プチ鹿島 財務省・森友文書書き換え報道 新聞各紙読み比べ・続報

プチ鹿島 財務省・森友文書書き換え報道 新聞各紙読み比べ・続報 YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で、森友学園文書を財務省が書き換えしていた問題についてトーク。財務省が書き換えを認めた翌日の朝刊各紙の報道を中心に話していました。

(プチ鹿島)いや、もう先週の火曜日以降、特に週末。金曜日からの昨日、大きなニュースが。

(塩澤未佳子)動きましたね。

(プチ鹿島)まあ、みなさんもご存知の通り、僕もこのオープニングとか『キックス』の時間でよく話してきましたけども。いわゆる3月2日の朝日新聞の財務省の公文書「書き換え」って言っていましたけどもね。ところが、蓋を開けたらとんでもなく、14件も書き換えをしていたということで……もう、これは「書き換え」どころか「改ざん」じゃないか?って言われているんですよね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、面白いんですがこれ、新聞の朝刊がいまあるんですけど。「改ざんか? 書き換えか?」でまた2つに分かれているんです。

(塩澤未佳子)どちらの言葉を使うかっていうことですか?

(プチ鹿島)はい。朝日新聞は「財務省 公文書改ざん」と来ていますよね。毎日新聞も「森友14文書改ざん」。

改ざんか? 書き換えか?

東京新聞「森友14文書改ざん」。

読売新聞「森友文書15ページ分削除 書き換え」って書いてあるんですね。

産経新聞は「森友書 書き換え」。

日経新聞もこちらは「書き換え」と使っていますので。どちらかと言うと、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞という僕、よく言いますよね。安倍政権という球場があったとしたら、三塁側に座っている、政権側と距離を置いている新聞は軒並み「改ざん」。日経新聞はどちらかと言うと政治的なものは一塁側・三塁側に巻き込まれずにいつもバックネット裏にいるような新聞なんですけども。日経新聞は「書き換え」としている。これだけでも面白いじゃないですか。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、昨日この財務省が最初の書き換え報道を認めますよって言った時の午後からの新聞をはじめ、テレビ、ラジオ、ニュースのあの感じってすごかったですよね?

(塩澤未佳子)すごいですよね。ワーッと一斉にね。

(プチ鹿島)で、僕は昨日、『荒川強啓デイ・キャッチ!』という番組に出させてもらっていて。月曜日と水曜日に。で、トップニュースのこちらを僕なりの読み比べということでやらせてもらって。みなさん、どうですか? この3月2日以降、とても情報が多くて。中には追いきれない方もいらっしゃると思うんです。あれもこれも読まなくちゃいけないという。そんな時に僕が提案したのが、「ライバル紙を読んだ方がいいんじゃないか?」っていう。たとえば、朝日・毎日だったら読売新聞。先ほど僕がご紹介した、主義主張も一塁側・三塁側でちょうど上手く分かれている。読売新聞・産経新聞っていうのは政権に近い、もしくは政権を支持しているように僕は思えるんですよね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だから朝日新聞・毎日新聞がやいのやいの言っている、たくさん情報を出しているという時に、意地悪な言い方かもしれないですけど、やっぱり政権を支持しているであろう、もしくは近い新聞はあんまり書きたくないというか(笑)。でも、新聞ですから、書かなきゃいけない。ということは、何が起きるか?っていうと、必要最小限のことを書く。これがコンパクトにまとまっていて読みやすいんですよ。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)だから3月2日の朝日新聞のスクープの翌日の読売新聞を読むと、政治面の下の方に載っていたんですよ。だけど、そこで書いてあったことは「3月6日に国会報告がある。麻生さんも『これが本当なら由々しき事態だ』と言っている」という。事態の推移、事実としてはわかりやすいですよね?

(塩澤未佳子)ずいぶんとコンパクトに(笑)。

(プチ鹿島)で、4日、5日は読売新聞を読んでみたところ、森友書き換え問題についてはお休み。だって、6日に財務省が報告をするから。公式の案件ができるまではお休み。これはこれで流れがわかりますよね? その間、毎日新聞、朝日新聞はいろいろと、いろんな面から書いているんですよ。で、6日。いよいよ先週、発表されましたよね。その時、財務省はのらりくらりとやっていましたけど、読売新聞はそれをどう評価していたのか? 3月7日。「大阪地検の操作を理由に書き換えの有無について言及を避けるなど苦しい内容に終止した」。だから、読売新聞から見ても苦しい内容だったんだなっていうのがわかるので、これは全ての新聞が「あの言い訳は苦しい内容だった」と言っていることが読者はわかるわけですね。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)で、こういう話を昨日、『デイ・キャッチ!』でしたんです。みやーんさんが書き起こしをやってくれているんで、その書き起こしを読んでいただければわかるんですが。

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)ところがやっぱり、今日の新聞の方が面白いわけですよね。だから昨日の午後の動きを受けて、もしくは麻生さんの取材の言葉を受けて夕刊を書いて、さらに朝刊。世の中には朝刊しか取っていない方もいらっしゃいますから、改めて特集をするんです。そうするとですね、やっぱり各新聞によって違いが出るわけですよね。読売新聞とか産経新聞とかいわゆる保守系の新聞はじゃあ、どう書いているのかな? というのをご紹介しましょうか。

(塩澤未佳子)はい。

読売新聞・産経新聞はどう書いたのか?

(プチ鹿島)社説ですね。読売新聞「行政への信頼を失墜させた。国会を冒涜した財務省の責任は重い。安倍首相は『行政全体の信頼を揺るがしかねない。責任を痛感している』と述べ陳謝した」という。これ、パッと見るともう安倍さんが「財務省が今回しくじったから、本当に申し訳ない」と陳謝したという流れですよね?

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)で、さらに途中では「財務省の規範意識の低さは目に余る。首相と麻生財務相は任命責任を重く受け止めねばならない」という。これが読売。つまりこれはどういうことか?っていうと、「安倍さんとか麻生さんは任命責任については重く受け止めねばならないけど、やっぱり財務省。なんてことをしてくれたんだ! ちょっと意識が低すぎないか?」と、財務省を叱っているわけです。今回のね。で、こんな一文もあります。「安倍昭恵首相夫人については土地取引への直接の関与をうかがわせる記載がなかったにもかかわらず、現地視察などの記述を削除していた」。この行間、わかります?

(塩澤未佳子)ええっ?

(プチ鹿島)直接の関与をうかがわせる記載がなかったのに、なんで現地視察したぐらいの記述を削除しているんだ?っていう、そういう方向なんですよ。「安倍首相の奥さんの名前が載っていた」という方向で他の新聞は大騒ぎなんですが、「いやいや、直接の関与をうかがわせる記載がなかったのに、なんで削除しちゃったの? 昭恵さんも困るよね?」っていう、そういうニュアンスなんですよね。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)たとえば政治面を見てみると、こんな記事も載っています。「一連の契約をめぐっては昭恵夫人付き職員が財務省に問い合わせたことがわかっているが、元の文書に記載はない。政府内には『むしろ昭恵氏が関与していない証拠だ』と見る向きもある」という。面白いですね。ひとつの文書を……「昭恵さんが載っていたのを消した。これは首相夫人である昭恵さんの関与があったのではないか?」って毎日、朝日、東京新聞は言っているんだけど、「元の文書に問い合わせたことが載っていない。そこの説明がないんだから、昭恵氏が関与していないと見る向きもある」っていう。この言い方。「見る向きもある」。

(塩澤未佳子)おおーっ!

(プチ鹿島)ただ、これだけじゃ、書きっぱなしじゃダメだと思ったんでしょうね。「もっとも、昭恵氏の記述の削除自体が官僚による首相への忖度そのものだとの指摘もある」という。ここもちゃんとフォローしているんですよね。産経新聞も面白かったですよ。今日の一面。これね、編集局次長兼政治部長の石橋さんという方が一面にコラムを、社説とは別で書いてあるんです。「最強官庁の呆れた隠蔽工作」。つまり、またこれは財務省を叱っているわけですよね。

(塩澤未佳子)ほー!

(プチ鹿島)「最強官庁の異名を持つ超エリート集団が公文書改ざんに手を染めたことは……」。ここでは”改ざん”って言っているんですけどね。産経新聞。「……国家統治体系を揺るがす事態だと言っても過言ではないだろう」という。なんてことをしてくれたんだっていう。で、次ですよ、みなさん。今日のひとつのポイントです。産経新聞の政治部長はこう書いてるんです。「財務省は組織防衛という観点のみで動いた。官邸や自民党さえも欺いており、忖度どころか政権を守ろうという思いさえ感じられない」という。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)これ、すごくないですか? だから今回、財務省がやっちまったことで、「こんなことをして、政権を守ろうという気概はあるのか?」っていうことを叱っているわけです。

(塩澤未佳子)へー! そっちに来ましたか?

(プチ鹿島)そっちなんです。でも、それは産経新聞、読売新聞は政権と親和性が高いから、政権側からの叱り目線で僕はいいと思うんですよ。これはひとつの新聞のキャラクターだから。何度も言いますけど、どの新聞が正解でどの新聞が間違っているとか、どの新聞が良くてどの新聞が悪いかって、そういうことじゃないんですよ。6人いれば6人の新聞おじさんの視点というものがあるんです。同じ風景を見ていても。大相撲でもそうでしょう? 東側の席で見るのか、西側の席で見るのか。同じ貴ノ岩のお尻を見ても違うわけでしょう? 見る方向が。

(塩澤未佳子)違いますわ(笑)。

(プチ鹿島)そういうことなんですよ。だから、産経新聞のこの解釈というか主張は面白かった。じゃあ、一方スクープを出した側の社説を読んでみると朝日新聞は「政権に忠誠を尽くせば評価され取り立てられる。官僚機構のそんな歪んだ価値観もうかがえる」。毎日新聞。「文書、つまり不都合な事実に目を向けようとしない姿勢が一連の問題に表れている」と。これはこういうことが書いてあるんです。「各府省の幹部人事はいま、内閣人事局が決めている。安倍一強の中、本来公正であるべき官僚は自らの人事への影響を恐れて首相や菅官房長官に物を言えない。そうした空気は強まる一方だ」と。これ、違いが出ていますよね。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)読売とか産経は「財務省、なんてことをしてくれたんだ! お前ら、本当に政権を守る気概、あるの?」って言っているんだけど、朝日とか毎日は「たしかに財務省はこんなことをしたけど、そもそも役人がこれだけ忖度とか政権の方を向いて変な文書を出している、ごまかしているっていうのは人事権を握られているからじゃない? そこに行き着くんじゃないの?」っていうことを言っているわけです。つまり、内閣人事局ですね。これは2014年に変わったんです。内閣人事局がお役人の上の方の人の出世、人事を決めるということなんです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)これ、産経新聞には識者の論評も載っていて、作家の佐藤優さんは「官僚弱体化がいちばんの問題」と。同じ産経新聞の中でもこういう指摘をしている。だから、面白いですよね。「財務省の責任だ!」って言う側。もしくは、「財務省には責任はあるけど、なんでそもそもこんなことを、この数年間……財務省だけですか? こういうおかしな公文書やごまかし。なんで? それは首根っこを握られているから、忖度とか……むしろ、忖度どころか、言うことを聞くしかない。そういうシステムが出来上がっているんじゃないですか?」っていうことを言っている。

(塩澤未佳子)ほー!

(プチ鹿島)というわけで、火曜『キックス』、スタートです。

<書き起こしおわり>

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