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町山智浩『最も危険なアメリカ映画』『さらば白人国家アメリカ』を語る

町山智浩『最も危険なアメリカ映画』『さらば白人国家アメリカ』を語る たまむすび
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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でご自身の著書『最も危険なアメリカ映画』と『さらば白人国家アメリカ』について紹介していました。

最も危険なアメリカ映画 『國民の創生』 から 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 まで

(町山智浩)今週はですね、本が2冊出るんですよ。僕。

(赤江珠緒)そうですよね。立て続けに。

(町山智浩)で、同じ週に本が2作出るって……売れないですよね(笑)。

(赤江珠緒)いやいやいや! でもね、ちょうど丸善・ジュンク堂さんと『たまむすび』がコラボさせていただいてますから。町山さんのご著書もいろいろと並んでいますよ。

(町山智浩)あ、そうなんですか?

(山里亮太)いま、『たまむすび』コーナーっていうのを設けてくれて、そこに関わっている人たちの本を特別に。棚を設けてくれて。

(町山智浩)あ、じゃあよかったのかな?

(赤江珠緒)ドンピシャです。町山さん。

(町山智浩)僕ね、同じ週に出ると、僕の本を読んでくれている人が買う時に出費が多くなるから、互いに相殺しあって売れないんじゃないか? と思って。失敗したなと思っていたんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)いや、でもこれまた全然違ったテーマじゃないですか。

(町山智浩)そうなんです。なんで同じ週に2つ、本が出ることになったかっていうと、実はこれ、入稿……原稿を全部入れるのが間に1ヶ月空いているんですけど。1冊の方は原稿を入れてから2ヶ月半もかかっているんですよ。本ができるまで。

(山里亮太)へっ? なんでなんですか?

(町山智浩)いやー、なんか遅いんですね。それで、ぶつかって同じ週に出ることになっちゃったんですけど。

(赤江珠緒)そうだったんですか。

(町山智浩)そう。だからね、ちょっとすいません。宣伝させてください(笑)。ヤバいので。

(赤江珠緒)ぜひぜひ。興味深い本になっていますよ。

(山里亮太)ちょっと危険よ、かなり。

(町山智浩)あ、届いてます?

(赤江珠緒)届いてますよ。表紙を見ただけで、なんか「あらっ?」っていう感じですもん。

(山里亮太)すっごい刺激的なタイトル。

(町山智浩)2冊ありまして。1冊は『最も危険なアメリカ映画』といういタイトルなんですが。これが、10月26日。

(赤江珠緒)明日発売。集英社から。

(町山智浩)明日発売の本なんですけど。表紙がまあ、こういう表紙で。

(山里亮太)黒いバックに三角のかぶりもの……

『最も危険なアメリカ映画』

(町山智浩)なんだか、わかりますよね?

(赤江珠緒)わかります。KKKですか?

(町山智浩)そうです。KKKなんですよ。アメリカの南部で黒人の人たちをリンチしたりしていた白人至上主義グループが表紙になっているんですけども。これは、KKKは昔からずっと続いているものではなくて。まず最初に南北戦争で南部が負けた後に、黒人がそれまで奴隷だったのが解放されて、選挙権を持ったんですよ。で、投票に行って、黒人の議員とかが出たわけですけども。最初に。で、その時に黒人が投票をしないようにっていうことで、投票をしに行く黒人をリンチしていたのがそのKKKなんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)南北戦争の終わったすぐ後なんですよ。ところが、その後結局南部の方では法律で黒人が投票をできなくしちゃったので。KKKは必要なくなって存在しなくなったんですよ。

(山里亮太)あ、そもそもそうなんだ。ふんふん。

(町山智浩)ところが、それが1920年代にものすごい勢いで復活して再生したんですよね。実はそれはなぜかと言うと、1本の映画が大ヒットしたために、存在しなかったKKKがもう1回生まれてしまったんですよ。

(赤江珠緒)もう1回生まれてしまった?

(町山智浩)もう存在しなかったのに。それが、『國民の創生』という映画なんですね。これが1915年に公開されて、アメリカで大ヒットして。これはどういう映画か? と言いますと、アメリカ映画ってそれまではほとんどが30分とか15分とか、ものすごく短くて。で、お話もちゃんとしていなくて。たとえば、日本だったらたとえば『大化の改新』っていう映画があるとするじゃないですか。そうすると、蘇我入鹿を暗殺するその場面だけが描かれて、それでお終いとか、そういう映画だったんですよ。昔の映画って。

(赤江珠緒)ふんふん。

(町山智浩)もう短くて、話もちゃんとしていなくて。ただ、この場面を見せますよっていうだけのものがほとんどだったんですけども。あとはお笑いで、ひとつのコントとかね。ところが、この『國民の創生』っていう映画は初めてちゃんとしたドラマがあって。しかも、3時間もあるんですよ。で、それまでの映画は英語ができない人のための娯楽だったんですね。映画を見る人っていうのは、アメリカではバカにされていたんですよ。

(赤江珠緒)そうだったんですか。最初は。

(町山智浩)「あいつ、映画を見に行くっていうことは英語ができないんだな。移民なんだな」って思われていたんですよ。ところが、この『國民の創生』っていうものから芸術として、お芝居とかオペラとかそういったものと同じように扱われるようになったんですね。クラシックミュージックとか。それぐらいちゃんとした映画だったんですが、内容は「南北戦争が終わった後、KKKが出て黒人の人権を弾圧しました。よかったですね。めでたし、めでたし」っていう内容なんですよ。

(山里亮太)ええーっ?

(赤江珠緒)内容が、それ?

(町山智浩)内容がそれなんですよ。完全に。で、「白人が黒人の奴隷を開放するために戦ったのは間違いでした。我々は最初から南部と北部で仲良くすべきでした」という内容なんですよ。で、もう完全にその白人バンザイ映画になっていて、しかもKKKが正義の味方の集団として描かれているので。で、この『國民の創生』っていう映画が大ヒットしたんで、それに感化されたお調子者たちがKKKを再結成して、まあリンチをしまくったんですね。実際に。

(山里亮太)ええー、復活しちゃったんだ。

(町山智浩)そう。で、一時はすごくて、KKKの国会議員までいたぐらいなんですよ。各地方の議会に「KKKから出ました」って出馬して、当選して。KKK議員がいっぱいいるっていう状況だったんですよ。

(山里亮太)映画がきっかけで?

(町山智浩)1本の映画のために、それだけひどいことになって。それは1960年代まで続きました。アメリカでは、黒人の人権を獲得するために公民権運動という運動がありました。キング牧師が指揮した、日本でも『グローリー』っていう映画が公開されましたけども。あの運動の最中に、やっぱりKKKが次々と黒人とその運動に参加する白人を殺していったんですけども。それは、この映画がなければそんなこと、起こらなかったんですよ。

(赤江珠緒)すごい罪深いじゃないですか。

(町山智浩)罪深いんですが、これ、作ったい人はD・W・グリフィスという人で。これ、天才だったんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)たとえば、いろんな映画のテクニックはこの人がほとんど1人で発明しているんですよ。

(山里亮太)へー! どんなテクニックですか?

(町山智浩)たとえば、アップってありますよね? クローズアップ。女優さんの顔を画面いっぱいに映すっていう。それって、この人が発明するまではなかったんですよ。それまで映画って固定した動かないカメラの前でお芝居みたいにして人が演じるのをただ撮っていただけなんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)でも、そこで顔にグッと寄って、その顔の演技を見せるっていうのをはじめて発明したのがこのグリフィスっていう監督なんですね。だから、その『國民の創生』っていう映画も、そこで発明されたいろんな映画テクニックがあるために映画学校とかではかならず見せられる映画なんですよ。アメリカでは。それなのに、内容は非常に差別的でとんでもないものなんですね。だからこういうね、映画としては素晴らしいんだけれども、ものすごく本当に危険で死者まで、実際にそれに影響された人たちは出している映画なんですよ。

『國民の創生(The Birth of a Nation)』

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そういったものをこの『最も危険なアメリカ映画』では次々と紹介しているんですけども。たとえば、ディズニーランドに『スプラッシュ・マウンテン』っていうジェットコースターがあるじゃないですか。

(山里亮太)はい。ご陽気なやつですよ。

(町山智浩)あれって一体なんのアトラクションだか、知らない人も多いと思うんですよ。

(赤江珠緒)たしかにね。動物が出てきて、「ウサギどんがどうしたこうした」って言っているような。

(町山智浩)そうそうそう! その通り。よく知ってますね。どうして知ってます?

(赤江珠緒)なんか1回乗った時に、最後急流すべりみたいで怖いなと思っていたら、横でずっと「ウサギどんがどうしたこうした……」って言ってるんで、イラッと来た覚えが(笑)。「怖いんだよっ!」って思っていたんで。私は。

(町山智浩)(笑)。あれね、アニメがあるんですよ。ウサギどんっていうのが出てくる。

(赤江珠緒)あ、そうなんですか?

(町山智浩)『南部の唄』っていう1950年代に作られたアニメがありまして。それのアトラクションなんですよ。スプラッシュ・マウンテンって。この『南部の唄』っていうのはいま、見ることはできないんですよ。っていうのは、内容が南部で黒人と白人が仲良く暮らしているっていう内容になっているんですよ。で、時代設定もよくわからないし、全く差別がなくて黒人と白人が仲良く暮らしていて……っていう内容になっていましてですね、存在しない南部のユートピアみたいなものを舞台にしているんですね。

(赤江珠緒)ほー。

(町山智浩)で、そのために、公開当時からだったんですけども。その後、再放送であるとかDVDが出たりとか、ビデオが出たりはしないんですよ。

(赤江珠緒)あ、そうなんですか。そんなに嘘すぎると言われる?

(町山智浩)そうなんです。『南部の唄』は完全に存在しない南部をでっち上げて、南部での奴隷制度だとか黒人差別がなかったかのように作られたインチキ映画であるっていうことで、これ、ビデオの入手が非常に困難なものなんですよ。

町山智浩 ディズニー映画『南部の唄』の問題点を語る
町山智浩さんが2020年6月26日、Periscopeライブ配信でディズニー映画『南部の唄』についてトーク。ディズニーランドのアトラクション・スプラッシュマウンテンのテーマとなりながらも公開当時から問題視され、ほぼ封印されているこの作品について解説していました。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、それを僕が紹介しているんですけど。この本の中でね。禁じられた映画なんですよ。『南部の唄』っていうのは。

『南部の唄(Song Of The South)』


(赤江珠緒)スプラッシュ・マウンテンって……そんな映画があったんですね。

(町山智浩)そんなものなんですよ。はい。で、あとディズニーだと……その『南部の唄』の方はもう全然見れないんですけども。結構見れるんですけど、日本では見れない映画っていうのがありまして。ディズニーのアニメで。それは、『空軍力の勝利』っていう映画なんですね。これは『Victory Through Air Power』っていうタイトルのディズニーのアニメなんですけども。これは1943年……要するに第二次大戦中に作られているんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)内容はどういう映画か?っていうと、「東京を空爆せよ!」という内容なんですよ。

(山里亮太)えっ? ディズニーが?

(町山智浩)ええと、これはね、当時、戦争の中で戦略爆撃というものが始まった頃なんですね。戦略爆撃というのは、本来それまでの戦争というのは前線で敵国同士の兵隊たちが戦うものだったんですけども、飛行機ができたことで、兵隊たちの頭を飛び越えて、いきなり敵国の首都とか敵国の拠点の住宅地であるとか、そういったところを直接爆撃するということが可能になったんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)それで、「実際に兵隊たちが死ぬ前に、いきなり敵の首都を破壊しちゃえばいいじゃないか」という考えが出てきたんです。それを戦略爆撃と言うんですね。それを東京に対してやれ! という風にけしかける内容なんですよ。

(赤江珠緒)えっ、そんなアニメなんですか?

(町山智浩)そんなアニメなんです。アニメとしての出来はすごくいいです。ディズニーのその頃の優秀なアニメーターが揃って作っているんで、アニメとしての価値はすごく高いんですけども、まあ「いま、日本と我々連合国は戦っています。このまま戦争が続いても、敵の頭を潰さなければ絶対に勝てないので、東京を直接爆撃した方がいいです」っていう内容なんですよ。

(赤江珠緒)うーん!

(町山智浩)これはディズニーの社長だったウォルト・ディズニーが自分で一生懸命作ったものなんですよ。

(赤江珠緒)あ、本人が?

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