ジェーン・スー『逃げるは恥だが役に立つ』海野つなみインタビュー

星野源『逃げるは恥だが役に立つ』第7話ラストの意味を語る TBSラジオ

ジェーン・スーさんがTBSラジオ『逃げるは恥だが役に立つ』大好き! ジェーン・スーが原作漫画家 海野つなみ先生に恥をしのんで聞いてきた特番の中で漫画原作者の海野つなみさんへのインタビューの模様、そして星野源さんのコメントを紹介していました。

星野源『逃げるは恥だが役に立つ』第7話ラストの意味を語る

(ジェーン・スー)この1時間の特別番組はタイトルにあるように『逃げるは恥だが役に立つ』の原作漫画家・海野つなみ先生に私、ジェーン・スーがインタビューをしてきた模様をお送りします。そして、番組の後半には平匡さん役の星野源さんからのメッセージもオンエアーしますよ。もともとなんでこういうことができるようになったか? と言いますと……私、『逃げ恥』が大好きで。

(蓮見孝之)はい。

(ジェーン・スー)もともと漫画は読んでいたんですね。で、その後にテレビが始まって、「ドラマだ、ドラマだ!」って毎週毎週、「ちょっと! 見ました、奥さん!?」みたいな話を水曜、もしくは木曜の『ジェーン・スー 生活は踊る』の中で話をしていたら……なんとですね、番組リスナーでいらっしゃる漫画家の上田倫子先生がお友達である海野先生にそれを伝えてくださったんですよ。

(蓮見孝之)はい。

(ジェーン・スー)そして、まあここからがびっくり。大阪在住の海野先生から、ラジオクラウドで聞いてくださったということで、番組に直接メッセージが届いたんです!

(蓮見孝之)ちょうどね、木曜パートナーの私の日だったんですよ。メールを読み上げまして、びっくりしましたね!

(ジェーン・スー)あん時はびっくりしたね! だってさ、「わー、好きだ、好きだ!」って言っていたら向こうからトントンって来てくれたんだもん。びっくりしましたよ。それで、まあまあ本当にこういう時って続くんですね。私がたまたま大阪にイベントで行くっていう用事があったんですよ。くっつけちゃいました。

(蓮見孝之)ああ、もう急遽ですね。

(ジェーン・スー)超急遽、海野先生にお願いして、大阪のスタジオにお招きして、この対談を録音してきたんですよ! いやー、もうね、すごい緊張しましたが。インタビューの模様をいくつかのパートに分けて、今日はみなさんに聞いてもらおうと思います。とにかくね、ドラマにどハマりしている方におすすめしたいのは漫画! 漫画を読むことで、楽しさが2倍、3倍になります。その風変わりなタイトルや、漫画のテーマ・契約結婚についてのお話です。

『逃げるは恥だが役に立つ』のタイトルとテーマ

<インタビュー音源スタート>

(ジェーン・スー)はじめまして。ジェーン・スーです。よろしくお願いします。

(海野つなみ)よろしくお願いします。

(ジェーン・スー)というわけで今日はですね、『逃げるは恥だが役に立つ』。いまドラマでも本当に人気がグイグイ右肩上がりで上がっているんですけども。その原作漫画家の海野つなみ先生にお愛することができました。よろしくお願いします。

(海野つなみ)よろしくお願いします。

(ジェーン・スー)いやー、なんか漫画家の方って、お顔がわからないじゃないですか。基本的には。

(海野つなみ)そうですね。

(ジェーン・スー)でも、「あっ、みくりちゃん?」っていう感じがしましたね。

(海野つなみ)そうですかね?(笑)。年齢的には百合ちゃんの方に近いのはあるんですけどね。

(ジェーン・スー)じゃあ、みくりちゃんの百合ちゃんバージョンというか。そのままみくりちゃんが百合ちゃんの歳になった場合っていう感じなんですかね?

(海野つなみ)でも、なんか結構他の作家さんとかにも、「いままでつなが書いてきた話の中でいちばんみくりちゃんがつなっぽいね」みたいなことは言われますね。

(ジェーン・スー)そうなんですね。そのへんは、どのあたりがなんですか?

(海野つなみ)なんかちゃっかりしているところとかって言われましたね(笑)。

(ジェーン・スー)(笑)。いや、いまちょうど漫画では話がどんどん進んでいますけども。前半ですでにみくりが「小賢しい」っていう風に前に言われたことがあって、自分の小賢しさに自覚的ではあるんだけど、コンプレックスでもあるっていうシーンがあるじゃないですか。主人公の女の子が、たとえば「ブス」って言われていじめられたことがあるとか、「背が高すぎる」とかいろんなことがいままでコンプレックスになっていて、それをバネに……とかっていう漫画は過去に読んだ経験があるんですけど。小賢しいっていうのが悪口のひとつとして言われたヒロインって、あんまりいないんじゃないかな?って思って。

(海野つなみ)そうですね。みくりちゃんは大学院とかも出ていて頭がいいっていう設定だったので、そういう人たちがいちばんズーン! と来るのはそこかな? と思って書いて。

(ジェーン・スー)「計算高い」っていうとちょっとまた違うんですけどね。

(海野つなみ)そうですね。

(ジェーン・スー)そもそも、『逃げるは恥だが役に立つ』っていうタイトルはどこから来たんですか?

(海野つなみ)なんかことわざっぽいタイトルっていうか、慣用句みたいなのを使いたくって。「ツバメが低く飛ぶと晴れ」みたいなやつ。そういう感じのをタイトルにしたいなと思っていろいろ調べていたら、世界のことわざみたいななかに「逃げるのは恥だが役に立つ」っていうのがあって、これがなんかいろんな風に話が広がるし、いろんなイメージで描けるからいいんじゃないかな?って。あんまりきちんと……「これはどういう意味?」っていう風よりも、聞いただけでなんとなく意味が通じるしっていう。

(ジェーン・スー)はい。

(海野つなみ)あと、「逃げるのは……」っていうのが本当だけど、語呂的に「逃げるは」ってした方が言いやすいっていうのもあるし。あと、検索した時にもうこの作品が出てくるので。ことわざじゃなくて。

(ジェーン・スー)うーん。めちゃくちゃ考えてらっしゃいますね。

(海野つなみ)そう。考えました、考えました。

(ジェーン・スー)いま、「小賢しい」って言いそうになったんですけど(笑)。

(海野つなみ)(笑)。そういうところが似ているのかもしれないですね。

(ジェーン・スー)私は初めて『逃げ恥』を知ったのが漫画がすごく好きで、面白い漫画が詳しい友達っていうのがいるんですよ。で、その友達が「これ、面白いから読んでみ」って言われて、最初に1、2、3巻ぐらい借りたのかな? で、そん時に本当に驚きすぎて、撃ち抜かれて。なんでか?っていうと、ほとんど思考実験じゃないですか。ラブコメと見せかけて。

(海野つなみ)ああ、そうですね。シミュレーションコミックみたいな感じ。

(ジェーン・スー)そうですよね。で、物事の順番を逆にするだけで、こんなにもいままで「愛」とか「恋」っていう適当な言葉で流されてきた部分っていうのの違和感が詳らかになるのか!って思って。結構ショックが大きかったんですよ。「たしかにそうだ」って。その、「契約結婚」っていう設定を思考実験の場として最初に思いついたのはどういうきっかけだったんですか?

(海野つなみ)契約結婚自体は本当に少女漫画ではよくある……なんか、「玉の輿で」とか「お金のために」とか、なにかしら意図があってっていうのはよくあるけども、そうじゃなくて普通のビジネスでっていうのは、やっぱりいま草食の男の人とかが多かったりして。そういう人と上手くやっていくにはどうしたらいいんだろう?って思って。最初はすごい経験豊富な女の子が相手になったら上手く組み合わせとしていけるんじゃないかな?っていうのをいろいろ考えていて。

(ジェーン・スー)なるほど、はい。

(海野つなみ)でも、それは『Kiss』っていう女性誌でやることになったので、あんまりビッチな女の子っていうのも共感を得にくいので。そこはもっとちゃんとした女の子にして……っていう感じですかね。

(ジェーン・スー)女の子が手練れじゃなくて逆に説得力が増したなと私は読みながら思っていて。お互いに手探りだけど、かならず話し合って紙にするっていう。仕事をやったらこの2人、ものすごい相性がいいんだろうな、プロジェクトとしては問題なく進むんだろうなっていうぐらい、ちゃんと話し合ったり。いろいろ齟齬があっても、きちんとそれを後で詰めたり。あと、どっちかが感情に引っ張られてその場を投げやってしまったりとか――まあ、主に平匡さんなんですけど――そういう時でも、かならず1回は待ってあげる、猶予をあげるじゃないですか。関係性で。

(海野つなみ)はい。

(ジェーン・スー)この人たち、仕事できるんだろうなって思いながらいつも読んでいるんですけど。

(海野つなみ)そうですね。「仕事」っていう風にすることで見えてくるのってたくさんあって。たとえば恋愛関係だったら、どっちかが「もういいよ!」って思ったらそのままずっとケンカが続いたりするもんだけれども。でも、仕事なので。仕事で仕事先の相手とケンカしてずっとうまく行かなかったら、それってダメじゃないですか。

(ジェーン・スー)そうですね。

(海野つなみ)だからやっぱり実生活でもそういう風にやっていくと、意外とうまく行くんじゃないか?っていう。

(ジェーン・スー)うん。「発明だな!」と思った。その、お互いがビジネスとして契約をする。イーブンにするっていうところから始まって。でも、それが実はみんなが本当は求めている結婚っていうやつだよねっていうところから始まって、じゃあそこからその2人の間に愛情が芽生えていくと、いままでここに対価が支払われていた労働・行動っていうものが、なんでこれがなくなるの?っていう。

(海野つなみ)そうですよね。そこはでもやっぱり、漫画の方でも賛否両論わかれたところで。恋愛ものとして読んでいると、「このまま2人の間に本当の恋愛が芽生えました。結婚しました。めでたし、めでたし」を望んでいるっていう人たちがいる一方で、やっぱり仕事ものとすると、「それはダメだろう。そんな甘い夢に流されてしまってはダメだろう」みたいなのがあって。やっぱりそこはいちばん気になるところ。話のテーマとしてすごい大事なところなので、そこはちゃんと描かなくちゃなと思いましたね。

<インタビュー音源おわり>

(ジェーン・スー)仕事ものとして見るか、恋愛ものとして見るか。実はここ、蓮見さんと私が原作を読んで意見がわかれるところなんですよね。

(蓮見孝之)そうですよね。

(ジェーン・スー)みくりちゃんがお金のことを比較的はっきりと、しっかり主張する。で、そこに恋愛感情が芽生えたとしても、やっぱりそこはしっかり、きっちりさせたいということに対して私は「そりゃそうだよ。だってもともと仕事として始めたことだよね」って。蓮見さんはいかがですか?

(蓮見孝之)私はもう、結婚をしたらお互いの……うーん、あんまり好きな言葉じゃないんだけど、まあ分担っていうかね。お互いに気がついたらなにかをやり、誰かのために働き、動きっていうのが相互作用で成り立っていれば最高だなと思うので。そこに対価は必要なのか? というのは正直疑問です。必要ですかね? 結構みくりはこだわるんですよ。収入がなくなるっていうことに。

(ジェーン・スー)当然ですよ。

(蓮見孝之)当然なのかな?

(ジェーン・スー)みくりはタダでなにかをやらない女なんですよ。でもね、これは本当に大事なことだと思いますよ。世の専業主婦(夫)と言われる方、兼業主婦(夫)と言われる方。たとえば、私が専業主婦(夫)のお友達に聞いた話なんかだと、ものがほしい時に「あれを買って」って言わなきゃいけないのが本当に屈辱的だとか。

(蓮見孝之)つまり、夫の了解を得て?

(ジェーン・スー)そうそう。外貨を稼いでいる側と家を切り盛りしている側っていうこと。「あれを買ってもいい?」とかね。旦那さんは旦那さんで家族の許可を得ないとものが買えないとかっていうのもるんでしょうけど。自分の労働に対して対価が支払われるということは仕事として見たら絶対に必要だと思うんですけどね。

(蓮見孝之)ああー、そもそもそういう発想自体が、この漫画・ドラマに触れるまではなかったんだよなー。

(ジェーン・スー)そうですよね。わかる! さあ、続いてのパートは漫画『逃げ恥』について。海野先生がどういう風にこの作品を描いているのかをうかがいました。

海野つなみの『逃げ恥』の描き方

<インタビュー音源スタート>

(ジェーン・スー)よく、漫画家の方が「勝手にキャラクターが自分たちで動き出す」って言うじゃないですか。どのぐらいのタイミングから動き出しました?

(海野つなみ)いや、結構最初から勝手に……なんか、本当にこの話に関しては特に、いままでは結構終わりまで話をきちんと大枠を決めてっていうのが多かったんですけど、この話は本当に設定だけ決めて、この2人がどうなっていくかをただ追いかけて記録するみたいなところから始まったので。特に、ドラマの方でも平匡さんがいきなりキスをしたシーンていうのはすごい「ええっ、なんで!?」みたいな感じですごい反響があったけど。もちろん漫画の時でも「ええっ!」っていう感じになって。実際に私もあれを描いた時、私がいちばんびっくりしたんですよ。

(ジェーン・スー)うん。

(海野つなみ)「ええっ!」って。頭の中でこう、妄想をしていて。そしたら平匡さんがああいう行動を頭の中でやったのですごいびっくりして。「ええっ! 平匡、あんたそういう子じゃないでしょ? そんなこと、できる子だったの?」みたいな感じでびっくりして。もちろん、私は作者なので「あなたはそういうことをする子じゃないでしょ?」って矯正することもできるんですけど。でも、私はなんか思わずそういうことをした平匡さんが、これからどうなるんだろう?っていうのをすごく見たくて。だから、自分の思うように動かしているとか、話を盛り上げるためにっていうわけではなくて。本当に自分がびっくりすることがあるんですよ。

(ジェーン・スー)うんうん。自分が作り上げたキャラクターたちが自由に動いていくのをどんどん記録していく……それ、めちゃめちゃ楽しいじゃないですか!

(海野つなみ)そう(笑)。だから私、すごいネームが好きなんですよ。楽しい。

(ジェーン・スー)なるほど。ネームっていうのはいわゆるお話を、セリフを入れながら流れを考えていって。

(海野つなみ)そう。全体の小さい絵コンテみたいな感じなんですけど。それが苦手だっていう作家さんもすごい多いんですけど、私はそれが漫画を描く上でいちばん楽しくて。で、もうそれができたら、あとは「ああ、これを清書しなければならない。しんどい……」みたいな感じなんですけども。

(ジェーン・スー)はい。そうなんですね。みくりちゃんになにかを期待していたものっていうのは最初からあったんですか?

(海野つなみ)そうですね……うーん、本当はでもね、心理学の大学院を出ているという設定なのでもっと心理学的なこともいっぱい入れられたらよかったんですけども。まあ、あんまりそんなには入らなかったんですけども。でも、普段気になっていることとかを全部彼女は好奇心が強い子なので、「なんで? なんで?」っていう風に掘ってくれるという意味ではすごい楽しかったですね。

(ジェーン・スー)平匡さんはどんどん変わっていくじゃないですか。扉がバンバン開いて、アドベントカレンダーみたいになっているじゃないですか。いま。

(海野つなみ)そうですね(笑)。

(ジェーン・スー)だけど、みくりちゃんはなにか大きく変わりましたかね?

(海野つなみ)そうですね。でも、やっぱりどこか自信がなかったのは最初はあったと思うんですけど、その中で「あ、大丈夫なんだ」って。なにかを言ったら「小賢しい」って言われるとか、そういう風なこととかも言われても大丈夫だっていう、安心感みたいなのは誰かがいることによってできたのかな?っていうのは思いますね。

(ジェーン・スー)うんうん。そう。信じられないですけどね。あんなに学歴が高かったりとかなんかしたら、やっぱりそれだけでね、人生がどうにかなるわけではないけれど、通常はどうにかなるって言われているわけじゃないですか。だけど、「ああ、自分はこのままでも大丈夫なんだ」って。まあ、それは平匡さんもそうか。

(海野つなみ)そうですね。京大とかを出ていてね。

(ジェーン・スー)そうですよね。不器用ですね、2人ともね。

(海野つなみ)そうですね。うん。でも、いまって結構自己肯定感を削ぐようなことがすごく多い。情報化社会でもあるし、まあ実際にそういうことを知らない人から言われたりすることもあるし。で、なんか自分よりもっとすごい人とかをどんどん目の当たりにしてっていうようなことが常にあるので。そうすると、「自分は結構できるんじゃないか?」って思っていても、「いやいや、そんなことを思っていたらダメだ。自分なんかはまだまだだ」っていう風に思いがちだし。

(ジェーン・スー)うん。

(海野つなみ)それはまあ謙虚でいいといえばいいんですけど、でもそれも行きすぎると「まあ、自分はここまでだろう」みたいな風に思ってしまうっていうかね。自信を失ってしまうみたいなところはあるので。それってやっぱり、直接かかわりあった人とかとの関係において、「ああ、でも大丈夫なんじゃないか。いいんじゃないか」みたいな風にはなっていくのかなって思いますね。

(ジェーン・スー)その2人をがっちり盛りたてる脇の面白すぎるメンツのみなさんがいらっしゃるわけですけど。今回の『逃げ恥』に関しては周りの人はどうやって生まれていったんですか?

(海野つなみ)もうね、百合ちゃんと沼田さんに関しては本当に下克上っていうか。

(ジェーン・スー)下克上?

(海野つなみ)そう。最初はもう本当に全然、一話の時にとりあえず必要だから出てくるみたいなぐらいのキャラクターだったんですけど。でも、百合ちゃんっていうのはすごい感情的なところがあるし、すごい常識的なので、彼女が「ええっ? ちょっと、なんなの?」みたいなことを言うと話が動くので、すごく便利。

(ジェーン・スー)うん、そうですね。いろいろ彼女が動かしていったところ、たくさんありますもんね。

(海野つなみ)で、沼田さんも結構謎キャラみたいな感じで、なんでも知っているっていう風にできちゃうので。そうすると、話が困った時にいい動きをしてくれる、いいアシストをしてくれるっていんで、「ああ、これはすごい便利なキャラクターだ」っていう。いろんな空気をかき混ぜるキャラクターとして便利だっていうことがわかってきたので。そうすると、やっぱりどんどん話にも食い込んでくるし。もう百合ちゃんに至っては、もうダブルヒロインみたいになっていますからね。

(ジェーン・スー)ねえ! そうですよね。

(海野つなみ)そうそうそう。

(ジェーン・スー)私、43才なので、やはり自分の気持ちが持っていかれるのは百合ちゃんの方なんですよ。「わかる!」みたいなものがあったりとか。

(海野つなみ)なんか年上の女性の方とかに百合ちゃんはもう本当にすごく人気があって。「もう私、百合ちゃんが主役だと思って読んでいるから!」とか、「もう百合ちゃんを幸せにして!」とか。「あのイケメンをひざまずかせて!」みたいなことも結構最初の方から言われていて。

(ジェーン・スー)(笑)

(海野つなみ)だから、すごいなんか少女漫画ってあんまり50代とかっていうのはいままで描いてこなかったんですけど、でも、ここにこんなに大きな需要があるんだ!っていうことを改めて知ったというか。

(ジェーン・スー)全てが、だから試験的なんですね。この漫画は。

(海野つなみ)そうかもしれないですね。

(ジェーン・スー)だって、50代の人って昔はもっと意地悪く描かれていたりとか。少なくとも、恋愛でアベイラブルな人としては描かれていないですよね。あとは、誰かの母親とか、誰かの奥さんとか、そういう肩書で出ていたけど、シングルで楽しくやっている。しかも、すごくかわいがっている姪っ子がいて。だから、あからさまに若さを持った比較対象がそばにいる。けど、輝いている50代の女性。で、高齢処女っていう……

(海野つなみ)それはね、結構本当に第一話を描いた時にすごい読者さんから悲鳴がいっぱい来て。なんか「もう、海野先生! なんていうものを描いてくれたんですか! ひどい!」みたいな感じで。でも、それから話が進むにつれて百合ちゃんがすごい、それを特に引け目に思っているというわけでもなく普通に楽しく充実して暮らしているのを見て、みんなが「悲惨な女として描かれているんじゃなくて、普通に生きている女性として描いてくれているので、私も百合ちゃんみたいになりたい」みたいな方に読者さんからの声が変わっていったので。だから、「ああ、よかった」みたいに思いましたね。

(ジェーン・スー)ラブコメっぽくも読むことはできますけど、実は相当リベラルな漫画ですよね?

(海野つなみ)そう、ですかね?

(ジェーン・スー)契約結婚のことがあり、百合ちゃんのことがあり、あと各人の性志向のことがあったりとか。相当リベラルな漫画だなと思いながら読んでいるんですけど。

<インタビュー音源おわり>

(蓮見孝之)あのー、「みくりさんに似ているって第三者に言われる」って先生がおっしゃっていたじゃないですか。でもなんか、全ての登場人物の要素を兼ねそなていますよね。

(ジェーン・スー)なるほど。

(蓮見孝之)それから、ダブルヒロインと言われる叔母の百合ちゃんですよね。後半はこの話でだいぶ盛り上がったんじゃないですか?

(ジェーン・スー)はい。もうね、ちょうどいま発売中の漫画の方ですよ。最終回の1個手前。この百合ちゃんを読んで、もう「ギャーーーッ!」って大きな声を出してしまいましたけれどもね。そうよね。キャラの下克上って面白いね。

(蓮見孝之)面白いですねー。

(ジェーン・スー)あとやっぱり、漫画のキャラクターの動き方っていうんですか? 物語の起承転結だけじゃなくて、勝手にキャラが動き出して、描いている本人がびっくりしちゃう。そんな経験、したことないよね。

(蓮見孝之)どういうこと? これ。

(ジェーン・スー)私もわからないの。これ、聞いていてうっとりしたな。漫画家さんの特権なんでしょうね。こういう気持ちが体験できるのって。さあ、次は海野つなみ先生の漫画家としてのキャリア。そして仕事論。かなり深いところまでお話してくれました。

海野つなみのキャリアと仕事論

<インタビュー音源スタート>

(ジェーン・スー)この漫画をお描きになったのは第一話は何年前ですか?

(海野つなみ)2012年だと思います。

(ジェーン・スー)ということは、4年前っていうことですよね。それまで30数冊、単行本を描かれてきて、デビューはおいくつの時ですか?

(海野つなみ)18ですね。

(ジェーン・スー)もう完全にザ・少女漫画の?

(海野つなみ)そう。『なかよし』デビューですからね。『セーラームーン』とかがワーッてなっている時に横で一緒に載っていましたからね。

(ジェーン・スー)なるほど、なるほど。そうか、そうか。

(海野つなみ)そうなんですよ。

(ジェーン・スー)そこからお始めになって、海野先生にとってのお仕事っていうのはどんな道のりでした? どんな景色でした?

(海野つなみ)うーん……そうですね。なんかずーっと売れないけれども一定のファンの人たちがいて買い支えてもらっていたみたいな感じで。で、同じ雑誌に載っている子で片方がすごいバーン!って売れたりとかするのとかも見たり。あと、自分が描いている雑誌が休刊になったりとか、「連載しましょう」って青年誌から言われてネームを描いたら「海野さん、雑誌が休刊に……」とか。そういうのもいろいろ経てだったので。『逃げ恥』を描くひとつ前に描いていた連載の時に知り合いの漫画家さんに「これはつなの最高傑作だね」みたいなことを言われた時に、うれしいのもあるけれども、ショックもあったんですよ。それは、そんなに売れてなかったから。

(ジェーン・スー)うん。

(海野つなみ)だから、「ああ、私もピークはここまでか!」みたいな感じで。でも、「うーん……それは私の実力だから受け入れなければいけない」と思って。だから、まあ百合ちゃんと同じっていうか、どこかで諦めちゃって。「ああ、これでもう終わりなんだ」って思っていたっていうのはありますね。だから本当、『逃げ恥』がこんな風に当たるなんて……だって、もう40すぎてからのヒットなので。初めてのヒットなので。

(ジェーン・スー)そうですよね。18からやっている仕事ですもんね。

(海野つなみ)そうなんですよ。その前に、また講談社漫画賞とかの候補とかにあげてもらったこともあったんですけども。でも、その作品もそんな広く世間に浸透しているか?っていうとそういうわけでもなかったので。うん。

(ジェーン・スー)そのね、私あとがきで読んだ時に「なんていい話なんだ」って思って。1回、候補にあがった時に「大賞は取らないだろうけど、寸評がなんて言われるだろう?」っていうのをドキドキしながら楽しみにされていたと。でも、結局フタを開けてみたら、誰も触れている人がいなかった。そこで自意識過剰な自分を思ったということを書いてらっしゃったんですけど、それ、すごいダメージじゃないですか。

(海野つなみ)そう、ですね。うん。

(ジェーン・スー)で、さっきからお話をしていると、「あれ? 心が折れてもいいみたいなタイミング、結構あるよ?」っていう風にもいま、聞いていて思って。

(海野つなみ)(笑)。そうですね、うん。

(ジェーン・スー)自分の感情のコントロールというか、綱引きはどうされているんですか?

(海野つなみ)でもね、1年ぐらい仕事がないみたいなのがいままで2回ぐらいあったんですけども。最終的には占いに走って(笑)。

(ジェーン・スー)(笑)

(海野つなみ)もう、ずっと図書館とか通って、山本周五郎全集とかを読んだりとかして(笑)。でも、時間がいっぱいああるから。で、なにに頼っていいのかわからなくなって、毎日のように占いとかをして。易をやっていたんですよ。100円玉を投げて表裏で陰陽みたいなので。で、毎回卦は変わるんだけど、言っている内容はいつも同じで。「ああっ、怖い!」ってなって(笑)。「もう、あんまり占いに頼るのはやめよう」みたいな感じで(笑)。

(ジェーン・スー)なにって言われていたんですか?

(海野つなみ)その時は、「いまはその時じゃないから、とりあえず身につけられるものを身につけて、いまは蓄えておくべきだ」みたいなことを何回占っても答え的には同じようなのが出て。

(ジェーン・スー)怖いですね、それ。

(海野つなみ)そう。怖!っていう。

(ジェーン・スー)心が折れて歩みがとまって、そこから足がもう出せない。いわゆる、あれは挫折と呼べるものだったみたいなことって、いままでに……もし、差し支えがなければ、あったら教えてほしいんですけど。

(海野つなみ)そうですね。いちばん大きいショックは『デイジー・ラック』っていう話を『Kiss』の別冊でやっていて。で、最初に4回描いてそれが好評だったので、「じゃあ本誌で移しましょう」っていうことになって。もうすごいうれしくて。「すごい長く描くぞ、おーっ!」っていう感じで描いていたら、4回描いたところで「次で最終回です」みたいなことを言われて。「ええっ、まだプロローグなのに! まだ描きたいエピソードも全然描けていないのに!」って。

(ジェーン・スー)うんうん。

(海野つなみ)その作品っていうのが『Kiss』に来ていちばんど真ん中ストレートに投げたっていう。30才になったばっかりの女の子4人組で働いている人もいるし、主婦の人もいるしっていう群像劇みたいな感じで。で、自分的にも読者層ど真ん中に球を投げたつもりだったのに、それが打ち切りになってしまった。最後まで描けなかったっていうのは、やっぱりすごくショックで。そっから、「これでダメだったら私、この雑誌でなにを描いていいかわからないよ」っていう風になってしまって、ちょっと迷走をした時期がありましたね。それがいちばん大きかった。

(ジェーン・スー)それでも最終的にはそこから、辞めるとかいうことはなく、そのまま……でも、やっぱり話せば話すほどみくりちゃんと話しているような気になってきましたね。

(海野つなみ)そうですかね?(笑)。

(ジェーン・スー)なんか、なんらかの『情熱大陸』だったりとか、そういうのが見えてくるようなイメージですけど。

<インタビュー音源おわり>

(蓮見孝之)20年以上ですよ。

(ジェーン・スー)そうですよ。

(蓮見孝之)うーん。デビュー、18才なんですね。

(ジェーン・スー)そこからね、よかれと思って言った方も、そう言ったんでしょう。「最高傑作だね!」と言われた言葉が、「ああ、私、ここまでなんだ」っていうショックにつながったっていうね。もうそれ自体がすでにドラマみたいですけども。いや、それにしてもご自身の作品っていうのがこのタイミングでこれだけ花を開いたことも前例がないし。百合ちゃんじゃないですけど50過ぎの女性が、恋愛ができる恋愛対象として見られるっていうことが普通に描かれるとか。そういう実は新しいことをたくさんこの漫画でやってらっしゃるんですね。

(蓮見孝之)はい。

(ジェーン・スー)さあ、続いてはドラマ化の裏話、TBSに決まった経緯などいろいろうかがいました。

『逃げ恥』ドラマ化の裏話

<インタビュー音源スタート>

(ジェーン・スー)話、1回脱線しますけど、TBSでよかったですね!

(海野つなみ)ねえ(笑)。

(ジェーン・スー)私、第1回目の放送の時も拍手しちゃって。これが他局だったら、あれ使えないですもんね。

(海野つなみ)ああ、そうですね。でも、他局のネタもあったので(笑)。「ルールルル♪」的なネタもあったので。

(ジェーン・スー)ああ、そうか! そうだそうだ。

(海野つなみ)そう。いろんなところはあったんですけど。でも、最初に担当さんに「メディア化の話がいろいろ来ています。実は各局から来ています。こちらでいちばん海野さんにいいところを選ぶので、任せてくださいね」って言われて、私は待っているだけだったんですけど。それで、「TBSに決まりました。TBSがいちばんこちらの意図をくんでくれて、すごい原作を大切に作ってくださるみたいなんで」っていうことで、「じゃあ、おまかせします」っていうことになったんですけど。本当に大事に作ってくださっていて。「はー、よかったー!」っていう。

(ジェーン・スー)原作漫画を楽しんで、ストーリーの流れもわかっているのに「ギャーッ!」ってなるのが、あれが不思議。

(海野つなみ)ねえ。

(ジェーン・スー)あと、たまに放り込まれてくるオリジナルエピソードが意外に効いていたりとか、時間をギュッと縮めるのに有効だったりするから目が離せないんですよね。

(海野つなみ)そう。で、原作のエピソードも結構これから先、前後してくるので。「あっ、あのエピソードは原作ではこうなっているのに、それがない」って思って次のエピソードが来て……「えっ、どうなるの?」ってこっちも混乱するので。結構ドラマが終わるまで漫画は読まないみたいな人も多いんですけど、漫画を読んでから(ドラマを)見てもすごい面白いし、なんだったら「漫画を読んでからの方が『あっ! こういう風に使うんだ!』ってびっくりするから二度美味しいですよ」っていう風には言っているんですけどね。

(ジェーン・スー)私もそう思いました。漫画を知っていることが、単にストーリーを追っていく補助になるだけじゃなくて、新しい楽しみとか。「あっ、そこでこう来る。あっ、この人、もうこのタイミングで出てきちゃう?」とか。これね、よくできたドラマだなって。

(海野つなみ)いや、だから脚本の野木さんが上手い!

(ジェーン・スー)そうですね。ねえ。

(海野つなみ)前半でカットされたすごくいいセリフとかがあって、読者さんとかも「あのセリフが好きだったのに残念」って。私もアシ(スタント)さんと「残念だね」って言っていたりしていたのがその後に出てきたりとか。「うわっ、すごい! ここでこれ、使ってくるんだ」っていう匠の技を……

(ジェーン・スー)上手い!っていう。面白い!っていう。

(海野つなみ)そうそうそう(笑)。

(ジェーン・スー)平匡さんの思わずチューのところはわかっているのに……

(海野つなみ)(笑)

(ジェーン・スー)ほぼおんなじ流れでわかっているのに、「キャーッ!」って(笑)。

(海野つなみ)ねえ、なりますよね。

(ジェーン・スー)しかしね、漫画家の方に私はいつも「すごいな!」って思うんですけど。自分が脚本を書いて、主演、助演全ての俳優も自分で作り出して。ディレクションも演出も、なんなら美術も全部自分1人でやるわけじゃないですか。こんな総合芸術、よくできますね!

(海野つなみ)まあ、しんどいし。だからすごいファッションに定評のある先生とかは毎回、「次、服なに着せようかって大変!」とかって。

(ジェーン・スー)ああー、そうかそうか。物語ももちろんですけど、さっき言っていた今回みたいな単に物語として進むだけじゃない、底に流れていく作家さんの考え、思想だったりとかリベラリズムみたいなものだったりとか。そういうものを嫌味なく押し付けがましくなく、かと言ってパンが描いてあって「あっ、パンだ」って言うわけにはいかないわけじゃないですか。これはねえ、すごいなと思って。「体の反応をしているのは平匡さんだけじゃないですよ」っていうのも、あれもすごいなと思って。

(海野つなみ)(笑)

(ジェーン・スー)「そうか、そういう言い方があるか!」と思って。

(海野つなみ)あそこはでも、「これを参考にしてくれ」って言うんじゃなくて、結構、「えっ、みくりちゃん、そんなこと言うの?」みたいなことを言ったりしているので。なにを言っても別に間違いじゃないんだよっていう。そこで相手がドン引きさえしなければ、なにを言ってもいいし。そこは2人だけのことなので……っていうつもりで描いてましたね。

<インタビュー音源おわり>

(ジェーン・スー)もうとにかく、別に私たち講談社から一銭ももらっていないけど、漫画を読んだ方がいいよ。

(蓮見孝之)読んだ方がいいですよ!

(ジェーン・スー)面白さが倍よね。

(蓮見孝之)そう。星野源さん演じる平匡というキャラクターをみなさんはどういう男性だと見ているのか? みくりがいろいろと「好きだ」というような気持ちを間接的に表現しているのに、それをなんだか違うベクトルで捉えちゃう、あの女性経験のない男の発想というものを「なにやってんだ、平匡! 気づいてやれよ!」っていう見方と、男性目線で「みくり、いまアプローチかけているぞ。行け、行け!」って応援する方と……いろんなキャラクターに対してイチャモンをつけているいろんな視点があるんですよ。

(ジェーン・スー)(笑)

(蓮見孝之)これでね、結構まあ夫婦でケンカをするわけですよね。

(ジェーン・スー)あっ、なるほど。そこでお互いの意見の相違がね。なるほどね。

(蓮見孝之)妻はみくりが「いいですよ、あなたとだったら……」っていうことを耳元でささやくあのドラマのシーンを見て、「ダメなんだよ、そこまで言っちゃ!」って言うんですよ。

(ジェーン・スー)わかる! 私も同じこと言っていた。

(蓮見孝之)ああ、言ってました?

(ジェーン・スー)「ダメだ、それ!」って。

(蓮見孝之)「ダメなんだよ!」って。だけど俺は平匡を応援していますから。私も童貞を卒業するのは割と遅い男子なので。

(ジェーン・スー)聞いてねえし(笑)。

(蓮見孝之)まあ、プチ情報ですけども。そういう意味で平匡をどこか応援する気持ちはあるんですよ。「いまだ、いまだよ!」と思うんですけど、「ダメです、ダメです!」って距離をおいちゃうでしょ? 「ダメだよ!」っていう。僕はどっちかっていうと男性側にイチャモンをつけちゃう。

(ジェーン・スー)なるほどね。私は両方ですよ。両方に。「平匡、面倒くさっ!」って思うこともあるし。ドラマ、楽しいよね。

(蓮見孝之)そうですねー!

(ジェーン・スー)本当に。さあ、次は大きなテーマ。現代の結婚というシステムについて海野先生にうかがいました。

現代の結婚というシステム

<インタビュー音源おわり>

(ジェーン・スー)海野先生はご自身はいわゆる現代の結婚システムみたいなものに対してはどう感じてらっしゃるんですか?

(海野つなみ)そうですね。制度っていうものを利用したい人はもちろん最大限に利用したらいいと思うけど、そこから外れる人ももうちょっとすくい取って。みんなが楽しく暮らせるようなシステムにもうちょっとなっていったらいいのになとは思ったりしますけどね。

(ジェーン・スー)あと、今回やっぱり勇気をもらった読者の人たちは、さっき言っていた草食男子とか、女性でもそんなに恋愛が得意じゃないっていう……好きとか嫌いとか経験がある、ないじゃなくて、そんなに得意じゃないっていう人が一定数いて。それは決して責められるべきことではないし。そもそも、よく言うんですけど、「私、恋愛体質だから」っていう人は完全にあれ、どうかしている人が多いじゃないですか。

(海野つなみ)まあ、ねえ(笑)。

(ジェーン・スー)だから、人の感情を勝手に決めて自分でストーリーを勝手に走らせるような人よりは、相手がどう思っているかわからないし……っていう慎重さを持っている人が恋愛が不得手っていうのはまったく責めることではないと思うので。そういう人たちにとって、話し合いをしながら進めていって、その間に、その進めていくことによって愛情が生まれてくるっていうこともあるよねって。なんとなく、パンを抱えてバチーン!っていう運命の出会いにならないと……

(海野つなみ)「前前前世から~♪」とかじゃないとね、みたいな(笑)。

(ジェーン・スー)そうそう。出会いの純度みたいなのをすごい求められるじゃないですか。それこそ、ネットで出会ったのだといまいちダメみたいなのもそうですけど。”運命”といわれる出会いの純度みたいなものが『逃げ恥』は最初にまるでないので。なんなら、派遣家事手伝いみたいな。

(海野つなみ)そうですね(笑)。なんか思ったのが、これがたとえば友達同士だったらすごい昔からの親友がいるとして、そもそもの友達になったきっかけはただ単に同じクラスで名前が「あいうえお」順で前と後ろだったとか、クラブがたまたま同じだったとか。そういう些細なことがきっかけでいまでもずっと仲が良かったりするじゃないですか。

(ジェーン・スー)はい、はい。

(海野つなみ)恋愛も結構そういうもんだと思うんですよね。たまたまのことが実は気が合って、そのままずっと一緒にいられるみたいな。でもやっぱり、漫画とかドラマとか映画とか音楽とか、いろんなエンターテイメントで純愛を盛り上げるから。なんか、すごくドラマチックなものと捉えちゃうと、「こんなには恋じゃない」とか思ってしまうけど、実質はそうじゃないんじゃないかな?っていうのは。

(ジェーン・スー)そうですよね。なんかドキドキしたいだけに軸を持っていくと、とんでもないしっぺ返しを食らうなっていうのはこの歳まで独身でいて私も痛感するんですよ。やっぱりドキドキって麻薬じゃないですか。

(海野つなみ)あと、「ドキドキしたい」っていうのは「ドキドキさせてよ」っていう脅迫でもあるので。

(ジェーン・スー)あっ! メモりました。心に。そうですよね。「ドキドキさせたい」じゃないんですよね。「私(俺)を(ドキドキ)させろ」。

(海野つなみ)そうそうそう。だから相手が思うように絶対してくれないですよね。思い通りになんか。そうすると、不満とか不安とかになっちゃってっていう。

(ジェーン・スー)そうですね。

<インタビュー音源おわり>

(蓮見孝之)「ドキドキしたい」は「ドキドキさせて」という脅迫でもある?

(ジェーン・スー)そうだと思いますよ。

(蓮見孝之)へー!

(ジェーン・スー)やっぱりね、恋愛っていうのを至上の価値として置くと、人間が図々しくなってよくないなとは思いますよね。

(蓮見孝之)でも、いいんじゃないですか? 貪欲で。

(ジェーン・スー)どうかな?

(蓮見孝之)だって……もしそれで相手に苦痛を与えてしまっているんだったら、言ってほしいし気づかなければいけないんですけど。

(ジェーン・スー)ううん。好きな気持ちっていうのを罰したりなだめたりしているんじゃないんですよ。それを、その他の感情の中でいちばん純度が高くて尊重されるべき、尊ばれるべき感情とすると、トラブルが起こる。

(蓮見孝之)はー!

(ジェーン・スー)「だって好きなんだから」って言って何かをするっていうのは、実は傲慢じゃないですか。

(蓮見孝之)うーん、まあねえ……深く説明しなくても、「好きなんだから」で片付けちゃうことって結構あったような気もしましたね。

(ジェーン・スー)なるほどね。

(蓮見孝之)たしかにね。まあ、便利な言葉になっちゃっているのかな? 恋とか愛とかっていうのは。

(ジェーン・スー)私ね、そもそもたとえば友達同士、仲間同士でなにかあった時に、「なに、あいつ? 彼女じゃないんだし」とか「あいつ、彼氏面だよ」っていうこと、あるじゃないですか。それってどういうことか?っていうと、彼女とか彼氏っていう立場にいる人は、個人のプライベートなところにグイグイ立ち入ってもいいとか、Aさん・Bさんの間に関係のないCさんの立場にもかかわらず、そこにグイッと肩を入れていっても然るべき存在と認識されているっていうことじゃないですか。

(蓮見孝之)はー。

(ジェーン・スー)世話を焼いたりとか、口を出してきたりとかって。でも、彼女・彼氏だとしてもそれっておかしくね? とも思うんですよ。

(蓮見孝之)それは、この漫画を読む前からそういうスーさんはスタンスですか?

(ジェーン・スー)はい。私は……いや、でもここ数年で気づいたことだけどね。自分でもコラムでこの間、本を出した時に書いたんだけど。本当にここ数年ですよ。それまでは「彼女じゃないんだからさ」とか「あの子、なんでああいう彼女みたいなことするんだろうね」みたいなことを言ったり。「いやいや、それは彼女じゃなくてもダメだけど、よく考えたら彼女でもダメだよね」っていう。とかね、いろいろ思ったわけでございます。さあ、それではあっという間。対談最後のパートです。

(蓮見孝之)もう最後ですか。

(ジェーン・スー)ちょっとね、物語の最終回についても聞いているんですがその前に、実は先生、ご病気をなさったそうなんですよ。

漫画『逃げるは恥だが役に立つ』最終回

<インタビュー音源スタート>

(ジェーン・スー)体調を崩されていた時のあとがきで、「これもためになるな」と思ったのは、「病気にでもなれば休めると思っていたけど、病気って休みじゃなかった」っていう……

(海野つなみ)休みじゃなかった。全然休めなかった。

(ジェーン・スー)それは心も体もっていうことですか?

(海野つなみ)そうですね。やっぱり、しんどいですからね。通常のことをやるのがしんどい状態で、それは全然休みじゃないですよね。療養と休みは違うっていう。

(ジェーン・スー)ああ、療養と休みは別物。たしかに。

(海野つなみ)別物ですよね。

(ジェーン・スー)そう。そういうのを読みながら、はっと。全て、そうなんですよね。人を好きになるというのはどういうことなんだろう?ってみくりちゃんが考えるタイミングが本の中で何度かあって。その中で、結局相手がどう思っているから自分がどう思うじゃなくて、相手がどうなろうとも、愛情を続けられるか?っていうことが本当の愛なのでは?っていうようなことを自問自答しているところがあって。こういうのは、もともとそういうことを問おうと思って入れていってるんですか?

(海野つなみ)いや、やっぱり描きながら考えるんですよね。「なんだろう?」みたいなことでいろいろ考えて。で、「こうではないか? ああではないか?」みたいな。たとえば、お花とかでもね、お花を大事にするのに、そこは相手からの見返りなんか100%ないじゃないですか。でも、やっぱりお花は大事だし、嵐の時とかは部屋の中に入れて……みたいな。それってやっぱり愛だと思うし。って考えると、「相手がこれをやってくれないから、もういい」っていうよりかは、親子の愛とかでももう子供が「うるさい! オトン、オカン、もうエエわ!」みたいな感じでどっかに行ったとしても、それでも愛し続けるみたいなところもあったりするので。やっぱり、そういうもんなのかな?っていう風に自分で思ったりしまたね。ちょうどあれを描いている時に。

(ジェーン・スー)1巻に1回、「うわっ!」っていう。自分がいままで非常に高尚なものとして捉えていたなんらかの考え方とか、「いいもの」とされていたことが、「いや、これは実はめちゃくちゃゲスいぞ?」とか。「いや、ここはよく考えたら、すっごい不平等だぞ」って思わせることが1巻に1回はかならず入っているので。哲学家かなにかなんですか?って思っているんですけど。

(海野つなみ)(笑)

(ジェーン・スー)最終回がどうなったかを聞きたいのか、聞きたくないのか、非常に難しいところではあるんですけども。みくりちゃんと平匡さんと、あと百合ちゃんはどうなっていくんですかね?

(海野つなみ)(笑)。いや、でもね、いま描いている最終回ってちょっとエピローグ的な感じなんですよ。だからそんなにみなさんがどんでん返しがあるか?って思うと、そうでもないっちゃあ、ない。そこはもう、きちんとまとめて終わろうって思っているんで。

(ジェーン・スー)いやー、本当にね、私はこれを20代で読みたかった! そしたらたぶん、いろんなことをもっとちゃんと考えたし。海野先生とはほぼ同世代なんですけど。これ、20代で読めていたらね、傲慢に人を傷つけたりとかしないで、もっとマトモな人生を歩めたんじゃないかな?って思ったりはするんですよ。

(海野つなみ)でも逆に、10年前だったらこのお話を描いて受け入れられたのかな?っていうのもあるんですよ。この時代だから、結構描けたのかな?っていうのもあるので、そこら辺はちょっと難しいですね。

(ジェーン・スー)うん。というわけで今日は根掘り葉掘り、聞くは一時の恥ということで、恥を承知でジェーン・スー、大阪までやってまいりました。海野つなみ先生、ありがとうございました!

(海野つなみ)はい。ありがとうございました。

<インタビュー音源おわり>

(ジェーン・スー)というわけで、たっぷりお話をうかがいました。

(蓮見孝之)これ、漫画を読んで「好きだ、好きだ」と思っている感情から実際に先生に会ってみて……

(ジェーン・スー)もうね、一貫して飄々としているんですよ。

(蓮見孝之)飄々と?

(ジェーン・スー)そう。雰囲気が。お話の仕方とかも聞いていて楽しそうに話す方じゃないですか。なんか、「これはこうだから、絶対にこうです!」っていうような強い、固い意思で難関を突破していくというよりも、池の飛び石をピョンピョンピョンピョンっと渡っていくように。すごく大きな話をしているのに軽妙に聞こえたりとか。ああ、これいいな。私もこういうところがあったらな……と思ったりしましたけどね。

(蓮見孝之)へー。でも、スーさんってオンエアーで話している時と、たぶん私がお会いしていないプライベートの時間って、多少キャラクターも変わったりするじゃないですか。

(ジェーン・スー)そうですね。そうでしょうね。会う人によって、変わると思いますよ。

(蓮見孝之)ですよね。だから、この実際にこれをお描きになったつなみ先生が見てくれている人から寄せられる意見に対して、「いや、そういうつもりで描いたわけじゃないんだよ」とか、「いや、この人はこういう人でね」って押し付けがましくなく。「ああ、たしかにね。そういうこともあるよね」とか、「あっ、そうなの。実はそんなことに気づいてほしかったの」っていう、もう万人。いろんな立場の人が見ても読んでも、ある一定の納得感。

(ジェーン・スー)そうですね。

(蓮見孝之)でも一方でスーさんがインタビュー中におっしゃっていたところどころで不平等なところとか、ゲスいところもなんか上手く描き込められていて。

(ジェーン・スー)「はっ! あっ!」って気づくんですよね。「あれ? これ、そうだ。当たり前だと思っていたけど……なるほど!」って思うこともあったりして。最後におっしゃっていましたね。「10年前にこれを描いても、いまのように読まれたかどうかわからない」って。たしかに!

(蓮見孝之)うん。

(ジェーン・スー)時代が変わって、いまだからこそ響くものなんでしょうね。いやー、改めまして海野先生。お忙しいところ、ありがとうございました!

(蓮見孝之)ありがとうございました! さあ、そして放送終了時間も間もなくという段階に入ってきましたが、リスナーのみなさん、お待たせしました! 最後にここでドラマで津崎平匡役を演じる星野源さんから撮影の合間をぬいまして、この番組のためにコメントをお寄せいただきました。お聞きください。

星野源 コメント

<星野源 コメントスタート>

(星野源)TBSラジオをお聞きのみなさん、ジェーン・スーさん、蓮見アナウンサーさん、こんばんは。津崎平匡役の星野源です。まずはスーさん、毎週ドラマを見てくださってありがとうございます。いま、撮影的にはちょうど10話を撮っていまして。もうすぐ最終回に差し掛かるというような、そんな状況でございます。ドラマの反響、すごくてですね。スーさんも見ていただいているということも噂で聞いたり。本当にいろんな方が見てくださって、現場の士気もすごく上がっていて。とても楽しい現場です。みんないっつも笑いながら。やっぱりラブコメディーという形をとっていますので、現場も結構笑いながら撮っていて、とても楽しいです。

津崎平匡という役をやっていて思うのは、特に那須田プロデューサー、そして演出の金子さんがですね、すごく役柄、設定にこだわりを持っていて。まず僕が衣装合わせとかに入った時に、たとえばパソコンオタクとか、SEという職業をやっているのでそういう部分はあるけども、たとえば1人で生活をしていくということにはすごく長けていて、ちゃんと生活力がある。そして、自分なりのこだわりがあって、たとえば服に無頓着ではなくて、しっかり自分の好きな服がある。そして、自分が好きなセンスのたとえば家具とか、自分の趣味とか、しっかりある男であるっていうことをすごく気を使って衣装合わせもされていました。

そして、小道具とか持ち物。そういうものも含めてすごくこだわって、一生懸命みんなで役作りというか設定を考えてやっていきました。そういうところも含めて、平匡という役はみんながたとえば「がんばれ、がんばれ!」っていう応援したくなる役だとは思うんですが、すごくステレオタイプなオタクだったりダメなやつっていうことではまったくないんだと思っていて。演じる上では、たとえば茶化して演じたりだとか、コメディーではあるんですが、ベロベロバーみたいなそういうお芝居は絶対にしないようにしようと思っております。とても真面目に生きているだけなのに、社会とのズレで笑いが起きてしまう。社会とかみんなの中の常識とちょっとだけズレているために笑いが起きてしまったり、微笑ましかったりするという。そういう風に演じさせていただいております。

あと、小道具で言うと自分がちょっとこだわるというとあれですけど、平匡のメガネは自分で探しに行きました。自分のお金で買いました(笑)。よいメガネに衣装合わせの時にたどり着かなくて。都内で3、4軒回って自分で選んだメガネを使っております。あと、『逃げ恥』という作品でとても好きなところは、なんて言うか登場人物がみんな一生懸命生きているところです。あと、平匡も含め、もちろん壁にブチ当たったりとか、思い通りにいかなくて苦しい気持ちになったり、怒ったりとか切なくなったりとか、いろんな感情にはなるんですが。他人にぶつけたりすることがない。たとえば人を悪く言ったりとか、そういう人っていうのがあんまりいなくて。ちゃんと自分の中で処理しようとする人たちが多くて、それがすごく僕は好きで。でも、その中で、人間関係の中でもっと頼っていいんだよっていう部分があったり、友達っていいなとか、家族っていいなとか。あと、恋人だったりそばにいてくれる人っていいなとか。そういう思いに改めて気づかされたりとかするのがとても好きです。みんなちゃんと笑おうとしているというか、腐っていない。でも、辛い。でも、がんばるっていう、その感じが好きです。

僕、このお話をいただいたのはもう去年の末ごろなんですが、それからすぐに原作を買って読んで、すごく面白くて。「こんなアイデアがあるのか!」と思って。で、自分がやる役は平匡だということは聞いていたので。でも、原作を読んでいる時はモノローグがすごく少なくて。「平匡はいま何を考えてるんだろう?」っていうところがすごく面白いところだったんですが。ドラマは脚本の野木さんが最初からずっと、もうほぼ平匡のモノローグを書いていて。それによってすごく平匡の人間味みたいなものが最初から伝わる気がして。リアリティーのある存在になっているんではないかな? と思います。あと、人間臭いというか。そういうところもとても、演じていてすごく演じやすくて。謎が多い人物というよりかは、そこにいるやつみたいな。そういう感じが自分で演じていてすごく楽しいです。

いま、佳境に入っておりますが、とっても面白い展開がまた待ち受けていますので、ぜひスーさん、そしてご覧になっているみなさん、楽しみにしていただけたらと思います。あと、最後にスーさんに一言なんですが。プロデューサーである橋本さんがですね、ちょっとお友達という関係で。先日、ご結婚をされまして、ハワイから『恋』にのせて奥様とハワイで踊られているという写真が何枚も送られてきました。これについてぜひ、スーさんはどう思っているのか? これをですね、私はまず聞きたいと思っております。そんなわけで、『逃げるは恥だが役に立つ』。ドラマ、そして原作漫画。海野さんの漫画、もうすぐ最終回だということで、僕もとても楽しみにしています。よろしくお願いいたします。以上、津崎平匡役の星野源でした。ありがとうございました。

<星野源 コメントおわり>

(ジェーン・スー)いやー、本当に言いたいことがたくさんあったんですけど……最後のコメントで全部頭から飛んでいっちゃいましたね。なに調子に乗っているんだ!っていう話ですよね。本当に。

(蓮見孝之)(笑)。橋本プロデューサーの話ですか?

(ジェーン・スー)あなたの同期です。

(蓮見孝之)はい、すいません(笑)。

(ジェーン・スー)(笑)。これはちょっと置いておいて、まずは改めて。お忙しい中、星野さん、本当にありがとうございました。

(蓮見孝之)ありがとうございました。

(ジェーン・スー)私ね、星野さんの話でもう1個、「はっ!」って来ちゃいましたよ。『逃げ恥』のいいところって、さっきね、平匡さんを典型的なオタク、ベロベロバーみたいな演じ方っていう風に星野さんはおっしゃっていましたけども。つまり、ステレオタイプでメタオタクみたいな感じに演じることはしていない。つまり、ちょっと気持ち悪いような動きをしたりっていう、いままで散々オタクと呼ばれる人たちがやられてきたことをやらない。そういう演じ方は絶対にしないようにしているっておっしゃっていたじゃないですか。

(蓮見孝之)はい。

(ジェーン・スー)沼田さんもそうじゃないですか。そして、百合ちゃんも。50を過ぎているけど、典型的ないままであったステレオタイプのようには描かれていない。この漫画とドラマ、ヤバいね!

(蓮見孝之)ねえ!

(ジェーン・スー)本当はそうでしょう?っていうことをピュピュピュピュピュッ!って。私たち、もう美容鍼みたいに頭にバーッてささっています。ずいぶん気持ちいな?って思ったら。

(蓮見孝之)本当ですよね。

(ジェーン・スー)びっくりした。そうだよね。

(蓮見孝之)だって星野源さん自身もいまおっしゃっていましたけども、平匡という男が一生懸命やっているんだと。だけど、社会とのズレで笑いが起きる。たしかにドラマを見ていて笑っちゃうんだけど、心の中では笑えていないんだよね。実は、見ている……これが、いろんな人のパターンで楽しめるんですよね。

(ジェーン・スー)そうですね。全てのキャラクターをステレオタイプで描かないっていうことは本当に漫画もそうですし、ドラマもそうですし。だから、見ていてあんなに楽しいんだな。ああ、いろんなことがわかっちゃった。星野源さん、ありがとうございました。

(蓮見孝之)ありがとうございました。改めまして、ドラマはTBS系列で毎週火曜日夜10時から放送中です。こちらの最終回は12月20日。残り3回! 3話となっております。ドラマと漫画の最終回のタイミングも同じだと。

(ジェーン・スー)そんなこと、あるのか!(笑)。

(蓮見孝之)そして、漫画の方なんですけども講談社『Kiss』で現在連載中です。最新号には第42話が掲載されていまして、最終回は次の12月24日、クリスマスイブの発売分が最終回ということになっております。単行本は現在8巻まで発売中です。

(ジェーン・スー)さあ、1時間に渡ってお送りしてきました、『逃げるは恥だが役に立つ』大好き! ジェーン・スーが原作漫画家 海野つなみ先生に恥をしのんで聞いてきた特番、お開きの時間です。いや、好きなものを語るのは楽しいんだけど、いろいろ解説とかしちゃうと野暮だから難しいけど……楽しかったね(笑)。

(蓮見孝之)(笑)。結構長時間、どうですか? コラムはこれまでにいっぱい書かれてきましたけど、対談する。相手からなにかを聞き出すっていうのは楽しいですか?

(ジェーン・スー)楽しいけど、難しい。だって、こっち言いたいことたくさんあるんだもん。伝えたくなっちゃうよ! でも、私の仕事は聞かなきゃいけないの。

(蓮見孝之)(笑)

(ジェーン・スー)難しい。『逃げるは恥だが役に立つ』じゃなくてね、聞くは一時の恥。聞かぬは一生の恥ということで、今回恥を承知でいろいろ聞かせていただいた海野つなみ先生、本当にありがとうございました!

(蓮見孝之)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/41291

タイトルとURLをコピーしました