プチ鹿島さんがTBSラジオ『プチ鹿島のスポーツ紙大将』でスポーツ報知の野球デスク 加藤弘士さんらとイチローが日本プロ野球界に起こしたファッション面での革命について話していました。
(山田美幸)では、さっそく今日ひとつ目の見立てをお願いします。
(プチ鹿島)はい。「イチローのもうひとつのすごいところ」というところを話したいと思います。
(山田美幸)日刊スポーツ、先週金曜日の紙面から。「マーリンズのイチローがピート・ローズの持つ大リーグ通算最多4256安打を抜き、日米通算4257安打をマークしました。1回の第一打席で内野安打を放ち最多安打に並びますと、9回の第五打席ではツーベースを放ちまして、一気に抜き去りました」。という、先週の話題なんですが。ちなみに今日は先発出場いたしましたが、2打数ノーヒット。現在日米通算4758安打。メジャーでは2980安打ということなんですよね。そのイチローについての見立てですね。
(プチ鹿島)だから、打撃については語り尽くされていますし、僕ごときが言うことではないと思うんですよね。で、僕が覚えているもうひとつのイチローのすごさというのが、ファッションなんですよ。
(山田美幸)ファッション?
(プチ鹿島)野球選手のファッションに革命を起こしたのが、もう20年前の日本デビューのイチローなんですよ。
(加藤弘士)へー。
(プチ鹿島)っていうのはだって、それまでね、野球選手。特にパ・リーグの野球選手といったら、なかなかのガラパゴス化したファッションで。ねえ。パンチパーマ、背広、セカンドバッグ、金のネックレス。イメージで言うなら、福本豊さんとか江夏さん。昭和プロ野球ですよね。そういうのがずっと来ていて、で、まだ90年代になって、プロ野球新人類と言われた西武黄金期の工藤(公康)さんとかが出てきても……
(加藤弘士)ナベQ(渡辺久信)さんとかね。
(プチ鹿島)そう。工藤さんの私服のファッションとかを見ると、トレーナーで胸のところに大きな犬のマークの。どこで買ったんだ?っていう謎の私服がありましたでしょう?
西武の工藤投手の私服はヤバかったよね。 #ナカイの窓 pic.twitter.com/bDm3UgeBhb
— Qbo (@Qbolution) 2013年10月2日
(山田美幸)チェックのパンツを履いてね。
(加藤弘士)ダイノジみたいな。
(プチ鹿島)で、厄介なことに、高そうなんですよ。
(加藤弘士)(笑)
(プチ鹿島)謎の私服でほしくもないんだけど、高そうなんですよ。で、プロ野球選手のファッションってどこでどう流通しているのかな?ってずっと思ったんですが、イチローが94年に出てきた時に、200本安打を達成した時に、球場入りするイチローを見た時に、いわゆるヒップホップの……あれをおしゃれと言うかどうか、好きかどうかは別として。やっと普通の年相応の若者になってきたということで。
イチローのヒップホップ私服
@senna1109 @oe_ppu DJ HONDAといえば、イチローさん。 pic.twitter.com/djBVkgTKD2
— ズー (@ZU_YOUNG) 2013年6月29日
(加藤弘士)ええ、ええ。
(プチ鹿島)プロ野球選手とアスリートって僕はいい意味でわけて考えているんですね。特に昭和プロ野球とアスリートは。野球選手の枠からアスリート。言ってみればこっちの感覚に戻した、打ち破ったのがイチローだと思うんですよね。
(加藤弘士)ああー。
(プチ鹿島)で、話を戻すと、じゃあ昭和のプロ野球選手のファッション、どこで用立てているんだろうな? と思って。一応、コラムというか論文を書こうと思ってね、10年前に調べたことがあるんですよ。っていうのは野球選手って、特に昭和の選手っていうのはもう顔が割れていて有名ですから。で、お金はありますから、先輩に飲みに連れて行ってもらうんですよね。
(加藤弘士)ええ、ええ。
(プチ鹿島)で、気心の知れたところ。高くてもいいからっていう、閉鎖的なところに連れて行かれるんですよ。たぶん、お酒と一緒にファッションも同じ考えだと思うんですよ。先輩とか、チームメイトが紹介している、普通には売ってないけど高そうな……よくあるじゃないですか。これ、普通の人は入っているのかどうかよくわからない高級紳士服とか。そういうところにルートがあるんじゃないかなと思って。これ、過去の雑誌を調べてみるとね、『プロ野球ai』というのの2002年3月号にこんな記事が載っていたんです。
(山田美幸)はい。
(プチ鹿島)当時、中日ドラゴンズの山崎(武司)選手ですね。ファッションのことをインタビューした記事で、タイトルが「ジャージ姿が似合う男からスーツの似合う男へ」って、もうザワザワするじゃないですか。
(加藤弘士)ええ(笑)。
(プチ鹿島)で、「その山崎さんに細かいこだわりを行きつけのお店で紹介してもらいました」って行って、カラシ色のスーツとかを着ているわけですよ(笑)。もうザワザワするじゃないですか。だけど、山崎さんはゴキゲンにインタビューに答えて。「ファッションには全く興味がなかったんだけど、ホームランタイトルを獲得したあたりからスーツに対する見方も変わっていって。この店は、いまでは山本昌選手、福留選手、川上選手、種田選手をはじめとして、たくさんの選手が通うようになった」と記事はまとめられているんですよ。
(加藤弘士)みんな、紹介というかね。
(プチ鹿島)当時の中日の主力ですよね。だからもう、狭い範囲で伝播していく様子が生々しく。ガラパゴス化ですよ。
(加藤弘士)ええ。ちょっと世間とは隔たりが出てきますよね。
(プチ鹿島)で、お金は高いんです。だからよく歩いていると、高級そうな、だけど一般の人はなかなか入っていないお店っていうのはこういうところで成り立っているわけですよね。だからイチローっていうのはそういうチームメイトの縁とかではなく、自分が着たいものを着るっていうのでヒップホップを……だって当時、オリックスでヒップホップにハマッてる人って、ニールぐらいしかいなかったと思うんですよ(笑)。
トロイ・ニール
614試合 .264(2117-558)
136本塁打 435打点 4盗塁 0犠打オリックス(1995-2000)pic.twitter.com/rWo0GEKZyT
— プロ野球通算成績bot (@npb_player_bot) 2016年5月28日
(加藤弘士)ニールぐらいしか(笑)。
(プチ鹿島)だから、そこなんですよね。加藤さん、どうですか? 最近のプロ野球のファッション事情は?
最近のプロ野球選手のファッション事情
(加藤弘士)いや、最近の子は結構みんなおしゃれですよね。どうしてもプロ野球選手って高校時代3年間はやっぱり頭は丸刈りにして……
(プチ鹿島)いちばんおしゃれしたい時にね。ジャージで。ユニフォームで。
(加藤弘士)もうよくてアンダーアーマーのパーカーみたいな。そんな感じじゃないですか。これ、やっぱりプロ野球に行って契約金ももらって……
(プチ鹿島)お金は入るわけですもんね。
(加藤弘士)そうなんですね。この、いままで鬱積したマグマが一気に解き放たれるみたいな感じで。
(プチ鹿島)そうそうそう。ヤバいパターンですよ。ファッション成金ですよ。
(加藤弘士)だからちょっとね、がんばりすぎちゃって。なんだかね、わけのわからないファッションになっちゃったりするんですよ。
(プチ鹿島)ありますよね。
(加藤弘士)だから結構多いのが、ちょっとワルぶるファッションが多くて。まず基本的に(ローリング・)ストーンズの舌のマークを着ているプロ野球選手は100%、ストーンズは聞いてないっていう。
(プチ鹿島)聞いてない(笑)。
(加藤弘士)「えっ、なに? ストーンズ、好きなの?」みたいな。
(プチ鹿島)それ、押さえているんだけど、押さえてないっていう。本当のところはね。
(加藤弘士)結局、なんかワルっぽくて買っちゃうみたいな。
(プチ鹿島)ああー。まあ基本、ヤンチャですもんね。野球選手ね。
(加藤弘士)あと、なぜかドクロのTシャツが多いですね。
(プチ鹿島)おおー!
(山田美幸)なんでだろうね?
(プチ鹿島)ドクロ……誰か影のファッションリーダーがいるんですかね?
(加藤弘士)まあ、なんと言ってもドクロがいちばん似合うっていう意味では巨人の村田選手ね。
(プチ鹿島)出ました! 村田さんですね。村田さん、ドクロ着てらっしゃいますか?
(加藤弘士)だから村田さんなんてね、本当にご両親が国立大学を出られていてね。お母様が学校の先生なんですよね。すっごいしっかりしたお家で育っているんですけど、やっぱりちょっとワルぶっちゃうみたいなところ、あるんですかね。
巨人・村田 : [破壊力]プロ野球選手の私服[最強]セレクション – NAVER まとめ https://t.co/0E9UIntH1J
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2016年6月22日
(プチ鹿島)ああー。でもそれぐらいの気概がないと、野球選手は務まらないっていう。どうですか? 今度、村田さんがホームランを打つか、もしくはゲッツーの時にオーロラビジョンにドクロのマークを出したりっていうのは?
(加藤弘士)あの、もうね、不良番長シリーズですよね。それ、梅宮辰夫の。カポネ団みたいな。でも、一方じゃ佑ちゃん。斎藤佑樹くんなんかはコム・デ・ギャルソンが好きだとかね。
(プチ鹿島)そうなんですか?
(加藤弘士)そういう方向に行っているような選手たちもいて。
(プチ鹿島)だって加藤さん、ずっと番記者でね、付いていたんですもんね。今年、だってあれ10年目でしょう? 甲子園決勝の。
(加藤弘士)2006年のね、早実 VS 駒苫から10年ですよ。
(プチ鹿島)でしょう? あ、じゃあいろいろこだわりがあるんですね。
(加藤弘士)それぞれみんなね、ファッションには。
(プチ鹿島)いや、だからね、結局閉じた空間で何か広がっていく。じゃあ遊び方を誰かに教えてもらう。それがいい方向だったら。まだ、お酒とかファッションだったらいいんですけど、それが悪い遊びだと、この間のね、野球賭博とか。同じような土壌の話なのかな?って思うんですよ。近づいてくる。じゃあ、遊びを教えてあげよう。ファッションを教えてあげよう。お酒を教えてあげようっていうのがね。悪くいっちゃうと、ああいう風になっちゃうのかなと。閉じた空間だからこそ。
(山田美幸)なるほどね。
(プチ鹿島)と、思っちゃいますよ。ファッションから考えると。
(山田美幸)まあでも、ファッションのガラパゴス化がいちばんいいのかもしれないですね。仲間内でね。
(プチ鹿島)いや、あの工藤公康の犬のトレーナー。デカいワッペン。あれ、ちょっとほしいですよね。
(山田美幸)(笑)。どこで購入したか、今度聞いて……
(プチ鹿島)聞いてみたいですよね。
(山田美幸)ということでスポーツ新聞ナナメ読みその1は、ファッション。お送りしました。
<書き起こしおわり>