宇多丸『タマフル』第54回ギャラクシー賞ラジオ部門入賞を語る

宇多丸『タマフル』第54回ギャラクシー賞ラジオ部門入賞を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で、第54回ギャラクシー賞のラジオ部門で『タマフル』が見事入賞番組に選ばれたことについてトーク。さらに『タマフル』関係者たちのギャラクシー賞受賞についても話していました。

(宇多丸)ちょっ……あの、放送直前に私語するの、やめてもらえます?(笑)。

(古川耕)えっ?

(宇多丸)普通に私語が入り込んでるんで。

(古川耕)大丈夫、大丈夫(笑)。

(宇多丸)大丈夫かどうかは、あなたが判断することじゃないですから(笑)。

(古川耕)大丈夫(笑)。

(宇多丸)こういう気の緩みが……どうなることかわからないよ。この番組。この番組、決してお金もそれほど稼いでいる番組ではございません。決して数字も……まあ取る時は取っていますけど、数字もそれほど安泰と言うほど取っているわけではございません。そんな番組がね、じゃあ頼るものはなにか? 金もない、数字もない。そんな我々が頼るものといえば、これですよ。権威です! ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル!

(中略)

(宇多丸)ということでね、先ほどね、金もない、数字も……あ、金は多少はね、金マンの教えよろしくですね、ちょいちょいお金の方は西原商会さんなどから引っ張ってきてというのはありますけども。まあ、そんなに金もない。数字もそんなに……まあまあ、最近は1位も取るようになりましたけども、安泰とは言いがたい。そんな中、やっぱり金もない、数字もない。要するに持たざる者が何に頼るか? それは権威だ! 権力だ!っていうね(笑)。ということでやっぱり我々はこういう時には賞がほしいなと。以前、私ギャラクシー賞という立派な賞がありまして。こちらのギャラクシー賞のDJパーソナリティというのを番組を始めて、あれは1年ちょっとじゃないですか? 早かったですよね。2009年ですか。じゃあ2年目ということで。2年目にいただいて。金もない、数字もないけどその権威を盾にね。

「いや、ギャラクシー賞ですよ! あなたたち、なんですか? ギャラクシー賞の権威を認めないことなんですか、あなた! 私にそれを言うということは、あなた、私にだけケンカを売っているわけじゃないですよ、これは」(笑)。などというね、スタンスでやってまいりましたが。ここに来て……で、いただいたのが2009年で、だいぶ時間がたっていますよ。いま2017年ですから、かれこれ8年ぐらいは賞という権威的なことからご無沙汰しておったわけですね。その間はやはり、反権力を旗印にですね、やっておったわけなんですけども。ここに来てみなさん、すでに公表はされております。『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』、こちらの番組が放送界で非常に権威ある賞、第54回ギャラクシー賞ラジオ部門を受賞いたしました。よいしょ~!(拍手)。ねえ。ラジオ部門ということですよ。

「受賞しました」という知らせが来た時、まあこの番組のメーリングリストがあるんですけど。そこに私が受賞の喜びの言葉。最初の私の一言目、こちらでした。「ざまあ!」っていうね(笑)。誰に対してかわかりませんけども、「ざまあ!」っていうね。まあ、いろいろとあったんじゃないですか。積りに積った鬱憤がね。「ざまあ!」ということでね、いただきました。どの回で……前回は私のパーソナリティ賞ということで、番組まとめてということだと思いますが。私個人で一応いただいたんですが、今回は番組としていただいた。で、その番組の特定の回なんですね。出品して、特定の回を聞いていただいて、それが入賞するというんですけど。受賞した回は昨年8月13日に放送した回。ムービーウォッチメン。映画時評ですね。この後、10時30分ぐらいからまた始めますけども。毎週やっている映画時評でその週に扱った映画は『シン・ゴジラ』でございました。

宇多丸映画評『シン・ゴジラ』

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そして、特集コーナー サタデーナイト・ラボ。11時台からやっている特集コーナーですね。いろんなことをやっております。こちら、サタデーナイト・ラボでその日にお送りした特集は『 笑えねぇ……けど笑うしかねぇ!アナタの知らない、こんなにトホホな大本営発表のひみつ by 辻田真佐憲さん』ということで。もちろんこれは辻田さんのおかげでございます。辻田さんの研究成果という、そのご本を出されるタイミングで特集させていただいたということでございます。まあでも、実際に音源を聞きながらっていうのが非常によかったですね。非常にラジオ的な企画としても成立したんじゃないかと思っておりますが。

ということで、こちらがラジオ部門に入賞という形で。8番組、入賞しているんですよね。8番組あって、TBSラジオからは我々の番組の他にもたとえば、『荻上チキSession-22』。こちらも入賞している。で、この中で大賞が1個決まって、というような。これから決まるんですよね。だからまあ、入賞は入賞だけど、大賞かどうかはちょっとわからないんですけど。これはもう正直、まあ端的に言うと「よこせ」という。「いい加減、よこせ」っていうことですね。これはね。はっきり言って僕の2009年の受賞。あれがまあ、みんな言っていたましたよ。まあ、早すぎたわけですよ。正直。いまだにだって、全然上手くないじゃないですか。しゃべりとかね。まあその、「がんばれよ」賞だと思っていただきましたよ。

その後、番組も精進しまして。私のしゃべり手としての力量はともかく、番組全体としてのクオリティーはかなり上がっているわけですよ。これは別にこの回に限らず、神回ね。いっぱいやっているわけじゃないですか。それは。ねえ。前原猛のサウナ特集とか(笑)。歴史に残るね、クソ回(笑)。

いや、あれはクソ回じゃないんですよ。あれはあれでいいんですけど。いろんな回があるわけでね。「おかしいな、ギャラクシー賞……」と。だから例の私のパーソナリティ賞をとった時の、あれがよくなかったかな? 授賞式でのあの狼藉がよくなかったかな? と。サンプラザ中野くんさんを呼んできての替え玉受賞。さぞかしウケるだろうと思いきや、もうジョン・カビラさんがガチで怒っていたというね。そういう……まあ、あれ以来、「これはね、お見限りかな?」って思っていたんですけど、これをいただいたんで。これはもう、この勢いで大賞をいただかないとね。もう何を言ったもんかわかりませんからね(笑)。北朝鮮か私かということでね、もう何をするかわかりませんからね。

授賞式での狼藉

ということで、荻上チキさんも受賞していると。そして、これがすごいですよね。みなさん、星野源さん。もういまをときめく星野源さん。ただ、我々この番組的には番組リスナー ラジオネーム「スーパースケベタイム」ということですよね。スーパースケベタイムとして我々は知っているあの男。最近は星野源という名前でね、かなり調子がいいようですけども。

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その星野源さんがDJパーソナリティ賞を受賞という。私がとった賞を、しかも彼はオールナイトニッポンを始めて1年ぐらいしかたっていないんじゃないですか、これ。スピード受賞。ねえ。これですよ。つまり、荻上チキさんも番組に出ていただいて。ディズニーアニメ特集で出ていただきましたよね?

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まあある意味、もうファミリーですよね。で、星野源さんは言うまでもなくスーパースケベタイム。この番組のリスナーなわけですから。これはもうある意味、我々のギャラクシー賞ラジオ部門入賞とあわせて、まあ三冠と言ってもこれは過言ではない。しかも、テレビ部門には私の、ライムスターというラップグループ。2人ラッパーがおりまして、もう1人。Mummy-Dという男がこちら、最近俳優業も盛んにやっておりまして。なんと、あのTBSテレビ『カルテット』。これに出ていて、その『カルテット』もテレビ部門のギャラクシー賞に入っているんですよ。えっ、じゃあもう四冠じゃないですか、ある意味。

いやいやいや、それはだってMummy-Dだってね、『カルテット』に出て活躍していますよ。だってライムスターとしてここまで来ているから、それはドラマにだって呼ばれるんでしょう?ライムスター、俺がいなかったらそりゃ成り立っていないんですから、これは。これは、そうじゃないですか。それは。単独の力じゃないですよ……(笑)。

(古川耕)ひ、ひどい……(笑)。

(宇多丸)あとその、もっと言わせてもらえばですよ、これ、星野源くん。『逃げるは恥だが役に立つ』。『逃げ恥』、あったじゃないですか。『逃げ恥』も入っているわけですよ。テレビの方に。これはもう、『逃げ恥』も……みなさん、広く視点をとってくださいよ。大きな視野で見れば、これももう、我々の……(笑)。

(古川耕)ええっ!?

(宇多丸)いやいやいや、まず、星野源という男……だって、星野くんが前に出した本、読んでくださいよ、だって。「影響を受けたもの」っつって『ウィークエンド・シャッフル』が入っていますよ。ライムスターの『Once Again』って入っていましたよ。もう、だからゼロじゃないじゃないですか、それは。『逃げ恥』の中における。しかも、恋ダンスあるじゃん。あれ、振り付けだってMIKIKO先生でしょう? MIKIKO先生といえば、Perfumeですよね。で、Perfumeの恩人と言えば、僕じゃないですか。ほらほらほら。ほーら、ほらほら。五冠!

(古川耕)笑えなくなるよ……(笑)。

圧倒的なタマフル関係者のシェア

(宇多丸)(笑)。もう、オセロで言えば角をこう……角を押さえたも同然のね、ことですよね。しかしまあ、星野源という男、飛ぶ鳥を落とす勢いにさらにこんなブースターをつけて。今日もね、この後『夜は短し歩けよ乙女』。星野くんは出ている側で、僕は見て「いいな!」っていう側でっていうことですからね。こちら、このあたり……(笑)。このあたり、どう考えていくべきか。私もね、考えていこうと思いますが(笑)。ということでとにかくね、星野さんはね、もう1人ですから。パーソナリティは確定していますから。星野さんにあげて、私どもがもらえないとなりますとですよ……星野くんはもう、調子がいいわけですから。我々はさっき言ったように、何もないわけですから。金ない、数字ない、人気ない、人徳ない……もう、何もないわけですから(笑)。

この上、賞までもらえないとなるともうね、「おう、なんもねえよ、この野郎!」っていうね。「おお、なんもねえや!」なんつってね、どんどん放送内容が荒れていくという、こういう可能性がありますので(笑)。「勝手にしろ!」っていう話ですけどね。ちなみにこのギャラクシー賞、入賞は確定しましたが。昨年8月13日に放送した回。ミニコーナー『ババァ、ノックしろよ!』。まだやっておりました。放送したネタはラジオネーム「かあくん」さんの「酔っ払った祖母から祖父との情事をよく聞かされていた。その時、決まってばあちゃんは『かあくん、乳吸うかい?』と片乳を私に向けてくる」という。まあ、上半身裸でおばあさんがいらっしゃって。で、「『嫌だよ』って拒絶したら『寂しいねえ』と服を着てトボトボと向こうに行った」というね。ひとつの時代の終わりを感じさせる、そんな投稿でした。

このあたりもね、リンクしてますもんね。だからその、大本営発表。先の戦争でおじいさまを亡くされているわけで、それも関係しておりますし。『シン・ゴジラ』も当然、ミリタリズムというかね。まあ、1954年のゴジラは当然、太平洋戦争の記憶が生々しい中でやっているわけで、ある意味全部がバーン!ってつながったね。たぶんオープニングトークとかも相当いいと思いますよ。いい話をしてるんだと思いますよ。「いい!」っていう。たぶんオープニングがよかったのかもしれないですね(笑)。選考委員の人がオープニングトークを聞いて、「いい!」っていう(笑)。こういう可能性もありますよね。はい。ということでね、大賞がとれるかどうかはわかりませんが、さしあたって入賞が決まりましたので。本当にありがとうございます。そして、ギャラクシー賞のみなさまもありがとうございます。ひとえにリスナーのみなさまの応援があっての受賞だと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしますというね、最後だけ殊勝なふりをしてみました。

<書き起こしおわり>

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