ジェーン・スーが語る中年の食の現実 口より先に胃が音を上げる

たまむすび

ジェーン・スーさんがTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』の中で、中年になってからの食事の現実について語っていました。

(赤江珠緒)今週はですね、『中年の食』ということなんですけども。

(ジェーン・スー)はい。ちょっと私、渾身のレポートをさせていただきたいんですけど。『中年の食。そしてたどり着く最終地点とは?』ということで。中年になりますと、食の好みがどんどん変わってまいりますよね。

(赤江珠緒)それ、よく聞きますね。

(博多大吉)本当に変わりますね。もう身にしみます。これは。

(ジェーン・スー)赤江さん、まだギリギリ、ヤング層。

(赤江珠緒)あ、そうですね。ギリギリ。股にかけてるぐらい。両股っていう感じですけど。肉がちょっとね。量が。もう200グラム超えはキツくなりましたね。

(ジェーン・スー)わかります。わかります。そういう風に食の好みが変わると言われますが、懐が年齢を重ねるにつれて暖かくなったからといって、良い物を食べるようになったというような気取った話ではないんではないか?ということを私は提言したいんです。

(赤江珠緒)ええ。

(ジェーン・スー)冷たいものをガブガブ飲む姿を横目に、しかめっ面をしていた当時の母親の姿。まぶたに浮かびますよね。もう、まさか自分も冷たい飲み物をガブガブ飲めなくなる日が来るとは!

(赤江珠緒)あ、そうですか!

(ジェーン・スー)飲めません、もう。ビバ常温!

(赤江珠緒)あ、本当?氷入れない?

(ジェーン・スー)もうね、今どきね、ヨーグルトも常温です。私。

(赤江珠緒)(笑)。いや、ヨーグルトは冷えてた方が・・・

(ジェーン・スー)いや、買ってきたヨーグルトを冷蔵庫に入れず、部屋においておいて翌日常温で食べる。もう冷たいの、キツいわ。厳しいです、本当に。

(赤江珠緒)あ、そうですか。体には良さそうでございますけど。

(博多大吉)あの、乾杯のビールも『ジョッキ凍ってないと嫌だ』っていう時、あったでしょ?

(ジェーン・スー)あの、私ちょっと飲めないんですけど。わかります。わかります。

(赤江珠緒)キンキンね。

(博多大吉)キンキンのやつ。欲してましたけど、最近マジでちょっと辛いですよね。でもそれってやっぱり言い出せないんで。1人だけ瓶ビールに変えて逃れてみたりとかするんですけど。たしかに冷たいものがね、あんまり入らなくなりますね。

中年になって生じる食の好みの変化

(ジェーン・スー)で、結局どういうことか?っていうと、『口より先に胃が音を上げる』と。これが中年の食のリアルのなのではないか?という仮説をたてまして。こちらを検証していきます。まず、食の変化としましては、幼少期。こちらはハンバーグ、カレー、ナポリタンスパゲッティ。単一的なわかりやすい味ですね。子ども時代大好きだった、大味の食事。俗にいう子ども舌時代でございます。誰もが経験する。

(博多大吉)うんうん。

(ジェーン・スー)そして青年期。食べても食べても腹がへる。つまり、牛丼やラーメンに代表されるスタミナと量至上主義。胃拡張時代ですね。この胃拡張時代が過ぎまして、中年期になると、美味しいものを少しずつ食べたいと。これ、舌先三寸ミニマリズム時代っていう風に名づけたんですけど。

(博多大吉)これが我々中年ですよ。

(ジェーン・スー)やっぱりどういう変化が来たか?っていうと、個人的なお話で申し訳ないんですけど、私25才ぐらいまでは『死ぬ前に食べたい料理はなんですか?』という質問に、『バイキング』と答えたんです。

(赤江珠緒)(笑)

(ジェーン・スー)これ、どういうことかっていうと、質よりも量。

(博多大吉)いろんな種類をいろんな量食べたい。

(ジェーン・スー)で、突き詰めていくと、舌を楽しませるよりも胃を重くするということがミッションだったんです。いろんなもので口を楽しませた後に、胃が重くならなきゃ意味が無いと。これがですね、どんどん舌が満足しても胃が満足しないっていう時代があったわけじゃないですか。俗にいう、『俺はいいけどYAZAWAはどうなか?』みたいなそういう時代・・・

(赤江珠緒)ちょっと待って下さい!そのたとえは、ちょっとどういうこと?(笑)。

(ジェーン・スー)流していただけるとありがたいんですけど。まあ、舌はいいけど胃が満足してないよ、みたいな時代がですね、30代後半から、舌より先に胃が音を上げる。食べ過ぎて胃が重くなった時の、なんにもできねーっていうあの感じ。

(赤江珠緒)あー!

(ジェーン・スー)あれって、なかったじゃないですか。食べてお腹いっぱいになって、うごけなーい!ってことはあっても、うううっ・・・っていう。懲罰感っていうんですかね?なんかこう・・・

(博多大吉)若い頃は満腹になっても、ちょっと寝れば治った気がするんですよ。いま、もう無理ですもん。本当に己を公開する。

(ジェーン・スー)わかります!わかります!後悔です。

(赤江珠緒)ヘタしたら次の日、病院に行ってしまうっていうこと、ありますもん。これ、胃がなんかおかしいんじゃないか?って。

(ジェーン・スー)翌朝起きて、腹が減ってない。これが中年のスタートですよ。

(博多大吉)いや、もうマジで朝ごはん食べないですもん。

(ジェーン・スー)私、この間ね、マクドナルドのセットっていうのを久しぶりにやっつけちゃったんですよ。間違えて。1個だったらまだいいんですけど、いま、アメリカンダイナーとかやってらっしゃるじゃないですか。あれがね、ちょっと気になっちゃったんで。セット。その後ね、昏睡状態です!

(赤江珠緒)(笑)

(ジェーン・スー)私ね、マックになんか盛られたのかと思いましたよ!本当に。

(博多大吉)満腹になりすぎて。

(ジェーン・スー)胃に、全身の血液が集中したことにより、もう1歩も動けなくなってしまって。家に帰って、なだれ込むように布団に倒れ。

(赤江珠緒)そうか、セット。あれ、若者のためのものですか。

(ジェーン・スー)マズった!

(博多大吉)ポテト、もう無理ですよ。

(ジェーン・スー)ポテト、ヤバいですよね。

(博多大吉)1本・・・2本でいい。

(赤江珠緒)少ない!ちょっと少なすぎませんか?7

(ジェーン・スー)結局、ひとつの仮説として、コース料理や懐石、精進料理、和食。この類が楽しめるようになったのは、精神的に成熟して高みに達したわけではなくて、フィジカル。もう完全にフィジカルの問題ではないか?と。

(赤江珠緒)(笑)

(ジェーン・スー)目で楽しむ、舌で楽しむ、これは高尚なことではなくて、ぶっちゃけ胃がもたない。

(博多大吉)そもそも食べられないから、我々はそっちに逃げ込んでいるんじゃないかと。

(ジェーン・スー)そうなんですよ。もう逃避先としての、目で楽しむ、舌で楽しむ。

(赤江珠緒)だから目も、すごいモツ鍋とか見ると、ウッ!ってなる時、ありますもんね。

(ジェーン・スー)結果、胃がどうなるか?っていうのがわかりますからね。私たちはね。

(赤江珠緒)そういう意味では、懐石はね、安心感がありますね。

(ジェーン・スー)美味しいものが少しずつ食べれるから。昔はね、あんなの『早く持ってこい!』だったじゃないですか。早く次のものを持ってこい!だったのが、少しずつ楽しみながら。わかるわーっていうので、周囲にリサーチをしてみました。中年になって好きになった食べ物はなんですか?と。からすみ、アンチョビなどの珍味系、あとはワサビや花山椒などの香辛料系。あとはですね、出汁、蕎麦湯などの染みわたる汁系という。

(赤江珠緒)出汁、蕎麦湯!?

(ジェーン・スー)出汁って食べ物だったっけ?っていう。でね、だいたいね、こちらの番組のスタッフの方にもお伺いしたんですけども。『出汁』っていうと、『あ、○○の出汁ね!』っていう。出汁のブランドまで出してくるようにみなさんなりまして。どちらも共通して言えるのは、舌先三寸で楽しめる。胃に負担がないという。

(赤江珠緒)蕎麦湯はいいですよね。

(ジェーン・スー)これ、なんなんですかね?やっぱり中年の声をいくつか、紹介させていただきます。『出汁は奥が深い。アゴ、カツオ、昆布など二度とは同じ味が作れないところが魅力』。なに言ってんの!?みたいな話ですけど。

(赤江珠緒)まあ、そうですけど。

(ジェーン・スー)あとね、『もう毎日湯豆腐で良い』。同じものばかり食べることへの抵抗が減った。あと、『少量でも満足するが、凝縮された味は楽しみたいのでカステラと羊羹だったら羊羹を取る』と。

(赤江・大吉)へー!

(ジェーン・スー)カステラはもう、胃に来るということらしいですね。で、それを制すように、『いや、羊羹だと味が濃いので、ういろうを好む』。

(赤江珠緒)(笑)。たしかにういろうはさらにちょっとね。薄まった感じ、しますよね。

(ジェーン・スー)羊羹の出汁化ということだと思いますけど。

(博多大吉)出汁なのかな?ういろう。

(ジェーン・スー)『夕食よりも朝ごはんが豪華な方がうれしい』。

(赤江珠緒)あー!わかる。

(ジェーン・スー)夕飯が重いと、ちょっとつらいので。だったら旅行先とかでも、朝ごはんとかがしっかり。まあ、食べ過ぎると同じことなんですけどね。あと、『好きな言葉は半ライス』っていう方もいらっしゃいましたね。

(博多大吉)あ、いいね。

(ジェーン・スー)どんぶり飯って、いつから食べられなくなりました?

(博多大吉)いや、結構長い。昔からですよ。だからお弁当屋さんでサービスでご飯をちょっと大盛りにするお弁当屋さん、あるじゃないですか。チェーン店系じゃないところで。ものすごい嫌なんですよ、あれ。減らしてもらえないかな?と思って。

(ジェーン・スー)わかります!少ない量で十分ですよね。炭水化物は。

(博多大吉)でも言えないんですよね。あんまりそういうのって。大盛りはあるけど、小盛りってあんまりないんで。

(ジェーン・スー)そうそう。あと、『餃子と書いて無限大と読めなくなってきた』とか・・・

(博多大吉)餃子なら永遠に食えるんですね(笑)。

(ジェーン・スー)餃子って書いて、[インフィニティ]って見えてたらしいんですよ。その人。それが・・・

(博多大吉)まあ、餃子とポン酢さえあればどこまでもいける。

(ジェーン・スー)どこまでもいけたって。いけなくなってきた。

(博多大吉)青春18切符。僕たちの。

好んで野菜を食べるようになる

(ジェーン・スー)僕たちの青春18切符、餃子がもうそうではなくなってきて。あと、『健康志向ではなくて、健康的なものが味としてガチで好きになってきた』。好んで野菜を食べるようになってきた。あと、『先に野菜を入れておきたい』っていう。

(赤江珠緒)わかる!

(ジェーン・スー)なんですか?これ、私もわかるんですよ!

(博多大吉)誰かが言い出すんですよね。

(赤江珠緒)そうそう。『サラダ、食べましょう』っていうね。

(ジェーン・スー)そうそう。最初にご飯を食べて、地ならしをするのが必要だったはずなのに、野菜を入れてちょっとクッションを作っておこうみたいな。

(博多大吉)最初にキャベツとかいっぱい食べて。そっからご飯。

(赤江珠緒)バーニャカウダなんて子どもの時、うれしくなかったでしょ?あんなの出たとしても。

(ジェーン・スー)野菜にアンチョビついてるんですよ。最悪ですよ!

(赤江珠緒)ねえ。いまはうれしがっていただいてますけどね。

(ジェーン・スー)うれしいですよね。滋味深いみたいな。あとね、『白湯の優しさを知った』って。もうね、食べ物じゃなくなってきてますね。だんだん。

(博多大吉)白湯ね(笑)。

(赤江珠緒)旅館のね、あの夕食のお品書きもね、最後の方、『まだ出るのか?』みたいな。眺めて、『うわっ!まだゴールまで!』みたいなね。

(ジェーン・スー)マラソンみたいな気分になってきますよね。

(博多大吉)ぶっちゃけ、お鍋で〆、やります?おじや、やる?

(ジェーン・スー)わかります。〆、キツくなってます。

(赤江珠緒)〆、なくていいですね。たしかに。

(ジェーン・スー)〆の麺とか、絶対いらないです!

(博多大吉)4人で行って、ちょっと前までは『じゃあ、おじや2人前で』とか言ってたけど、最近もう『1人前で』とか。あれやったら、『もう時間ないんで・・・』って嘘ついてまで。ちょっとね。

(ジェーン・スー)〆のライスっていうのが、おじやっていうのが完全にただの儀式になってますよね。

(博多大吉)そう。もう腹いっぱいですもん。だって。そん時に。

(ジェーン・スー)完全にそこで何かを食べることでお腹をいっぱいにするんではなく、〆るための、儀式としてのおじやっていうのになってきますよね。

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