吉田豪 松本零士の素顔を語る

吉田豪 松本零士の素顔を語る たまむすび

(松本零士)あの、ヤマトの原作っていう部分ですね。これは実は、まあ会議に会議を重ねて協議しながら作り上げていったんですが。基本的な部分は私が作ったんですよ。だから、私は原作者で自由にヤマトは書けるんですけどね。

(玉袋筋太郎)そう!そうですよ。

(松本零士)それからあの、登場人物の名前から何から。それから、要するに情景設定ですね。そういうものもデザインも含めて、何もかもやったんです。ただ、会議に会議を重ねながらですね、西崎氏ももちろん、豊田有恒氏やらいろいろ大勢の方と一緒に作ったんですね。だから共同制作にはもう間違いありません。だけど、基本的に全体の構成、原作ですね。それは私がやりました。

(玉袋筋太郎)おお!

(松本零士)これは裁判沙汰にもなったんですが、全部それで通ってますんでね。私はあくまでも原作者なんですよ。

(玉袋筋太郎)その通りです!

(松本零士)それがさっきあの・・・(笑)。『西崎氏の原作だ』と言われたんで。

(玉袋筋太郎)すいません。

(松本零士)もちろん、彼には心から感謝してるんですよ。

(玉袋筋太郎)あ、感謝してるんですか?

(松本零士)うん。彼が私に依頼してくれたので、私がアニメーションっていう道に入れたんです。そのきっかけを作ってくださった方なんですよ。ですから、その点についてはですね、いろいろなゴタゴタ。ケンカもしたり、いろんなことしたり、大騒動もやったけど、そうじゃなくて。彼が声をかけてくれたということを心から感謝しているんです。それは。

(玉袋筋太郎)いやー・・・

(松本零士)だから、自分がそういう道に入るきっかけを作ってくれたんです。それはもう、心から感謝しております。

(玉袋筋太郎)いい時代です。

(松本零士)それで、共に良くしようとしてお互いに激論を交わしながら、2人だけじゃなくて、スタッフも全部ですね。それで作り上げていったのがこの作品なんですよ。

(小林悠)なるほど。よく事実関係がわかりました。ありがとうございます。

(松本零士)美術の方もがんばってくれましてね。だから手書きですよ。この時代は全部。

(玉袋筋太郎)すごい。先生、やっぱり定規とか円を書くとか。あれも全部手書きだったって。

(松本零士)あれは絵の書き方の秘訣ですね。あの、絵を書く時には自分の心というか。心で書くわけですから。その力を込めるアクセントですね。そういう部分が必要なので
、手で書かなくちゃ行けないんです。

(玉袋筋太郎)じゃああの精密なコックピットも全てもう本当に?

(松本零士)もちろん定規を使わなきゃどうしようもない、コンパスを使わなきゃどうしようもない場所もありますが。それでも、それを書きながらさらにそれを自分の手で。力を込めるところとか、アクセントですね。それを感情を込めて書くんです。だから、それともうひとつ、私がアフリカやアマゾンに行っているのは・・・

(玉袋筋太郎)ア、アマゾン!?

(松本零士)あの、自分で見ていれば、見たものを立体的に表現して書けるわけですよ。だから行く必要があるんですね。ですから、写真を見て書く絵と、自分がその場所を知っていて書く絵は明らかに違うんです。裏側まで知っていて書くわけですから。

(玉袋筋太郎)先生、ライオンをハンティングしようとしたんですもんね。でも。

(松本零士)うん。決闘に行ったんですけどね。ただしこれは条件がありましてね。ライオン、ゾウ、カバ、キリン、サイあたりは要するに保護動物にその当時もすでになりつつあったんですよ。ただし、ケニヤ政府から証書をもらいまして。『自らの命が危険に陥ったら撃ってもよろしい』という証書をもらって。それでサバンナに出たんです。

(玉袋筋太郎)かっけー!

(小林悠)ちょっとこれ、お話が終わらないですね。大変ですね。

(松本零士)大変ですから、ここで止めますけど。それでライオンに・・・

(小林悠)先生、実はお願いが。先生。

(玉袋筋太郎)先生。

(松本零士)ライオンに挑戦したんですよ。

(玉袋・小林)(笑)

(松本零士)ところがですね、ライオンさんもね、そういう人間はわかるわけですよ。クルンとお尻を向けて向こうに行ってくれて。襲ってきてくれなかったですよ。

(玉袋筋太郎)よかった!

(小林悠)よかった。先生、ご無事で。

(松本零士)そういうわけでして。でも、そういう体験が。飛行機も何もかも含めて、自由にできたまだのどかな時代だったんですよね。

(小林悠)本当ですね。先生、実はお願いがございまして。ぜひ、そういったお話を含めて、たまむすびのスタジオまでお越し頂いて。その筋の話ということで、ゲスト出演いただくことは可能ですか?

(松本零士)可能ですよ。

(小林悠)ありがとうございます。

(松本零士)やりましょう。面白い話、いっぱいありますから。

(玉袋筋太郎)お願いいたします!

(小林悠)ぜひ、よろしくお願いします。待っておりますので。

(松本零士)我々の時代はゆるやかな、おおらかな時代だったんです。いまやったら、全部御用でしょう(笑)。

(玉袋筋太郎)御用(笑)。

(小林悠)(笑)。あの、放送できる範囲でぜひ。

(松本零士)その当時はね、本当に優しかったんです。世の中が。

(玉袋筋太郎)先生!ありがとうございました!

(小林悠)すいません。わざわざお電話いただいて。

(玉袋筋太郎)どうもすいませんでした!

(松本零士)そういうわけです。

(玉袋筋太郎)松本零士先生でした!ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

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