楠木勇有行 ジェームズ・ブラウンCM『ミソッパ』制作秘話を語る

楠木勇有行 ジェームズ・ブラウンCM『ミソッパ』制作秘話を語る NHK FM

ミュージシャンの楠木勇有行さんがNHK FM『今日は一日ジェームズ・ブラウン&ファンク三昧』の中でジェームズ・ブラウンが1992年に出演した日清カップヌードルの伝説のCM『ミソッパ・カニンパ』の制作秘話をお話されていました。

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みやーんZZさん(@miyearnzzlabo)が投稿した写真 –

(オダイジュンコ)今日はファンクを愛するゲストの方に、魂を込めて選曲していただいております『ファンク一曲入魂』。この時間にご登場いただきますのは、現在はボイストレーナー、ミュージシャンとして活動されている楠木勇有行さんです。

(吉岡正晴)はい。楠木勇有行は1992年。いまから20年以上前にカップ麺のCMにジェームズ・ブラウンが登場したんですが。そのCMソングをジェームズ・ブラウンが歌っているんですが、その歌を歌唱指導したのが実は、この楠木さんなんですね。ですので、そのジェームズ・ブラウンに歌の歌い方を教えた、世界唯一の人。

(オダイジュンコ)要するに、日本語を言ってもらわなきゃならならないわけですからね。日本語、発音をしてもらわなきゃならないというか。

(吉岡正晴)で、その時にジェームズ・ブラウンと会った時のお話などをしていただこうかなと思って。彼のコメントです。

<コメントスタート>

(楠木勇有行)『今日は一日ジェームズ・ブラウン&ファンク三昧』をお聞きのみなさん、こんにちは。楠木勇有行です。ジェームズ・ブラウンのコマーシャルを作る経緯っていうのは、音プロの人と制作の方で打ち合わせをして。僕はそこに参加してなくて。音プロの人が「この商品はジェームズ・ブラウンが歌ってみたらインパクトもあるし面白いんじゃないか」って冗談半分に言ったら、制作の方が「おおっ、いいんじゃないですか!」っていう話になりまして。

で、オファーするにあたって、「こんな感じでやります」っていう音を作らなきゃいけない。その時に僕のところに話が来まして。僕はその当時、1991年。打ち込みを始めたばかりの頃で。ジェームズ・ブラウンの『Sex Machine』をもう死ぬほど聞いてコピーして。ベースのフレーズから、ドラムのフレーズ、全部コピーして。30秒ぐらいだったんですけど、打ち込んで、僕が歌って。「ウーッ!」とかって言いながら歌も入れてアトランタに送りました。

で、ジェームズが直接聞いて、これがOKが出ちゃったんですよ。「じゃあ、ちゃんと音を作ろう」っていうことでスタジオにちゃんと入って、スタジオミュージシャンをオファーしまして。ギターの松木恒秀さんとか、岡沢章さんっていうベース。渡嘉敷祐一っていうドラムですね。エリック・ミヤシロさんっていうトランペット、ホーン・セクションとかを呼びまして。で、日本人が全員で録りました。

JBとのレコーディングとCM撮影

で、その音を手に持ち、アトランタに乗り込んでいったわけです。1日目のレコーディングの収録の時に、「ミソンパ」って言えないので。どうしても「ミソゥンパ」ってなるんですね。で、「カニィンパ」っていう風になって。ちょっとニュアンスが違うので、ちゃんと「ミソンパ」「カニンパ」っていうのを一生懸命教えて。あとはもう、JBですから。「ミソンパッ! ミソンパ、カニンパッ! ハッ!」とかってやりながら。僕はその合いの手を。「ミソミソ……カニカニ……♪」っていうのを言いまして。それをずっと教えながらレコーディングして。

JBはもう、素晴らしかったですね。このエネルギーがね、とてつもないですね。あの人。2分半か3分ぐらい、ちゃんと録ってきちゃったんですね。日本でどこを使うかわからないので。そしたらそれを5テイクぐらいやるんですよ。同じことでしょ? でも、ちょっとフェイクをしながら、すこし変えながら、頭からお尻まで全部歌い切る。ものすごいグルーヴ感で。もう鳥肌が立つ感じでしたね。

で、その次の日に、今度は撮影なんですけど。でっかいボードがありまして、そこに書いて。僕は細い棒を持ちまして。「(『Sex Machine』のイントロ)ザッザッザッザッザッザッザッ♪」って、「ミソンパ」の時はこうやって、「ミソンパ」って(ボードを棒で)指します。「カニンパ」の時は「カニンパ」って(指す)。それを1日中ずっと、JBと一緒に踊りながら撮影したという(笑)。そういうのがありますね。

で、それを見ていたり感じてたJBが、「お前は日本の息子だ」ってお褒めをいただきまして。そんなことをやりましたね。JB。素晴らしい人でしたよ。でも。

<コメント終わり>

(吉岡正晴)ということで、楠木勇有行さんのコメントをお届けしました。で、いま、お話に出てきたそのCMで使用されていた『Sex Machine』のバージョンがあるんですね。それ、本邦初というか、前代未聞といいますか。CMでは15秒とか30秒しかかかってないんですが。そのフルバージョンがあるんですよ。3分少々の。それを、楠木さんにご提供いただいて。かけさせていただくと。

(オダイジュンコ)すごい!

(吉岡正晴)ということなので、それをご紹介したいと思います。まあたぶん、これがかかるのは世界で初めてです。ジェームズ・ブラウンの『Get Up I Feel Like Being Like a Sex Machine CMバージョン』。

『ミソッパ(フルバージョン)』

(吉岡正晴)お送りしたのはジェームズ・ブラウンの『Get Up I Feel Like Being Like a Sex Machine CMバージョン』のフルバージョン。

(オダイジュンコ)これ、あれですよね。カニンパとか、カニッパとか、ミソッパとか、タイトルをつけてこれ、絶対に、世界中に誇れる発掘音源として、私はぜひ世に出してほしいな。

(吉岡正晴)配信ぐらいだったら大丈夫かもね。あの、ジェームズ・ブラウンが歌って、後ろで「ミソンパ!」「ミソミソ♪」「カニンパ!」「カニカニ♪」って。この「カニカニ」と「ミソミソ」が楠木さんがやっています。だから楠木さんは言ってみればボビー・バードの役をやっていたわけです。

(オダイジュンコ)すごいです。

(吉岡正晴)これ、フルバージョンでね。こんなのがあるっていうのを。僕も打ち合わせの時に聞かせていただいてびっくりしたんで。「これ、ぜひオンエアーしましょう!」と。

(オダイジュンコ)すごいものが出てきちゃった。

(吉岡正晴)なかなか貴重なものだと思います(笑)。

<書き起こしおわり>

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