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高橋芳朗 洋楽解説 The Pharcyde『Officer』

高橋芳朗 洋楽解説 The Pharcyde『Officer』 ザ・トップ5
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高橋芳朗さんがTBSラジオ『ザ・トップ5』の洋楽紹介コーナーで横暴な警官への抵抗ソングとしてN.W.A.の『Fuck The Police』とThe Pharcydeの『Officer』を取り上げていました。

(高橋芳朗)じゃあもう、さっそく高橋芳朗プレゼンツ、洋楽コーナーに行ってみたいと思います。あの、今週はこの週末から全国公開されます。一部でもう先行公開されてますけども。ヒップホップ映画ですね。『ストレイト・アウタ・コンプトン』にちなんだお話をしたいと思います。

(熊崎風斗)ええ。

(高橋芳朗)この『ストレイト・アウタ・コンプトン』は1980年代後半にデビューしたヒップホップグループのN.W.A.の伝記映画で。映画の内容については後ほど、映画興行成績ランキングのところでお話したいと思います。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)で、N.W.A.。CDを持ってきましたけど。N.W.A.っていうんはね、ヒップホップの歴史でも最も重要なグループのひとつで。まあ、ギャングスタラップというジャンルがあるんですけど。ギャングスタラップの元祖と言える存在です。まあ、ストリートギャングですよ。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)で、こちら。ベストアルバム『Greatest Hits』のジャケットにも書いてある通り、『The World’s Most Dangerous Group(世界で最も危険なグループ)』をキャッチフレーズに一世を風靡した人たちなんですね。で、なんでこのN.W.A.が世界で最も危険なグループって呼ばれているかというとですね、それは彼らのある曲の存在によるところが大きくて。その曲はズバリ、『Fuck The Police』という曲なんですよ。ちょっとかけてもらえますか?

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N.W.A.『Fuck The Police』

(高橋芳朗)1988年の作品で。まあ、この曲によってN.W.A.はその名を世界に知らしめたと言っていいと思うんですけど。これ、タイトル通り『おまわりのやつら、ムカつくぜ!やつら、何かと言うと俺たち黒人を目の敵にしやがるんだ』みたいな。そういう内容の曲なんですよ。

(熊崎風斗)うん。

(高橋芳朗)で、なんかこういう紹介をすると、単にチンピラがね、警官に対するフラストレーションをぶちまけた曲って思われるかもしれないですけど。これがもう、黒人民衆の怒りを代弁したプロテストソング。政治的抗議のメッセージを含んだ曲として、すごい普遍的なパワーを帯びていくんですね。まずこの曲、『ストレイト・アウタ・コンプトン』の映画でも描かれているように、無抵抗の黒人男性が白人警官の集団に激しい暴行を受けた1991年のロドニー・キング事件っていうのがあるんですけど。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)そして、それが引き金になった1992年のロスアンゼルス暴動。ロス暴動。わかりますよね?この一連の流れの中で、この『Fuck The Police』がテーマソング的に機能したところがあるんですね。

(熊崎風斗)へー。はい。

(高橋芳朗)で、いま話したような事件って、ここ数年でもう頻繁に起こっているじゃないですか。ここ2年ぐらいですかね。黒人が白人警官に暴行を受けて。でも裁判で警官が不起訴になって、怒った民衆が暴動を起こすみたいな。去年のファーガソンだったり、今年のボルティモアだったり。

(熊崎風斗)そうですね。

(高橋芳朗)だから『Fuck The Police』はもう25年以上も前の曲なんですけども、そのメッセージはいまもぜんぜん有効だと言えると思います。で、そんなわけでいまも黒人に対するポリスハラスメント。警察による嫌がらせ行為。この映画の中でも執拗に描かれていましたけども。非常にポリスハラスメントが大きな社会問題になっていて、日常的に抗議運動が行われているんですけど。

(熊崎風斗)ええ。

(高橋芳朗)このN.W.A.の『Fuck The Police』の中でも二度に渡って言及されている、もうポリスハラスメントの中でもいちばんよく取り沙汰される問題になっているのが『プルオーバー(Pull Over)』っていう行為なんですよ。

(熊崎風斗)プルオーバー?

(高橋芳朗)プルオーバーっていうのは、車で道を走っているとパトカーに止められること。停車を命ぜられること。よく、アメリカの映画とかドラマでそういうシーンを見たこと、ありません?車に乗っていたらパトカーが後ろでサイレンを『ウィン』とか一発だけ『フーン』とか鳴らして、強制的に車を停車させる。あれ。あれをプルオーバーと言います。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)で、もうただ運転手が黒人である。それだけの理由で車の停車を命ずる、人種差別的な警察の取り締まり行為なんですね。で、これを題材にしたラップの曲ってすごい多くて。今日はそんな中からですね、ファーサイド(Pharcyde)っていうグループの『Officer』っていう曲を紹介したいと思います。これ、ロス暴動が勃発した1992年の作品なんですけど。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)ファーサイドってN.W.A.と同じロスアンゼルス出身のラップグループなんですけど。このギャングスタラップの強面なN.W.A.と違って、もっとポップで楽しいヒップホップを信条としているグループなんですね。あの、RIP SLYMEがファーサイドの影響をめちゃくちゃ受けていて。

(熊崎風斗)へー!

(高橋芳朗)昔、僕がヒップホップ雑誌で働いている頃、RIP SLYMEのメンバー全員に影響を受けたアルバムを5枚ずつ選ぶアンケートみたいなのをお願いしたことがあるんだけど。メンバー全員、そのファーサイドの『Officer』が収録されているデビューアルバムを選んでいました。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)だから実際、これから曲を聞いてもらったら、『あっ、RIP SLYMEっぽいわー!』って思う人ももしかしたら、いるかもしれないですね。で、N.W.A.がさ、ポリスハラスメントに対して怒りをぶちまけても、それはそれでもちろん重いメッセージとして響くわけなんですけども。楽しいヒップホップをベーシックにしているファーサイドが歌うとまた余計に事態の深刻さが際立ってくるものがあるんですね。

(熊崎風斗)ギャップがありますもんね。

(高橋芳朗)で、この『Officer』っていう曲も曲調自体はすごい楽しげで。それだけに、すごいドキッとさせられるんです。歌詞も出だしはすごいファニーで。設定はたぶん高校生だと思うんですけど。『今日はテストだから遅刻しないように学校に行かなくちゃ。大急ぎで車に乗り込んで発進したんだけど、そこから最悪な一日が始まった。おまわりさん、俺を捕まえないで。おまわりさん、お願いだから捕まえないで。俺は何もしてないんだから』。そういう曲になっております。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)では実際に聞いてみましょう。ファーサイドで『Officer』です。

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The Pharcyde『Officer』

(高橋芳朗)ポリスハラスメントを題材にしましたファーサイドの『Officer』という曲を聞いていただきました。この曲ですね、ロス暴動直後のロスアンゼルスの高校を舞台にした映画。ヒラリー・スワンク主演の『フリーダム・ライターズ』っていう映画があるんですけど。2007年の。これの劇中で使用されているんですね。で、それを併せて見ていただけると、より曲への理解が深まるんじゃないかな?と思いますので。

(熊崎風斗)はい。

(高橋芳朗)興味ある方はぜひ、チェックしてみてください。

(熊崎風斗)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/32139

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