プチ鹿島 2016年参議院選 テレビ各局選挙特番見比べレポート

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プチ鹿島さんがTBSラジオ『荻上チキSession22』に出演。2016年参議院選挙のテレビ各局の選挙特番を同時に見比べ、その結果をレポートしていました。



(荻上チキ)というわけで今夜は?

(南部広美)今夜はですね、鹿島さんに『選挙ウォッチャープチ鹿島のテレビ各局の参院選特番レポート』と題してお話をうかがいます。

(荻上チキ)昨日は私が司会でね、ラジオでは参議院選挙特番をやっていたんですけど。その裏で、プチ鹿島さんには働いていただいておりまして。深夜労働です。テレビ各局の選挙特番を見比べていただいていたんですね。2014年の総選挙特番に続いて、3回目の試みということで。

(プチ鹿島)3回目ですか。ありがとうございます。

(荻上チキ)いや、こちらこそ。長時間ありがとうございます。


(プチ鹿島)僕もまあ、先ほど言ったんですけども。選挙特番を見始めたのが1989年ぐらいからですから、まあ25、6年たつんですね。選挙権がない時からやっていたんですけども。で、そもそもなぜ選挙特番が好きなのか? というのは、生放送の面白さなんですよね。なにが起こるかわからない、非日常の面白さ。

(荻上チキ)全局同時生ってなかなかないんですよね。

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選挙特番の非日常の面白さ

(プチ鹿島)そうです。はい。で、僕が見た頃は、久米宏さん、筑紫哲也さんがやられていて。特に久米さんのあの生放送の仕切りの天才ぶりというのを見ているだけで面白いんです。で、あの頃は途中で甲子園球場から阪神巨人の中継がちょっと入ったりなんかして。それで阪神が逆転勝ちしちゃったりして。で、そこでまた自民党、社会党に切り替わる。なにが起こるかわからない。本来だったら、普段は一緒にいないはずの大物政治家がいて、変な空気を醸し出していると。

(荻上チキ)うんうん。

(プチ鹿島)たとえば、選挙特番以外だと、僕はフジテレビの27時間テレビとか、夢列島が好きだったんですよ。10代の頃から。あれもやっぱりタモリさんとかたけしさんとかさんまさんとか、普段なかなか当時会わない人が夜中の時間に集結しちゃって。いま、とんでもないことが起きている!っていうハラハラ感ですよね。だから僕、テレビもラジオも、やっぱり生放送が好きなんですよね。

(荻上チキ)ええ、ええ。

(プチ鹿島)「これ、実現しちゃっていいの? この組み合わせ。なんか小沢一郎と梶山静六がなんか隣同士にいるけど……」みたいな感じで。で、オールスターですから久米さんの隣に田原総一朗さんもいるわけです。普段、なかなかいないじゃないですか。で、やっぱり久米さんの仕切りの上手さですよね。で、田中眞紀子さん。たとえば92年、93年ごろなんていちばん日本新党とか、宮沢喜一首相が退陣して初めて自民党が第一党から下るわけですよね。で、非自民の政権が生まれて、さて、どうなる?っていう。で、小沢一郎さんが細川(護熙)さんを盛り立てて担いで。「えっ、自民以外でできちゃったよ」みたいな。

(荻上チキ)うん。

(プチ鹿島)で、それを夜中かけて見ているわけですよね。これはもう、つまらないわけがないっていう。もういま、目の前で見ているのが歴史であり、エンターテイメント。久米さんがどんどんどんどん政治家をちょっとおちょくったりとか。最近も久米宏さんが週刊朝日かなんかでおっしゃっていたのが、「僕がやっていた頃は、たとえば橋本龍太郎さんとか森喜朗さんとか、他の番組でニコニコしゃべっていた人が、僕がなにかイラッとさせる質問をさせて不機嫌になればなるほど僕はうれしいんです」と。それ、生放送の醍醐味じゃないですか。やっぱり僕ら、事件とか変化球、イレギュラーを見たいわけですから。

(荻上チキ)そうですね。

(プチ鹿島)ちょっとこの非日常のどさくさの中で本性を表す。「正体見たり!」というのを引き出してくれる……まあ、あえてビーンボールとかですね。それをやってくれるっていうのが。で、収録とかじゃないから、もう見ちゃったもん勝ちなんですよ。

(荻上チキ)なにを聞かれるか、向こうだってハラハラですからね。

(プチ鹿島)そうです。で、ノコノコ出てきちゃって、足元をすくわれて帰っていくっていう。そういうのを見たんで、僕の中ではタモリさん、たけしさん、さんまさんが集うのと同じぐらい、選挙特番っていうのはなにが起こるかわからない。で、たまに丁々発止ですごい怪物が出てくるわけですよ。田中眞紀子さんとかね。久米さんと同じ早稲田で演劇部で同期で。中継で「久米さ~ん!」とか、対等にやり合うわけです。まあその後に田中眞紀子さん、政治家としてはどうかは別としてですよ、少なくとも選挙特番の日の田中眞紀子は最高なんです。

(荻上チキ)うん。返し、上手いですからね。

(プチ鹿島)はい。返しが上手い。だからアドリブとか、機転の利き方ですよね。

(荻上チキ)気の利いたフレーズを言ったりとか。

(プチ鹿島)はい。で、僕はこういう風にお祭りみたいなことを言っていますけど。実は、そういうところの非日常を見ると、政治家の本質っていうのが見れたりするわけですよ。同じ政策を言っているんだけど、「ああ、この人は本当に心から言っているな」っていうのもあれば、「この人はなんか心が入ってねえな」とか。僕らやっぱり弱者としてはそこを見分けるのは、政策はもちろんちゃんと勉強しなくちゃいけないんですけど。その政策の中で見えるその人間性。政局ですよね。政局って結構バカにされますけど、僕は捨てたもんじゃないと思います。目の前にあるものは、やっぱり見た方がいい。

(荻上チキ)同じ政策を誰ができるのか?っていうのは政局によってやっぱり左右されますからね。

(プチ鹿島)そうです。そういうのがこういう生放送のダイナミズムあふれるごちゃごちゃした中でポロッと出ちゃうわけですよ。だから僕、それ以来もう選挙特番が大好きだったんです。で、さっきの久米理論で言うと、今回の選挙特番はじゃあ誰がいちばん注目されている安倍さんをイライラさせるか? 表情を変えるか? もしくは、安倍さん周辺の自民党幹部を生放送の醍醐味で取り返しのつかない……「あっ、この人はこういう人だったのか!」っていうところを出すかというのが僕の見どころのひとつだったんですけど。

(荻上チキ)はい。

誰が安倍さんや自民党幹部をイライラさせたのか?

(プチ鹿島)結論から言うとですね、テレビ朝日の富川(悠太)アナウンサー。古舘さんの後の若手ですよね。中継がつながって果敢に安倍さんに挑んでいくんですけども、結構やっぱり小僧扱いされていたんですよね。で、ただ小僧扱いの仕方にも実は器が見えちゃって。富川さんが「憲法、どうするんですか?」っていうのを言って。で、安倍さんが「いや、これはもうこれから話し合うことですから」って言うんですよ。

(荻上チキ)はい。

(プチ鹿島)で、富川さんがですね、「憲法改正を発議する前に、信を問えばいいじゃないですか?」って言ったんです。そしたら安倍さんは「いやいや、発議した後に国民投票があるんだから、それでいいじゃないですか」っていう。まあ、それはそうですよね。ただ、それを笑いながら言うんですよ。「もう、何度も言いますけども(笑)。いやー、もうちょっとこのアナウンサーとは話が合わないな」みたいなところで。僕は逆に富川さんがちょっと若気の至りすぎて、安倍さんのそういうところを見れたっていうのが、そこはテレ朝のポイントだったですよね。

(荻上チキ)ああー、なるほどね。若造だったらナメてくるんだと。

(プチ鹿島)そうです、そうです。めちゃくちゃナメてましたね。で、古市憲寿さん。フジテレビで安倍さんとつながった時に「憲法のどこが嫌いですか?」って相変わらず……(笑)。

(荻上チキ)まあ、そういうキャラですからね。

(プチ鹿島)相変わらずそういうキャラを全うしたことを言うんです。で、結論から言うと、安倍さんをイラッとさせた人はいなかったです。

(荻上チキ)ああ、フジテレビでも。

(プチ鹿島)全局です。

(荻上チキ)全局いなかった?

(プチ鹿島)面白かったのが、フジテレビの宮根(誠司)さんですね。みんな構えて。池上(彰)さんがいま人気ですから、「ちょっと安倍さんと対決してやろう」みたいな感じで富川さんもさっきのああいう感じが出たんですけど。宮根さんは完全に下からニコニコ行って阿呆のふりをしていたんですね。

(荻上チキ)ほう。

(プチ鹿島)まあ、阿呆のふりかどうかはわからないです。本当に阿呆かどうかはわからないですけど。「安倍さん。国防軍ってなんかかっこいいっすよね!」って(笑)。そしたら安倍さんも急にまた、今度は「ニコッ」ですよね。富川さんの時は「ニヤッ」と嘲笑だったんですけど。「また……お前はアホだな」みたいなことを言い出して。「いや、そうは言いましてもね、『国防軍』って言っても『自衛隊』だと自分だけを自衛隊が守るみたいなことを言われるんで国防軍ってしたんです」って。やっぱり他の局じゃ言わないようなことをポロポロ言うわけですね。

(荻上チキ)はいはいはい。

(プチ鹿島)だから結構宮根さんの……で、最後にね、「安倍さん、あのー、本当は憲法9条以外にも変えたい部分、全部いっぺんに出したらどうですか?」とか。完全にアホの子供のようなことを(笑)。そしたらやっぱり安倍さんは他の局と比べてゴキゲンにしゃべりだすわけですね。「いや、でもね、自民党の改憲草案、あれはそのままは行けないですね」みたいなことを。他の局では言っていないことを。「そのままではたぶん、ならないですね」みたいなことを言うわけです。だから安倍さんみたいなちょっとイラつき気味な人に関しては、ニコニコしてアホなふりして聞いちゃうっていうのはひとつ有効なのかな?って宮根さんで思いましたね。

(荻上チキ)ああー。なるほど。

(プチ鹿島)で、ここからなんですが。安倍さんはそうだったんですけど、1人、自民党の幹部でイラッとしていた方が昨日、いらしたんです。それが、谷垣幹事長。

(荻上チキ)ああ、谷垣さん。

(プチ鹿島)谷垣幹事長、僕が見たのは8時45分ぐらいですかね? 池上さんとつながった時に、池上さんはなにもまだ突っ込んでいないんですよ。むしろ、「すごく勝ちましたね」っていうのを言うんですけど、めちゃくちゃ機嫌悪そうだったんですね。で、僕それわかるんです。っていうのはその15分前にTBSラジオにつながっていて……

(荻上チキ)(笑)

(プチ鹿島)で、TBSラジオがね、この放送を聞いている方はわかると思いますけども、昨日各局にラジオでも来るべきところが、安倍さんが「もう、ラジオはやりません」って言ったらしいじゃないですか。

(荻上チキ)そうなんですよ。

(プチ鹿島)で、「いや、それはおかしいでしょう?」っていうのをTBSラジオとか、まあ他のラジオ局も言って。で、安倍さん側が出した条件っていうのが、「ニッポン放送ならやります」っていう。

(荻上チキ)うん。代表という形でね。

(プチ鹿島)そうです。で、「ニッポン放送でまとめてやります」っていうので、「それはちょっとおかしいから、8時半にTBSラジオにつながった時点で谷垣さんに聞きます」ってスタッフの方から聞いていたんです。これは面白いなと。これはもう、野次馬物件じゃないですか。

(荻上チキ)(笑)

(プチ鹿島)そしたらまんまと……まあ、武田(一顕)記者とかがね、どんどん詰めて。で、谷垣さんがイライライライラして、最後ですよ、これはモニターを見たスタッフの方に聞いたんですけど、TBSラジオの中継が終わったら、イヤホンを取って、それを立ちながら机にバンッ!って投げたんですって。

(荻上チキ)(笑)。ああ、立ちながらですか?

(プチ鹿島)立ちながら投げた。

(荻上チキ)昨日のね、鳥山穣記者のレポートですと、「イヤホンを投げ捨てました」という情報だけだったんですけど。

(プチ鹿島)で、モニターを見た他のスタッフに聞いたら、立ちあがってバーン! と。あの谷垣さんが。

(荻上チキ)あの冷静な感じの。

(プチ鹿島)はい。これ、生放送のいちばんの醍醐味ですね。だから実は僕、テレビ特番を見ていたんですけど、生放送の面白さっていうのではTBSラジオでちょっと味わっちゃったんですよ。「これ、谷垣さん怒ったなー」と思って。

(荻上チキ)あ、その後に池上さんにパスされたんですね。

(プチ鹿島)そうです。めちゃくちゃ機嫌悪かったですよ。

(荻上チキ)いいパスを出したと。

(プチ鹿島)だから池上さんもちょっと、「なんでこの人、機嫌悪いんだろう?」みたいな。ちょっと警戒したりなんかして。だからそこが読み比べじゃないですけど、全部見てるとつながりがわかるから。谷垣さん。で、これは谷垣さんがこういう非日常だから出ちゃったっていうのもあるんですけど、たとえばですよ、谷垣さんってよく考えれば、もともと加藤紘一さんからの流れをくむ自民党の中でリベラルな人じゃないですか。

(荻上チキ)はいはい。まあ、加藤の乱のね。

(プチ鹿島)その方が安倍さんに引き立てられて幹事長になるっていう時点で、よく考えたらあの時、みんな驚きましたよね。で、いまではもう普通に「谷垣幹事長」って言ってますけど、もしかしたら谷垣さんは自分で「俺、これでいいのか?」みたいな……これ、いま自分の妄想を話してますよ。「俺はポスト安倍になれるならなりたいけど、でもいまのこのまま、安倍さんのままで俺は幹事長で神輿を担いでいていいのか?」ってたぶんイライラが。

(荻上チキ)はいはい。

(プチ鹿島)で、安倍さんが「やっぱりラジオは出たくない」って言うわけでしょ? で、「じゃあ自分が出る」ってそこまで話をつけたわけですよ。で、自分が出て行ったら、また武田さんがどんどん詰めてくるから、「俺の気持ちをわからないのか!(ガーン!)」だと思ったら、これはたぶんTBSラジオ対谷垣さんじゃなくて、谷垣さんと安倍さんのなにか人間関係。「俺がまとめて安倍さんが出ないからここに出てやったのに、それをまた聞くのか!」っていうのが出てるのかな? と思うと……

(荻上チキ)「なんで俺が尻拭いしなきゃいけないんだよ! しかも、出てやっている俺がなんで責められるんだよ?」って。

(プチ鹿島)そうなんです。全部そこなんですよ。だからそこですよね。で、だから出てくれた谷垣さんっていうのはやっぱり、僕はでもうれしいな、立派だなと思った。だって、結局最初の話に戻すと、僕は普段実現し得ない非日常を見たいわけです。チキさんと安倍さんがやる、話す。最高じゃないですか。なかなか普段、実現しないですよ。

(荻上チキ)いやー、会えないですよ。

(プチ鹿島)けど、なんかいろいろ各局回りで、「じゃあついでに……」っていう感じで。で、チキさんがガンッ!ってやれば、こんなうれしい瞬間、ないじゃないですか。

(荻上チキ)2分でもね。うん。

(プチ鹿島)そういう娯楽を最初から与えないで、「自分は出ません」っていうのはこれは政治家云々じゃなくて、僕は視聴者として、リスナーとして、野次馬として、エンタメを最初から機会を潰してしまうのは、僕は人前に出る人としてよくないなと思ったんです(笑)。

(南部広美)政治家ですけど(笑)。

(プチ鹿島)そう(笑)。「政治家として」って、そこを責めるんじゃなくて、人前に出るんだったらそこはやっぱり……

(南部広美)そこを言いたいと。

(プチ鹿島)そう。

(荻上チキ)でも、総理ですからね。で、7分あったわけでしょう? いまでも不思議なのは、たとえば文化放送、ニッポン放送、TBS。2分ずつでも逆に(足したら)時間は6分だから。それじゃダメなのかな?って。

(プチ鹿島)いや、だからラジオ軽視なのか知らないですけど。軽視だとしたら、これは大変なことですよ。

(南部広美)リスナー、たくさんいますよ。

(プチ鹿島)いますし、そもそもだって安倍さん、おじいちゃん(岸信介)好きですよね? おじいちゃん、だって巣鴨プリズンに入った時にはラジオしか聞けないわけですから。

(荻上チキ)まあ、そうですね(笑)。そこまで遡る?(笑)。

(プチ鹿島)その大好きなおじいちゃんのラジオを奪っちゃうってことはダメですよ。それは。

(荻上チキ)ああ、おじいちゃん思いならね。

(プチ鹿島)だからそこを、「テレビだけ出る」っていうのは。で、その後にじゃあニッポン放送と安倍さんのやり取りは……それは面白くしてくれるのかな? と思ってワクワクしていたら、まあ覇気がない。

(荻上チキ)ねえ。「中国、どうですか?」とかっていう。

(プチ鹿島)そう。また武田さんが余計なことを言いましたでしょう? 「なんか中国の放送みたいだね」って(笑)。だからそういう余計なことが好きなんです。「ああ、また武田さんが余計なことを言ってるわ」っていう。それが僕の取れ高なんですよね。

(荻上チキ)だから武田さんもTBSでインタビューできなかったことに対して、TBSの記者として忸怩たる思いがあるわけですよ。

(プチ鹿島)だから鳥山さんの報告もね、結構行間に入ったじゃないですか。僕はあれはちゃんと聞いているリスナーからするともうニヤニヤしてしまう、もしくは「行け、行け!」っていうご褒美なんですよ。「武田さん、もっとたとえて! 中国共産党に」って。「いつもこんな放送、やってるの?」とか。なんか結構放り込んで来ましたよ。あの人。

(荻上チキ)そうですね(笑)。

(プチ鹿島)だからそれを、普通のこういうちゃんとした放送の時間ではなかなか聞けないじゃないですか。この後ろからガヤを入れるっていうのは。武田記者のガヤぶりがちょっとよかったですね。

(荻上チキ)他局の放送にガヤを入れながら聞けるっていうのも。それもまた含めてね。ちょっとしたイベントでしたけども。

(プチ鹿島)そうなんです。いやー、だから僕はテレビっていうので見させてもらったんですけど、生放送のハプニング、醍醐味っていう意味では、ちょっとTBSラジオとニッポン放送のやり取り。谷垣さんとのやり取りがちょっと面白かった。で、その後に谷垣さんがどんどん不機嫌になっていく様をテレビで見れたっていうのがね。

(荻上チキ)(笑)。で、テレビは今回、どういう試みを各局はやっていたんですか?

各局の「18才」の扱い

(プチ鹿島)いちばんが「18才」っていうことですよね。で、18才をどう解釈するか? というので、たとえば日本テレビの『ZERO』っていうのでは櫻井翔さんがもう18才の人を集めて討論をしたりとか、まあ真面目でした。

(荻上チキ)ああ、なるほどね。

(プチ鹿島)いちばん理想ですよね。で、TBSは18才ということでAKBの松井珠理奈さんを街頭演説とか見に行かせて。で、見に行ったのが朝日健太郎さんなんですよ。「ビーチバレーと政治を絡めて上手い」って言っていたんですよ。だって、ご自分が選挙をくぐり抜けた人だから、上手いことを言う人が好きみたいな感じで。で、その後に渋谷の同世代の女性に「選挙って行かなくちゃいけないよね」っていうことで。まあ、ここまでもわかるんです。松井珠理奈さん、櫻井翔さんが18才と話す。

(荻上チキ)うん。

(プチ鹿島)これ問題はフジテレビなんです。これ、藤田ニコルさんを入れてきちゃったんですね。これ、僕18才の拡大解釈だと思うんですよ。あの人、18才だけど、違うじゃないですか。あれ、おバカタレントを入れたいだけじゃないですか。で、国会見学とかをさせるんですよ。で、石破さんに「にこるんです」って。「ん? にこるんって、何?」って。だから、そういう画がほしいんです。フジテレビは。で、カレーを食わせたりとかして。

(荻上チキ)うん。

(プチ鹿島)で、いろいろ麻生さんが入ってくるっていうのを入り待ちをしていて。で、にこるんも面白いのが、安倍さんが来ると……いままで好き放題に言っていたんですよ。「あのおじちゃん、生で見るとちっちゃくてかわいい。萌える」とか言ってたんですよ。他の政治家を。安倍さんが来ると、「テレビで見るよりイケメン」ってこう、ものすごい忖度ぶり。

(荻上チキ)(笑)

(プチ鹿島)「なんだ、これ?」と思いましたね。にこるんも。

(南部広美)本当にですか?(笑)。

(プチ鹿島)「かっこいい」って普通に褒めてました。素に戻ってました。

(荻上チキ)まあ、好みは人それぞれですから。

(プチ鹿島)はい。なにか周りの空気がそうさせたのかな? みたいなのはありましたよ。

(荻上チキ)へー。

(プチ鹿島)だから18才っていう解釈では、ちょっとフジテレビが……わかるんですよ。バラエティーで。じゃあ、藤田ニコルさんを置いておくと何で使えるか?って言ったら、全部ワイプで使えるんですよね。喜怒哀楽の激しい。あれを、誰が落ちたとか、なにか言ってるとか。片山さつきがポスターと顔が違うとか、いちいち。ワイプタレントですから。

(荻上チキ)うんうん。

(プチ鹿島)だから、バラエティーの作り方をフジテレビはやっていました。

(荻上チキ)バラエティーですよね。フジの戦い方は。明らかに。

(プチ鹿島)ただ、チキさん。「池上無双」と言われたテレビ東京。たしかにここ数年よかったんですけど。改めて言うと、池上無双。テレビ東京はなぜ、ああいう形になったか?っていうと、これは選挙特番の歴史と全く同じで。僕は90年代に見ていた頃っていうのは、開票速報が遅かったじゃないですか。だから、先ほども申しましたけども、朝まで見ないとわからないんです。ところがいま、2000年代。出口調査が発達して、8時になったらヨーイ、ドン! で(結果が)出ちゃうわけですよ。

(荻上チキ)バーン! と。

池上無双と一言プロフィール

(プチ鹿島)だからもう、速報性は関係ないんですよね。で、テレビ東京はたまたま取材人員やカメラの台数とか中継車が少ない。ネットワーク的に。だから「じゃあ、なにができるんだ?」って言ったら、当確者の一言プロフィールとか、池上さんにどんどんこれからのことを切り込んでもらうっていう。速報性を捨てたんですね。

(荻上チキ)またVTRとかを使ってね。

(プチ鹿島)そう。で、その一言プロフィールっていうのが、前原誠司さん。こんなことを書いてあるんですね。「今年中学生と野球で対決。先発で1回6失点降板」。


(荻上チキ)(笑)

(プチ鹿島)渡辺周さんに関しては「大学時代、花火が顔面直撃。サザンの大ファン」とか、関係ないじゃないですか。

(荻上チキ)つながり、ないですね(笑)。

(プチ鹿島)これがやっぱりSNSでおもしろがられるんですよね。で、こういうエサをまくことでネットが「なんかテレビ局、おもしれーぞ」って。池上さんが深く鋭く切り込んでいるだけじゃなくて、「あのプロフィール、おもしれー!」って。

(荻上チキ)撒き餌を増やしていると。

(プチ鹿島)いかに自分がそれを早く読み取ってツイートするか? の撒き餌になっているわけです。で、今年もね、面白かったですよ。杉尾秀哉さん。元TBSのニュースキャスターですよね。一言プロフィール。「逃げた犬を追いかけたら不整脈が治った」。


(荻上チキ)いやいやいや(笑)。

(プチ鹿島)「※本人談」っていうのがね。そうなんですよ。あと、伊藤孝恵さん。これ、民進党の方。「昔のあだ名はストロング小林」っていう(笑)。


(プチ鹿島)全然似てないんですよ。ご本人の名誉のためにいいますと。全然関係ない情報をぶっこんでくるんですよ。あと、小鑓隆史さん。これ、滋賀の自民の方なんですけど。「人生で10回財布を落とす」とか。

(荻上チキ)(笑)

(プチ鹿島)これ、やっぱり見ちゃうとたとえば手元にツイート機能があれば、「おい、なんかやってるぜ」って。見事な撒き餌になるわけです。

(荻上チキ)シルバー川柳みたいな自虐感がありますね。どれにもね。

(プチ鹿島)だからこれで拡散することによって、だからゲリラ戦が成功するわけですよ。で、面白かったのが今年はフジテレビとか日本テレビとかも一言プロフィールを入れました。だけどやっぱりテレ東に比べるとちょっと深みが弱いんですよね。三原じゅん子さん。「お祭り大好き」とか。「金八先生の生徒役」とか。誰でも知ってるじゃないですか、そんなの。

(南部広美)知ってる。「顔はやめな。ボディーにしな」とか。


(プチ鹿島)そこはまだテレ東のゲリラ戦っていうか、ちゃんと誰に面白がられたいか、拡散して欲しいか。お金をかけなくてもチャンネルを合わせてくるかっていうのが、まだそこの本質がわかっていないなと。

(荻上チキ)もっと悪意を込めてもいいかもしれないですね。「選挙ポスターではフォトショの女王と呼ばれる」とかね。

(プチ鹿島)はい。で、あと、テレビ東京と言えば池上バスツアーなんですよ。信濃町に行って……

(南部広美)はいはい。アナウンサーの人と。

(プチ鹿島)そうなんです。昨日も……今回もやっていましたよ。だから、正直ネタとしては鉄板ネタを今回もやったということで。今回も信濃町の創価学会のところに行って、本丸の中で「池田会長はお元気ですか?」とか、「最近、個人崇拝が進んでませんか?」とか。本丸の中で、もう嫌がらせじゃないかな? と思うぐらい聞いているわけですよ。

(荻上チキ)はい。

(プチ鹿島)で、びっくりしたのがフジテレビが今回、そのテレ東方式をまんま……まあ、取り入れたわけです。

(荻上チキ)パクった?

(南部広美)どういうことですか?

テレ東方式をフジテレビが真似る

(プチ鹿島)最初、僕は「パクった」と思ったんです。で、最初に小泉進次郎密着っていうのをテレ東が8時台にやったんです。そしたら、ちょっとズレた瞬間、フジテレビでも宮根さんが「この人の演説はなぜ人をひきつけるのか?」っていうので、遊説に密着してるんです。

(荻上チキ)はいはい。

(プチ鹿島)ちょっと時差遅れて。「これ、たまたま偶然なのか? フジテレビ、なんかパクったな?」って思ったら……

(荻上チキ)テレ東は前もやっていましたね。小泉密着。

(プチ鹿島)やっていました。で、その後、そのバスツアーですよ。信濃町に行って創価学会に聞くっていう。で、ちょっと時差があってフジテレビでも「信濃町に行く」っていう。「これ、なんだろう?」って。ちゃんと行ってるんですよ。


で、びっくりしたのが共産党。それもわかります。あと日本会議。日本会議もテレビ東京が行って、「ああ、すげーな。やっぱりちゃんとここを押さえてるわ」と思ったら、ちょっと時差があってフジテレビでも日本会議のことを特集していたんです。


(荻上チキ)ほうほうほう。

(プチ鹿島)だから、たぶんもう池上さんのやっていることをそのままもらおうって。言ってみればパクったんですけど、ただ、そのVTRの出来がよくて、結構遜色がなかったんです。テレ東とフジテレビ。で、僕が気になったのはこれ、いろんな人に今日も聞いたんですけど。テレビ東京が日本会議だったら日本会議、公明党なら公明党をやるとフジテレビは時差ちょっと遅れて同じお題でぶつけてきたんですよ。これ、なんだろうな?って。たぶん、生放送でなにか見て、「テレ東が来たから、じゃあ同じVをぶつけるぞ!」っていうのをやっているのか……

(荻上チキ)はい。

(プチ鹿島)それかもしくは、もうちゃんと池上対策で情報が漏れたというか仕入れているのか。どっちかですよね。じゃないと、この小泉進次郎、公明党、共産党、日本会議。全部同じネタを持っていて、VTRを調べていて、時差もほとんどなくぶつけるっていうのは、これ相当徹底マークしていましたね。で、さっきの池上さんがね、どんどん政治家詰めていくんですけど、宮根さんは池上さんとは逆で。アホなふりをして行くっていうので対極をまたやっていて。

(荻上チキ)はいはい。

(プチ鹿島)ちょっとフジテレビ、藤田ニコルさんを除けばですね、今回はテレ東の牙城に迫っているなと思いました。だから逆を言えば池上トークが、もはやメイン。やっぱりそこが見どころになっている。で、面白かったのが、やっぱり安倍さんと公明党の山口代表と続けて池上さんが中継つながったんですよね。

(荻上チキ)はい。

(プチ鹿島)で、安倍さんには「街頭演説でなぜ、憲法改正に触れないんですか?」っていうのを聞いたわけです。そしたら、「結党以来言っていますので」と。で、「どの条項を変えるのか決まっていない以上、それは議論してもしょうがない」って安倍さんは言うんです。で、その後に山口代表につながって、池上さんが「2014年の衆院選では憲法の平和主義、非核三原則をマニフェストで入れていました。でも今回は入れていません。それはなぜですか?」と言ったら、山口さんが「従来から一貫して言っています。あえて今回主張する必要はない」。これ、安倍さんが言った「昔から言っていたから今回はわざわざ言うことはありません」っていうのと同じなんですよ。

(荻上チキ)そうですね。

(プチ鹿島)だから新聞の読み比べじゃないけど、ああ、もう自公はここでなにかを聞かれたら「もう最初からあるから、今回は入れていません」っていうので……

(荻上チキ)想定問答ですかね。

(プチ鹿島)想定問答。あったんですね。

(荻上チキ)池上対策じゃないけど、メディア対策全般でたぶんやっているんだと思うんですよね。

各党の広報宣伝・PR戦略から見えるもの

(プチ鹿島)はい。あとやっぱり面白かったのはNHKとか、これはフジテレビでもいじっていたんですけど。政党のマニフェストとは別に、広報宣伝、PR戦略っていうのを特集してたんですよ。それがちょっと面白かったですね。っていうのは3年前の参議院選で共産党が拡散部っていう、Twitterでゆるキャラを作って。キャラクターを作ってどんどん拡散していく。それがハマッて、今回実はですね、僕『週刊SPA!』でもいろいろ調べたんですけど。各党がゆるキャラというか、そういう広報戦略に力を入れているんですよ。

(荻上チキ)ほうほう。

(プチ鹿島)で、公明党が「コメ助」っていうのを出したんですね。

(荻上チキ)コメ?

(プチ鹿島)要は、「こうめいとう」の「こ・め」と、ごはん粒の「米」ですね。で、そのゆるキャラを出したんです。で、その自己紹介が、神は細部に宿るなと思ったのが、「正義感が強いが、おっちょこちょい」っていう。


(荻上・南部)(笑)

(プチ鹿島)嘘つけ! じゃないですか。こういう、飲み会とかでも「私、天然ボケだから~」っていう女子とか、「俺、ちょっと草食だから」みたいな人は信用できないんですよ。

(荻上チキ)自称はね。はい(笑)。

(プチ鹿島)そう。この自称、どう人に見られたいか?っていうのを見ると、「正義感が強いが、おっちょこちょい」。「私、こんなに脇が甘いんですよ。でも、正義感が強い」っていう。だから、「したたかだ。権力にいつもついて行く」っていうのを言われたくないんですよ。だからこそ、「おっちょこちょいなんです」っていう。だから、僕は本当に神は細部に宿ると思うんだけど、こういうPR戦略とかゆるキャラとか、どうでもいいと思われることにこそ……だからこれ、政党がGOサイン出してるわけだから。

(南部広美)そうですね。

(プチ鹿島)自分がどう見られたいか? っていう本音、真実が見えて面白かったです。

(荻上チキ)米粒ってよくね、乾いて靴下の裏にくっつくから。いまの公明党っぽいですよね。

(プチ鹿島)そう。下駄の雪みたいにね。

(荻上チキ)そうそう。カッピカピになったけど、こびりついているみたいな(笑)。

(プチ鹿島)そう。もうジーッとしがみついていく。

(荻上チキ)もう食えなくなっているんだけど。本来の味を失っているけど……みたいな。

(プチ鹿島)そうなんです。だからそういうのもあるのかな? みたいな。面白いですよ。だからそこらへんのPR戦略を横から見るっていうのもちょっと楽しかったです。それはNHKとフジテレビがちゃんと抑えていました。

(荻上チキ)なるほど。いろいろもう予習が進んできた中で、これからの選挙報道はどうなるでしょうね?

(プチ鹿島)あのー、僕、1人キーマンがいるんですよね。古舘さんですね。

(荻上チキ)ほう!

今後の選挙報道のキーマンは古舘伊知郎

(プチ鹿島)古舘さんって『報道ステーション』を辞める時、もしくは辞めた後に、「いままで自分は普段着で報道、政治をやりたかった」と。。ただ、やっぱり報道でキャスターとなると規制が多い。たとえば犯行で使われた凶器は明らかに写真ではバールなんだけど、”バールのようなもの”って言わなくちゃいけないとか。”と、みられる”とか、いちいち回りくどいことを、言いたくないけどこの12年間やってきたと。そこから開放されて、いまは「お帰りなさい、古舘さん」って、バラエティー班が喜んでいるじゃないですか。実際、もう本当に生き生き泳いでいる。

(南部広美)そうですね。はい。

(プチ鹿島)だから僕は古舘さんにお願いしたいのは、キャスターじゃなくて普段着の、それもタレント・古舘伊知郎で選挙特番を仕切ってほしい。これ、面白いですよ。

(荻上チキ)それは見たいですね。

(プチ鹿島)だから、振りや溜めがきいているじゃないですか。だって、正直選挙特番の古舘さんってやっぱり、実は思うほど……きっちり進行していて。そんなに生放送のダイナミズムってなかったですよ。それは進行をきっちりやられていたから。だけど、タレント・古舘伊知郎で普段着でざっくばらんにバサッバサッてやっていくのは、いつか見たいですね。

(荻上チキ)うん。まあいろいろね、今後の特番のあり方。池上無双はどう塗り替えられていくのか? も注目したいなと。

(プチ鹿島)ちょっとフジテレビががんばっていました。

(南部広美)そして、鹿島さん。『教養としてのプロレス』が文庫化されて。双葉社から13日に発売ということで。

(プチ鹿島)そうなんです。明後日なんですけども、出ます。文庫化として今回、新しく付いたのが(博多)大吉先生との対談と、あと(『FAKE』の)森達也監督との対談。『FAKE』の話も入っています。で、あとがきも入っていますんで。610円で、明後日から。

(荻上チキ)安い!

(南部広美)ということで、遅くまでありがとうございました。今夜のゲストはプチ鹿島さんでした。

(プチ鹿島)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>



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