ジェーン・スーさんが2021年3月16日放送のSHOWROOM『豪の部屋』に出演。テレビとラジオの違いについて話していました。
(吉田豪)(コメントを読む)「フジテレビでブタ鼻を付けて番組(『10匹のコブタちゃん』)に出ていたのはどうだったんですか?」。僕、このブタ鼻を買いましたよ。フジテレビで。
(ジェーン・スー)嘘? あんなの、売っているの?
(吉田豪)当時、公式グッズで売っていました。
(ジェーン・スー)もうやるたびにね、ぐったり疲れて。家に帰ってくると倒れ込むようで。誰も悪くなかったんですけど、単に私がテレビに合わないっていう。
(吉田豪)あの、テレビで売り出されつつあった時期がありましたよね?
(ジェーン・スー)っていうかね、テレビの話がagehaspringsに来て。当時は断る理由がないので。「出ますか」ってやってみたら、なんだろう? 合わないんですよね。やっぱり疲れとかが。もう本当に家に帰ってきてバタン!って倒れるみたいになっちゃったんで。苦労対効果が全く合わないので。あと、だからコメンテーターとか、そういうのも全部断っています。
(吉田豪)うんうん。何個かやってみて「これはやっぱりラジオの方がいいな」っていう風になったわけですかね?
(ジェーン・スー)ラジオは朝、お風呂に入って。髪の毛に濡れたままTBSに行って。12時ぐらいまでたぶん私の髪は濡れているんですよ。で、顔も化粧していないし。それでも全然、できるじゃないですか。テレビは行って、メイクして。向こう側で人がジッとこっちを見ていて。しゃべって。それがしかも編集されて放送されるっていう。「もうダメだ……もう、全てがダメだ」っていう。ただ、本の宣伝はちゃんとしたいので。本のお話をちゃんとさせてくれるところには出ていましたね。だから『ゴロウ・デラックス』とか『王様のブランチ』とかは出ていますね。
(吉田豪)僕もやっぱりたまにテレビに出ますけど。やっぱり「こっち側の人間じゃないんだな」と思うことが多数ですね。
(ジェーン・スー)思うんですけど、やっぱりテレビって「出たい人が出る」メディアだと思うんですよね。その「出たい」っていうのは「伝えたいことがある」とかじゃなくて。何よりもまず「出たい」っていう欲が一番に来る人っていう。
(吉田豪)前に前に行ける人ですよね。
テレビは「出たい人が出る」メディア
(ジェーン・スー)事故現場とかで中継が来ている時に後ろに行ってこうやる人。あのメンタリティーと同じような欲……とにかく「出たい」っていう欲がある人じゃないと食われちゃうぐらい、エネルギーが強いものだと私は思っていて。ラジオだと、全然違いますよね。
(吉田豪)違いますね。僕、本当に寝起きで着替えないでそのままテレビに行った時に「ああ、これ、僕はたぶん出ちゃいけない人だな」と思って。「あれ? なんかよだれの染みとかついてる?」とか思った時に(笑)。「ああ、ちゃんとこういう時にきちんとできる人じゃないと、出ちゃいけないんじゃないかな」っていう思いが。
(ジェーン・スー)あとやっぱり、もちろんそうじゃない人もたくさんいるんでしょうけども。基本的には番組が主導権を握って。番組がしてほしいことをちゃんとできる人が次のオファーが来るっていうシステムじゃないですか。でも、ラジオは生放送なんで。もう少しこっちに委ねられている部分があるというか。信頼関係の質が違う感じがしますね。期待してることをやってくれる人っていうのがテレビだとしたら、なんだろう? そこにないものをちゃんと提案してくれる人っていう期待がされているのがラジオな気がしますよね。
(吉田豪)ただ本当、「ラジオがお金にならない」っていうのはすごいよく言われる話ですけど。まあ、帯をやると違うのかもしれないですけど。でも、なんか時代が変わってきたと思いますよね。予算はなくてもラジオで番組とその出演者の知名度を上げて。それから配信イベントとかで回収をするみたいなやり方がたぶん成立する時代になってきていて。
(ジェーン・スー)そうですね。なんかそんなに、養わなきゃいけない家族も別にいないので。だし、結構頑張って働いているので、そんなに……不労所得はほしいけど、まあ今はいいか、みたいな。そんなに「ギャラ、上げろ!」って感じでもないですね。
(吉田豪)まあ、予算がないのは本当にわかりますからね。
(ジェーン・スー)ただやっぱり今、雑誌がどんどんなくなっているじゃないですか。私、『CREA』の連載をやってるんですけど。シレッと『CREA』は今、季刊になっているんですね。もう月刊じゃないんですよ。で、原稿は書いてますけど。こういう感じになっていくと、最終的にまとめて本にするっていうような場所っていうのはなくなっていくだろうなと思っていて。
(吉田豪)ウェブの連載ぐらいになっちゃいますよね。
(ジェーン・スー)で、ウェブは燃えるじゃないですか。
(吉田豪)燃えます。
(ジェーン・スー)だからそんなに書きたくないんですよ。書けないことってあるから。だから、どうしようかなと思っていますけどね。それは。
(吉田豪)本当、よく言うんですけども。紙はほぼ燃えないんですよね。
(ジェーン・スー)紙で燃えたことはないです。
紙はほぼ燃えない
(吉田豪)まあ、誰かがそれを写真を撮って燃やしにいくことはあるかもしれないけども。基本、そんなこともほぼしない。皆さん。わざわざお金をかけないから。
(ジェーン・スー)ただ、ウェブは燃えるんで。ウェブに再掲する連載がある時はかならず見せてもらって。「ああ、これはちょっと雑誌をお金を出して買っている人だったらハイコンテクストでも読み切れるけど、ウェブのリテラシーだとダメだな」みたいところは書き直させてもらったりしてますね。ウェブ用に。
(吉田豪)本当に知らない間に見出しがこっちの意図と違うものになっていて。それで燃えるみたいなことが多々ありますからね。
(ジェーン・スー)「見出しはこっちで付けてないよ!」みたいな。
(吉田豪)そうそうそうそう。
(ジェーン・スー)よくありますよあるあるですね。
(中略)
(吉田豪)(コメントを読む)「豪さんは明らかにテレビには向いてませんよ」というコメントが(笑)。でも、たまにあるんですよ。たまに好きなことをできる番組があるんですよ。でも、それは10個にひとつぐらいなんですよ。
(ジェーン・スー)地上波はかなり難しくないですか?
(吉田豪)難しいですね。MXはかなりまだ好きにやれていますけども。地上波で自由にやれた記憶は本当に10個にひとつぐらいです。
(ジェーン・スー)だって編集をされちゃうし。「ここ、突っ込んでください」みたいなのとか、そこのセンスが作り手の人と合わないとできないし。うん。私は無理。
(吉田豪)なにげにそうなんですよね。『さんまのまんま』とかは自分の中ではうまくいきましたからね。あれぐらい、自分が聞き手にもなれるような場であれば意外と何とかなるんだけど。そうじゃなくて、たまに一言振られるぐらいだと地獄ですね。そういう反射神経がある人間でもないので。
(ジェーン・スー)わかる。でも、あの反射神経がつくことによって生まれる弊害っていうのがあって。絶対、そっちの方が私は大きいと思っていて。なんだろう? 1秒でも多く自分にカメラを留まらせるため、編集点で切られないための振る舞いってあるじゃないですか。あれができるようになることで、空洞になっていく感じが……私はそれがラジオではすごい不利益になると思うんで。それは体得しない方がいいなって思っています。
(吉田豪)テレビにフィットしちゃうと。
(ジェーン・スー)わからない。テレビの人からしたらで「お前、なに言ってるんだ?」って思われると思いますけど。
<書き起こしおわり>