩澤未佳子)なかなかちょっと……。

(プチ鹿島)あと、「レンタル」っていうのもね。

(塩澤未佳子)レンタル(笑)。

(プチ鹿島)まあ、元も子もないですけどね。

(塩澤未佳子)そうそう。(中国に)帰らないと行けないですからね。

(プチ鹿島)そう。まあ、そういう発表があって、解散がね。10月22日投票だよということで。(9月28日の)臨時国会冒頭で解散をしてから。という、事前発表があったんですよね。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)で、僕、先週なんですけど、馳浩さんと対談をしてきたんです。

(塩澤未佳子)すごいですね!

(プチ鹿島)すごいですよ。その3週間前には武藤敬司さんと……まあ、『キックス』でも共演をさせていただきましたけども。ライブもやらせていただきましたけども。今度は『KAMINOGE』という雑誌で武藤さんと。で、武藤さん・馳さんっていうのはまあ明るく華やかな90年代を代表するタッグチームなんですよね。そのお二人と1ヶ月に……(笑)。すごかったですね。ただまあ馳さんの場合は衆議院議員ですからね。議員会館に行って。で、文春オンラインというところの企画でやったんですよ。持ち時間が1時間。だから60分1本勝負なんですね。

(塩澤未佳子)うわー……。

(プチ鹿島)だけど、聞きたいことは山ほどあるわけです。で、これは今週後半から来週頭ぐらいに公開されるので、それを読んでいただければと思うんですが。ネットで読めますので。週刊文春でやっているWEBサイト、文春オンラインなんですけども。で、僕はやっぱり、ねえ。これだけ「解散、解散」って言われて、「大義はなんだ?」って言われている中、まあそれは馳さんに「大義はなんですか?」って聞かなくちゃいけないし。東京五輪の買収問題もまた浮上してきたでしょう? イギリスのガーディアン紙というところがブラジルの検察がどうやら買収を……馳さんは「コンサルだ」って言っているんですけど。それをやっぱり聞かなくちゃいけない。これ、誰もまだ聞いてないですから。

(塩澤未佳子)うわー、聞きたい。

(プチ鹿島)だけどやっぱり政治家でしたねー。ひとつの質問に対し、のらりくらり5分ぐらいしゃべってるんですね(笑)。長ければ5分以上。だから結局丁々発止というよりは、馳さんがもう長いから。で、僕の聞きたいことを次にまとめてまたポンと出して、それで馳さんが答えるでしょう? それに対して食い下がるというよりは、もう質問したいことをどんどんどんどん……まず時間内に収めるしかないっていうんで。

(塩澤未佳子)時間が決まっていますからね。

(プチ鹿島)でも、森友・加計学園問題……特に、加計学園って文科省ですからね。で、前川さんっていう告発した人は、馳さんが大臣の時に任命した人ですから。だから前川さんのこととかも聞きましたし、東京五輪のことも聞きましたし。で、面白かったのは、今日はここでなにをお話しようか?っていうと、大義ですね。そうするとやっぱり政治家の方って、「来たな!」っていう感じで、ちょっと身構えるんですよね。

(塩澤未佳子)(笑)

馳浩議員に「大義」を聞く

(プチ鹿島)僕が聞いたのは、これだけ「大義がない、大義がない」と言われている。で、消費税の増税分を社会福祉に回すことをいきなり表明した。でもこれって、先週もお話しましたけど、日本経済新聞の9月12日に受けたインタビュー……だから、紙面に載ったのは13日ですけども、そこで安倍さんは消費税の使途の変更に関しては慎重だったんですよ。「これからじっくり考える」という。で、その1週間後ぐらいに解散みたいな報道が出て、いまはもう消費税の使い道をこういう風にしますって……あんまり話されてないことなんですよね。

プチ鹿島 2017年秋・衆議院解散報道 新聞各紙読み比べ
プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で突如浮上した2017年秋の衆議院解散報道についてトーク。新聞各紙の記事を読み比べつつ、見立てを話していました。 (プチ鹿島)やっぱりこれでしょう。急に解散の話が出てきましたよね。 (塩澤未佳子)そうなん...

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)「それを(あまり議論されていない消費税増税分の使途変更を大義として)出してきたっていうことで、これは何なんですか?」と、僕は馳さんにおうかがいしたんです。しかも、消費税の使い道を社会保障に回しましょうっていうのは民進党の前原さんが言っていたことですからね。

(塩澤未佳子)そうですよね。

(プチ鹿島)言ってみれば、人のネタでM-1の決勝に出ようという、そういうことを言っているわけですよ(笑)。「俺が先にやっちゃえばいいだろ?」みたいな。で、「万が一、安倍さんが同じことを考えているのであれば、解散せずに、それこそ前原さんも同じことを言っているわけだから、国会で話し合いを進めたらいいんじゃないですか?」って聞いたんです。そしたらやっぱり、「来たな!」っていう感じで5分、6分ぐらいモニョモニョ話していましたね(笑)。だから、長すぎてライターの方がどこの部分を、馳さんの答えを持ってくるのか?っていうのは、それは今週末ぐらいに公開されるので読んでいただければと思いますが。

(塩澤未佳子)はー。

(プチ鹿島)だから、大義なんてないんですよ(笑)。

(塩澤未佳子)やっぱりね(笑)。

(プチ鹿島)で、今日の新聞です。昨日の25日、解散を表明しました。まず、読売新聞に大きく出ていて。「衆院28日解散 首相表明」。で、「増税使途変更問う 国難を突破」ですよ。国難突破解散ですよ! すごいですねー。

(塩澤未佳子)すごいですね。

国難突破解散

(プチ鹿島)だから、消費税と北朝鮮なんですよね。で、読売新聞は安倍政権を支持して、プッシュしてますので。やっぱり1枚めくってみると、2面に「首相 ひとづくり全面」っていう増税使途変更のご説明が丁寧に書かれているわけです。まあ、これは安倍さんサイド、一塁側の新聞はこう書くだろうなって思うわけなんですけども、じゃあ他の新聞を見てみると、毎日新聞なんかはね、「消費税 北朝鮮問う」ということで。「『国難突破』と強調」っていう。だから、「国難突破かどうかは知らねえけど、強調してるんだよ」ってことをおっしゃっているんですね。毎日師匠は。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)で、1面に政治部長の方のコラムがバーンと載っていて、「たしかな目、持とう」と。つまり、「解散は有権者から国政を任された衆議院議員に任期を全うさせず、首相がクビを切る行為だ」って言うんですよね。そうですよね。「僕ら国民はなぜ議員が十分に働かないうちにクビを切られるのか? なにが問われているのかを知る権利がある。つまり、なんで途中でクビを切って解散するんですか?って知る権利がある。首相は説明する責務がある。それが解散の大義だ」って言うんですよね。で、「首相は記者会見で急ごしらえの大義を並べた」と。だから大義に関しては毎日新聞はちょっと懐疑的ですね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)さらに、紙面をめくって3面になると「後付け大義 矛盾」ってあるわけですよ。で、北朝鮮の部分に関して毎日新聞。まず首相がなんて言ったか? 「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅かしによって左右されることがあってはならない。こういう時期にこそ、選挙によって北朝鮮問題の対応について国民に問いたい」と。これ、意味わかります?

(塩澤未佳子)はー……。

(プチ鹿島)「北朝鮮が脅かしているからって、それにビビって解散を左右されることはない。こういう時だからこそ、解散するんだ」みたいな。だから、毎日新聞は「北朝鮮が挑発行動を繰り返している時期だから選挙をするという意味にも取れる」って。まあ、そういうことですよね。

(塩澤未佳子)ああー。

(プチ鹿島)っていうことは、北朝鮮がこれから何かやるたびに解散をしなくちゃいけないっていうことなんですよね。

(塩澤未佳子)そうなってきちゃいますね。

(プチ鹿島)そうでしょう? 「国難」と思われるものが来るたびに、解散をしなくちゃいけないわけですよ。っていうことでしょう? そういう解釈、見方があるよっていうのを毎日新聞が言っているわけですね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、朝日新聞。「解散の大義 首相強弁」。こんなことを安倍さんって言っていたんですって。「国民の信任なくして国論を二分する大改革を前に進めることはできない」と。つまり、今回の消費税の使い道について。これ、国論を二分してますか?

(塩澤未佳子)いや?

消費増税分の使途変更は国論を二分しているのか?

(プチ鹿島)前原さんも同じことを言っていますよね。「二分している」って言っているんですって。で、これ、朝日新聞に書いてある記事を読みますよ。「増税分の使途変更が国会はもちろん、自民党内でも議論されたことはほとんどない。消費税の使い道を変え、教育無償化など社会保障の充実にあてる政策は民進党の前原誠司代表も主張しており、選挙戦で与野党の大きな対立点になるとは考えにくい」と。国論を二分していないわけですよね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)ねえ。だから朝日新聞はちょっと大義に懐疑的なんですよね。で、そもそも、考えてみれば安倍さんが解散をする時っていつも消費税がどうちゃらこうちゃらって。いつも消費税のことを言っているよねっていうのも4面で指摘しています。だって、そうでしょう? 2012年、当時の民主党、いまの民進党ですね。それが自民、公明との3党合意にもとづき、消費税を二段階で10%に上げる関連法が成立したでしょう?っていうのは、「もう与野党とも消費税っていうものを政争の具にしないようにしましょう」っていう合意なんですけど、その後に3回、安倍さんは消費税で選挙をしているわけです。

(塩澤未佳子)ああー。

(プチ鹿島)でね、ここからなんですよ。今日の私のお待ちかねの読み比べの醍醐味っていうのは。日本経済新聞のインタビュー、これ、僕はすごく大きなポイントになると思うんです。9月13日。「社会保障改革 財源に苦慮」っていう安倍首相へのインタビューが載っているわけですよ。13日、つまり前日の12日に安倍さんにインタビューをしているんですが、その結果を経て日経はこう書いているわけですね。「消費増税分の使途を見直し、教育無償化などの財源にあてることには慎重姿勢を示した」と。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)12日に安倍さんはこう言っているわけですよ。さらに解説として、「19年の消費税率10%への引き上げ分の使途を見直し、財政再建に回さず、子供・子育て関連施策の財源にすべきだとの議論もある。ただ、首相は『財源健全化を通じて将来にも安心を持てるようにしたい』と語り、見直しに慎重な姿勢を示した」と。つまり、やっぱり借金返済に回そうよっていうのを12日の時点では言っているわけですよ。

(塩澤未佳子)ええっ?

(プチ鹿島)これ、今回すごいポイントになると思うんですね。これだけでもポイントになるんですが、もう1回、読売新聞。一塁側ですね。安倍さんを応援しているであろうと思われる。それが今日の4面、政治欄で解散の今回の舞台裏検証っていうちょっとしたドキュメント、物語を書いているんですね。新聞ってよくあるんですよ。「実はあの時……」って。今回のこうした政策、もしくは解散なら解散の流れ、秘話みたいなのを。番記者が取材したのをまとめて、ドキュメントタッチで。あたかも小説を読んでいるような。「ああ、こういう裏があったのか」っていうのを後から書いてくるんですけど。それを読売新聞が載せてるんです。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)読んでみますね。「8月24日、東京の自宅。私邸で秘書官らを集めて暑気払いを開いた首相は、臨時国会冒頭の解散準備をしてほしいと伝えた。密かに情勢調査もさせた。その結果が出たのが9月10日(日)。で、自民党はある程度は(議席を)減らすが過半数は維持するという結果が出て、その夜に麻生副総理を急遽私邸に招いた」と。つまり、9月10日ですよ。こう語りかけたと読売は書いているんですね。「再来年10月の消費増税分の使途変更を大義に掲げ、早期に解散したい。協力してもらえないか?」と。つまり、読売新聞だけを読んでいる人は「なるほど! 安倍さんの消費増税分の使い道変更、社会保障に回すというこの政策は9月10日の時点で麻生さんには打ち明けているんだな!」ってこのドキュメントでは思うでしょう?

(塩澤未佳子)うん、そうですね。

(プチ鹿島)9月10日なんですよ。自分のお家で麻生さんを招いて、これを大義に掲げて早期に解散したいって打ち明けているんですって。ところが、どうですか? さっきの日経新聞に戻りますよ。9月12日に日経新聞のインタビューに答えた安倍さんはなんて言っているのか? 日経新聞は「消費増税分の使途見直し、教育無償化などの財源にあてることには慎重姿勢を示した」と。

(塩澤未佳子)全然違う!

(プチ鹿島)あの、たとえばこれ、なにかをだまし討ちするためにね、この政策を黙って、本当は社会保障に回したいんだけど、この時点では日本経済新聞にはあえて言わないっていう……そういう作戦って、あり得ないじゃないですか。だって社会保障費なんだから、別に早々に。しかも、朝日新聞なんかには「そんなこと、ずっと議論された試しがない」って言っているわけだから。じゃあ、爪あとを残すためにもこの時点で言っていればいいわけですよ。

(塩澤未佳子)言っとけばいいですけど……。

(プチ鹿島)つまり、たぶん日本経済新聞に書かれていることが、この時の首相の気持ちだと思うわけですよね。と、なると、この読売新聞の舞台裏検証ってなんですか?

(塩澤未佳子)そうですね。そうなります。なんだろう?

読売新聞の舞台裏検証記事の意味

(プチ鹿島)ということは、あたかも「大義がない、大義がない」っていま批判されていますけど、「いや、このドキュメント舞台裏を読んでみろ。取材の結果、9月10日の夜に麻生さんに……」って。だって、書き方がおかしいじゃないですか。「再来年の10月の消費増税分の使途変更を大義に掲げ、早期に解散したい。協力してもらえないか?」って。いま突っ込まれていることの全部、逆回収を。安倍さんはもう最初から言っているみたいなことを書いているわけですよ。読売は。

(塩澤未佳子)ああっ!

(プチ鹿島)僕、この記事は相当怪しいと思いますよ。これは検証ではない。ただの応援団の後付けです。

(塩澤未佳子)こんなこと、あります?

(プチ鹿島)これはひどい! さらに読み進めて行くと、こんなことも書いてある。「7月中旬、首相は新たに掲げた人づくり革命を担当する政府幹部に指示した。信を問うには旗印が必要だった」と。7月から教育無償化以外の、その人づくりで解散をするか?って、2ヶ月前から準備をしていたと。本当に?ってことになるわけでしょう。だから僕は新聞っていうのは情報戦だから、また読売がやっぱりカマしてくれたなって思うわけですよ。でも、これしか読んでいない人は「そうか。麻生さんにもこっそりと、『大義というのは社会保障。消費税の使い道を変える。これを大義に掲げたい』って9月10日の夜に相談しているんだな。うん、安倍さんは最初から筋が通っているじゃないか!」って言うための、こんなのは説得のコラムですよ。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)というのでまあ、また情報戦は新聞を、いろんなものを読み比べると……あくまでもこれは僕の見立てです。でもなにか、もしかしたら逆の可能性。少ないとは思いますけども、本当に麻生さんにはそう言っていて、日経新聞のインタビューにはとぼけていたという可能性も。でも、僕はとぼける理由はないと思うんですよね。北朝鮮政策でも何でもないじゃないですか。漏れたら困るっていうわけでもないわけじゃないですか。で、前原さんはすでにこの時には言っているわけだから。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)別に前原さんにパクられるから嫌だってわけでも……だって、(この時点で既に)言っているんだから。

(塩澤未佳子)そうね(笑)。

(プチ鹿島)日経新聞にとぼける必要はないはずなんです。ということは、本音を言っていると思うんですよね。だからいろんな首相の言った・言わない。こう言っていたっていうのを筋を通すために、応援団は応援団でがんばっているんですよね。本当に興味のある方は今日の読売新聞の舞台裏検証を読んで下さい。

(塩澤未佳子)そうか!

(プチ鹿島)「実は首相はあの時、こうだった!」みたいな。本当に北朝鮮の指導者を称えるような(笑)。どんどんどんどん改ざんしているような感じ、僕は受けましたよ。というわけでございまして、『キックス』スタートです。

<書き起こしおわり>

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