星野源 小林明子『恋におちて -Fall in love-』の歌詞の魅力を語る

星野源 小林明子『恋におちて -Fall in love-』の歌詞の魅力を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で小林明子さんの『恋に落ちて -Fall in love-』を紹介。その歌詞の魅力について話していました。

恋におちて -Fall in love-

(星野源)ここからはイエローミュージックのコーナーです。イエローミュージックは僕の大好きな音楽です。海外の音楽の影響とか憧れがありながらも、真似や質感の追求だけではなく、日本人としての音とか世界観とか情緒とか、日本人がグッと来るようなことを実現したポップな音楽をイエローミュージックと呼んでいます。さあ、今日はですね、小林明子さんの『恋におちて -Fall in love-』を流したいと思います。この曲は、音の世界観ももちろん好きなんですが、歌詞が非常に好きでですね。ちょっと歌詞を読みたいと思います。あ、そうだ。その前に、この曲の発売日が1985年8月31日。すごい前ですね。そうか、そんな前か……俺、4才。そうですかー。作詞が湯川れい子さん。作曲が小林明子さんというね。

この曲ですね、TBS系テレビドラマ『金曜日の妻たちへIII・恋におちて』というドラマの主題歌だそうで。僕、これは見ていないんですけども。この曲、もちろんすごいヒットしたんで、いろんな人がカバーしたりしているんで知っている人もいると思うんですけども。僕も何度かラジオでかけたりしていたんで。主に、不倫の歌と言われておりまして。不倫をしている夫婦がいて、その旦那さんの不倫相手の女性の視点の歌と言われておりますが……なんか改めて歌詞を見たら、不倫じゃなくても成立するところに留めているなという。たとえば、彼女がいる男の人を好きになってしまった女性の話だったり、二股をかけられている人、二股めの人の視点の歌とも読めますね。なので、これはちょっと切ない恋を歌っているという感じです。歌詞です。

『恋におちて -Fall in love-』歌詞

もしも願いが叶うなら
吐息を白いバラに変えて
逢えない日には部屋中に飾りましょう
貴方を想いながら

もう、この歌詞もすっごい素敵な歌詞ですよね? で、なんで「白いバラ」なんだろうな?って思って調べてみたら、花言葉が「あなたにふさわしいのは私」っていう花言葉でしたね。なので、そういう気持ちを部屋中に咲かせるという、すっごい歌詞だなと思って。その後に……

Darling I want you 逢いたくて
ときめく恋に 駆け出しそうなの
迷子のように 立ちすくむ
私をすぐに届けたくて
ダイヤル回して 手を止めた
I’m just a woman Fall in love

いい歌詞ですよ~。で、いまのね、たとえば10代の子は知らないかもしれませんが、昔はダイヤル式で、回すんです。で、俺のすっごいちっちゃい頃にギリあったみたいな。黒電話をジーッて。いまみたいにポチポチ押すプッシュ式じゃないので、ダイヤルが戻るのに時間がかかるんです。ジーッ、グーッて戻るまでに。次の数字を入れるまでに時間がかかるんですけど。これ、調べてわかったことですが、作詞した湯川さんは、「『ダイヤル回して手を止めた』の部分はダイヤル式の電話を指していいるけども、1980年代後半は公衆電話がダイヤル式かrプッシュホン式に変わったケースが多く、この歌詞を変えるべきか迷ったが、ダイヤル式は電話をかける時に時間がかかり、その時に迷う心理を表現するためにあえてこの部分を残して発表した」という。素敵ですよね、本当。

西寺郷太・湯川れい子が語る 作詞家・湯川れい子の名曲制作秘話
湯川れい子さんがTBSラジオ『西寺郷太TAMAGO RADIO』にゲスト出演。作詞家・湯川れい子さんが手がけた名曲『恋におちて Fall in love』や『センチメンタル・ジャーニー』などの制作エピソードをお話されていました。 (西寺郷太

「ダイヤル~♪」が歌っている時に気持ちいいもんね。絶対にダイヤルの方がいい。「プッシュ~♪」じゃないよね。絶対に嫌だね。「プッシュ~押して~手を止めた~♪」じゃ、ちょっと嫌だもん(笑)。もしこれが不倫の歌ならば、当時は携帯電話じゃないですから、「ダイヤル回して手を止めた」っていうことは、夫婦のいるところに電話をかけるっていうすっごいことをしようとしているという。まあ、そうじゃなかった場合もあると思いますけども。また、その二番のサビに「土曜の夜と日曜の貴方がいつもほしいから」っていうのもなんか意味深ですよね。土曜と日曜、週末だけっていうのがね。いや、だからすごい奥深いね。

二番以降がなぜか英語なんです。で、英語の歌詞を翻訳しているのを調べてみたら、ほぼ一緒の内容ではありました。一番の日本語の歌詞と。なので、なにかすごく違うことを言っているというわけではないみたいです。なんで、歌詞を見ながら聞いてみると面白いのではないでしょうか。この曲も大好きな曲です。聞いてください。小林明子さんで『恋におちて -Fall in love-』。

小林明子『恋におちて -Fall in love-』

このね、アウトロのコード進行もすごいいいんですよ。で、割とすぐに終わっちゃうんですよ(笑)。「もうちょっと聞きたい!」って思うんだけど。お聞きいただいたのは小林明子『恋に落ちて -Fall in love-』でした(笑)。なんなんだろう? 「Fall in love」って言いたくなるよね。「Fall in love」ってかっこよく言いたくなるんだよな。うーん。東京都の方。(メールを読む)「私は昔、二股めの人でした。それでもいいと付き合っていましたが、やはり二股めは二股め。本命には勝てず、そっと身を引きました。『恋に落ちて -Fall in love-』を聞いてバカやってたなとあの頃を懐かしく思いました」。なるほどね。まあでもね、その”好き”っていう気持ちは本物ですからね。

大阪府の女性の方。(メールを読む)「私は10才でしたが、すごく好きな歌で意味もわかってよく歌っていました」。10才で意味もわかっていたってこと? すごいね。「……二番の英語詞になるところが特に好きでした。『土曜の夜と日曜の貴方がいつもほしいから』。切なすぎます。不倫の歌だとしたら、家庭のある男性への思いが本当に染みます」ということですね。いや、すごい。そういう歌詞の世界も面白いですよね。本当に。なんだろうね? まあ、いまもそうなんだろうけど、特にこの80年代とかの曲で名曲とか言われているのって、イントロの2秒目ぐらいで「あっ、もう名曲!」みたいになるよね(笑)。「これこれ!」みたいな。名曲感が2秒目ぐらいからもうあるっていう。すごいわー。今夜のイエローミュージックは小林明子さんの『恋に落ちて -Fall in love-』でした。

<書き起こしおわり>

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