マキタスポーツさんがTBSラジオ『ザ・トップ5』に出演。歌い方が気になる歌手・グループを5つ選び、紹介していました。
マキタスポーツさん
ありがとうございました!
#top954 pic.twitter.com/Lgj71r6cYq— top954 (@top954) 2016, 2月 12
(小倉弘子)今夜のゲスト、マキタスポーツさんご提供、『気になる歌い方トップ5』。
第五位:L’Arc~en~Ciel hyde
第四位:私立恵比寿中学
第三位:Mr.Children 桜井和寿
第二位:長渕剛
第一位:島津亜矢
以上、マキタスポーツさんご提供、気になる歌い方トップ5でした。
(中略)
(小倉弘子)先ほど発表したマキタスポーツご提供、『気になる歌い方トップ5』というランキング。これ、気になる歌い方っていうはどこがどう気になるんですかね?
(マキタスポーツ)ええと、まあ歌い方ってそれぞれ歌手の方って結構お持ちだと思うんですけど。なんで歌い方が違うのか?みたいなことってちょっと気になったりしませんか?
(蟹江一平)たしかに、ありますね。
(マキタスポーツ)で、あとね、そのジャンルによって歌い方みたいなのがあったりとか。もう、大きくくくればですよ、クラシックの歌い方、声楽科の歌い方って、『おぉぉぉ~♪』みたいな。なんであの歌い方なんですか?っていうね。
(蟹江一平)ちょっと顎を引いてね。
(マキタスポーツ)ええ。理由はあると思うんですけど。だから、ジャンルや、あとその人となりというか。アーティスト性にも関わってくるところだと思うんですけど。あと、後で話したいんですけど、アイドルの子たちとかも独特の唱法をやっぱり・・・
(小倉弘子)ああー。
(マキタスポーツ)あんまりそういうところで意識はしてないかもしれないけど、アイドルらしい歌い方っていうのが、いま現在2000年代に入ってからのこの歌い方のモードみたいなものもあるし。遡ってですよ、アイドルもたとえば天地真理さんの時代は『ひっとりーじゃないってー♪』って、声楽科みたいな歌い方をしている方もいたわけですよ。ところがいま、ああいう歌い方をしない人もいるわけですよ。
(蟹江一平)そうですね。
(マキタスポーツ)の方がほとんどですよね。なぜ、歌い方って時代によって違ったり、ジャンルによって違って、人によって違ったりとか。そういう系統とかがあるのかな?というのも気になりますね。
(小倉弘子)すごい!教科書のような。
(蟹江一平)なるほど。マキタさんらしい切り口ですよね。
(小倉弘子)からのトップ5で、第五位がhydeさん。
第五位:L’Arc~en~Ciel hyde
(マキタスポーツ)はい。まあ、このへんのね、レジェンドクラスのビジュアル系の歌い手の方だったら別に誰でも、ある種よかったんですけど。やっぱりその中でも極み中の極みはやっぱりhydeさんの歌い方っていうのがですね、非常にうっとりとするんですが・・・なぜ、あのような歌い方なのか?なぜ、あのような味付けなのか?っていうのが・・・
(小倉弘子)(笑)
(蟹江一平)味付け!
(マキタスポーツ)というのが、それこそね、呼吸法とかブレスのタイミング。たとえばこのブレスをする時とかに、『!!』みたいな感じになるのか?とか。しゃくったりする時とかに、『ハァン』みたいな感じになったりするのか?とか。そういうところとかが、やっぱり蟹江さんもお歌いになるからわかるとおもうんですけど。
(蟹江一平)ええ、ええ。だからまあ、あれですよね?いわゆるV系と言われる唱法のある種、雛形を作ったのがこのhydeさん世代だったりするのかな?と。LUNA SEAの河村隆一さんですとかね。
(マキタスポーツ)そうだと思います。たとえば、このピープルツリーの源流にはX JAPANのTOSHIさんがいるんですけど。TOSHIさんはちょっと超絶すぎてですね、声もハイトーンすぎるし。あまり、ちょっと真似ができないかもしれないです。歌い方以前に、ちょっと声量とか声質の問題で、あそこまでのハイトーンボイスっていうのは真似できないかもしれないです。ところが、歌い方っていうものの癖の部分で言うと、歌い方とか喉の使い方次第によっては真似ができやすくなる。そういう点で言うと、まあLUNA SEA、ラルク、GRAYとか。あのへんのあたりの人たちの歌い方の癖の付け方。僕は『お化粧声』と言ってますけども。
(蟹江一平)ほう。
(マキタスポーツ)お化粧の仕方は、後々に与えた影響はかなり大きいんじゃないか?と。特に、ラルクのhydeさんは、なんて言うのかな?味付けの部分というか、そのテクニカルな部分っていうのは大きいんじゃないかな?という風に思うわけですね。
(小倉弘子)ある種、突き抜けた存在なんですね。
(蟹江一平)いま、一節お願いできたりするんですか?
(マキタスポーツ)『時はかなでぇーてぇー♪』みたいなね。僕、こういう声なんであれなんですけど。歌い方のみを抽出すると、なんかそういう歌い方だと思うんですよね。
(蟹江一平)ちょっと破裂音と、鼻に鼻濁音と言いますかね。うん。そしてブレス。
(マキタスポーツ)そうですね。
(小倉弘子)こめかみに血管浮きましたね。
(マキタスポーツ)はい。一瞬にして。
(小倉弘子)素晴らしい。
(マキタスポーツ)『あふぅーれぇえるぅー♪』
(蟹江一平)アタックですよね。グイッと来る。
(マキタスポーツ)『歩き出したぁあああー♪』
(小倉弘子)なんだろう?飲み込めそうで飲み込めないものでずっとうがいしているような感じかな?
(蟹江一平)まあ、美意識の極みなんでしょうね。おそらく。
(マキタスポーツ)だと思います。だから、これは僕は悪く言っているように聞こえたら、ちょっと心外なんですけど。もしプレーンで歌ってですよ、『ときはかなでーてー』とかだと思うんですよ。でも、『とぉきはぁー♪』とかっていう、味付けの部分とか、もともとの素材プラス、ちょっとそういうブーストをかけると言うかですね。
(蟹江一平)ブースト。
(マキタスポーツ)大きく出している部分とかってあるんですよ。そこに、やっぱりビジュアル系らしさみたいなものとかも眠っていると思うし。その、やっぱりお化粧を施すことによって、異世界に連れて行ってくれるというかね。
(蟹江一平)そうですね。うん。
(マキタスポーツ)現実ではないどこかに連れて行ってくれるっていうことが。
(小倉弘子)なるほど。
(マキタスポーツ)声の使い方において、ちゃんと演出がくまなく行き届いているという。
(蟹江一平)やはり独自に開発したというすごさが、日本のV系の流れであるんでしょうね。
(マキタスポーツ)もちろんです。だから、いろんなものとかがいろいろドッキングして、いろんな成分とかを足していって、そのオリジナリティーを創出しているのがhydeさんだったわけなんです。いろんな影響があった上でですけど。ちゃんとそれをまとめて、編集して、この歌い方でなければならないっていうことをちゃんと自分で作ったということで言うと、すごいかっこよろしい歌い方だし。ひとつのhyde型っていう、ひとつの型を作ったという。素晴らしいんじゃないかな?と僕は思うんですね。
(蟹江一平)なるほど!
(小倉弘子)これでも、第四位のこのアイドルさんたちとはまた全く違うわけですよね?
(蟹江一平)エビ中ですね。
第四位:私立恵比寿中学
(マキタスポーツ)ぜんぜん違います。もう。
(蟹江一平)まさにこの数多いるアイドルの中から私立恵比寿中学。エビ中を選んだわけなんですか?今回。
(マキタスポーツ)ええとですね、特に顕著かな?と思いまして。先輩格にももクロがいますよね?
(蟹江一平)そうですね。直系ですね。
(マキタスポーツ)直系じゃないですか。同じ事務所で、ちょっとユニットは違いますけども。まあ、若干キャラクターとか個性の出し方も違うんですけど。興味がない人にとってはですよ、差がわからないと思うんですよ。
(蟹江一平)ああ、まあまあメンバーが多いか少ないかもわからない。着ている衣装とかもわからないぐらいの。
(マキタスポーツ)だから、ちょっとした『すみれの花現象』というかですね。宝塚的な、『すみれのはーなー♪』っていう、伝統的に歌われている歌が、スコアがあった上で、それを伝統的な歌い方でちゃんと歌っているということで言うと、ももクロ型をちゃんと踏襲してエビ中があると。だから、我々はエビ中の物語とか文脈とか、ももクロとかスターダストプロモーションとかですね。
(蟹江一平)大きく言えば、そうですよね。
(マキタスポーツ)たとえばそういうところを、ちゃんと文脈を読み込んでいるから。そういう違いがはっきりとわかるわけですよ。わかるんですけど、港町のお年寄りはわからないです。はっきり言って。でも、共通の歌い方、歌唱法はやっぱりあるんですよ。それだけに。
(蟹江一平)スターダスト型というか。
(マキタスポーツ)スターダスト型というか、ももクロ型というか。ちょっとあるんですよ。
(小倉弘子)ちょっと聞き比べてみます。ももクロとエビ中。
(蟹江一平)全力ですよね。ももクロはね。
(マキタスポーツ)『かなこぉー↑↑』ですよね。まあ、人数がエビ中の方が多いので、若干聞こえ方は違って聞こえるかと思うんですけど。まあ、やっぱりこのラップのところとかの、いまどきの女の子っぽい声の出し方をすごくしていると思うんですけど。なんて言うんでしょうかね?独特の媚態というかですね。が、そこにあるんですよ。たとえば、しゃべり方に及ぶまでですけど。年配の方は水森亜土さんじゃないですよ。これはね。
(小倉弘子)(笑)
(マキタスポーツ)往年の絵かきじゃない。左手で持ってね、逆から見てもちゃんと書けるみたいな、そういう人じゃなくて。でもなんか、おじさんがやるので変な風に聞こえちゃうかもしれないけど、なんか独特の媚態成分がそこに入っていて。それが、その歌い方やしゃべり方に至るまで、やっぱりももクロ型をちゃんと踏襲してエビ中は歌っていると僕は思っています。
(小倉弘子)エビ中をかけよう。
(蟹江一平)行きましょうか。
(蟹江一平)これ、港町のおじさま、おばさま、わからないのわかりますわ。
(マキタスポーツ)わからない。ただ、これファンにとってはですよ、『この違いがわからないのはどういうことだよ!?』ってお叱りを受けそうだけど。だけど、歌唱法とか声の出し方とか、非常に似通っているところでやっているという。
(小倉弘子)ほー!
(マキタスポーツ)で、これはやっぱりさっきも言いましたけど、たとえば80年代のアイドルとか、松田聖子さんとかもアイドルと言われていたわけじゃないですか。いま、じゃあ松田聖子さんとかを聞き比べて見てくださいよ。あるいは、山口百恵さんの歌い方と聞き比べてみてくださいよ。ぜんぜん歌い方い、違いますから。だからこれ、やっぱり時代とともに添い寝するかのように芸能としてはですね、『観客本位の芸能』と僕は呼んでいますけども。アイドルっていうのはね。アーティスト本位ではなくて、こっち側に主体が。発信する側に主体があるわけじゃなくて、観客のニーズとか、なんか時代の空気感とかすごい訴求するものとかをちゃんとすくい上げてもらってそれを具現化して、象徴的に見せるのがひとつ、僕はアイドルというビジネスだと。
(蟹江一平)まさに偶像ですね。
(マキタスポーツ)偶像としての。っていうことで言うと、いま、この90年代以降、2000年代以降のアイドルとかの歌い方に見られる媚態成分とかは、僕、注目しておいた方がいいと思います。やっぱ、昔の80年代、70年代のアイドルとはぜんぜん違うと思います。それは、女性がたとえば社会進出して行ったりとか。その中で男性が相対的に力が弱まっている中で、女の子に求めるものとか、女性が女性に求めるものとか、男性が女性に求めるものとか、その偶像と言われている領域に求めるものっていうのは、なんかやっぱり70年代と2000年代でぜんぜん違うと思うんですよね。
(蟹江一平)そうだな。うん。
(マキタスポーツ)だから、なんか理由があってああいう歌い方になっているんですよ。彼女たちは別にそういうことを教育されたわけじゃなくて。当たり前のようにプロトタイプのももクロや・・・ももクロも他のところにあったと思うんですよ。だけど、そういうものとかを引き継いで行きながら、いま現在のひとつのモードとしての歌い方っていうのは、アイドルとか媚態とか、絶対にそこにはあると思うんですね。歌い方にそういうのが見られる部分があると思うんですよ。
(蟹江一平)そうですね。途中に、じゃあモーニング娘。がいたとか、そういうのもあるんでしょうね。そこで何かがまた変わったのかもしれない。
(マキタスポーツ)モー娘。も面白いですよ。モー娘。は、あれはやっぱり歌い方がつんくさんの真似してますよね。
(蟹江一平)そうですよね。つんく節。
(マキタスポーツ)つんくさんの真似をして。つんくさんの独特の水商売臭さみたいな歌い方があると思うんですよ。そういう味付けの部分とかを彼女たちは習って。またそれがですね、彼女たち、ジェネレーションがだんだん下がってくると、いびつに変化してくるんですよね。
(小倉弘子)へー。
(マキタスポーツ)だんだん、もうつんくさんの歌い方からだんだん離れていって、独特の歌い方にまでなってくる。で、ハロプロ勢はハロプロ勢の歌い方みたいなものになるし。だからまあ、ハロプロ勢と違う、ももクロとかのスターライトの人たちはこういう歌い方が引き継がれつつあるというようなことで。
(小倉弘子)面白い!そうやって見たことがなかった。
(蟹江一平)さあ、そんな中でね、桜井和寿さんですよ。ミスチルですよ。
第三位:Mr.Children 桜井和寿
(マキタスポーツ)これはですね、いろいろあるんですよ。歌い方の、男らしく歌うみたいなの。マッチョな歌い方ももう一方であると思うんですけど。僕はその独特の桜井さんの歌い方にはですね、なんか甘ったれた男性の成分っていうのが入っているような気がするんですよね。
(小倉弘子)でも、すごくエロく見えます。
(マキタスポーツ)じゃないですか。で、結構だからメッセージが込められた歌詞とかも歌ってらっしゃるし。そういうプロテスト性はすごく高くあるんですけど。歌い方はすごくマイルドで女性好みだったりすると思うんですよ。そのギャップとかがひとつの聞き所かな?と僕は思ったりします。
(蟹江一平)ずっと甘酸っぱいままですからね。お声が。
(マキタスポーツ)『だきぃーしめぇーたぃー♪』みたいな、なんて言うんでしょうかね?若干粘着感がこう、ありながら。で、たとえばね、僕はすごい好きなんですけど。ダイスケさんっていう歌手の方がいらっしゃるんですけど。そういう方とかも、僕はミスチルの桜井さんとかの系統の中にある歌い方の人だと思うんですね。
(蟹江一平)ああ、ダイスケさん、日テレの朝の番組で旅をしていた方ですね。
(マキタスポーツ)そうそう。犬を連れて歩いていた人です。あの方とかも、すごいね、僕は『母乳声』って呼んでいるんですけど。なんとなく、母乳が出てくるっていう(笑)。聞いていると。
(小倉弘子)(笑)
(マキタスポーツ)母性本能をくすぐられるという。
(蟹江一平)マキタさんのおっぱいから?
(マキタスポーツ)出そうなぐらいな感じで。
(蟹江一平)想像妊娠的なことですね。想像授乳。
(小倉弘子)張っちゃうんだ。
(マキタスポーツ)そう。張ってきちゃう(笑)。
(蟹江一平)『張ってきちゃう』って、すごいプレイみたいな感じで。お声を聞くだけで。
(マキタスポーツ)そう。優しさとか、そこにはなんか。母性をくすぐられる歌い方のいちばん権威かな?って僕は思いますね。
(小倉弘子)ああ、すっごい響きます。
(蟹江一平)そうでしょうね。もう25年以上ですからね。この甘酸っぱいままで。
(小倉弘子)で、一方長渕剛さん。また極端な感じの。
(蟹江一平)ストロングな感じですけども。
第二位:長渕剛
(マキタスポーツ)長渕さんはですね、明らかに歌い方が変わったんですよ。
(蟹江一平)初期と中期と後期で。
(マキタスポーツ)で、もう聞いて頂いてもいいかもしれないですけど。超有名な『乾杯』ってあるじゃないですか。じゃあ、初期型の『乾杯』を聞いていただきたいんですけど。
(マキタスポーツ)すごいプレーンですよね。
(小倉弘子)本当だ。やさしい。さだまさしさんもちょっと入っているかも。
(マキタスポーツ)(笑)
(小倉弘子)繊細。
(蟹江一平)清らかですよね。
(マキタスポーツ)ラジオ体操第一!みたいな感じですらありますよね。折り目正しい・・・
(小倉弘子)(笑)
(蟹江一平)そうですね。教育委員会がお好きそうな声ですよ。
(マキタスポーツ)で、なんかそういう、旧文部省歌みたいな感じの。で、みんなが歌える曲とか。っていう合唱曲としての意味合いもあったんだと思うんですよね。この曲って。で、見事にそれもハマッて、合唱曲にもなりましたし、送り出す時のセレモニーにぴったりな。そういう厳かな場にぴったりな歌だと思います。ところがこれもだんだんだんだん時を経てですね、長渕さん自体もどんどん進化していく。
(蟹江一平)うん。
(マキタスポーツ)で、90年代になった時にですね、だいぶ違うんですね。じゃあ、聞いていただきましょうか。
(蟹江一平)僕の記憶では、このバージョンです。
(マキタスポーツ)『舞台に立ぁち・・・♪』。これね、このバージョン終わり方とかも、『きぃみにぃ、幸せぇ、あーれぇぇぇー♪』っていうようなすごい・・・なんて言うんですか?やっぱり味付けが濃くなるんですよ。
(蟹江一平)そうですね。ブルージーに突如なったような印象が。
(マキタスポーツ)声をちょっと奥の方でしわがらせたような。独特のしゃくり方とかをね、するようになってくる。
(蟹江一平)あえて潰したような印象すら持ちますね。
(マキタスポーツ)ご本人もおっしゃっているようにですね、なんか自分の声って放っておくときれいな声になっちゃうのを、汚したいらしくてですね。そういうちゃんとアプローチというか、苦労してですね、声を変質させたりとかしていってるんですって。
(蟹江一平)汚していったわけですね。
(マキタスポーツ)で、長渕さんという方はですね、いろいろな、何期かに分かれているんですけど。やっぱりその、デビューしたての頃からだいぶ・・・いまは体も鍛えあげてね、だいぶ変化しているわけじゃないですか。
(蟹江一平)マッチョな印象ありますよ。
(マキタスポーツ)その都度、目指すべき何か像があるんでしょうか。いろんなものとかを吸収していきながら、長渕剛でしかないものを作り上げていくところがすごいんですけど。だからなんて言うかね、アプローチはモノマネ的に入るんですよ。で、出典みたいなものがあると思うんですよ。たとえば、ブルース・スプリングスティーンだったり、ニール・ヤングだったりとかですね。そういう海外のアーティストとかの影響を受けながら、でも、吉田拓郎さんとかにも影響を受けていたわけですよ。もともと。
(蟹江一平)うーん。フォークソング。
(マキタスポーツ)で、そういう吉田拓郎さんとかの名残とかを残している時代から、そういう洋楽のエッセンスとかもだいぶ入って、サウンド自体も変わってくる。あと、ファッションとかの嗜好性もだいぶ変わってくる。で、その都度なにかインストールしてくるんですね。なにか出典から入れていって、長渕剛でしかないものとかの像を作り上げていく。
(蟹江一平)うーん!
(マキタスポーツ)で、みんなが歌えるものから、長渕剛さんでしか歌えないものとかっていう形になっていった、『乾杯』っていうのはひとつの好例かなと思います。
(小倉弘子)はー!
(蟹江一平)このバージョン以降、ニューバージョンは?
(マキタスポーツ)まあ、その都度、ライブとかでは進化はしていきますけども。これがいちばんわかりやすい例かな?と思いまして。
(蟹江一平)なるほど。
(小倉弘子)では、第一位の島津亜矢さん。
(蟹江一平)演歌歌手ですよ。
第一位:島津亜矢
(マキタスポーツ)これはですね、僕は勉強不足で。去年の紅白で初めて島津亜矢さんを見て、たまげたんですね。
(小倉弘子)たまげた?
(マキタスポーツ)もうね、あまりの歌唱力にびっくりしたんですね。
(蟹江一平)デビューから『歌唱力が高い』と言われてましたね。
(マキタスポーツ)だから、あとで僕、調べたんですけど。僕とほぼ同い年ぐらいの方なんですけど。デビューはもう10代の頃なんですよ。15、6才の頃にデビューされているんですけど。もう熊本の天才少女です。だったらしいです。で、もう僕らが知らなかっただけで、演歌界や歌謡ファンにとっては島津亜矢という歌い手がどんだけモンスター級の歌い手か?ってこととかはよく知られていたことだったらしいです。
(小倉弘子)へー!
(マキタスポーツ)ただ僕は、普段そんなつぶさにね、演歌界とかそういうのを見ているわけじゃなかったので。で、昨今の紅白って、見方を変えるとすごく混沌とした場じゃないですか。
(蟹江一平)カオス?
(マキタスポーツ)カオスじゃないですか。っていうのは、たとえばそこにはアイドルが出てたりとか。あるいは島津亜矢さんみたいな歌い手の方がいらっしゃったりとか。で、また聖子ちゃんがいたりとか。森進一さんが出てきたりとか。
(蟹江一平)マッチさんが復活したりとか。
(マキタスポーツ)そうそう。で、MISIAさんが別のところでやっていたりとか。もうとにかく、いろんなものが出ているわけですけど。それぞれのところの持ち場があって。そこでは一定の評価を得ている人が、その紅白という非常に時代錯誤も甚だしいですよ、悪く言えばですけど。だって、いまだに『紅勝て!白勝て!』って、おかしいじゃないですか?
(小倉弘子)たしかに(笑)。
(マキタスポーツ)でも、あれはひとつの様式美ですし。それをわかった上での、あの予定調和をみんな楽しむ場になっているんですけど。でも、僕遡って考えたらですね、一時は紅白離れって起こったと思うんですよ。紅白それ自体がもうイケてない、ダメだっていう。
(蟹江一平)いわゆるオワコン的なね。
(マキタスポーツ)オワコンになっていた時代もあったと思うんですけど。
(蟹江一平)ありましたね。見放されていた頃が。
(マキタスポーツ)そうなんですよ。だけどいまは僕は紅白っていう場はスマホ片手につっこみながら見るのが正しい見方だと思うんですよ。で、そのぐらい大ボケをかましてくれている場だと思うんですよ。
(蟹江一平)ド真剣ですしね。それが面白い。
(マキタスポーツ)そう。いまのネット民たちっていうのは、ツッコミなんで。心情的には。なにかそういう、ボケ的な案件がないか?と思いながら日々、生きているわけですよ。そういう時に、もう紅白なんてあれ、選挙で言ったら全国一区みたいな考え方ですから。
(小倉弘子)そうですね(笑)。たしかに。
(マキタスポーツ)で、そこにですよ、演歌界からのモンスターがこう、現れて。僕は『歌怪獣』って呼んでますけども。島津亜矢さんのことを。歌怪獣が現れて。そしてAKBも出てくる。だから、そこで行われている天下一武道会みたいな感じになっているんです。
(小倉弘子)はいはいはい。
(マキタスポーツ)で、そこで僕なんかは普段知らないから、島津亜矢さんっていうモンスターをそこで発見する喜びがあるわけですよ。で、見事に僕はハマッて。島津亜矢さん、びっくりしましてね。もう僕、完全に裏MVPですよ。NHKホールで生でやっていますけど。NHKホールという空間自体を鳴らしてましたよ、あの人。
(小倉弘子)はー!
(マキタスポーツ)あの人の声帯で。あとね、あの人のマイクの位置に僕はプライドを感じましたね。
(小倉弘子)マイク?
(マキタスポーツ)近くないんですよ。ちょっと離し気味なんですよ。で、一定の距離を保っているんですよ。
(蟹江一平)和田アキ子さんみたいに、伸ばしたりしないんですか?
(マキタスポーツ)伸ばしたりとかしないんです。一定のところでやりながら、歌の強弱とかですね、歌の高低差もあると思うんですよ。高低、強弱とかですね、いろいろ立体的に声質を楽器的にいろいろですね、鳴らしながらですね・・・
(小倉弘子)はー!マイク位置を変えずに?
(マキタスポーツ)マイク位置を変えてすにですね。
(蟹江一平)エフェクターがあるように?
(マキタスポーツ)そう!エフェクターがあるかのようにですね。で、『帰らんちゃよか』って一発目のと、二発目の『帰らんちゃよかぁ!』っていうのが、歌い方が違ったりとかするんですけど。その抑揚の付け方と、その声の物語性がもう、ずば抜けてすごくて。
(小倉弘子)へー!
(マキタスポーツ)で、いま、あれはもう歌怪獣。島津亜矢さんっていうのは僕、『声帯のシルク・ドゥ・ソレイユ』って。
(小倉弘子)声帯のシルク・ドゥ・ソレイユ!?(笑)。
(マキタスポーツ)あれだけの身体技をですね、見る喜びっていうのはいま、ネットとかそういうのが普及してですね、肉体性がなくなっていく一方で、もう一方ですごい、たとえば初音ミクとかみたいな、ボーカロイドみたいなものがある・・・
(蟹江一平)うんうん。架空のね。
(マキタスポーツ)そう。架空のものとかもある。だけど一方で、島津亜矢さんみたいな、そういう歌怪獣を。生身の歌怪獣もいるっていう。両方見れる時代。で、やっぱりその声帯のシルク・ドゥ・ソレイユぶりをですね、いま見ないで、感じないでどうするんだ!?っていうのを、僕は声を大にして言いたい。
(小倉弘子)私、見てなかった。
(蟹江一平)ちなみに、一節歌えるんですか?島津さんを。
(マキタスポーツ)僕ですか?いやー、ちょっとね・・・『心配せんでよか・・・心配せんでよかぁー♪』。二発目がちょっとダメだったね(笑)。
(小倉弘子)(笑)
(蟹江一平)いやいや、ニュアンス伝わりましたよ。微妙に変わってましたね。素晴らしい。
(マキタスポーツ)二発目がちょっと・・・
<書き起こしおわり>