マキタスポーツさんがTBSラジオ『東京ポッド許可局』の中でフリッパーズ・ギターの『恋とマシンガン』を紹介。その革新性について話していました。
(サンキュータツオ)ここで1曲。今週はマキタ局員の選曲です。
(マキタスポーツ)『予備校ブギ』というドラマがありましてね。
(プチ鹿島)あったー!
(サンキュータツオ)あった! 的場浩司さん、出てました?
(マキタスポーツ)『ブギ三部作』っていうのがあって。
(サンキュータツオ)『ADブギ』とかね。あったあった。
(マキタスポーツ)そうですね。で、織田裕二さん、的場浩司さんとかが出てらして。我々の青春時代にやっていたドラマですよ。この主題歌がフリッパーズ・ギターという人たちだったんですね。『恋とマシンガン』という曲、聞いてください。
Flipper’s Guitar『恋とマシンガン』
(マキタスポーツ)さあ、聞いていただきました。『恋とマシンガン』。フリッパーズ・ギターでございました。
(プチ鹿島)いい曲だー。
(サンキュータツオ)聞いたことある。
(マキタスポーツ)これ、最近復活しました小沢健二さんが在籍したユニットで、小山田圭吾さんという方とのユニットでやっていたんですけども。1989年にインディー盤でデビューして、その世界ですごく有名になり。で、全盛期というもので言うと、フリッパーズ・ギターが世の中に知られたのはこの『恋とマシンガン』。で、テレビドラマとのタイアップもあって有名になったんですけど、ほどなく解散をしてしまうわけですね。
(サンキュータツオ)ふんふん。
(マキタスポーツ)で、活動期間自体はすごく短くて。その後に小沢健二さんはビッグネームになるし、小山田圭吾さんも小山田圭吾さんとして、Cornelius(コーネリアス)っていう名前で活動していくことになって。
(サンキュータツオ)知ってる、知ってる。コーネリアス、大好き。
(マキタスポーツ)で、デビュー当時はおしゃれすぎて、一部の人にしか知られていなくて。っていうのは、英語の歌ばっかりだったんですよ。で、おしゃれすぎて、俺も目一杯背伸びして聞こうと思ったんですけど……田舎から出てきた山梨出身の僕としては、ちょっとついていけないところがあって。で、ようやく日本語で歌ってくれた曲が『恋とマシンガン』ぐらいの印象でしたね。
(サンキュータツオ)ああー。
(マキタスポーツ)これ、後々にいろいろとわかってくると、いかにこの人たちが編集をして曲を作っていたかっていうことが……つまり、元ネタだらけなんです。それを確信犯でやっているというので。その手つきとかが鮮やかに、当時の先端的なサンプリング的な解釈と言いましょうか。世界的に見ても、こういうシャレオツなことをこれだけの手つきでやっていた人たちっていうのはね、実はいなかったと思うんですよ。
(サンキュータツオ)へー。
(マキタスポーツ)レベルの高いことを実はやっていたんです。
(サンキュータツオ)どういうアーティストのサンプリングなんですか?
(マキタスポーツ)まあ、たとえば昔の映画のサントラ盤とか。この曲なんかもそうですけど。ジャズとか、そういったものから引用したりして。出だしのイントロ、「ダーダダーダダッ♪」って、あれなんかもほぼ、『黄金の七人』っていうやつがあるんですけど。そこから持ってきているやつなんですけど。
(マキタスポーツ)それをもう、わざとやっているんですよ。で、わざとやっているということとかを公言してはばからなかった人たち。
(サンキュータツオ)ふーん!
(マキタスポーツ)それ以前のアーティストはね、引用元っていうのはあったとしても言わないということが美徳だったと思うんですけどもね。しかも、小山田圭吾さんが実はこのサウンドプロダクション、すごく影響が強くて。小沢健二さんよりもそういうこととかを実はやっていた人なんですよね。だからフリッパーズ・ギター、いろいろな切り口があるんですけど。なんか、まあ2人のそういう天才が織りなしたグループだった。そんなものが、ゴールデンタイムのドラマに音楽として使われていたという、ちょっと幸せな時代だったんじゃないかな? ということを。
(サンキュータツオ)結構じゃあ、いまの文脈で言うと同人っぽい活動をしていた人なんですか?
(マキタスポーツ)もちろんです。
(サンキュータツオ)公式のど真ん中に入ったということだね。
(マキタスポーツ)そういうことです。もう、まさにその通りですね。
(サンキュータツオ)へー! おもしろ!
(マキタスポーツ)はい。
<書き起こしおわり>