ジェーン・スー 中年の断捨離を語る

ジェーン・スー 中年の断捨離を語る たまむすび

ジェーン・スーさんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。『中年と断捨離』というテーマでお話をしていました。

(ジェーン・スー)今回、私、『中年と断捨離』というテーマで持ってきたんですけども。これ、話すことがたくさんあるんで。サクサクいきましょう。

(赤江珠緒)わかりました(笑)。

(ジェーン・スー)まあ、いつからでしょうかね?『断捨離』という言葉、流行りだしましたね。2010年の流行語大賞の候補だったそうです。この言葉。

(赤江珠緒)2010年ですか?もうそんな前?

(ジェーン・スー)結構もうね、時間たっているんですよ。物を持たないことが尊ばれております。しかし、中年にとってはもうね、いつの間にか物が増えていく。家中に物だらけじゃないですか。右の物を左にやって、『これは断捨離とは言わない』っていうのを、物が減らないことで気づくわけです。

(赤江珠緒)はい。

(ジェーン・スー)片付かないことを痛感する中年の毎日で、人はどう断捨離と向き合って行くのか?半径5メートルを調べてまいりました。そもそも、断捨離とは何か?おさらいいたしましょう。『断:入ってくるいらない物を断つ』。『捨:家にずっとあるいらない物を捨てる』。『離:物への執着から離れる』。

(赤江珠緒)ほー!

(ジェーン・スー)ということだそうで。もともと、やましたひでこさんという方がこの言葉の生みの親で。いろいろと断捨離コンサルティングなんかもやってらっしゃるそうなんですけども。物を捨てるというよりも、物への執着を捨てることが最大のコンセプトだということで、身の回りをきれいにすると、心もストレスから開放されてすっきりするということらしいんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(ジェーン・スー)必要のない物とか使わない物を手放すと、本当に必要な物、本当に価値のある物がさらに浮かび上がってくる。耳に気持ちのいい言葉ですよね?『本当の』とか言うと。

(赤江珠緒)うんうん。そうですね。『本当に』。はいはい。

物を持たない生活本

(ジェーン・スー)2014年に発売された本がございました。これが去年、めちゃくちゃ売れましたね。『フランス人は10着しか服を持たない』。

(赤江珠緒)うん。買った買った。

(ジェーン・スー)買いました?やりました?

(赤江珠緒)やってはない(笑)。

(ジェーン・スー)(笑)

(博多大吉)いやいやいや。

(赤江珠緒)やってはないけど、読んだ。読んだ。

(ジェーン・スー)なるほど。そして、この本なんとですね、去年の調べだと『火花』の次に売れてるんですよ。この本。

(赤江珠緒)そうですか!

(ジェーン・スー)激売れですよ。

(博多大吉)2014年の本なのに?へー!

(ジェーン・スー)で、著者はアメリカ人の人で、フランス人の家庭にホームステイしたら、間食をしない、食事を十分に楽しんで、上質なものを少しだけ持ち、大切に使う。日常の中にささやかな喜びを見つける。

(赤江珠緒)この、『ていねいに生きている』っていう感じがね。

(ジェーン・スー)『ていねい』。平仮名の感じですよね。

(赤江珠緒)ねえ!はいはい。憧れますね。

(ジェーン・スー)そして2010年に発売された本がいまだにベストセラーというのもございました。こんまりこと近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』。

(赤江珠緒)買った買った(笑)。

(ジェーン・スー)買いました?おっ!買うねえ!物、増えてってるねえ!家の中に。

(赤江珠緒)(笑)

(ジェーン・スー)これ、海外でも大ベストセラーなんですって。

(赤江・大吉)へー!

(ジェーン・スー)この本は、心がときめく物だけを取っておいて、後は捨ててもいいという考え方で。実は、私も買いました。

(赤江珠緒)そうですか(笑)。

(ジェーン・スー)あのね、10ページしかまだ読んでないんで。このままだと、この本にときめかないまま積ん読になりかねないので。いけない、いけない。

(博多大吉)読んでも、捨てられないですか?読んでも片付かないの?赤江さんは。

(赤江珠緒)いや、読んで、たしかにちょっと片付けたんですよ。ただ、それ以上に入ってくるものが・・・

(博多大吉)だから『断』ができないのかな?

(赤江珠緒)『断』ができてなかったね。

(ジェーン・スー)断つのが難しいのかもしれないですね。入ってくるのを。

(博多大吉)意外と『捨』はね、もう思いきってやってるつもりなんでしょうけど。

(ジェーン・スー)買ってますもんね。ちょこちょこね。

(博多大吉)で、いただくしね。こういう仕事をしてると。

(ジェーン・スー)ああ、それもありますよね。いただきものもたくさんありますからね。

(博多大吉)世界中でこういう本が人気ってことは、人類の問題なのかね?

(ジェーン・スー)大命題かもしれません。もしかしたら、戦後の物のない、貧しい時代から、高度成長期の豊かな物の時代。とにかく、物があることが幸せっていう時代があったじゃないですか。で、日本はただ、国土が狭いわけですよ。で、とにかく家が狭いから、片付けたい。で、不景気なんで物が停滞してるっていう感じもあるのかもしれないですね。と、思ったら今度、すごいのが出てきまして。断捨離の究極的なライフスタイル。『ミニマリスト』。

(赤江・大吉)ほう。

(ジェーン・スー)ご存じですか、これ?なにがすごいってですね、某出版社の佐々木典士さんっていう男性の方なんですけど。とにかくいらないものを全部、身の回りから排除するんですって。最小限のものだけで暮らす。たとえば、クローゼットには1年間を通して服が6着のみ。

(赤江珠緒)ええーっ!?1年で6着?

(ジェーン・スー)寒い時には全部、6枚着るんでしょうね。これね。これを春夏秋冬、着回すと。

(赤江珠緒)はい。

(ジェーン・スー)ベッドも、よく考えたらマットレスがいらないっていうことで、マットレスも捨てる。

(博多大吉)マットレスがいらない!?

(ジェーン・スー)お部屋がね、映っているのが・・・この人、テレビとかにもよく出ているんで見たら、カーテンがないんですよ。

(赤江珠緒)カーテンは、いるでしょ!

(ジェーン・スー)カーテンは、ミニマリスト的にはいらないらしい。

(赤江珠緒)西日は?どうするの?

(ジェーン・スー)なんにもない部屋で、小さい机のところでお茶を飲んでました。もうね、ドヤ街の簡易宿泊所より物がないんですよ。本当に。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)それでも、いいんだ?

(ジェーン・スー)物をなくすことによって、人と自分を比べなくなったと。持てば持つほど、もっとほしい!というのがなくなったっていうことらしいんですよ。

(赤江珠緒)そうか。あと、片付けは楽ですしね。

(ジェーン・スー)そうなんですよね。

(赤江珠緒)なんか昔の時代劇とかのお部屋を見ていると、楽そうだなと思いますもんね(笑)。

(博多大吉)いや、でも楽しくないですって。なんもないですよ。あそこ。

(赤江珠緒)サッサッサッてはいたら掃除終わり!みたいな。

(博多大吉)たとえば新しいブルーレイレコーダーを買っても、1週間後にまた新商品が出たら、『うわっ、1週間待てばよかった』と思うのと同時に、どうせまた1、2年後、もっと機能がいいやつをほしくなるから。

(ジェーン・スー)コンピューターがそれでしたね。

(博多大吉)パソコン、そうですね。

(ジェーン・スー)パソコン、あんなの1回買ったら一生モンだと思ったら、どんどん使えなくなっていって。まだ動くのにさ、なんかスピードがどうとかって言って。

(赤江珠緒)そうですよね。

(博多大吉)何ギガ入るとか。よう考えたら俺、なんも写真撮らんっていう・・・

(ジェーン・スー)ありますね(笑)。どうやら断捨離というのは物を持たないことで、新しい精神状態と、新しい価値観。このふたつを手に入れることが最終目的のようです。お二人、2015年、大掃除いかがでした?

(博多大吉)だいぶ捨てました。僕は。洋服を。

(ジェーン・スー)洋服。でも、ウルトラマンの・・・

(博多大吉)ウルトラマンは残しです。

(ジェーン・スー)あ、ウルトラマンはときめくから。

(博多大吉)ノーウルトラマンのやつはダーッ!と捨てて。それでもまだ、終わってないですね。

(ジェーン・スー)パッと見たら、今日もウルトラマンですね(笑)。

(博多大吉)いや、今日は仮面ライダー。

(赤江珠緒)仮面ライダー(笑)。なるほど。先生、基準が・・・(笑)。

(博多大吉)仮面ライダーパーカーの下は仮面ライダーTシャツ。今日はライダーで来ました。

(赤江珠緒)うじゃうじゃ仮面ライダーがいるんですね(笑)。

(博多大吉)ずっとウルトラマンで来てたんで、そろそろ・・・

(ジェーン・スー)じゃあ、こういうのは取っておいて、そうじゃないものはかなり?

(博多大吉)は、捨ててるんですけど。正直、まあヨレヨレになったウルトラマンとかあるんですよ。でもね、これはほら、衣服である前にウルトラマンですから。

(ジェーン・スー)そうですよね。ときめいちゃうから。

(博多大吉)ときめいちゃうんですよ。うーん。

(ジェーン・スー)手にとった時にときめく物はいいみたいですよ。取っておいて。あと、ねえ。中年より若い人たちにとっては、結構そういうのが普通になってきたりしているらしいんですけど。まあ、私たちにとってはですよ、さっきも言ったように高度成長期の時代に働いていた親を持つような世代にとってはですね、『もったいない』。これですよ。

(赤江珠緒)(笑)

もったいない

(ジェーン・スー)環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性のワンガリ・マータイさん。このマータイさんが2005年の来日の際に感銘を受けたのが『もったいない』という日本語。リデュース、リユース、リサイクル。つまり、ゴミを削減し、再利用し、再資源化をするという環境活動の3R。これプラス、それに対する敬意。イコール、もったいない。この美しい日本語を環境を守る世界共通語『MOTTAINAI』として広めることを提唱しました。

(博多大吉)はい。

(ジェーン・スー)もったいなくて捨てられないですよ。ねえ。まさにおっしゃる通り。いつものように半径5メートルの人たちに、じゃあ何が捨てられないんだ?と聞いてみたらですね、断捨離、いろいろやってみたけど、完璧にできたことはないという、お二人と同じように。完璧に納得のいくまで捨てられたことがあるという人は1人もいませんでした。

(赤江珠緒)はー。

(ジェーン・スー)やっぱりみんな、どうにも捨てきれない。で、大量の服を捨てたという方も多かったんですけど、結局リサイクルに出そうと思っても、どこに出していいのかわからずに捨てちゃったとか。あとは、昔の雑誌が捨てられない。

(博多大吉)捨てられない!どうしましょう?

(ジェーン・スー)これね・・・で、男性の方なんですけど。40才の。なぜ、捨てられないか?っていうと、当時はただの雑誌だったんだけど、後から読み返すと、一般人としていま有名人の人が出ているとか。『あ、あのお店!あったあった!』とか。いま有名な作家さんが結構ライターさんとして活動しているとか。そういう歴史的検証物としてね、すごく価値がある。

(赤江珠緒)へー!

(ジェーン・スー)私も、親にものすごい怒られて、『Olive』を100冊ぐらい捨てたんですよ。昔。

(赤江珠緒)『Olive』ね!はい。

(ジェーン・スー)だけど当時は、宮沢りえと後藤久美子が並んで写っていたキットカットの広告っていうのが乗っていて。あれだけでも取っておけばよかったな!っていう。

(赤江珠緒)うん。ま、まあ、そうですね(笑)。

(博多大吉)そういうことがあるから、僕も雑誌、めっちゃ取ってあるんですけど。ちょっと取材していただいた。もう1ページのうちの16分の1ぐらいしか載っていなくても、他がいつか価値を生むのではないか?と思ったら、捨てられないっすよ。大量にあります!

(ジェーン・スー)何系の雑誌が多いですか?

(博多大吉)もう、全部系です。

(ジェーン・スー)全部系(笑)。本屋系だ。

(博多大吉)ジャンプでもマガジンでもNon-noでも男性誌でも。僕、あらゆるジャンルの・・・取材されたやつですよ?あれは取っていますね。

(ジェーン・スー)そこだけ切り取るんじゃないですか?

(赤江珠緒)そうそうそう。

(博多大吉)他に価値が出そうな気がして。

(ジェーン・スー)(笑)

(赤江珠緒)へー!私はね、切り取って、表紙だけと一緒に入れてる。

(博多大吉)ほー!断捨離してますね。

(赤江珠緒)そうしないと、もう、どうにもならない。

(博多大吉)わかります。わかります。

(ジェーン・スー)まあ、私たち話していることは結局、捨てるタイミングと捨てる基準がわからないんですよね。

(博多大吉)そう。基準がわからない。

(ジェーン・スー)どこのタイミングでどういう基準で捨てればいいのか?と。だってさ、使えるか?使えないか?で言ったら、使えるんですよ。

(赤江珠緒)そうですよ。それで言うと、モロゾフのプリンの瓶なんて・・・

(ジェーン・スー)あ、もうヤバい!超ヤバい!

(赤江珠緒)あれ、すごい使えるし。1回で捨てるにはちょっと、とんでもなくいい出来なんですけどもね。

(ジェーン・スー)そうですよね。でも、あれで何をするんだ?っていう・・・

(赤江珠緒)そう。たしかに(笑)。

(博多大吉)いやいや、可能性は無限大ですよ。

(ジェーン・スー)で、消耗品はね、結構捨てられるからいいんですけど。食器などはさっきおっしゃった通り、割れでもしない限り、捨てられないじゃないですか。あとね、ヤバいのが経年劣化を絶対にしない籐の籠。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)捨てられない!あれ、なんだろう?あれ。

(ジェーン・スー)籐のちっちゃい籠。花とか、あれでもらうじゃないですか。

(赤江珠緒)ああー!ああー!なるほど!

(ジェーン・スー)で、なにかに使おうと思っているんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですよ。1回きりではあまりにももったいないぐらい、出来がいいんですよ。日本のね、そういうのは。

(ジェーン・スー)結局ね、こんまりさんは『ときめく物だけを残せ』と言うけれども、40年も生きていると、ときめき以外にも手放せないものがたくさんあるわけです。

(博多大吉)ありますね。

ときめき以外に捨てられないもの

(ジェーン・スー)でね、具体的に何が捨てられないか?を聞いてきました。子供の頃に遊んだぬいぐるみ。私、今日持ってきました。自分の。ヤバいウサギ。

(赤江珠緒)わー!あら・・・手作りですか?

(博多大吉)ミッフィーっぽい?

(ジェーン・スー)ミッフィーではないんですけど。まあ、完全にパクリミッフィーみたいな感じなんですけど。目がもう既にね、糸が取れていて。口も取れていて。あと、上半身が裸になっているっていう。

(赤江珠緒)そうですね。うん。

(博多大吉)あ、洋服を着てたんですか?

(ジェーン・スー)そうですね。洋服を着ていたのか、他のところから洋服を着させて下半身だけプロレスラーみたいになっているのか・・・

(博多大吉)スーさん、でもこれは捨てちゃダメなやつ。これは持っておかなきゃいけないなやつ。

(ジェーン・スー)実はね、もう1個、熊もあったんですけど。それは鼻が取れて完全にホラーだったので。これは今日、ちょっと持ってこれないなと思って持ってこなかったんです。

(赤江珠緒)なんかちょっとビンテージの不揃い感が手作りっぽい感じで。

(ジェーン・スー)あのね、ウサギの耳が曲がっているんですけど、これ、曲がった耳をのばしたら、確実に反対の耳より長いっていうね。不格好な・・・

(博多大吉)いや、だから我々にとってね、いるか?いらないか?で言ったら、いらない。これはいらないですけど、スーさんにとってはこれはもう。スーさんしかこれ、いらないですから。逆に言うと。これ、捨てちゃダメなやつ。

(ジェーン・スー)ありがとうございます。あとはですね、昔の恋人からもらった手紙。人の顔が印刷された年賀状。あと、昔の仕事の資料。なんか、がんばった!っていう時の。ネタ帳とかって、どうするんですか?

(博多大吉)ネタとかは意外と残っていないんですけど。あの、僕は台本が残ってますね。呼んでもらった台本。

(ジェーン・スー)ああー。これも捨てられないですね。

(博多大吉)この番組・・・って。記念で段ボール3箱ぐらいあるんじゃないかな?

(赤江珠緒)うわー!

(博多大吉)もう、捨てられないっす。

(ジェーン・スー)あと、番組でもありましたけど大量のVHS。

(博多大吉)テープね。

(ジェーン・スー)セレモニー好きな人がおりまして。オリンピックの開会式がものすごく好きと。だからバルセロナとか何から、全部とってあって。見もしないんだけど、いつか見るかもしれない。

(博多大吉)そう。だってああいうのって、DVDにならないですよね。

(ジェーン・スー)で、いつか見る日のために、ビデオデッキも捨てられないんですって。ダブルで捨てられない。あとですね、『ああ、なるほど。結婚するとこういうことがあるのか』と思ったのが、義母からのいただき物。『あれ、どうなさったの?』って言われた時にね・・・

(赤江珠緒)はー!そりゃそうですね。そりゃ捨てられないわ。

(ジェーン・スー)あとね、お子さんがいる方はこういうことがあるんでしょう。親から見ると天才にしか見えない子供の落書き。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)あれね、捨てられないでしょう。

(ジェーン・スー)あと、女性がよくあるのがメイクアップ用の化粧品。

(赤江珠緒)あ、これも意外と使い切らないですからね。最後まで使い切ること、ないから。

(ジェーン・スー)20年前のチークとか、ありますよ。

(赤江珠緒)それはやめた方がいいと思うけど(笑)。

(博多大吉)捨てないんですか?

(ジェーン・スー)だって、まだ使えるじゃないですか。

(赤江珠緒)使える。たしかに使える。

(博多大吉)使えるんなら、じゃあ・・・

(ジェーン・スー)そうですよね。あと、『いつか』系。いつか勉強しようと思っている英語の教材。ありますよね?

(赤江珠緒)あるある!

(ジェーン・スー)あと、歴代のメガネ。

(赤江・大吉)(笑)

(ジェーン・スー)捨ててもいいんだけど、苦楽を共にした記憶があるので何となく。あと、ノートパソコン。これはですね、データ消去ソフトを買って、後処理をしないと行けないのはわかっているのに、ソフトをいまだ買っておらず、捨てられないと。

(赤江珠緒)うん。

(博多大吉)いや、パソコンとか携帯は捨てられないですよね。

(ジェーン・スー)捨てられないですよね。私も携帯、全部取ってありますわ。

(赤江珠緒)えっ、全部?

(ジェーン・スー)だってどこに捨てるんですか?携帯って。

(赤江珠緒)なんか返却した。お店に持っていって。

(博多大吉)へー。いや、もう僕は全部取ってありますね。

(ジェーン・スー)卒業アルバム、文集。

(博多大吉)これは捨てちゃダメ。

(赤江珠緒)これはそうですね。置いていていいと思いますね。

(ジェーン・スー)あとですね、パワーストーンのブレスレット。確実に燃えない。でも、神社や寺でお焚き上げをしてくれるかもわからないっていう。

(赤江珠緒)(笑)。どうしたらいいんだろうね?たしかに、こういうのって。

(ジェーン・スー)気持ちとしてちょっとわかるのは、ホテルや高級ブランドの紙袋。ショッパーっていうやつですね。『シャネル』っていう紙袋とか。

(赤江珠緒)ああいうのはでも、使えるんじゃないです?

(ジェーン・スー)何かあげたりする時にちょっと使いますよね。あとですね、レストアして乗ろうと思い、一時抹消だけしてあるポンコツ自動車とか。

(博多大吉)ああー、面倒くさいな、それは。いつか修理してもう一度っていう。

(ジェーン・スー)もう1回乗ろう。『いつか』系ですよね。捨てられないもの、まとめると、私のぬいぐるみのように、思い出懐かし系統。あと、英語の教材のように、未来の自分が使うかも系統。あとですね、パソコンのように、捨てる処理が面倒。もしくは、捨て方がわからない。あとは、人からのいただき物。4つの系統に分けられましたね。お二人、何が捨てられないですか?

(博多大吉)僕は思い出懐かし系に、未来の自分が使うかもですね。これが合わさっている感じです。

(ジェーン・スー)そうか。雑誌もそうですもんね。

(博多大吉)雑誌もそう。僕ね、中学時代にMSXっていうわけのわからん、おもちゃパソコンみたいなのを買った時のMSXマガジンっていう本をすごく、実家に取っておいたんですよ。それを30年ぶりぐらいに読んだ時のあの喜びっていうか。なんか、自作自演のタイムカプセルみたいな。

(赤江珠緒)ああー。

(ジェーン・スー)『取っておいてよかったな』っていうのはあったんですね。

(博多大吉)あったんです。だから、今年45なんで。75。30年後に自分が喜べるように。取っておかなきゃいけない!っていう気持ちはちょっとあるんで。

(ジェーン・スー)まあ、どんどん増えていきますからね。どうするか?ですよね。

(博多大吉)赤江さんは?

(赤江珠緒)私ね、結構転勤族だったんで。そのたびに結構減らしておかないと、次の家の器がまた変わってくるわけですよ。それでだいぶ減らして捨てて・・・っていうことをやっていたんですけど。最近、ちょっと引っ越してないんで。溜まっていってますね。これ、いただき物系。親から送られてきた、カーペットみたいな。

(ジェーン・スー)カーペット?

(赤江珠緒)なんか、夏に敷けばいいんじゃない?みたいな。

(ジェーン・スー)はいはい。ラグみたいなものですね。

(赤江珠緒)でもちょっと部屋と合わないけど、捨てるわけにもいかないと思って。天袋に置いて・・・とかね。どうしよう?みたいな。

(ジェーン・スー)天袋にラグはいらないよね。

(赤江珠緒)(笑)。ありますね。

(ジェーン・スー)あとですね、捨てて後悔したものっていうのも。やりすぎ断捨離っていうのもありますからね。

(博多大吉)そう!それが聞きたい。

(ジェーン・スー)これはなかなか、いろいろありました。搾乳機。バザーに出した後、第二子を妊娠。あったら便利だったのに・・・と公開。

(博多大吉)あ、『思い出がどうの』じゃないんだ。

(ジェーン・スー)あと、同じようにですね、子供の行事に必要な学校のユニフォームとかですね。2人目の時にめちゃくちゃ必要だったのに、1人目の時に捨ててしまったっていう。この子供2人目問題。あとはですね、自分が出たテレビ番組のVHS。学生の時にいわゆる素人参加型テレビみたいなのに出て、松崎しげるさんに即興で歌を歌ってもらったんですって。

(赤江珠緒)すごい。

(ジェーン・スー)で、そんなのってぜったいに宝物なのに、なんとなく当時、恥ずかしくて捨てちゃって。

(博多大吉)もう忘れたいと。取っておけばね・・・

(ジェーン・スー)あとですね、結婚を機に、いままで2千冊以上あった漫画や本を捨てました。いまでは廃刊や廃盤になったものが多く、買い戻すのは中古屋で探しても難しいと。

(赤江珠緒)これ、そう。手に入らないよね。

(ジェーン・スー)なんか、『もう1回買い戻せばいい』ってよくいろんな本に書いてありますけども。ないんですよね。

(赤江珠緒)ないんですね。

(博多大吉)雑誌はあんまないですもんね。

(ジェーン・スー)あと、これ男の子だなと思ったのが、カルビーのプロ野球選手カード。選手にもよりますが、プレミアがついたりもしていると。あと、ラジカセ。いま、ブームが再燃してるので、置いておけばよかったなと。いま、ラジカセなかなかないですもんね。

(赤江珠緒)うん。

(ジェーン・スー)あとはですね、CDやDVD。興味が失せたので捨てたんだけども、また気持ちが再燃してくると。

(博多大吉)はあ・・・

(ジェーン・スー)悩ましいお顔されてますね。大吉先生。

(博多大吉)いやいや、そうね。僕もCD、DVDは一切捨てないですけど。いつかそういう日がやっぱり来るんでしょうね。

(ジェーン・スー)まあ、だから捨てる時がわからないし、使いまわせたのに・・・とか、思い出に浸りたかったのに・・・とか。捨てた後にプレミアの価値がついたとかね。いろいろ、捨てた後に後悔っていうのはあるようなんですけども。ここで、私がみなさんに提言したいのは、『断捨離は自らを洗脳してからでないと精神が危ない』。

(赤江珠緒)ほう。

断捨離は自らを洗脳してからでないと精神が危ない

(ジェーン・スー)これ、私ですね、よんどころない事情で実家を自主一家離散したことがあるんですよ。自主的に。実家を完全撤収っていうのをしたことがありまして。正直ですね、7トントラック10台分ぐらい捨てました。

(赤江珠緒)うーわー!そうですか。

(博多大吉)7トンの10は相当ですよ。

(ジェーン・スー)70リットルのゴミ袋をもう何袋買っても足りない。で、あと業者に来てもらって、トラックに乗せて・・・ってやったんですけど。まあね、非常に精神が削られるんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですか。

(ジェーン・スー)やっぱり自分の身の回りに昨日まであったものっていうのを捨てなきゃいけないわけで。だって、次のところに持っていけないから。で、まだ使える。思い出がある。あと、複数個あるので、ひとつ残して後は捨てろみたいなものが。あと、世間的には価値があるんだが、私にはわからないけど・・・みたいなものを、通常のメンタルのままどんどん捨てていくと、本当にやられます。これ、ご実家のご両親がまだご健在で、いつか片付けなきゃみたいな方。本当にいまから少しずつやっておかないと、こっちがヤバい!

(赤江珠緒)へー!

(博多大吉)一気にはできない?これ。

(ジェーン・スー)できないです。私、これ、当時の8月の土日全部使ってやったんですけど。後半、もうメタメタで。しばらくはですね、清掃車が来た時のバキバキバキッ!って音、あるじゃないですか?あれがもう、本当にダメになっちゃって。あの音がすると、他の部屋に行って耳をふさいでいるっていうぐらい。だから、病気じゃねえか?っていう話なんですけど。そこまで行きまして。

(赤江珠緒)うん。

(ジェーン・スー)晴れ晴れとした気持ちとはもう、程遠かったです。いまだにやっぱり清掃車の音は苦手ですね。

(赤江珠緒)いや、でもそうかもしれないね。

(博多大吉)これ、いくつぐらいの時?

(ジェーン・スー)35とか4ぐらい。

(博多大吉)まあでも言っても、まだ若いですもんね。これ、40後半からこの作業は・・・ヤバい。実家、大丈夫かな?

(ジェーン・スー)で、母親が先に死んでるんで。生きている人間のいらないものはどんどん捨てられるんですよ。むしろ、『お父さん、捨ててよ!』みたいになるんですけど。死んだ母親の物がぜんぜん捨てられなくて。いまだに、母が死んで18年ですけど。段ボール20箱ぐらいの母親の物があります。で、洋服とかもサイズが合わないから着れるわけないんだけど。まあ、着てたのを覚えているし・・・みたいなことで。

(赤江珠緒)うーん・・・

(ジェーン・スー)いちばん大事なのは、とにかく断捨離マインドみたいなのにまず自分をする。やむを得ない事情で始めるんじゃなくて、捨てることは素晴らしいことです!っていう風に自分を洗脳してからじゃないと、かなり中年にとっては厳しいと思いますよ。

(赤江珠緒)うわー!厳しいですね。たしかにね。

(ジェーン・スー)まあ、だからおっしゃる通り、さっきの赤江さんじゃないんですけど。物を増やさないために、もらわない。買わない。人にすぐあげるとかね。増やさない。『断』ですよね。

(博多大吉)そもそもの、シャットアウトからやっておかないと。

(ジェーン・スー)鎖国!物の鎖国から始めましょう。みなさん。

(赤江珠緒)そうかー。いや、でもずーっと乗っていた自転車がね、本当に気に入っていたんで。もう請われて捨てなきゃいけない時に、サドルのところだけはと思って。いまだにありますよ(笑)。

(ジェーン・スー)えっ?何やってんの?サドルって座るところですよ?

(赤江珠緒)あ、サドルは座るところだ(笑)。

(ジェーン・スー)ちょっとそれ、変態じゃないですか?サドルを取っておいたら(笑)。

(赤江珠緒)サドルじゃないわ。ハンドル部分のブレーキの・・・

(ジェーン・スー)あっ、あそこだけ取ってあるんですか?

(博多大吉)そこ、なんかチリンチリンじゃダメでした?せめて、コンパクトにすれば・・・

(ジェーン・スー)たしかに(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。そういうのとかね、いつか捨てなきゃいけないもんな。うーん。

(ジェーン・スー)まとめますと、断捨離とは捨てることによって手に入る豊かな生活。しかし、それ以前に必要なのは捨てることで自分はかならず幸せになる!というセルフ洗脳だと私は思います。物の量が豊かさの象徴だった親世代に育てられた中年にとって、いきなり捨て始めるのは負荷がかかりすぎます。その前に、じっくりと時間をかけて自分の価値観を変えていった方が成功率は高いのでは?と感じます。

(博多大吉)それはもう、スーさんが経験上。

(ジェーン・スー)本当に要注意でございます。

(博多大吉)『いろんな本が出てるから、いざとなれば、いい大人なんだから。断捨離ができる』と。そういう姿勢が危ないってことですね?

(ジェーン・スー)そうです。

(赤江珠緒)そうですね。たかをくくっているところがありますけど。

(ジェーン・スー)一気にやらなきゃいけない時は、削られます。

(赤江珠緒)はい。わかりました。いやー、ためになりました。スーさん、次回は2月10日、水曜日ということになります。

(ジェーン・スー)はい。ありがとうございました。

(赤江・大吉)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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